アートインプレッション

株式会社アートインプレッションは、美術展の企画を主な業務としている会社です。

陶酔のパリ・モンマルトル展 オープン!!

2011-08-08 19:08:45 | 陶酔のパリ・モンマルトル
尾道市立美術館にて、「陶酔のパリ・モンマルトル1880-1910」展 オープン 


エミール・コール 《アール・ザンコエラン展のカタログ表紙》1893年



8/6(土)より、尾道市立美術館で、「陶酔のパリ・モンマルトル 1880-1910」展が開幕しました

尾道市立美術館は、建築家・安藤忠雄の設計によって2003年に改築されました。打ちっ放しのコンクリートがガラス壁で覆われ、差し込む日差しが館内に四季の変化まで運んで来そうな開放的な建物です。
今回はそんな展示スペースを全6室に分け、キャバレー「シャ・ノワール」の成り立ちから「支離滅裂派」の登場、当時のサーカスや大衆芸術の賑わい、影絵芝居芸術、さらにはナビ派や象徴主義まで、世紀末パリのあらゆる芸術シーンをご紹介します。

展覧会そのものはもちろん、尾道の山頂にある美術館からの眺めや、美術館から歩いてすぐのところにある展望台など、夏休みを満喫するには持ってこいの要素が沢山ありますので、皆様是非お立寄り下さいませ。



JR尾道駅正面にある港の景色。朝方は瀬戸内から光が差し込み、絶好の散歩コースです。


千光寺公園から見える夕焼け。





尾道市立美術館
■JR山陽本線尾道駅から市内バス「市内本線東行」で約3分「長江口」駅下車
千光寺山ロープウェイで3分「山頂」駅

■JR山陽本線尾道駅からタクシーで約10分

詳しくは尾道市立美術館アクセス情報をご覧下さい。

陶酔のパリ・モンマルトル展 まもなく巡回!!

2011-08-02 12:01:58 | 陶酔のパリ・モンマルトル
尾道市立美術館にて、「陶酔のパリ・モンマルトル1880-1910」展
まもなくオープン
 


ジュール・シェレ 《アール・ザンコエラン展の万国博覧会のポスター》1889年



8/6(土)より、尾道市立美術館で、「陶酔のパリ・モンマルトル 1880-1910」展が開幕します。

展覧会では、19世紀末の伝説的キャバレー「シャ・ノワール」を中心に、娯楽とキャバレー文化という視点から当時の前衛芸術、大衆芸術を横断的にご紹介しています。
当時、モンマルトルのカフェ=コンセールではロートレックやスタンラン、エリック・サティ、ドビュッシーなど、後の世代を代表する芸術家たちが毎晩集っては「フュミスト的(ばかばかしい)」な喧噪を繰り広げ、新しい表現方法を模作していました。こうした活動がやがて大衆芸術として話題を呼び、後のダダやシュルレアリスム、コンセプチュアルアートへと繋がっていくのです。
尾道市立美術館では、このような世紀末キャバレーの様子を影絵芝居、展覧会のポスター、絵画、公演プログラム、雑誌、上映資料等パリのモンマルトル美術館をはじめ国内外の所蔵家176点を公開すると共に、当時の「シャ・ノワール」で大変な人気を博していた影絵芝居劇場の再現オブジェを制作するなど、意欲的な展示となっています。
是非足をお運び下さいませ。




尾道市立美術館
■JR山陽本線尾道駅から市内バス「市内本線東行」で約3分「長江口」駅下車
千光寺山ロープウェイで3分「山頂」駅

■JR山陽本線尾道駅からタクシーで約10分

詳しくは尾道市立美術館アクセス情報をご覧下さい。

伊丹市立美術館にて、陶酔のパリ・モンマルトル展 閉幕

2011-06-08 17:48:22 | 陶酔のパリ・モンマルトル
伊丹市立美術館 「陶酔のパリ・モンマルトル」展 閉幕





4月16日から伊丹市立美術館にて始まった「陶酔のパリモンマルトル1880-1910」展が、6月5日をもって無事に閉幕しました。
期間中、沢山の方々にご来場いただきましたこと、本当にありがとうございます。

