エズラフォーゲル氏に橋爪大三郎氏がインタービューして現代中国の父と言うべき政治家小平という人物を浮き彫りにした本が出た。(講談社、現代新書)。手頃な厚さなので、店頭で購入し読んでみた。
これはエズラ氏が小平について書いた大著を読み切れない人のためにと、橋爪さんがエズラ氏にインタビュー(対論に近い)して、小平と言う人物ひいては現代中国というものを日本人に知らせようとした本だ。
政治というものと優れた政治家の資質の一端を垣間見ることが出来る。孝と忠などに見られるように中国と日本は異質の国(殊に現代中国とは)と感じていたが、この本を読んでそうでもないんだと思った。大陸化を避けようと遣唐使を廃止したが、やはり受け継いだ根が残っている。
そして大国を左右するような大権力争いも村を二分するような小権力争いも規模が違うだけで似ていると読み取った。点二の麻雀も点二百の麻雀も、最初は慎重でも結局似てくると言われる。同じような理屈だろう。
批評や批判がなければ、進歩や進化はない。そして幅広い情報と虚心坦懐から優れた批評や批判は生まれる。原著を読めれば一番なのだろうが、学者でもなく忙しい市民には現代中国を垣間知る好著と思う。