現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

ブリッジ・オブ・スパイ

2017-07-15 17:27:07 | 映画
 2015年のアメリカ映画です。
 1957年の米ソ冷戦下において、アメリカで逮捕されたソ連のスパイの弁護を担当した実在の弁護士の人道的な活躍(アメリカ人からは裏切り者扱いをされ、家に銃弾も打ち込まれました)を描きます。
 ソ連で捕虜になった偵察機のパイロットと、彼が弁護して死刑を免れたソ連のスパイとの交換の交渉も、主人公の弁護士が担当することになります(映画なのでそのへんのいきさつは省かれているので、なぜ民間人の彼がやらなくてはならないのかは、史実に疎い私には分かりにくかったです)。
 お話のミソとしては、単なるアメリカとソ連の捕虜の交換としてではなく、そのころに東独で拘禁されていたアメリカ人学生の解放も絡めたことによって、よりヒューマニティが強調されています。
 監督のスピルバーグの抑えた演出によって、アメリカ、ソ連、東独のどの国に対しても、極端に美化したり非人道的にしたりすることなく、それゆえ国家によって個人がいかに脅かされているかという、より普遍的なテーマが描き出されています。
 こうした映画の主役の常連であるトム・ハンクスの演技力は言うまでもありませんが、この作品でアカデミー賞助演男優賞を獲得したソ連のスパイ役のマーク・ライランスの渋い演技が光っています。

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ばんひろこ「いちねんせいにも ひみつは ある」まいにちいちねんせい所収

2017-07-15 16:05:38 | 作品論
 ゆきとたつやを描いた連作短編集の最終編です。
 たつやは自分の秘密の「白眉(一本だけ長く生えている白い眉毛のことで、これが生えていると頭が良くなるとたつやは思い込んでいます)」を教える代わりに、「給食のエビチーズ春巻きのお代わりをよこせ」と、ゆきに要求します。
 エビチーズ春巻きの取り合いのドタバタの最中に、ゆきがたつやの白眉を抜いてしまいます。
 がっくりしているたつやを励ますために、ゆきはモモちゃんと二人だけの秘密だった神社の不思議な力があると信じている塀の穴を教えてあげます。
 この作品でも、仲良しの二人の様子が生き生きと描けていますし、子どもたちの大好きなおいしそうな給食のメニューがたくさん出てきて、楽しい仕上がりになっています。
 ただ、なぜ給食のお代わりの権利をゆきにお願いするのかが最後までわからなかったので、もうひと工夫あった方がいいかなと思いました。

まいにちいちねんせい (ポプラちいさなおはなし)
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ポプラ社

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パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊

2017-07-15 16:02:53 | 映画
 人気シリーズの第五弾です。
 ジョニー・ディップ演じるジャック・スパロウを初めとした、お馴染みのメンバーが大活躍します。
 CGの技術進歩に伴い、アクションシーン、海の中、亡霊などの映像はどんどん迫力が増しています。
 その分ストーリーが弱くなっていますし、主要メンバーも年齢が高くなり魅力は失われています。
 この作品では、その部分を親子の愛情物語(父と息子、海賊の父と娘)や若者同士の恋愛感情などで巧みに補って、ストーリーを展開していきます。
 マンネリ化していて退屈な部分もあるのですが、全体としては楽しいエンターテインメント作品に仕上がっています。

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