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イチョウ・3~種子

 イチョウ科イチョウ属の「イチョウ(銀杏・公孫樹)」。枝には"ギンナン”が目立ち始めてきた。NHK朝ドラ『らんまん』では帝国大学理科大学(現:東京大学理学部)植物学研究室の波多野さんと野宮さんがギンナンを薄くスライスして顕微鏡で観察しているシーンがあった。イチョウは雌雄異株で春に雄株が花粉を飛ばし剥き出しの雌株の胚珠(種子になる部分)に取り込まれる。受粉した胚珠だけが大きく成長するが、その段階ではまだ"受精”はしていない。取り込まれた花粉は花粉管を伸ばし3~4ヶ月経つとその中で精子が出現する。その頃、種子には"海”が用意されその"海”の中を精子が泳いで卵に向かいやっと"受精”できる。ドラマではこの若い種子の中で精子が泳いで卵に向かう瞬間を顕微鏡で探していた。ちなみにギンナンは正確には果実ではなく種子になる。一番外側は外種皮でその内側に中種皮(果肉)と内種皮(殻)があり可食部分は胚乳になる。
 さてドラマの中の野宮さんのモデルは実在の平瀬作五郎氏でもともと福井の中学校(現:福井県立藤島高校)で図画の先生をしていたがその後帝国大学植物学教室"画工”となり合わせてイチョウの研究を始めた。そして1894年(明治27年)に『ぎんなんノ受胎期ニ就テ』の小論文を発表し1896年にイチョウの精子を世界で初めて顕微鏡で確認した。平瀬氏は初めは"寄生虫”かと思ったようだが、池野成一郎助教授に見せたところ助教授はこれは"精子”に間違いないと助言したという。池野助教授は同じ年にソテツの精子を発見している。この池野助教授がドラマの波多野さんのモデルの一人(もう一人は染谷徳五郎氏)になる。
 当時は文化・政治で何とか西洋に追いつき追い越せという時代であり、この日本人によるイチョウやソテツの精子の発見が世界中を驚かせ日本植物学界での大きな功績となった。
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コガネヤマドリ

 高尾山"いろはの森コース”の道端で見掛けた色鮮やかなキノコ。茎が太い大型のキノコで背丈は10センチほど。ヤマドリタケやヤマドリタケモドキかなと思って調べるとどうやら「コガネヤマドリ(黄金山鳥)」のようだ。イグチ科ヤマドリタケ属のキノコでブナ科の広葉樹林下に発生する。
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ヒツジグサ

 スイレン科スイレン属の「ヒツジグサ(羊草)」。花期は6~9月で羊の刻(午後2時頃)に開花することから名付けられている。これは午前10時頃のものでおそらく昨日まで咲いていたのだろう。綺麗な姿ではないが参考のために撮っておいた。ヒツジグサは日本固有種で花径は5~8センチほど。外来種のスイレンよりも小さい。この界隈で見られるスイレンは外来のもので花径は10センチ以上ある。牧野富太郎博士はこのヒツジグサを京都府宇治の巨椋池(おぐらいけ)で朝から夕方まで観察し『花は正午から午後3時頃までに咲き夕方5~6時に閉じる』ことを確認されたようだ。これは東京都薬用植物園のもの。
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