昨日(26日)夜のNHK「視点・論点」で琉球大学教授の我部政明氏が、〈「普天間移設」を考える1〉と題してグアムへの「国外移転」について論じていた。2000年の九州・沖縄サミットで来沖したクリントン米大統領が、〈沖縄における米軍の足跡を減らす〉と基地の整理・縮小を表明したことを冒頭に上げ、辺野古への移設は〈足跡を減らす〉ことにはならない、沖縄には海兵隊の新しい飛行場を造る場所はない、と述べた。
そして、ベルリンの壁崩壊から20年、同時多発テロから8年が経過した今日、戦争の形態が正規軍同士の本格的な戦争から非対称的な対テロ戦争に変化し、在沖海兵隊の役割や位置づけも変化している。陸海空一体となった運用を必要とする海兵隊部隊にとって、強襲揚陸艦は佐世保を母港とし、沖縄に新しい飛行場が造れないとすれば、むしろ沖縄から全面撤退してグアムに建設される基地に移る方が、軍事的にも合理性がある。
10分の主張の要点をまとめたので、表現やニュアンスにずれがあるかもしれないが、我部氏の主張の基本を私はそのように理解した。世界的な「米軍変革」と沖縄内の状況を押さえた説得力のある主張だと思う。これに対して、米軍が移転することでグアムの住民の被害が増加するので、在沖海兵隊は米本土に戻るべきだ、という批判があるだろう。また、あくまで普天間基地の撤去を求めるべきであり、沖縄側が移設を提起する必要はない、という批判もあるだろう。おそらく我部氏もそれらの批判は承知しているはずだ。私はそれらの批判の正しさを認めつつ、それでも我部氏がNHKの全国放送でグアムへの「国外移設」を主張したことは大きな意義があったと思う。
現在、岡田外相と北沢防衛相を先導役として民主党中央は、自らが主張してきた「県外・国外移設」をなし崩し的に破棄し、辺野古への現行計画もしくはその「微修正」で強行突破をはかろうとしている。あたかもそれ以外の選択肢はないかのように世論を誘導し、「県内移設」に落とし込もうとする民主党中央の策動に対して、そのまやかしを明らかにする多様な視点からの批判が必要である。軍事的に見ても辺野古への新基地建設は不合理であり、「県内移設」を強行すれば沖縄県民はただでは治まらないことを、全国に向かってもっと発信しなければならない。
今日(27日)の「視点・論点」は〈「普天間移設」を考える2〉として拓殖大学教授の川上高司氏が登場する。この間の川上氏の主張からすれば内容の察しはつくが、NHKからすれば両論併記でバランスを取るということであろう。放映前から川上氏についてあれこれ書くのは止めるが、我部氏の「視点・論点」を見た人にも見逃した人にも、下記の本を紹介したい。
宮里政玄/新崎盛暉/我部政明編著=『沖縄への自立を求めて』(高文研)は今年の7月に発刊されている。〈沖縄を米アジア戦略の中心と見る「神話」〉という我部氏の評論をはじめ、沖縄の大学教員、ジャーナリストによる16本の評論が収められている。〈基地・経済・自治の視点から〉という副題が示すように、基地問題を中心に沖縄の政治、経済、独立論、環境問題、沖縄振興、地方自治など多様な視点からの検証、論評がなされていて、現在の沖縄について論じる上で必読の一冊である。カメラの性能と腕が悪くて灰色がかっているが、実際にはもっときれいな白色の表紙。ぜひ多くの人に読んでほしい。
そして、ベルリンの壁崩壊から20年、同時多発テロから8年が経過した今日、戦争の形態が正規軍同士の本格的な戦争から非対称的な対テロ戦争に変化し、在沖海兵隊の役割や位置づけも変化している。陸海空一体となった運用を必要とする海兵隊部隊にとって、強襲揚陸艦は佐世保を母港とし、沖縄に新しい飛行場が造れないとすれば、むしろ沖縄から全面撤退してグアムに建設される基地に移る方が、軍事的にも合理性がある。
10分の主張の要点をまとめたので、表現やニュアンスにずれがあるかもしれないが、我部氏の主張の基本を私はそのように理解した。世界的な「米軍変革」と沖縄内の状況を押さえた説得力のある主張だと思う。これに対して、米軍が移転することでグアムの住民の被害が増加するので、在沖海兵隊は米本土に戻るべきだ、という批判があるだろう。また、あくまで普天間基地の撤去を求めるべきであり、沖縄側が移設を提起する必要はない、という批判もあるだろう。おそらく我部氏もそれらの批判は承知しているはずだ。私はそれらの批判の正しさを認めつつ、それでも我部氏がNHKの全国放送でグアムへの「国外移設」を主張したことは大きな意義があったと思う。
現在、岡田外相と北沢防衛相を先導役として民主党中央は、自らが主張してきた「県外・国外移設」をなし崩し的に破棄し、辺野古への現行計画もしくはその「微修正」で強行突破をはかろうとしている。あたかもそれ以外の選択肢はないかのように世論を誘導し、「県内移設」に落とし込もうとする民主党中央の策動に対して、そのまやかしを明らかにする多様な視点からの批判が必要である。軍事的に見ても辺野古への新基地建設は不合理であり、「県内移設」を強行すれば沖縄県民はただでは治まらないことを、全国に向かってもっと発信しなければならない。
今日(27日)の「視点・論点」は〈「普天間移設」を考える2〉として拓殖大学教授の川上高司氏が登場する。この間の川上氏の主張からすれば内容の察しはつくが、NHKからすれば両論併記でバランスを取るということであろう。放映前から川上氏についてあれこれ書くのは止めるが、我部氏の「視点・論点」を見た人にも見逃した人にも、下記の本を紹介したい。
宮里政玄/新崎盛暉/我部政明編著=『沖縄への自立を求めて』(高文研)は今年の7月に発刊されている。〈沖縄を米アジア戦略の中心と見る「神話」〉という我部氏の評論をはじめ、沖縄の大学教員、ジャーナリストによる16本の評論が収められている。〈基地・経済・自治の視点から〉という副題が示すように、基地問題を中心に沖縄の政治、経済、独立論、環境問題、沖縄振興、地方自治など多様な視点からの検証、論評がなされていて、現在の沖縄について論じる上で必読の一冊である。カメラの性能と腕が悪くて灰色がかっているが、実際にはもっときれいな白色の表紙。ぜひ多くの人に読んでほしい。