智を開く

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スーホの白い馬

2010-02-18 13:20:26 | 開智っ娘
光村図書の国語教科書2年下の最後に「スーホの白い馬」というお話があります
モンゴルの伝統楽器「馬頭琴」にまつわる、美しくも悲しい物語です
ちょうど今、娘が学習しているところ

そこで先日、その「スーホの白い馬」の音楽劇に行って参りました

第1部 音楽物語「スーホの白い馬」
物語の朗読に合わせ、モンゴルの歌と馬頭琴の演奏がありました

第2部 馬頭琴演奏&歌&踊り
一曲ごとに解説を交えながら、モンゴルの歌や踊り、そして馬頭琴の演奏がありました

「馬頭琴」とは、こんな楽器です。



今回初めて「馬頭琴」というものを見、その音色を聞きましたが、とってもステキで引き込まれました。
弦はたったの2本しかありません。
1本の弦は、馬の細~い毛100本でできているそうです。
だから西洋楽器のような澄んだ音が出ません。
が、この「雑音」こそがまさしく「馬頭琴」の特徴で、だからこそ単調なモンゴル遊牧民の生活の中でその「音色」は人々を飽きさせないのだそうです。
なるほど~~~

モンゴルの歌もなんとなく日本の「民謡」に近い節回しで、何だかとても懐かしい響きがありました。
やはり、私たち日本人には「モンゴロイド」の血が流れているのかなぁと実感しました。



馬頭琴を演奏したウルゲンさんと記念撮影
何と、馬頭琴を娘に持たせてくれたのです



歌を歌ったオドバルさんにサインをしてもらっている娘。
モンゴル語と達筆な日本語で「心」と書いてくれました



踊りのオルリコさん


第2部で「何か会場の方から質問はありますか」と、フリが
そこで娘に…
「ほら、何か質問したら
すると、娘はちゃんと挙手して質問した
「モンゴルの冬はどれくらい寒いんですか

大正琴が趣味のおばあちゃんも、大変興味深いコンサートだったと堪能してくれました。
娘の勉強にもなったし…
良かった、良かった


「スーホの白い馬」

中国の北の方、モンゴルには、広い草原が広がっています。
そこにすむ人たちは、むかしから、ひつじや牛や馬などをかって、くらしていました。

このモンゴルに、馬頭琴という楽器があります。
楽器のいちばん上が、馬の頭の形をしているので、馬頭琴というのです。
いったい、どうしてこういう楽器ができたのでしょう。

それには、こんな話があるのです。

むかし、モンゴルの草原に、スーホという、まずしいひつじかいの少年がいました。
スーホは、年とったおばあさんとふたりきりで、くらしていました。
スーホは、おとなにまけないくらい、よくはたらきました。
毎朝、早くおきると、スーホは、おばあさんをたすけて、ごはんのしたくをします。
それから、二十頭あまりのひつじをおって、広い広い草原に出て行きました。

スーホは、とても歌がうまく、ほかのひつじかいたちにたのまれて、よく歌を歌いました。
スーホのうつくしい歌は、草原をこえ、とおくまでひびいていくのでした。

ある日のことでした。
日は、もうとおい山のむこうにしずみ、あたりは、ぐんぐんくらくなってくるのに、スーホが帰ってきません。
おばあさんは、心配になってきました。
近くにすむひつじかいたちも、どうしたのだろうと、さわぎはじめました。

みくなが心配でたまらなくなったころ、スーホが、何か白いものをだきかかえて、帰ってきました。
みんながそばにかけよってみると、それは、生まれたばかりの、小さな白い馬でした。
スーホは、にこにこしながら、みんなにわけを話しました。
「帰るとちゅうで、子馬を見つけたんだ。
これが、地面にたおれて、もがいていたんだよ。
あたりを見ても、もちぬしらしい人もいないし、おかあさん馬も見えない。
ほうっておいたら、夜になって、おおかみにくわれてしまうかもしれない。
それで、つれてきたんだよ。」

日は一日一日とすぎていきました。
スーホが、心をこめてせわしたおかげで、子馬は、すくすくとそだちました。
体は雪のように白く、きりっと引きしまって、だれでも、思わず見とれるほどでした。

あるばんのこと、ねむっていたスーホは、はっと目をさましました。
けたたましい馬の鳴き声と、ひつじのさわぎが聞こえます。
スーホは、はねおきると外にとび出し、ひつじのかこいのそばにかけつけました。
見ると、大きなおおかみが、ひつじにとびかかろうとしています。
そして、わかい白馬が、おおかみの前に立ちふさがって、ひっしにふせいでいました。

スーホは、おおかみをおいはらって、白馬のそばにかけよりました。
白馬は、体じゅうあせびっしょりでした。
きっと、ずいぶん長い間、おおかみとたたかっていたのでしょう。
スーホは、あせまみれになった白馬の体をなでながら、兄弟に言うように話しかけました。
「よくやってくれたね、白馬。
本当にありがとう。
これから先、どんなときでも、ぼくはおまえといっとしょだよ。」

月日はとぶようにすぎていきました。

あの年の春、草原いったいに、知らせがつたわってきました。
このあたりをおさめているとのさまが、町けい馬の大会をひらくというのです。
そして、一等になったものは、とのさまのむすめとけっこんさせるというのでした。