今後は尾道市立美術館 8月6日~9月25日をはじめ、北海道立函館美術館八王子市夢美術館を巡回予定です。
お近くの方は是非足をお運び下さいませ。

アトリエアルション天神橋筋店のご紹介

2011-06-01 17:56:06 | 陶酔のパリ・モンマルトル
肌寒い一日ですが、皆さんいかがお過ごしですか。

今日は「陶酔のパリ・モンマルトル1880-1910」展に関連して、大阪のカフェ・スポット、アトリエアルションをご紹介します。



「アトリエ アルション」は、地下鉄谷町線・堺筋線「天神橋筋六町目」駅の6番出口から徒歩1分のところに佇む、フランス菓子のお店。
店内にはスタッフの方々がフランスで集めた雑貨や本が飾られていて、さながらパリのカフェにいるようでした。今回は特別に「陶酔のパリ・モンマルトル」展のミュージアム・ショップにも焼き菓子と紅茶のセットを置いてていただくことが出来たため、すでに堪能された方も多いのではないかと思います。
焼き菓子以外も楽しみたい!という方のために店内より一部ご紹介させていただくと、



ため息が出てしまいますね。
写真を撮っているだけで気分が晴れやかになってしまうのですから、偉大な存在だと思います。
私も迷いに迷って、この組合せをいただきました。



大満足です。
店内は時間の流れもゆったりとしているので、くつろぐにはもってこいの空間でした。
展覧会を観て大阪へいらした際には、皆さんも是非足をのばしてみて下さい。

「アトリエ アルション」へのアクセス情報は、下記ホームペジよりご覧いただけます↓↓
アトリエアルション天神橋筋店http://www.anjou.co.jp/shop/atolier/index.html



陶酔のパリ・モンマルトル1880-1910展は、伊丹市立美術館で6月5日(日)まで開催されています。お見逃しなく!!

写真提供、弊社スタッフ木村はるか



キャバレー「シャ・ノワール」、現在の様子

2011-05-31 16:38:16 | 陶酔のパリ・モンマルトル
キャバレー「シャ・ノワール」、現在の様子


「陶酔のパリ・モンマルトル1880-1910」展のサブ・タイトルでもあるキャバレー「シャ・ノワール」。今回はその跡地について、写真と一緒にご紹介します。




「シャ・ノワール」跡地へ行くにはまず、地下鉄Blanche駅を降ります。目の前に開けて来るのは、モンマルトル夜のランドマーク、「ムーランルージュMoulin Rouge」。
昔ながらの風車に観光客が集まり、いかにもにぎやかな雰囲気を醸し出しています。
キャバレーやカフェ・コンセールで栄える以前は、モンマルトルは富裕層の別荘地であったため、風車はその時の名残りと言われています。
そのムーランルージュを背に少し進み、左に曲がってさらに進んで行くと、芸術家たちが毎晩通った道、「ヴィクトール・マッセ (旧ラヴァル)通り」が見えてきます。



かつて「シャ・ノワール」を移店する際には、ロドルフ・サリスが大勢の仮装行列を従えて、真夜中にこの「ヴィクトール・マッセ」通りを練り歩いたと言われています。その中には当時人気を誇っていた歌手のアリスティド・ブリュアンも交ざっていたのですから、大変な見ものだったのでしょう。
現在はギターやドラムなどの楽器屋が並んでいて、少し高円寺と似た雰囲気がしました。

そしていよいよ「シャ・ノワール」跡地。



気をつけないと素通りします。
現在は一般のアパートとして残っている「シャ・ノワール」ですが、玄関に掲げられたプレートのメッセージからは、当時の面影を偲ぶことが出来ました。

通行人よ、止まりなさい。
この建物はロドルフ・サリスにより、
ミューズと歓喜の女神に捧げられていた
ここに 有名なキャバレー「シャ・ノワール」が
1885年から1896年まで収容されていた


こうしてみると、外観こそ変わったものの、キャバレー「シャ・ノワール」で息づいたエネルギーが現在も街の角々でさりげなく受け継がれていることに、少し驚かされつつ街全体に懐かしさを覚えました。
当時は黒と黄色の看板が掲げられていて、メッセージの最後に「現代的であれ!」と強く書かれていたそうです。
旧態依然としたアカデミー芸術に背を向けて、ユーモアと歓楽の中に新しい芸術を見出した時代が、この看板にも隠されているのではないでしょうか。



陶酔のパリ・モンマルトル1880-1910展は、伊丹市立美術館で6月5日(日)まで開催されています。お見逃しなく!!

