「舞台は平安末期。貴族政治は破綻し、先行きの見えない混迷の時代に、生身の人間たちが、愛し、悩み、裏切り、しのぎ合い、力と力で激突し、勝者が君臨し、敗者が地を這(は)う。そんな躍動する、生きた平安時代、絵巻物を打ち破って出てくる生身の人間たちの息づかいを映像化していきます」(出典:NHK公式HP 抜粋)
去る8日(日)、遂にNHK大河ドラマも50年目となる「平清盛」(51作目)がスタートしたが、実に見ごたえのある内容でいい・・・ね。
平安時代のドラマとなると今までは、映画でもTVでも雅(みやび)な絵巻物語風のカットの連続であったが、今回は敢えてそのような絵巻物の世界を離れて、現実の厳しい世の中、人々の息吹が聞こえてくるようなスタンスで描かれるとのこと。
「現に生けるもののけの如き白河院によって治められている世の構図・・・」と、記されているように、その頃の武士は白河院に仕える機動部隊で、命令一下どのようなことでも行わなくてはならない立場にあった・・・狗の如き。
その頃の国を動かしている白河法皇の伊藤四朗さんの不気味な目の動きと風貌、正に“生けるもののけの如き”との表現もピッタリの役作りには驚きである。醜い朝廷内の生活ぶりと人を人とも思わない扱いなどを見ると・・・そうであったろう。
と、思ってしまうくらいの描き方であり、これからの物語がいかにリアルに映像美化されるのかと期待も高まってくる。
第1話では、清盛誕生秘話が本当かいな、と思われるように描かれており、自然と物語の中へ吸い込まれていくから不思議である。また、第1話の子役陣に「まえだまえだ」の二人が出演、前田旺志郎(弟)君は平清盛の幼少時代(平太役)、前田航基(兄)君は兎丸(後の海賊)の幼少時代を好演している。
特に弟の前田旺志郎の幼少期の清盛は、思った以上にうまくこなしており、平家の棟梁・忠盛の本当の子ではないと分かった時の難しい心の動きなどもきちんと演じておりさすがであった。第2話以降、青年になった清盛役の松山ケンイチさんにうまくバトンを渡すことのできるものである。
ところで、第1話における清盛誕生には、その義父・忠盛の強い決意が見られる・・・白河法皇から貰い受けた清盛を嫡男として育てるくだりである。ところが物語として見た場合、いささか無理とも見受けられるが、それでもそうかな、とも思わされるから脚本がうまいのかも知れない。
雅な貴族社会を離れた京の町中や武家の屋敷などは、いかにも粗末で質素である。薄汚い京の町、ちょっと離れると荒野が広がっている大地など、よりリアルに描かれておりそこに暮らす人々の息遣いも聞こえてくるようである。
さらにリアル感を出すために“コーンスターチ(とうもろこしの粉)”を頻繁に噴霧しているとのこと、先般、平忠盛役の中井貴一さんが土曜スタジオパークに出演されていた際にその“コーンスターチ”を余りにも噴霧するものだから相手の顔も見えず演技しづらい・・・と、裏話をされていた。
それでも光と影、さらに“コーンスターチ”の活用で映像に臨場感が出ているから、視聴者にとっては見ごたえのある映像となっている・・・前々回の「龍馬伝」もそうであった。
また、主役の松山ケンイチさんも9日(月)「鶴瓶の家族に乾杯」に出演していたが、とても親しみのある好青年であった。勿論、その番組中でも「平清盛」に関する情報発信と役づくりに関する抱負なども語られていたが、この1年間にかける意気込みがヒシヒシと伝わってきた。
鶴瓶ちゃん・・・ここは敢えて“ちゃん”づけで。鶴瓶ちゃんも「俺も出演させてくれないかな」と、すると「海賊の役があると思いますよ」とは、松山ケンイチさんの弁。
平安後期に展開される平家一門の栄華盛衰の壮大な物語がはじまったところである。今までの描き方とはちょっと視点も変わっているとのことであるが、躍動感あふれる人物たちがイキイキと描かれるので・・・大いに期待したい。
ただ、初回の視聴率が17.3%とワースト3位からのスタートとのこと、しかしながら、今回のドラマは回を重ねる毎にアップすることは間違いないものと思っている。このドラマの本当の良さは、これからだろうが・・・分からないかね。
単発の土曜ドラマ「とんび」も素晴らしい出来栄えにあり、最近のNHKのドラマづくりへの熱意がこの大河にも見受けられるのがいいね。(咲・夫)
[追 記]~「平清盛」を批判~
兵庫県の井戸敏三知事は、ドラマが時代考証に基づき砂ぼこりが舞うなどの演出をしていることについて「薄汚れた画面を流さなくてもいい。もっと華やかで生き生きとした清盛らしさを強調してほしい」と述べ、「番組の人気、不人気で観光も影響を受ける。NHKに早速申し入れたい」と語った。
(出典:Yahoo!ニュース 抜粋)
と、出ていたが、これは全くのおかど違いである。華やかさのみを描く時代考証抜きの映像には、まったく興味が湧かないものである。映画の世界もそうであるが、あの巨匠・黒沢明監督作品こそが映像美豊かな映画であり、それこそがリアリティのある映像美である。
兵庫県の井戸知事が求められているのは、昔の東映時代劇風の虚構の映像や前回の大河「江」のような映像なのかも知れないが、それは明らかに虚構の世界であり視聴者にとっては面白味のない映像である。
せめて大河ドラマであれば、時代考証がしっかりしたリアリティのある映像美を堪能すべきであり、それこそが物語を大きく揺り動かすものである。

