現在の児童文学の出版状況では、短編集を出版するのはなかなか難しいです。
かつては、いろいろな作家の優れた短編集(最上一平「銀のうさぎ」、丘修三「ぼくのお姉さん」(その記事を参照してください)、神沢利子「いないいないばあや」(その記事を参照してください)、安藤美紀夫「でんでんむしの競馬」(その記事を参照してください)など)が出版されましたが、しだいに少なくなり、今では大人の読者も対象に含めた短編集(例えば、安東みきえ「呼んでみただけ」など)や同じ主人公を描いた連作短編集(ばんひろこ「まいにち いちねんせい」(その記事を参照してください)など)を除いては、あまり出版されなくなっています。
私自身の経験でも、長編はいくつか本になったのですが、短編集は何度か出版社から話が合っても「テーマやグレードがそろわない」などの理由で出版には至りませんでした。
そのため、書き手の中には、短編をいくつかむりくり連結したり、まえがきやあとがきをつけるなどしたりして、長編に仕立てようとすることがあります。
しかし、そういった試みは不自然な仕上がりになることが多いようです。
やはり、いくつかの短編をもとに長編を作る場合は、それぞれの短編を解体して、いちから長編として再構成する必要があります。
呼んでみただけ | |
クリエーター情報なし | |
新潮社 |