B.LET'S第16回公演「エピローグに栞を」全公演終了いたしました。
皆さま、本当にありがとうございました。
ちょっと今、ホッとしています。
と言うのも…これからはずいぶん子供じみたことを書きますが…前回公演以来半年、大切な人たちを傷つけて、自分も同じように傷ついて、その理由を考えながら過ごしました。
でも、そのうちに5月初旬の二人芝居の稽古が始まり、終わった時には6月末の「エピローグに栞を」の台本が全く書けていない状態でまた稽古に入ることが不安で。それは大大大先輩の俳優さんや、期待を胸いっぱいに抱えた可愛い女優さん達や、大好きなミュージシャンの方を巻き込んでいるのに、台本がないという重圧はもちろんですが何より、今回の作品が半年間悩み続けた自分への答えになると思っていたからでした。
「自分への答えになる」と書きましたが、もちろん数学のように美しい答えにたどり着くわけではありませんので、今も心は迷ったりしています。でも、もっと奥の方では久しぶりにスッキリと強い気持ちが潜んでいるように思うのです。それは、私が信頼した人たちに少なくとも作品が愛されたのではないかと、思えたからかもしれません。
そして、お客様の温かい拍手と笑顔に、言い尽くせない感謝の気持ちでいっぱいです。
ここからは今さらですが、私から出演者の皆さんの紹介をさせていただきたいと思います。
長くなりますがお付き合いいただけたら幸いです。
去年の合同公演以来、出演して欲しいと思っていた中村優里さんはとても華のある女優さんで、端正な容姿はもちろんですが、私は彼女の声と笑顔が大好きでした。彼女ならと信じて難しい役どころをお願いしてほぼ3役、大変だったと思います。
そして、発見だったのが彼女が意外にもコメディエンヌだということ。稽古で見せる表情にはいつも明るさがあり、そしてどんなにキツイせりふも彼女に掛かればかわいらしく聞こえてしまう…常々、セリフをまっすぐに、そして複雑に表現して欲しいと思っていた私には、これはとても嬉しいことでした。
同じく、今回初めて参加していただいた永田涼香さんは、初めて会ったときに、年令の割にとてもしっかりした方だと思ったので、その理由を探ることで人物のイメージを広げていきました。まだほとんど知らなかった永田さん自身のことを想像しながらキャラクターを考えて行くのは楽しい作業でした。
終始複雑な感情をもつ役柄で演じていて辛かったと思うのですが、どこか守ってあげたくなるような、健気な、そしてユーモラスな彼女の表現がとっても好きでした。
久しぶりに参加してくれた大田さんは、今までで出演してくれた中でも一番イキイキされていたと思うし、マイペースを崩そうとしない永島さんの、自分を変えたいという気持ちが見えた事も、私には嬉しいことでした。
そして深水さん。
アンケートにこの物語を「私から父へのラブレター」と表現してくださった方がおられましたが、恥ずかしながらそれは本当で、前回公演まで毎回京都から公演を観に来てくれていて、でももう弱って観に来られなくなった父に、私が出来ることは何だろうと思って書いたものでした。深水さんほどやんちゃな父では無いですが、大好きな父の役どころを大好きな深水三章さんに渋く、素敵に演じて貰えて、私はとても幸せでした。
唯一甘えられる存在の深水さんにだけ反発したような態度を取ってしまう大人げない私をいつも懐深く受け止めてくださって、本当に感謝しております。
そして、ここからはすみませんがただの思い出話になります。
今回、ステキな演奏と歌で参加していただいた飯田マキトさんと、公演のたびにいつも舞台写真を撮っていただく鞆岡隆史さんと私は、地元の京都にいた頃からの知り合い。20代の頃、飯田さんのバンドが好きだった私は鞆岡さんや友人達とよくライブを見に行きました。
やがて、写真家を目指していた鞆岡さんは彼らが歌う姿を写真に撮るようになり、私を飛び越えて友達になってしまいました。そんな自由な彼らに私は憧れていました。
けど、私が本当に羨ましかったのは、彼らが自分のやりたいことに正直に向き合っておられたこと。その頃の私は演劇を諦め、やりたいことをやりたいと言う勇気もない、自分が大嫌いでした。
今も根本的にはそんな自分と戦っているし、あまり変わっていないのですが、それでもやりたいことをやりながら自分で企画した公演で、あのころ憧れていた人たちと関われたことは私にとっては特別なことでした。
なので、記念に写真を取って貰いました。
ちょっとしたご褒美を貰ったような気持ちになりました。
そして、飯田マキトさんが作ってくれた劇中歌をyoutubeにアップしていますのでよろしければご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=rYP0euR0W_0
と、本当にながくなりすみません。
最後までお付き合いをありがとうございました。
これからも頑張りますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
滝本祥生