医業はサービス業に分類されるようだ。総合病院などはこうした分類に違和感を持つかも知れないが、我々町医者はそうだろうなあと思う。以前にも書いたことがあるが、町医者はレストランや食堂に似ている。レストランや食堂は星が付いたり、マスコミで紹介されたりするので、そこはちょっと医院と違うが、口コミが主体なのは同じだろう。
医院もレストラン食堂も腕がよけりゃあいいんだろと思いがちだが、以外にそれよりも受付やスタッフの感じの良さの方が好印象に繋がることが多いらしい。料理の旨い不味いは確かにあるだろうが、人の好みはさまざまで同じ値段で明らかな差を出すのは容易ではなさそうだ。医者も腕の違いはたかだか数%の症例に出てくる程度で、統計でも取らないとわかりにくい。
そうしたこともあってか、サービス業では感じの良い丁寧な応対が好印象に繋がる。当然のことだが医者も病気になるので、私も最近膝痛で整形、歯痛で歯科にお世話になっている。待合室に座っていると、なんというかその医院の雰囲気というか客あしらいが伝わってくる。明るい優しいところがいい。同じ「お大事に」にも微妙なニュアンスを感じ取ってしまうのが人間だ。
これが肝心なポイントなんだが、医師が良くてもスタッフの雰囲気が良いとは限らない。逆に、医者はもう一つだが、スタッフの雰囲気が良いということは殆どないようだ。
勿論、こうしたことには相性があり誰にも花丸とはいかないだろうし、感じの良さなどさして気にされない人も居られるようだ。
私は20年ほど前に耳下腺腫瘍で入院しましたし、数年前は脳動脈瘤で入院しました。総合病院でも感じたことは「あれっ?いつから医療はサービス業になったのかな?」ということでした。
私は何でもずけずけものを言ってくれるお医者さんのほうが好きです。
最近は厳しい事実を直視するのを避ける風潮がありますので、持って回った言葉使いやお客様扱いをすることによって、ピントをぼかし当たりを柔らかくする手法が医療界にも浸透してきています。
尤も、まだ外科医には単刀直入の人が生き残っているようです。