chuo1976

心のたねを言の葉として

ⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅣ「唐手三四郎」を観る聴く、        『エイガニッキ』 SASHI-ハラダ  2020/12/23

2020-12-23 06:04:44 | 映画

ⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅣ「唐手三四郎」を観る聴く、        『エイガニッキ』 SASHI-ハラダ  2020/12/23

  大学の唐手道場、先生と、一門の者たち、主人公と同級生、美しい娘、鍛錬に余念が無い、構え、打ち、大学前の並木道、一人の娘が現れて、そこに主人公が、娘は皆の為にケーキを持ってやって来た、下宿の女将さんの娘さんなのだ、しかし、主人公は腹が減ったと誘い、一人で全てを平らげてしまう、笑みの娘、汚れた主人公の唇を拭く娘、離れてその様子を見てしまう同級生、嫉妬顔、怒りの形相、まるで抱き合っている様な二人姿を見せ付けられて、そして、道場、試合形式の稽古、相変わらずに鬼の形相の同級生、互いに技は決まらずに、分け、そこに後ろから同級生が主人公に近づく、狙ったのか、偶然か、サッと振り返り拳を決めてしまう主人公、同級生は倒れ、運ばれる、稽古の最中に、相手を打つとは全くの違法行為、先生に呼ばれて、叱られて、先生は己の過去を語る、同門の遣り手と張り合う羽目に、相手を倒し、彼は腕を失って消えて仕舞ったのだ、今でも、彼の事を探しているのだと、見つからずに、何処で何をしているかと心配顔、主人公の行為は何処か沖縄の反発、嫉妬もまた大和の奢り、下宿では、貸し賃の取り立ての男が、女将さんは上の部屋を学生たちに貸しているのだが、彼等もまた貧乏学生、満足に払えずに、家賃は滞納が続いてしまっている、様子を知った取り立ての男は、大屋でもある街のボスに娘を紹介すると、一度会ってくれれば、それで済むのだと、困惑顔の女将、そして娘、主人公は謝りに病院に、連れなく拒む同級生、二人の間はどうもしっくりこない、沖縄と大和、主人公は何とか、同級生の入院費を払うために、アルバイトを探すのだ、横浜の港に、肉体労働者として、仕事場の長は、何やら運動家と不審に思って拒んでいるが、主人公は経済学部の学生なのだから、しかしどうやら、真っ当な働き手と想って雇うのだ、船が港に、沖縄から、横浜で芸者として働いてきた娘は漸くに沖縄に戻ることに、そこに入れ違いに新しい娘が、これが沖縄の現実、本土に、娘たちが、働きに出なくてはやっていけないのだ、港では主人公が昼の弁当の最中、船の中で諍いが、主人公は走る走る、悪さする男たちを簡単に始末してしまう、この様子を見ていた長、沖縄の料理店、主人公と労働者たちと、街のボスと女たち、沖縄の娘の髪を頭の中央にまとめての髪型、踊り、音楽、長はボスに、主人公は使えますぜと、判ったとばかりのボス、早速に誘う、ボスの元には沖縄に帰る予定の女が、ボスの女なのだろうか、新人の娘を紹介する、ボスに呼ばれた主人公、連れ行かれた倉庫、何やら怪しい仕事を任されて、ジャンパーを着せられて外に、主人公は察して戻ってきて、辞めますと、ボスは、俺に逆らうのかとばかり、そこに現れた片腕の不気味な男、先生と呼ばれる片腕の男、飲んだくれたままに、始末して下さいと、ボスと長の話、先生は直ぐに殺めてしまうから困ると、だから、主人公を雇ったのだが、今、話を聞いた後に辞めますでは済まされない、だが、闇の取引の時間故か、一味は去る、病院では、大学の先生が怪我した同級生に話す、主人公の事、そこに手紙が、アルバイトで稼いだ金が入っている、こんないい奴なのだと先生、下宿屋の女将の所の娘が着飾って取り立ての男に連れられて、病院から戻った同級生が、不審に思って外に、タクシーの二人、同じくタクシーで追い掛ける同級生、主人公もまた、同級生に挨拶しようと下宿を訪れたか、同級生がタクシーに乗るので、不審に、主人公はアルバイトを始めてから、横浜に出向いて、下宿には戻っていないのだ、取り立ての男は、タクシーをホテルの前に止めて、何も知らずに降り立つ娘、ボスの前に紹介、追ってきた同級生が、娘に呼びかける、周りを見るとホテル街、周章てて、騙されたと、同級生は手下達と格闘、怪我をしているから、直ぐに倒されてしまうのだが、そこに現れた片腕男、ボスは彼に学生の始末を頼むが、前の時の支払いも済んでないと片腕男、ボスの連れ込んでいる娘に何か、気がかりが、娘の名を聞かされて、驚き、母親の名も問いただし、間違いない、ボスは、片腕男の知り合いと知って、立ち去るのだ、主人公は片腕の男こそ、大学の先生の探していた男と知り、興味が、その男の門を叩くのだ、汚い部屋の中、飲んだくれの男、弟子にと、何故だと男、三角飛びをご指南いただきたいと、何故に知って居ると、大学の先生の事を語る、男は怒りを口にする、なんで俺が手を引いたのに、下宿屋の女将さんをこんな惨めなままにしているのだと、必ずや、仕留めてみせると、すると立ち上がり、主人公の前で、中腰で手を構え、さっと舞い上がり、離れた場に静かに降り立つ、これが三角飛びだと、見詰める主人公、沖縄の店で芸者に気に入られ、飲まされて、彼女の部屋に、女の恋、これまでは、ボスのような男に弄ばれてきた、大和の男に、今は恋、沖縄の青年に恋、しかし、如何とも出来ずに、道場の美しい娘もまた、この沖縄の店の中、花を売っている、皆が、何処か貧しく、苦しんでいる、主人公は、こんな女たちに何もできないのだ、下宿の娘にしても、主人公も、同級生だって、憧ればかりで、未だ学生、養いも出来ない、ボスに連絡が、警察の手入れ、事務所を始末し逃れる算段のボス、倉庫街の路地に、片腕男も、大学の先生は、主人公から聞かされて、片腕男を訪う、やっと見いだした、だが男は先生の言葉も待たずに、何故に今の下宿の女将さんを幸せに出来なかったと、襲いかかる、決闘に、構え、拳、手技、足技、二人の展開、動き、ボスは銃を構えて、狙う、が、誰を狙った、悪さを知る一味である片腕男か、その敵の大学の先生か、大学の先生が撃たれて、男は立てとばかり、起きられない先生、警察のパトカー、もはや逃れられないボス、主人公も大学の先生を慕ってやって来た、花売り娘はなんと警察官、ボスの悪さを捜査していたのだ、今、主人公は倒れた大学の先生に代わり、突堤で決闘する、片腕男と主人公、互いに技を交わしながら、突堤の先へ、先へと、じりじり蠢く、緊迫、構え、拳、手、足、髪、腰つき、突堤故の、背景の海、主人公は後ろに後ずさり、ワイヤーに足を取られて、行き詰まる、危機一髪、その瞬間に、舞う、飛ぶ、男の額を蹴り、男は倒れ血を流す、覚えたな三角飛びをと男、沖縄への船の中、芸者と主人公、恋した女と恋された男、二人は沖縄に戻るのか、いや、別れなのだ、主人公は船を下り、そこに警察官の娘が、君は怖い人だったのだねと主人公、笑みの娘、娘は二人の恋を見て、一人孤独に歩き去る、主人公は女たちの恋を何も理解していない、なんで、沖縄娘と帰らない、警察官の娘の恋を察して誘わない、下宿の娘にしても、戯れるばかり、同級生も、何も出来ない、これはまた、過去に、大学の先生が、片腕男が何も出来なかったことの反復、おろかしい、嫉妬と遠慮ばかりで、沖縄も、大和も、救えないのだ、結果ボスのような悪人が、現実を制してきているのだ、ラストの波止場の片腕男、おろかしい戦後大和を結果として支えた闇の片腕男、正義は警察に、大学に、だが、経済は、ボスが居なくてやっていけるのだろうか、大学の先生は撃たれ、警察官の娘は孤独に歩き、女将さんのやりくりは一向に代わるまい、主人公と同級生も、何も判らず、頼りない、沖縄の芸子達の行き帰りもまた繰り返されるままに、さてさて、この空白の中、今日もまた、何も変わっていない、ままに、大学、港、沖縄芸子の居る酒場、下宿屋、病院、倉庫、片腕男の部屋、船着き場、船、突堤、空気、匂い、生き生きと、楽しいです、日本です、