写真提供、弊社スタッフ木村はるか


モンマルトル エリック・サティの家

2011-05-19 20:01:19 | 陶酔のパリ・モンマルトル
エリック・サティの家 in モンマルトル

今日は19世紀末の一風変わった音楽家、エリック・サティの家をご紹介します。
以前から訪れてみたいスポットベスト10に入っていましたが、なかなか機会がなく、私も今回初めて訪ねることができました。




サクレ=クール寺院からモンマルトルの丘をさらに左奥へと進んでいくと、2~3分ほどでのどかな通りへと抜けられます。
エリック・サティが住んでいたアパートもその一角。
本当にモンマルトルの丘の真ん中に住んでいたんだなと少しびっくりするくらい、かつてカフェ・コンセールやキャバレーが並んでいた通りの近くでした。
とはいえ現在も人が住んでいるアパートのため、そんなに華々しい出会いではありません。
上の写真の通りを目をこらして歩いてやっと、サティの名残りを見つけることが出来ました。




まさにキャバレー全盛期に住んでいたのですね。
ちなみにサティが「シャ・ノワール」に初めて足を運んだのは、本展でもご紹介している影絵芝居『聖アントワーヌの誘惑』の初演の日だったのではないかと言われています。その時、店主のロドルフ・サリスに肩書きをたずねられて、「ジムノペディストです」と答えたのは、代表曲『ジムノペディ』を作曲するよりも前のことでした。それを聞いて「素晴しい職業だね」なんて紹介してまわったロドルフ・サリスも、よっぽどキャバレー的な人物だったと思われます。
その後ロドルフ・サリスと物別れするまで、影絵芝居『星への歩み』の第2ピアニストもつとめていたのですから、サティは本当に「シャ・ノワール」のことを気に入っていたのでしょう。


左:影絵芝居アルバム『聖アントワーヌの誘惑』より「光の都」
右:影絵芝居アルバム『星への歩み』より「漁師たち」
デザイン:アンリ・リヴィエール(1864-1951)
(c)ADAGP, Paris&SPDA, Tokyo, 2011


アパートの全容はこのような感じです↓↓



皆さんもモンマルトルに立ち寄った際には、少し脇道にそれて探してみて下さいね。

※写真提供:弊社スタッフ、木村はるか



陶酔のパリ・モンマルトル1880-1910展は、伊丹市立美術館で6月5日(日)まで開催されています。



陶酔のパリ・モンマルトル、散策記

2011-05-10 18:30:41 | 陶酔のパリ・モンマルトル
皆さんゴールデンウィークはいかがお過ごしでしたか?お天気続きで本当に気持ちの良い一週間になりましたね。

実はこの連休中、陶酔のパリ・モンマルトル1880-1910展ゆかりの地を巡ってきました。
展覧会カタログ掲載の地図を片手に散策するのは何だかわくわくして、あっと言う間に時間が過ぎてしまいました。
道に迷ったせいもあるのですが。
少しずつご紹介しますので、皆さんも是非行ったつもりで楽しんで下さい。

エリゼ=モンマルトル ELYSEE MONTMARTRE

サクレ=クール寺院の最寄り駅、「Anvers」の階段を上がって最初に目に飛び込むのがこの「エリゼ=モンマルトル」。
エッフェル塔と同じ時期に建てられて、モンマルトルの庶民や芸術家の卵、文士、娼婦などたくさん人々に愛されました。現在でもライブハウスとして夜のパリを彩っているだけに、昼間でも何となく夜の名残りを感じます。貫禄のダンス劇場に、まずは一礼。

 
丘の頂上、サクレ=クール寺院にたどり着くまでには、上の写真のようなカフェやアイスクリーム屋、お土産屋が所狭しと軒を連ねて観光客で賑わっています。ときには可愛らしいバスなんかも走っていて、つい寄り道、休憩気分に誘われてしまいます。
こうしてぶらぶらと坂道を登って現れるのが・・

サクレ=クール寺院 The Sacred-Heart Basilica of Montmartre


このブログでも何度かご紹介させていただいた、モンマルトルの心臓部 !
展覧会の出品作品にも、まだ建設中の様子が描かれています↓↓(画面右奥)