この知らせを聞くと、なかまのひつじかいたちは、スーホにすすめました。
「ぜひ、白馬にのって、けい馬に出てごらん。」
そこで、スーホは、白馬にまたがり、広々とした草原をこえて、けい馬のひらかれる町へとむかいました。

けい馬がはじまりました。
たくましいわかものたちは、いっせいにかわのふちをふりました。
馬は、とぶようにかけます。
でも、先頭を走っていくのは、白馬です。
スーホののった白馬です。
「白い馬が一等だぞ。
白い馬ののり手をつれてまいれ。」
とのさまはさけびました。

ところが、つれてこられた少年を見ると、まずしいみなりのひつじかいではありませんか。
そこで、とのさまは、むすめのむこにするというやくそくなどは、知らんふりをして言いました。
「おまえには、ぎんかを三枚くれてやる。
その白い馬をここにおいて、さっさと帰れ。」
スーホは、かっとなって、むちゅうで言いかえしました。
「わたしは、けい馬に来たのです。
馬を売りに来たのではありません。」
「なんだと、ただのひつじかいが、このわしにさからうのか。
ものども、こいつをうちのめせ。」
とのさまがどなりたてると、家来たちが、いっせいに、スーホにとびかかりました。
スーホは、大ぜいになぐられ、けとばされて、気をうしなってしまいました。
とのさまは、白馬をとり上げると、家来たちを引きつれて、大いばりで帰っていきました。

スーホは、友だちにたすけられて、やっとうちまで帰りました。
スーホの体は、きずやあざだらけでした。
おばあさんが、つきっきりで手当てをしてくれました。
おかげで、何日かたつと、きずもやっとなおってきました。
それでも、白馬をとられたかなしみは、どうしてもきえません。
白馬はどうしているのだろうと、スーホは、そればかり考えていました。
白馬は、どうなったのでしょう。

すばらしい馬を手に入れたとのさまは、まったくいい気もちでした。
もう、白馬をみんなに見せびらかしたくてたまりません。
そこで、ある日のこと、とのさまは、おきゃくをたくさんよんで、さかもりをしました。
そのさいちゅうに、とのさまは、白馬にのって、みんなに見せてやることにしました。
家来たちが、白馬を引いてきました。
とのさまは、白馬にまたがりました。
そのときです。
白馬は、おそろしいいきおいではね上がりました。
とのさまは、地面にころげおちました。
白馬は、とのさまの手からたづなをふりはなすと、さわぎたてるみんなの間をぬけて、風のようにかけだしました。
とのさまは、おき上がろうともがきながら、大声でどなりちらしました。
「早く、あいつをつかまえろ。
つかまらないのなら、弓でいころしてしまえ。」
家来たちは、いっせいにおいかけました。
けれども、白馬にはとてもおいつけません。
家来たちは、弓を引きしぼり、いっせいに矢をはなちました。
矢は、うなりを立ててとびました。
白馬のせには、つぎつぎに、矢がささりました。
それでも、白馬は走りつづけました。

そのばんのことです。
スーホがねようとしていたとき、ふいに、外の方で音がしました。
「だれだ。」
ときいてもへんじはなく、カタカタ、カタカタと、もの音がつづいています。
ようすを見に出ていったおばあさんが、さけび声を上げました。
「白馬だよ。
うちの白馬だよ。」
スーホははねおきて、かけていきました。
見ると、本当に、白馬はそこにいました。
けれど、その体には、矢が何本もつきささり、あせが、たきのようにながれおちています。
白馬は、ひどいきずをうけながら、走って、走って、走りつづけて、大すきなスーホのところへ帰ってきたのです。

スーホは、はを食いしばりながら、白馬にささっている矢をぬきました。
きず口からは、血がふき出しました。
「白馬、ぼくの白馬、しなないでおくれ。」
でも、白馬は、弱りはてていました。
いきは、だんだん細くなり、目の光もきえていきました。

そして、つぎの日、白馬は、しんでしまいました。

かなしさとくやしさで、スーホは、いくばんもねむれませんでした。
でも、やっとあるばん、とろとろとねむりこんだとき、スーホは、白馬の夢をみました。
スーホがなでてやると、白馬は、体をすりよせました。
そして、やさしくスーホに話かけました。
「そんなにかなしまないでください。
それより、わたしのほねやかわや、すじや毛をつかって、楽器を作ってください。
そうすれば、わたしは、いつまでもあなたのそばにいられますから。」

スーホは、ゆめからさめると、すぐ、その楽器を作りはじめました。
ゆめで、白馬が教えてくれたとおりに、ほねやかわや、すじや毛を、むちゅうで組み立てていきました。
楽器はでき上がりました。
これが馬頭琴です。

スーホは、どこへ行くときも、この馬頭琴をもっていきました。
それをひくたびに、スーホは、白馬をころされたくやしさや、白馬にのって草原をかけ回った楽しさを思い出しました。
そして、スーホは、自分のすぐわきに白馬がいるような気がしました。
そんなとき、楽器の音は、ますますうつくしくひびき、聞く人の心をゆりうごかすのでした。

やがて、スーホの作り出した馬頭琴は、広いモンゴルの草原じゅうに広まりました。
そして、ひつじかいたちは、夕方になると、よりあつまって、そのうつくしい音に耳をすまし、一日のつかれをわすれるのでした。














コメント (4)
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