


ソファーを買った。
約一年前に引っ越してきてからずっとソファーが欲しくて、なにかきっかけがあったら買おうと思っていた。
最近、臨時収入があったので、満を持して欲しいソファーをネットで見返す。
買うものもずっと前から決めてあった。それほど高価なものではない。形に残るものが欲しかったし、それにはずっと欲しかったソファーはちょうどよかった。
だけど。いざ買うとなると買えない。とても緊張して、嫌な気持ちになる。そのまま数日過ごした。
そりゃ普段より大きな買い物かもしれないけど、値段は少し高い洋服を買うのと変わらないくらいだし、大きさだって知れている。
そういえば。子供の頃から欲しいものを欲しいと思いきれないところが私にはあった。ただのケチとか、決断力がないとか、そういうこともあると思うけど、あんなに欲しかったのに、なぜ買えないんだろうと悩んだ。
迷うことは苦しい。そのたびに自己嫌悪になり、ほんとに面倒くさい。
考えてみると、たぶん子供の頃に、姉と一緒に買い物に行ってたからだろう。姉のご機嫌を伺ってばかりいた私は、姉が賛成する物しか欲しいと思えなかった。今も無意識で姉に許可を得ているのか…。
と大げさに考えて、いやいや、やっぱりケチで決断力がないからだろうと思い直す。いい大人なのだ。
最後の決定ボタンを押すと、何だこれだけのことだったのかとスッキリした。ネットで買ったからあっという間だ。
たったこれだけのことに、いったい何時間、何日かけてるんだろうといやになるけど、時間がかかった分とても嬉しいとも言える。
私の考えだと、この部屋にソファーがあると、生活がとてもしやすくなるはず、一年近く前からそう思ってきたんだから。
ソファーはもうすぐ届く予定。
先日、下北沢でやっているカレーフェスへ行ってきた。
正確には、下北沢へご飯を食べに行ったら、カレーフェスをやっていたのだけれど。
行ったお店は、四月に朗読劇を上演させてもらった「ARENA下北沢」さんで、その時もお料理はカレーがメインだったけど、このカレーフェスの為に新作カレーが用意されてあった。
新作カレーはとっても美味しかった。
お忙しそうだったので、さっと食べて出て行こうと思ったら、私のことを覚えていてくださり、私がうっかり名前を忘れていた店員さんまで、「あの時、劇良かったです、真夏の雪」と言ってくださり、嬉しかった。
作品を覚えていてくださったことが何より嬉しかった。
こういうことはほんの時々あって、全然知らない人が、作品を見てくださっていて、それだけで十分なのに、「良かった」とか、「面白かった」とか言ってくださることがある。
最近は上演から遠のいているけれど、続けてきたご褒美だと思って密かに喜ぶ。
イヤ、密かにではなくとっても喜ぶときもある。本当はめちゃくちゃ嬉しい。自分が褒められることより作品が褒められることが何よりうれしい。
だけど。
と、考えてみるとそれさえもほんのつかの間で。
それはやはりささいなことで、じゃあいったい私が一番嬉しい時はいつだろうって考えてみると、やはり、新しい作品が書けたとき。
私も、フェスのために新作を作ろう。
「下北沢ARENA」へ一緒に行った友人は本番を見に来れなかったので、あそこにピアノを置いて、ここまでお客さんを入れたんだよと、説明をした。
お店は相変わらずファンタジックな雰囲気で、また、ここで上演させてもらいたいと思った。「真夏の雪」も、また上演したい。
新しい作品を書こう。