児童文学において、動物文学は一つのジャンルを形成しています。
それらにはいろいろなタイプがあって、以下のように分類できます。
1.ノンフィクション
フィクションの部分はなく、動物の生態をそのまま描いています(ファーブル「昆虫記」、伊谷純一郎「高崎山のサル」など)。
2.ノンフィクション風物語
一見、ノンフィクションのようですが、そこにフィクションを加えています(シートン「動物記」、椋鳩十や戸川幸雄の作品など)
3.動物主人公物語
動物の生態はそのままですが、動物の視点で描かれています(ジャック・ロンドン「野生の呼び声」、シートンや椋鳩十や戸川幸雄の作品にもあります)。
4.動物の世界をファンタジーで描いた物語
動物の生態はいかされていますが、様々なレベルの擬人化がなされています(アダムス「ウォーターシップダウンのうさぎたち」、マージェリー・シャープ「ミス・ビアンカ・シリーズ」、斉藤敦夫「冒険者たち」、宮沢賢治「よだかの星」、キップリング「ジャングルブック」、ポッター「ピーター・ラビット」シリーズ、ホワイト「シャーロットの贈り物」、いぬいとみこ「ながいながいペンギンの話」など)
5.動物が主人公のファンタジー
動物を主人公にしていますが、まるで人間のように生活しています(ケネス・グレアム「たのしい川辺」、ミルン「くまのプーさん」(ぬいぐるみですが)、ボンド「くまのパディントン・シリーズ」、神沢利子「くまの子ウーフ」、ジョージ・オーウェル「動物農場」など)
以上はかなり大雑把な分類ですが、擬人化度や動物の生態の厳密さなどにより、4や5はさらに細かく分けられます。
新たに動物児童文学を創作する場合には、以上の先行作品を参考にして、自分の作品の世界観を構築するといいでしょう。
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たのしい川べ (岩波少年文庫 (099)) |
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