病院と診療所が連携して患者を診ることを病診連携と呼んでいる。十年ほど前から、 各地の医師会で盛んになった動きの一つで、当地でも病診連携の会が頻繁に開催されている。
病診連携は医師会の取り組みとしてあるいは厚生省の肝いりということはなかったけれども、実質的には昔から一部の勤務医開業医が取り組んできたことで、内容そのものは新しいわけではない。ただ、かっては今ほど組織的な連携はなかった。
今も昔も変わらないことは、連携はお互いに顔見知りでないとうまくゆかないということだ。人間というのは不思議というかある意味当然なのかもしれないが、顔見知りでない人間を信用しない傾向がある。医師には専門性があり、診療姿勢に違いがあり、時には非常識な医師も居るので、知らない気心の知れない医師ではどこかに大丈夫だろうかという懸念が生まれやすい。
勿論、実際に会ったことはなくても紹介状と患者のやりとりで信頼は築ける。そういう先生に二三年して実際にお目に掛かる機会があると、ああこんな先生だったかと期待は裏切られることはなく嬉しい出会いとなる。尤も、初めてお会いできたのが、送別会というちょっぴり淋しい思い出もある。H先生は三十代はじめの若い呼吸器の専門医で、迅速的確でかつ親切な対応をしてくれ、あわやという高齢患者を何度も救っていただいた。いつかお礼をと思っていたのだが、ありがとうございましたどうぞお元気でという挨拶になってしまった。さわやかな笑顔に、新天地でも周辺医師の信頼を得られると確信を持ったことだ。
発病から約2ヶ月の間に段々と築いた医師への信頼なのですが、最初は一通の紹介状を頼りに訪れた病院でした。面識のない先生からの紹介状なのに、こんなに丁寧に診てくれるとはラッキーなのかもしれません。患者は手術を終え、元気になって退院しました。
その病院でも病診連携という言葉を聞きました。組織的にやってくれるというのは患者にとって安心感がありますね。
(ちなみに患者は私じゃないですよ)