10月になって落ち着き始め、かといって相変わらず上がったり下がったり、前向きになったり後ろ向きになったりしているわたしですが、ともかく普段の生活に戻って、今はAKBラジオドラマを書いたりしています。
今回の公演にも、AKBやNHKのラジオドラマで知り合ったたくさんのシナリオライターの皆さんが来てくださいました。
私には劇作家に知り合いはほとんどいないのですが、シナリオライターの方は多いのです。
同じセリフを書く仕事ですが…微妙に違うと思います。
ともかくあの人もあの人もきてくださって、嬉しさとはずかしさと緊張感でいっぱい。みなさまありがとうございました。
で、その中には藤井さんや石原さんも来てくれて。このお二人には今回大変お世話になりました。
シナリオライターの藤井香織さんは家が中野と阿佐ヶ谷で近いこともあってよくお茶をするお友達で、去年の震災直後も話し相手になってもらって不安な気持ちをなぐさめてもらいました。
で、その藤井さんが「天才」と呼ぶ石原理恵子さんはもともとイラストレーターで栄養士で食べ物のことを書きたくてシナリオを書かれている、作品もご本人も独特の雰囲気のある方です。
稽古が始まる数週間前、考えてたプロットを急遽ボツにし、「ずっと4時」を書き始めて私は焦っていました。
全体的なことは決まっているけどこのままでは途中で詰まることがわかっている、でも稽古開始は目前、時間がない。
そこでたまたまお茶をしていたお二人に、これはいい機会と相談を持ちかけたのです。
私は、作品の内容について役者や職場の同僚には相談しますが書く人に相談することは出来ればしたくなくて、それは影響されるんじゃないかと怖いし、クセになりそうで怖いし…でも好きなお二人に思い切って話を聞いてもらったんです。
すると藤井さんは、A4の紙きれ一枚を喫茶店のテーブルにサッと広げ、私の言葉をてきぱきと書き出し、石原さんは私が用意したアイディアやタイトルを面白いと言ってくれて、何が足りなくて何が矛盾かだったらこうすればと、その数時間で考えを整理することが出来たのです。
それは物語を作ると言うより「謎を解く」と言う作業に似ていて。
「もしかして、作家って、特別な能力なのかもしれない…」と感心し、こんな人たちと友達なんだと興奮したのを覚えています。
書くうちにプロットは変わって行きましたが詰まるといつも、最初のA4の一枚の紙に戻って自分の考えを整理して、そのたびにお二人の文字やイラストに心を癒されました。
お二人は何もしてないと言ってくれますが、感謝はもちろん私には衝撃的な出来事でした。
そんな藤井さんがこのたびシナリオの賞を貰われて私も感動しています。
昔、CDショップから流れてきたとあるアーティストの曲を聴きながら、「どうしてこの人たちはこんなに売れてすごいのに、こんなに挫折した人の気持ちがわかるのだろう」と言ったことがあります。隣にいた、そのころ劇団で一緒だった増田さんは「そういう人ほどたくさん挫折してるからじゃないのかな?」って微笑んだけど、藤井さんが今までどれだけ悔しい思いをしてきたかを思って、このときの増田さんとポルタを歩いていた時のことを思い出しました。
そろそろ続きをかかないと。
午後には岡田くんとそんれいさんのお芝居を観に平井さんと待ち合わせ。
私もがんばらないと。
朝から長くなりました。
では、作業に戻ります。