柔道では技あり二つで、合わせて一本となり勝敗が決するようである。これは非常に示唆に富む判定基準なのだが、まだまだ世に十分に認識され生かされているとは思えない。たった一つを二つにしただけなのに、紛糾頓挫してしまう経緯が多い。
婆さんがこの頃、奇妙なことをするようになった(押し入れのものを外へ出してしまう・・・)ので、S総合病院へ行って頭の検査(MRI)をしてもらったが、年相応で異常ないと言われた。異常ないのにおかしいのはどういうことだと家族が聞いてくる。
あんたねえ、当院に高血圧で掛かっているのになんで黙って総合病院へ連れて行くのと心の中で思いながら、画像診断で総てが分かるわけではないということ、お婆さんには元々アルツハイマー型の認知症があって、何かのストレスがきっかけで異常行動が出てきていること、それにはそれなりの薬があるので出してあげることを説明する。
専門医の狭い対応と患者家族の理解不足で合わせて一本で、はっきり言えば効率の悪い診療になったと思う。批判されたと受け取ると、攻撃は最大の防御と、開業医のあなたが日頃きちんと説明しておかないからだと言われそうなので、確かに到らぬ部分は反省していると申し上げる。
とにかく誤解と言うか理解不足と言うかそれが合わせて一本のことが世の中には多い。そして、二二が四。二四が八・・ということもある。誰もが川島に負けないゴールキーパーになるのは難しいかも知れんが、合わせて一本になる前に止めると雪崩が防げると思う。