駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

支えてはならない人

2011年12月06日 | 診療

     

 寒くなると風邪が流行して診察室が混み合う。長時間といっても三、四十分だが、立ったままお待たせすることがある。

 数日前の寒い日も混み合っていた。間断なく患者さんを診ていたのだが、突然「看護房さーん」の大声に驚かされた。高熱があるにも拘わらず、立っておられたため気分が悪くなってへたり込んだお嬢さんが居たのだ。直ぐ隣のおばさんが気が付いて、どうしたのと支えて下さったのは良かったのだが、みるみる顔色が青くなり、意識が遠のいたので、「看護婦さーん」と大声が出た。直ぐ看護師が飛んでいって、平らに寝かせたので十数秒で意識が戻り顔色も良くなったのだが、待合室は騒然となってしまった。ついでにといっては失礼だが、驚いたせいか吐き気がしてきた人まで出て、点滴用のベットが満員になってしまった。

 大人しいお嬢さんのようで気分が悪いのに我慢しておられたようだ。痩せ形で朝飯抜きに39.4度の高熱では、長く立っているのが無理だった。

 気分が悪くてへたり込んだ人はとにかく平らに寝かせるのが原則。倒れないようにと、いつまでも支えてはいけない。呼吸が楽にできるように首回りを緩くする。吐きそうな様子があれば顔を斜めにして、吐いた物が気道に詰めらないように気を付けてやることだ。そして誰かを大声で呼ぶ。複数の人が居れば助けを呼ぶ人と、介抱する人を手分けするとよい。

コメント (2)
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