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去る8日(日)、遂にNHK大河ドラマも50年目となる「平清盛」(51作目)がスタートしたが、実に見ごたえのある内容でいい・・・ね。

平安時代のドラマとなると今までは、映画でもTVでも雅(みやび)な絵巻物語風のカットの連続であったが、今回は敢えてそのような絵巻物の世界を離れて、現実の厳しい世の中、人々の息吹が聞こえてくるようなスタンスで描かれるとのこと。
「現に生けるもののけの如き白河院によって治められている世の構図・・・」と、記されているように、その頃の武士は白河院に仕える機動部隊で、命令一下どのようなことでも行わなくてはならない立場にあった・・・狗の如き。
その頃の国を動かしている白河法皇の伊藤四朗さんの不気味な目の動きと風貌、正に“生けるもののけの如き”との表現もピッタリの役作りには驚きである。醜い朝廷内の生活ぶりと人を人とも思わない扱いなどを見ると・・・そうであったろう。
と、思ってしまうくらいの描き方であり、これからの物語がいかにリアルに映像美化されるのかと期待も高まってくる。

第1話では、清盛誕生秘話が本当かいな、と思われるように描かれており、自然と物語の中へ吸い込まれていくから不思議である。また、第1話の子役陣に「まえだまえだ」の二人が出演、前田旺志郎(弟)君は平清盛の幼少時代(平太役)、前田航基(兄)君は兎丸(後の海賊)の幼少時代を好演している。
特に弟の前田旺志郎の幼少期の清盛は、思った以上にうまくこなしており、平家の棟梁・忠盛の本当の子ではないと分かった時の難しい心の動きなどもきちんと演じておりさすがであった。第2話以降、青年になった清盛役の松山ケンイチさんにうまくバトンを渡すことのできるものである。

ところで、第1話における清盛誕生には、その義父・忠盛の強い決意が見られる・・・白河法皇から貰い受けた清盛を嫡男として育てるくだりである。ところが物語として見た場合、いささか無理とも見受けられるが、それでもそうかな、とも思わされるから脚本がうまいのかも知れない。
雅な貴族社会を離れた京の町中や武家の屋敷などは、いかにも粗末で質素である。薄汚い京の町、ちょっと離れると荒野が広がっている大地など、よりリアルに描かれておりそこに暮らす人々の息遣いも聞こえてくるようである。
さらにリアル感を出すために“コーンスターチ(とうもろこしの粉)”を頻繁に噴霧しているとのこと、先般、平忠盛役の中井貴一さんが土曜スタジオパークに出演されていた際にその“コーンスターチ”を余りにも噴霧するものだから相手の顔も見えず演技しづらい・・・と、裏話をされていた。

それでも光と影、さらに“コーンスターチ”の活用で映像に臨場感が出ているから、視聴者にとっては見ごたえのある映像となっている・・・前々回の「龍馬伝」もそうであった。
また、主役の松山ケンイチさんも9日(月)「鶴瓶の家族に乾杯」に出演していたが、とても親しみのある好青年であった。勿論、その番組中でも「平清盛」に関する情報発信と役づくりに関する抱負なども語られていたが、この1年間にかける意気込みがヒシヒシと伝わってきた。

鶴瓶ちゃん・・・ここは敢えて“ちゃん”づけで。鶴瓶ちゃんも「俺も出演させてくれないかな」と、すると「海賊の役があると思いますよ」とは、松山ケンイチさんの弁。
平安後期に展開される平家一門の栄華盛衰の壮大な物語がはじまったところである。今までの描き方とはちょっと視点も変わっているとのことであるが、躍動感あふれる人物たちがイキイキと描かれるので・・・大いに期待したい。
ただ、初回の視聴率が17.3%とワースト3位からのスタートとのこと、しかしながら、今回のドラマは回を重ねる毎にアップすることは間違いないものと思っている。このドラマの本当の良さは、これからだろうが・・・分からないかね。

単発の土曜ドラマ「とんび」も素晴らしい出来栄えにあり、最近のNHKのドラマづくりへの熱意がこの大河にも見受けられるのがいいね。(咲・夫)
[追 記]~「平清盛」を批判~
兵庫県の井戸敏三知事は、ドラマが時代考証に基づき砂ぼこりが舞うなどの演出をしていることについて「薄汚れた画面を流さなくてもいい。もっと華やかで生き生きとした清盛らしさを強調してほしい」と述べ、「番組の人気、不人気で観光も影響を受ける。NHKに早速申し入れたい」と語った。
(出典:Yahoo!ニュース 抜粋)
と、出ていたが、これは全くのおかど違いである。華やかさのみを描く時代考証抜きの映像には、まったく興味が湧かないものである。映画の世界もそうであるが、あの巨匠・黒沢明監督作品こそが映像美豊かな映画であり、それこそがリアリティのある映像美である。

兵庫県の井戸知事が求められているのは、昔の東映時代劇風の虚構の映像や前回の大河「江」のような映像なのかも知れないが、それは明らかに虚構の世界であり視聴者にとっては面白味のない映像である。

せめて大河ドラマであれば、時代考証がしっかりしたリアリティのある映像美を堪能すべきであり、それこそが物語を大きく揺り動かすものである。


