4月7日(水)8日(木)と、東京都文京区のホテル椿山荘東京で開催された将棋名人戦七番勝負の第1局は、挑戦者の斎藤慎太郎八段が179手で渡辺明名人を破り、幸先よく、まず1勝を挙げました。予想に反して、序盤はガップリ四つの矢倉戦になりました。中盤以降、渡辺明名人が徐々にリードを広げましたが、難解な終盤を挑戦者の斎藤八段が粘り切って、逆転での勝利を収めました。
第1局は逆転で敗れてしまった渡辺明名人ですが、名人戦直前に、将棋記者のインタビューに答える You Tube がありまして、面白いことを語っておられるので、ご紹介いたします。
【AIなどを活用した準備が勝負を分ける!】
「今の将棋は、直前まで準備していた方が勝つ」「トップ棋士同士の対局で出てきた新しい展開は、すぐに取り入れて、AIでの検証も踏まえ、その前後の最善手を確認しておく必要がある」「最近指されるトレンドを理解して、その周辺局面を、より深く検討していた方が有利」「5年前までは、こんなことはなかった。タイトル戦の前には、気持ちを落ち着かせることの方が大事だったが、今は前日までの準備時間がより大事」
【終盤力を鍛えるつもりはない。今さら、藤井聡太二冠にはなれない】
「自分は、終盤で間違えて負けるケースは殆どないので、ここを強化しようとは思っていない」「もちろん、タマに間違えて負けることもあるが、それは鍛えても変わらない、自分の地力である」「極端に終盤に強い藤井二冠のような人もいるが、今さら彼になれる訳ではない」「むしろ、序盤での構想段階でミスをしないこと、また中盤戦で致命的な手を打たないこと、そのために準備をする意義が大きい」
【タイトル戦が続く時の方が、脳は研ぎ澄まされている】
「タイトル戦が続くと疲労が溜まるし、準備時間も足りなくなるが、中盤から終盤にかけて、脳の切れ味が研ぎ澄まされている感覚になる」「対局が空いている時は、切れ味がだいぶ鈍った感じになり、対局が増えていくにつれて鋭敏になっていく」
なんだか、競走馬の仕上げと重なる面がありますね。渡辺明名人の第2局以降の巻き返しに期待いたしましょう!