やっとモンマルトルにたどり着いたような気がして、思わず「着いたー!!」と叫んでしまいました。本当はもう少し洒落たことを言ってみたかったのですが。
19世紀末当時はロートレックやスタンランはじめ、あらゆる芸術家や文士たち、ダンサーが夜になるとこの坂を登り、朝方足を引きずりながら下っていったのだと思うと、感慨深いです。
この日はちょうどミサが始まって、石造りのアーチに聖歌隊の歌声がこだましていました。丘の上からの景色とミサを楽しむだけでもお勧めです。


坂道が苦手な方は、階段脇からトロッコに乗ることも出来るので安心してくださいね。
次回はサクレ=クール寺院のご近所、エリック・サティの住居とモンマルトル美術館界隈をご紹介します。

※写真提供:弊社スタッフ、木村はるか



陶酔のパリ・モンマルトル1880-1910展は、伊丹市立美術館で6月5日(日)まで開催されています。

陶酔のパリ・モンマルトル展見所ガイド

2011-04-28 10:58:38 | 陶酔のパリ・モンマルトル
「陶酔のパリ・モンマルトル1880-1910」見所紹介!

いよいよ明日からゴールデンウィークが始まりますが、皆さんもう予定はお決まりですか? 大阪、神戸近辺までお越しの方のために、今日は4月16日に伊丹市立美術館
で開幕した「陶酔のパリ・モンマルトル」展の見所を写真と一緒にご紹介します。


第1展示室;キャバレー「シャ・ノワール」とアンコエラン派
写真提供、伊丹市立美術館藤巻和恵


本展を訪れた方々に最初にご紹介するのが、今回のテーマ【キャバレー「シャ・ノワール」とアンコエラン派】です。この部屋ではアンコエラン派 (支離滅裂派) と呼ばれた芸術家グループが発行したユーモアたっぷりの新聞、雑誌、絵画などが展示され、中でも上の写真掲載の影絵芝居アルバム再現映像と、影絵芝居で実際に使用された亜鉛板の造作が大きな見所となっています。影絵芝居は映画の発明に先駆ける当時最新の娯楽として大変にもてはやされ、スクリーンに映し出されるシルエットの濃淡、色合いの変化に芸術家たちが自身の才能を注ぎ込みました。今回は、当時実際に使用された亜鉛板に光を当てつつ、そのシルエットも間近に鑑賞できるよう、造作が施されています。

続いてこちら(クリックすると画像が拡大します)↓↓

アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《アリスティド・ブリュアン》,公益財団法人ひろしま美術館所蔵
写真提供、伊丹市立美術館藤巻和恵


「シャ・ノワール」と同時代に流行したキャバレーやカフェ=コンセールの様子を描いた絵画、ポスターのコーナーです。
展示室に入ってすぐ目に飛び込むのは当時の大スター、アリスティド・ブリュアン!
ブリュアンはシャンソン歌手として大成功したのはもちろん、モンマルトルで働く労働者の兄貴分的存在としてサリス移転後の「シャ・ノワール」を買い取り、キャバレー「ミルリトン」を経営していました。かなりクセのある人物でしたが、同時に街の景観を守るために、地上げにあったキャバレーを買い取って建物の取り壊しを阻止するなど、器の大きい一面も持ち合わせていました。
ロートレック作のこの作品で表されているのもそんな一面。間近で観みると、一見荒い筆遣いながら眉尻の上がったシニカルな笑顔にブリュアンの人間性が生々しく表現され、ロートレックの筆致の確かさに驚かされます。

そして忘れてならないのがこちら↓↓

「シャ・のワール劇場」の再現コーナー
写真提供、弊社スタッフ木村はるか


第3展示室では、文献資料を元に当時の「シャ・ノワール劇場」が再現されています。
写真資料では細かくてよく見えませんでしたが、こうしてみるとスクリーンの周りを猫のイラストで囲っていたりと、「シャ・ノワール」ならではの装飾に思わず微笑してしまいます。
今回はやはり当時大人気の影絵芝居『象』の再現映像が流されていますので、皆さまくつろいでご鑑賞ください。短い映像ですが、内容は「シャ・ノワール」のコンセプト、「フュミズム (ばかばかしい、不真面目)」そのもの。あるいは一番の見所かも知れませんよ。
展覧会を通して、激動の時代に鋭いセンスとユーモアで世間を賑わせた芸術家たちのエネルギー、パリの喧噪をご堪能いただければ幸いです。



伊丹市立美術館
■ 阪急伊丹駅より徒歩約9分
■JR伊丹駅より徒歩約6分
■阪急バス伊丹中央停留所より徒歩約3分
■伊丹空港より伊丹市バス25番系統で宮ノ前停留所下車(所要時間約25分)

詳しくは伊丹市立美術館ホームページ
をご覧下さい。



NHK日曜美術館アートシーンで放送決定!

