駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

薬の効果をどう評価するか

2015年11月23日 | 町医者診言

      

 新しい薬はいつも今までの薬よりもよく効くと宣伝される。医師でなければ処方できない薬が、健康食品や特定保健用食品と同じように売り込む姿勢で売られる。なぜかと言えば。薬品メーカーは企業であり利潤を追求しているからだ。勉強会の雰囲気を漂わせた講演会もメーカーの後援がある場合は決して公平ではない。講師に依っては、宣伝臭の殆どない人も居るが、中にはなんだこの人というほど後援メーカーべったりの人も居る。

 こと医薬品に関しては、本当に画期的な薬も多くMRの話もまんざら過大でないこともあり、一通りは話を聞くようにしている。そうすると若いMRなどの説明では会社でどのように話せと指導されているのか手に取るようにわかる。自社製品の特徴と良さそうなところにスポットライトが当たっているのだ。

 そうした売り込みを聞きながら新薬を少しづつ採用している我々医師も、患者のためという自己弁護をしながらいつの間にか儲けるという視点を刷り込まれているかもしれない。

 個々の患者にどうか、全体としての費用対効果はどうかを判定勘案するのは、中々難しいけれども、それを棚に上げて売り込まれ使われている側面があるのは確かだろう。国民のため市民のためと大声を上げる政治家を他山の石にして、医者も患者のためと己の目を眩まさないように気を付ける必要がありそうだ。

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4 コメント

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Unknown (柳居子)
2015-11-24 14:40:39
本題から少し外れますが、 医療の世界は、数字に一番馴染まない世界と思うに、数字が目安以上にモノを言い説得力を伴う様に思います。 日本人の特性かも知れません。  個体差とか本態性と言うような事情を勘案せず、(患者を診ず) データーで処方を下す先生が増えている様に感じます。
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難しいのです (arz2bee)
2015-11-24 23:02:38
 医療にも値段があり、利益が絡んでいますから、勘案も儲かる方に動く恐れがあります。
 患者さんが賢くなると良いのですが、どうしても自分優先になりがちですから難しいです。
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おひさしぶりです (奈々三)
2015-11-25 07:22:20
以前、気にいった名前を付けて頂きましたが今は一つ加齢しました。未だに眩暈に悩まされています。
5日前からイソバイド・シロップ30mlを飲み始めました。

この時の先生と私のやり取りです。
「効果があるか無いか解らない。また飲みにくい(まずい)けど試してみますか?」
「飲みにくい、効果もハッキリしない、なら飲みません」

本音であっても良く言うわと自分で赤面でした。
結局飲むことにして様子を見ている所です。
こんな患者でも耐えて?下さるお医者さんは本当に偉大だと思いました。
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いくらかでも (arz2bee)
2015-11-25 09:47:15
 奈々三 ご報告ありがとうございます 眩暈というのは中々厄介ですね グレイゾーンは手探りです
 医師との会話、そうでなくではと思いました 
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