*粋で色気のある女将が作る斬新酒肴に客も唸る
小料理 宝亭
尾籠な話から始めて恐縮ですが、宝亭の自慢はトイレ……いやトイレのドアなのだ。
「ドアが縦に二つに折れるのよ。ドアの前のお客さんが席立たなくてもトイレに入れるように、私が設計したのよ」
誰もが一度はママの自慢を聞くはめになる。
港南口前呑み屋街は横丁の名前もなければ組合もない。ゆえに共同トイレもない。それもこれも戦後以来の因縁絡み。だから各戸自前のトイレだが、狭いお店じゃドアの開閉もままならぬ。そこで発明したV字開きドア。闇市酒場は造作がいちいち興味深いのだ。
横丁のちょうど中間点。いちばん細い路地の奥に暖簾がゆれる。入口正面からの撮影もままならない細道の立地は、これぞ真の隠れ家、男の秘密基地という雰囲気。
連れの仲間をこっちこっちと導いて、エ~こんな所に! と驚かせるのが痛快だ。暖簾越しに日本髪をきりりとまとめ、粋な和服に白割烹着のママが見えると、ああ、やってますねと安堵する。
おっと忘れちゃいけない酒と肴。カウンターにはママの手製の大皿が――(つづきは買って読んでね)
TOKIO古典酒場 闇市・横丁編―闇市の名残をとどめる横丁酒場100軒 (SAN-EI MOOK) (2007/11/29) 三栄書房 商品詳細を見る |
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