2019年公開のフランス映画です。
主人公の男女が、お互いに知り合うのがラストシーンという、風変わりな恋愛映画です。
ただし、二人は、隣り合わせに立つマンションの同じ階のはじの部屋なので、壁二つはさんで隣同士に住んでいます。
そのため、二人はしょっちゅうすれ違います。
通勤の時もそうですし、近くにあるエスニック食料品店で時々居合わせたりもします。
そうした若い男女が、それぞれに孤独を抱いて暮らしている様子が克明に描かれます。
男性は、勤め先の発送センターが自動化されて、従業員が解雇されたり、遠くへ配転されたりした中で、一人だけ上司の配慮で同じ場所にあるコールセンターに配属されますが、それに対して罪の意識を感じて、うつ病気味になり、不眠症やパニック障害を起こします。
女性は、職場でスポンサーに対する発表会を任されたことにプレッシャーに感じて、やはりうつ病気味になり、過眠症や情緒不安定になります。
男性は、女性たちとはうまく付き合えません。
女性は、マッチングアプリで知り合った男性たちと次々に付き合いますが、まったく満たされません。
二人は、それぞれ心理療法士などのカウンセリングを受けて、真の原因を突き止めようとします。
結局、男性は10才のころに7才の妹を癌で亡くし、それが家族の中でタブーになっていることが原因のようで、両親とともに妹の墓参りをし、それとともに職場をやめたことで寛解します。
女性は、小さい頃に両親が離婚したのですが、アメリカへ去った父親は許せるのに、その後彼女が成人してから再婚した母親が許せなかったことが原因のようで、自分から母親に連絡したことと、職場の発表がうまくいったことにより、寛解します。
ラストで、エスニック食料品店の店主に紹介された、コンパという中米のハイチのダンスの教室で、二人は出会います。
この作品のミソは、観客がそれぞれ心配していた男女がともに寛解してから出会うので、明るい未来が想像でき、見終わった時の後味がすごく良いことでしょう。
ただ、カウンセリングで二人の病状がこんなにうまく寛解したことは、こうしたことにあまりなじみのない日本人には違和感があります。