2011-04-27 11:48:47 | 陶酔のパリ・モンマルトル

「陶酔のパリ・モンマルトル1880-1910」展

NHK日曜美術館アートシーンで放送決定!!

 


 

4月16日より伊丹市立美術館で開催中の展覧会「陶酔のパリ・モンマルトル1880-1910」展が、NHK日曜美術館アートシーンで放送されることが決定しました

放送予定日時は5月8日(日)朝9:00~です。いつも観ている番組で取り上げていただけるなんて、本当に嬉しい限りです。

本展の見所を解説とともにご覧いただけるのはもちろん、その他国内開催中の面白い展覧会を見つける絶好の機会ですので、皆さまも是非お見逃しなく!

番組情報はこちらから→NHK日曜美術館


 

 


「陶酔のパリ・モンマルトル1880-1910」講演会記録

2011-04-21 19:29:53 | 陶酔のパリ・モンマルトル
「モンマルトルのエスプリ:ユーモア、キャバレー、前衛」講演会記録

4月17日に伊丹市立美術館にて、「陶酔のパリ・モンマルトル1880-1910」展に関連した講演会が開かれました!


本展監修者フィリップ・デニス・ケイト氏による講演会の様子
写真提供、弊社スタッフ木村はるか


講師はニュージャージー州立大学付属ジェーン・ヴーヒーズ・ジマーリ美術館名誉館長を勤めるフィリップ・デニス・ケイト(Phillip Dennis Cate)氏。本展覧会の監修者です。
ケイト氏にはたくさんのスライドとともに、モンマルトルで沸き起こった前衛芸術や、「シャ・ノワール」に集まった芸術家たちの交友関係について語っていただきました。今回は、その中の一部をご紹介します。

そもそもモンマルトルに芸術家が集まるようになったのは、1860年にモンマルトルがパリ市に組みこまれたことがきっかけです。安い溜り場を求めて若い芸術家たちが定期的に集まり、カフェやキャバレーを賑わすようになりました。そんな中、ひときわ目立っていたのが「イドロパット」と呼ばれる前衛芸術家集団です。イドロパットは「フュミズム(冗談好き、不真面目の意)」を活動のコンセプトに掲げつつ、当時の社会への痛烈な風刺をこめた雑誌を隔月で発行していました。
そのリーダーであるエミール・グドーと後の「シャ・ノワール」のオーナーで、当時売れない画家であったロドルフ・サリスが意気投合したことから、イドロ・パッドの面々が続々と左岸からモンマルトルへ移り、「シャ・ノワール」開店にこぎつけたのです。

↓↓(クリックすると画像が拡大します)

ケイト氏講演会のスライドより、「シャ・ノワール」店内の様子
写真提供、弊社スタッフ木村はるか


ロートレックやスタンランをはじめ、新進気鋭の芸術家たちの溜り場として連夜賑わった「シャ・ノワール」。その中でも特に大きな人気を誇ったのが影絵芝居でした。

↓↓(クリックすると画像が拡大します)

ケイト氏講演会のスライドより、影絵芝居の舞台裏。右の写真は画家アンリ・リヴィエール
写真提供、弊社スタッフ木村はるか


影絵芝居はやがて「シャ・ノワール」以外にも「作品座」や「芸術劇場」など、パリ各地に広まって芸術家の腕の見せ所となっていきます。こうした芸術家がやがてボナールやゴーガンに代表されるナビ派を形成し、あるいはシュルレアリスムへと繋がり、後の芸術の大きな礎を築いていったのでした。

講演会を聴講して、この時代が喧噪の渦の中から新しい芸術が続々と生まれては消えていった時代であることを改めて実感しました。影絵劇場の再現コーナーや上映資料、機関誌の展示など、当時の大衆芸術を横断的に捉える様々な作品を通して、皆さまも是非当時の新たな側面を発見してみて下さい。


伊丹市立美術館では、6月5日(日)まで、陶酔のパリ・モンマルトル1880-1910展を開催しています。