Always Autumn

Letter from Perth

新茶の思い出

2009-05-25 21:01:21 | Weblog
昨日、5月24日は母が生きていれば74歳のお誕生日でした。

亡くなったのはもう17年半前。

父より10歳も年下だった母は
父の健康には常に気をつけていたのに
先立ってしまったのは、皮肉というかなんというか。

思い出の中の母はいつもニコニコで、お料理上手でおしゃれで
でもちょっと涙もろい可愛い女性

もし生きていたら
どんなに素敵なおばあちゃんになっていただろうって思うのです。

母が亡くなった時は、上の娘がまだ小さくて
間もなく下の息子っちも生まれたので
子育てに忙しく、悲しみに浸る時間もなかった気がしますが
抑えた寂しさが時々、じわっとあふれ出してくる時があります。

子供たちが成長するにつれ
それなりにいろいろと子育ての悩みも増えてくるわけで
そんな時に、ぱっと相談できる人がいなくて心細い思いをしたものでした。

隔世遺伝なのかどうか、娘っ子は音痴の私やRさんには似ず
私の母に似たのか、歌が上手になってくれて
昔からお洒落に興味を持つ子でした。

で、どーもそういう分野に疎い私が頼りないのか
ひと頃前まで、娘っ子は嫌味たらたら(笑)
「おばあちゃんがいてくれたらなぁ~なんて言ったものでした。
                     お空のおかーさん、ちょっと聞いてるー? 

                 

さて、これは昔々。
私が小学校5年生になりたての頃のお話です。

ちょうど今頃の季節に、私と母はちょっと不思議な体験をしました。

その年、私の持病の喘息が最悪で5年生に進級しても
学校へはほとんど行けず、ずっと入院をしていました。

当時のお薬が全然効かなくて、実は心停止にまでなったこともあり
(生き返りましたけど…ってあたりまえか
お医者さんに匙を投げられかかったのでした。

そんなある日のこと。
私は母にこう言ったのだそうです。

自分ではまったく覚えていないのですが

「新茶が飲みたいなと。

母は『何で新茶』と思いながらもとりあえず急いで病院近くのお茶屋さんに走り
そこの店主に、その時の状況を泣く泣く話していたところ

店内にいたお客さんが
「良い漢方薬のお店がありますよ」と言ってくれたらしく

藁をもつかむ思いで母は早速その足でお店に行き
一袋の漢方薬を買って病院の私のもとへ帰って来ました。

母は一応お医者さんに許可をもらって
私はわけがわからないままに、世にも苦い薬を飲まされたのですが

何がどういうわけか、なんと
そのあと発作が嘘のように引いたのでした

お医者さんも首をかしげていたそうでしたが、そのまま体調は回復し…何だか命拾いをしました

間もなく大学病院に回され、検査を受けてもほとんど異常がなく

「この子は本当にそんなに大変な症状だったのか」と
大学病院の担当医の先生が、先の病院での主治医の先生に言ったとか―。


今も季節の変わり目など無理をすると発作が出たりしますが
あの時ほど酷くなることはもうありません。

こうして異国の地で二人の子供を育てているなんて
当時のお医者さんが知ったら、びっくりするかも知れません

あーでももう…
あの頃のお医者さん、きっとご引退なさってるだろうなぁ…。


母は何年か経ってから、とある年の新茶の季節に
ふとその時のことを、ポツリポツリ話してくれました。

子供の私がなぜ「新茶を飲みたい」なんて急に言ったのか謎だし

そもそも「新茶」などという言葉や、その季節だって知らなかったはずなのに
それが不思議でたまらなかった、と。

こっちだってあの時、なんでママは、いきなりお茶を買ってきたり
苦い薬を買ってくるのだろうと、不思議に思っていた位。

自分自身もそんなことを言った覚えが全然ないし
多分その頃は、甘いジュースの方が飲みたかった年頃だし


そのことがあってから間もなく、その漢方薬屋さんは無くなってしまいました。

あの漢方薬が本当に効いたのか否か。
もう発作が治まる時期だったということだけなのか。

すべてがただの偶然だったのかも知れないけれど
それでも何かが引き金になって発作が治まったのは事実で

母があの時お茶屋さんに走らなければ
そのお客さんがそこにいなければ

ひょっとしたら無駄なおやじギャグを飛ばす私は
今こうしてここにいなかったものと思われ

           …聞かされるお友達にはいい迷惑かと思うけど

          っていうか私ってよっぽどしぶとかったのかも


でもね、なんとなく

もしかしたら母や父の願いが届いたのかな、なんて
思わずにいられない私がいるのです


                   

以上、こんな話ってどうなんだろうと悩みつつ記事を書きながら
午後はTNさんが送って下さった新茶をありがたく頂きました


  
           
            茶卓が無くてコースターにしました

             飾りの女の子、顔が熱そうですけど



 これ、実は8年前に京都に行った時
    息子っちが自分で買ったお土産なの(笑)



新茶の出回る季節、いつも思い出すこの出来事は
私の中で七不思議の一つになっています

                 …ってあと六個も不思議があるのかっイラネーッ!!!






























Comments (8)
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