思っていたより10分短かった。
でも10分くらいは延びるだろうと思えるほど速いペースだったので
きっと予定通りの時間におさまると思う。……大丈夫。
全員で一緒に帰る帰り道、
最近では、それぞれがいろいろなことを言っている。
「私のあのセリフが…」と話す理恵ちゃんと瓜竜さんの隣で、
ヤオくんから動きのタイミングについて尋ねられ、
康太郎くんから演技のアドバイスを受ける築地くん、
私はと言うと、音楽や衣装について意見を求める。
今回はスタッフが少ないので、なんでも自分でやらなければならない。
みんな自分のことばかり。
言ってることもバラバラ。
バラバラだけど、向いている方向は同じな様で安心する。
疑い深い私もこういう、瞬間の意識だけは信じられるような気がする。
ただ夢中なだけで終わった初めての通しを見た照明の小西川さんが、
「人や内容が違ってもB.LET'S の雰囲気は同じですね」という言葉を聞いて少し安心、
今回は男性ばかりなのでどんなふうに目に映るのか気になっていた。
「……こんな風に小西川さんが言っていたから大丈夫!」とみんなに言うと、
キャストの皆さんは一瞬ポカンとして、
それが自分自身に向けられた励ましだったと、言ってから気付いた。