本日も『競馬たられば話』シリーズの再掲です。
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競馬「たられば」話の第2回。
今回のテーマは、『もしも、サイレンススズカとアーモンドアイが天皇賞秋で激突したら・・⁉』です。
もちろん、このテーマは『サイレンスズカとディープインパクト』に置き換えることも可能ですが、府中芝2000mで実際に最強の勝ち方をしたのはアーモンドアイですから、府中芝2000m未経験のディープインパクトよりも、サイレンススズカとアーモンドアイとの激突を妄想する方が面白くかつ適当だと判断致しました。
この両馬の比較をする上で、まずは、アーモンドアイが勝った2019年の天皇賞秋のラップを見てみたいと思います。なぜかと言うと、この時の2019年天皇賞秋こそが史上最高レベルの天皇賞秋だったから。アエロリットとダノンプレミアムの2頭が刻んだ2000mのラップが、府中2000mにおける最も理想的なラップだったからです。そして、その理想的なラップを、切れ味鋭く撃破したアーモンドアイの末脚の凄さも再確認することができるから、であります。
2019年の天皇賞秋の勝ちタイムは1分56秒2。ちなみに、コースレコードは2011年にトーセンジョーダンが勝った時の1分56秒1ですが、この年はシルポートが前半1000mを56秒5で逃げて、後半が59秒6という歪なラップ。ベストの逃げで府中2000mを勝ち切るラップを考える際には、やはり、この2019年のラップこそが参考値になると判断いたしました。
ちなみに、2019年天皇賞秋の各ハロン毎のラップは以下のとおり。
12.8 - 11.4 - 11.5 - 11.6 - 11.7 - 11.6 - 11.3 - 11.1 - 11.3 - 11.9
スタート直後の1ハロンのみ12秒台ですが、あとは全て11秒台という美しい刻みのラップになっています。前半1000mが59秒0、後半1000mが57秒2。これでレコードまで0.1秒の1分56秒2というタイムとなります。
これに対して、あのサイレンススズカが刻んだ1998年天皇賞秋のラップが以下のとおり。もちろん、サイレンススズカは途中で故障したため、故障手前までのラップであります。
13.0 - 10.9 - 10.7 - 11.2 - 11.6 - 12.0
2019年と1998年を比べてみると、2019年アエロリットの逃げが淡々としたペースを維持しているのに対して、1998年サイレンススズカの逃げはメリハリをつけながらの逃げだということが判ります。そのうえで、1998年の前半1000mラップは57秒4。そして、次の1000~1200mの1ハロンでは12秒台で息を入れていたことも判ります。さらにもう一つ、参考に見てもらいたいラップがあります。1998年の毎日王冠でのサイレンススズカのラップです。
12.7 - 11.0 - 10.9 - 11.4 - 11.7 - 12.1 - 11.6 - 11.4 - 12.1
1998年天皇賞秋と毎日王冠の1200mまでのラップが非常に似たラップであることが判ります。これこそがサイレンススズカの逃げのパターンで、前半3ハロンが速く、そして1000mから1200mのところでいったん息を入れてから、再度加速していくのがサイレンススズカの逃げなのです。ちなみに、毎日王冠のラスト1ハロンが12秒1なのは、後続との差が開いていたので、武豊騎手が追うのを止めてスピードダウンしたから。もし、ラストまで追い続けていたら、ここも11秒台で走ったと思います。
さて、それでは、1998年天皇賞秋でのサイレンススズカが、もしも故障せずに、そのまま走り切っていたら、どんなラップを踏んでいたかを、1998年毎日王冠のラップを参考にしながら、推定してみることにします。
13.0 - 10.9 - 10.7 - 11.2 - 11.6 - 12.0 ⇒ 11.6 - 11.4 ⇒ 11.6 ‐ 11.9
スタートから1200mまでは、実際の1998年天皇賞秋のサイレンスズカ自身のラップ。次の2ハロン(1200~1600m)は1998年毎日王冠のサイレンスズカ自身のラップ。ラスト2ハロン(1600~2000m)はワタクシの推測のラップ。これらのラップを合算すると、前半1000mのラップが57秒4、後半1000mラップが58秒5、そして合計タイムが1分55秒9。府中2000mのレコードタイムとなります。
これに対して、アーモンドアイのベストレースでもある2019年天皇賞秋のラップから、もし、仕掛けのタイミングをもう50mくらい早めていたとしたら、それによって実現できる改善ラップ想定が以下のとおり。
12.8 - 11.4 - 11.5 - 11.6 - 11.7 - 11.6 - 11.3 - 11.1 - 11.2 - 11.8
こちらの前半1000mラップは59秒0、後半1000mラップが57秒0、そして合計タイムが1分56秒0。
あくまで妄想の世界ではありますが、この2頭の激突は、サイレンススズカの鮮やかな逃げ切り勝ちという結果になりました。
負けたアーモンドアイにしても府中芝2000mのレコードで走っており、0.1秒の僅差の決着というのが結論であります。