「なぜ山に登るのか?」と聞かれて「そこに山があるからだ」と登山家ジョージ・マロリーは答えた。簡明な答えだが、不思議な含蓄があり考えさせられる。
マロリーはエベレスト登攀中に行方不明となり、75年後に遺体が発見されている。命知らずは適切な表現ではないかもしれないが、登山家は命知らずという印象がぬぐえず、現実に多くの登山家が山で亡くなっている。
何千メートルという高山ではないが岩山を登るロッククライマーが居る。ユーチューブで登っているのを見ていると見ているだけで怖い。高所恐怖症の人には考えられない仕業と思う。
そこに山があるからだと言われても、高所で足のすくむ人間にはもう一度なぜと問わずにいられない。単純にはこうした人達が居なければ高層ビルや東京タワーやスカイツリーは作れないわけだが、そうした即物的な効用ではなく危険を顧みず山に登る人達が居たから人類は生き延びてきたのかもしれないという気がする。
一方、足元では金だけ今だけ自分だけという人物が蠢いているのが現実だ。