ともちの小さなGLOBE

人生は一期一会のLong and winding road。小さな地球儀をめぐる日々をブログにしました。

2005年9月 中東:サウジアラビアにて

2009-04-06 21:57:40 | 
UAEのドバイを離れ、サウジアラビアの首都リアドに着いた。
中近東でキングダムと言えばサウジアラビアを指す。
サウジは出張自粛国であるが、空港に降りた第一印象は、近代的な設備の整った美しい国。
水平線は黄色味を帯びており、砂塵が舞う様相を呈している。
空港からホテルに向かう道路も非常に美しく、近代的な国家という印象は拭えない。

内陸に位置するリアドに住む若者の娯楽の一つが4輪駆動のRV車やATVによる巨大な砂山でのエキストリームな登坂チャレンジ。

平均斜度20度以上はある急斜面に向かって車が砂塵を立てて駆け上って行く。
その斜面の途中からハンドルを切ってUターンして行くさまを目の当たりにすると驚きを隠しきれない。
夜になってもヘッドライトを点けてエキストリームなチャレンジは続く。
ヒルクライムの近くでは写真の「空気屋」が、空気圧を落として遊んだ車への空気補給の為に店を開いている。

面白いことに、この地で中国製のハイラックスサーフのコピー車と思しきセーフなる車に出くわした。
留まる事を知らない中華パワーには呆れてしまう。

宗教戒律の厳しいこの国には女性と言うキーワードがアクティブなスポーツには存在しない。
男だけの砂の海でのチャレンジは何を目指すのか。
限界への挑戦、ストイックな日常からの逃避。
しかし、非常にフレンドリーな彼らは、活気に満ちた目を持つ、世界中どこにもいるスポーツを楽しむ普通の好感の持てる若者達だった。
彼らから色々なもてなしを受け、感謝しつつ巨大な砂丘を後にした。

夜、現地関係者の案内でショッピングセンターを訪れた。
酒が無い事、女性が黒装束なのと、御祈りの時間に店がシャッターを下ろす事、そして、アラビア語表示をを除けば、何らUSAのモールと変わらない景色がそこにあった。
実際、日中は暑い為、商店は午後5時ごろからオープンし始める。
まさにスペインのシエスタと同じ。

ショッピングセンターを訪れる人々の表情は、非常に明るく笑顔に満ちていた。
黒装束の女性ティーンエイジャー達が店の前のフロアにしゃがみこみ車座になって雑談している様子は、日本のコンビに前で若者が座って雑談している様子と全く変わりが無く。同行したドバイ在住者と思わず顔を見合わせてしまった。

しかし、セーフティな印象も宿泊先のRadissonホテルに近づくと一変する。
ひとつ隣の政府関係ビルの道路脇に置かれた機関銃陣地、そしてホテル前に設置された自動車テロ防止用のバリケード。
ホテルに一歩入れば、高級ホテルであるにもかかわらず、この状況はこの国の置かれている暗部を的確に表している。
サウド家のアラビア、有り余るオイルマネーによるインフラ整備にもかかわらず、富の一極集中による貧富の差。
サウジのオイルマネーの80%は王族が支配し20%で国家運営がなされているとも聞く。
王族支配のオイルマネーを財政危機から50%にすると決めた首相は翌日に国王から罷免される国。
ダーティーワークはインド、パキスタン等からの出稼ぎ労働者に頼っているにせよ、各種マスコミ、TV番組等から多くの情報が民衆に与えられる事から、富の一極集中に不満を持つ人々が政府と、その関係者に対するテロ行為を行っているのが、この国の暗部か。

富の一極集中を目の当たりにすれば、軍事クーデターによる政権転覆が世界中で引き起こされている事実は単純明快な帰着点かもしれない。

もし、イラクと同じような形で政権転覆が起きたら、テロリストに流れるオイルマネーから、この国はイラク以上の混沌をきたすであろうことは、想像に易しい。
ただ、その石油と言う富があまりに大きい為、国際社会取り分けUSAの箍によって安定は保たれているように感じた。
確かに戒律の厳しい国の中にあっても好むと好まざるに係わらず、各種ファーストフード店やコーラのビルボードを見るにつけUSAの文化はあちこちで見られるのも事実だ。

一方、別の考え方をすれば、イラクの民主化を最も恐れる国の一つが、この国ではないだろうか。
フセインはその生い立ちから、湾岸諸国の国王達には許しがたい物であったろうし、その政権が転覆し、王政ではない状態で国内が混乱する事こそ望むべき姿なのかもしれない。

リヤド郊外では、古びた民族衣装を纏った1人のストリートチルドレンにも出会った。
UAEでは見なかった落書きも裏街角や郊外には多く存在している。
この国でも、さまざまな問題は色々な形で顔を覗かせている。
その一方で見られる若者達の明るい笑顔、活気ある街角。
複雑な思いが胸中に飛来した。


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