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GIVE PEACE A CHANCE (平和を我らに)

2020-12-22 04:33:52 | 映画

GIVE PEACE A CHANCE (平和を我らに) 歌詞
歌:John Lennon

作詞:LENNON JOHN WINSTON

作曲:MCCARTNEY PAUL JAMES

Two, one two three four

Ev'rybody's talking about
Bagism, Shagism, Dragism, Madism, Ragism, Tagism
This-ism, that-ism,
is-m is-m is-m.
All we are saying is give peace a chance,
All we are saying is give peace a chance.

C'mon

Ev'rybody's talking about ministers,
Sinister, Banisters.
And canisters, Bishops, Fishops, Rabbis, and Pop eyes,
Bye bye, bye byes

All we are saying is give peace a chance,
All we are saying is give peace a chance.

Let me tell you now
Revolution, evolution, masturbation,
flagellation, regulation, integrations,
meditations, United Nations,
Congratulations.
All we are saying is give peace a chance,
All we are saying is give peace a chance.

Ev'rybody's talking about
John and Yoko, Timmy Leary, Rosemary,
Tommy Smothers, Bobby Dylan,
Tommy Cooper, Derek Taylor, Norman Mailer,
Alan Ginsberg, Hare Krishna, Hare Krishna.

All we are saying is give peace a chance,
All we are saying is give peace a chance.

All we are saying is give peace a chance,
All we are saying is give peace a chance.

All we are saying is give peace a chance,
All we are saying is give peace a chance.

All we are saying is give peace a chance,
All we are saying is give peace a chance.

All we are saying is give peace a chance,
All we are saying is give peace a chance.

All we are saying is give peace a chance,
All we are saying is give peace a chance.

All we are saying is give peace a chance,
All we are saying is give peace a chance.

 

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根府川の海       石垣りん

2020-12-21 09:40:02 | 文学

根府川の海       石垣りん

 

根府川
東海道の小駅
赤いカンナの咲いている駅

たっぷり栄養のある
大きな花の向うに
いつもまっさおな海がひろがっていた

中尉との恋の話をきかされながら
友と二人ここを通ったことがあった

溢れるような青春を
リュックにつめこみ
動員令をポケットに
ゆられていったこともある

燃えさかる東京をあとに
ネーブルの花の白かったふるさとへ
たどりつくときも
あなたは在った

丈高いカンナの花よ
おだやかな相模の海よ

沖に光る波のひとひら
ああそんなかがやきに似た
十代の歳月
風船のように消えた
無知で純粋で徒労だった歳月
うしなわれたたった一つの海賊箱

ほっそりと
蒼く
国を抱きしめて
眉をあげていた
菜ッパ服時代の小さいあたしを
根府川の海よ
忘れはしないだろう?

女の年輪をましながら
ふたたび私は通過する
あれから八年
ひたすらに不敵なこころを育て

海よ

あなたのように
あらぬ方を眺めながら……。

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胎児いま魚の時代冬の月

2020-12-21 04:59:58 | 俳句

胎児いま魚の時代冬の月
                           山田真砂年

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木枯や煙突に枝はなかりけり

2020-12-20 06:30:08 | 俳句

木枯や煙突に枝はなかりけり
                           岡崎清一郎

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理想の言葉はこんなに軽いのか    関川宗英

2020-12-19 05:39:24 | 映画

理想の言葉はこんなに軽いのか    関川宗英

 

「自由と平等を求めてよりよい社会をつくろうとすること  『実録・連合赤軍』をめぐって」2

 

    

 

 


 「1972年、かつて日本にも革命を叫び、銃を手にした若者たちがいた」
という言葉で『実録・連合赤軍』は始まる。
 銃を持った若者たちが、吹雪の中、よたよとと歩いているオープニングのシーンに映し出されるテロップだ。
 この吹雪の中を若者たちが歩くシーンは、警察の捜査の手が近づいてきた山岳ベースを捨てた後、あさま山荘に行き着く前の行程にあたるが、歩き続ける彼らに目指すべき目標地点はあったのだろうか。
 あてもなく彷徨っているようにも見える。
 『実録・連合赤軍』は、希望のない映画に観えた。


 『ソドムの市』も観る人に希望を与えるような映画ではない。
 しかし『ソドムの市』は、神の視線といったらいいのか、ブルジョアジーたちの狂気をじっと見ている目を感じる。
 映画の中で語られる詩的な言葉が、狂気の限りを尽くしたその後、やがてやってくるかもしれない静謐な時間を感じさせる。

 『実録・連合赤軍』にはそれがない。

 

 

 70年安保のうねり、世界革命によって共産主義社会を実現しようという理想は、いじめのような暴力を前に崩れ去っていった。
 若松孝二の『実録・連合赤軍』は、1970年頃の連合赤軍の若者たちをそのように捉えている。
 この映画は、革命を夢見た若者たちを、「勇気がなかった」と泣き叫ぶ悔恨の中に葬る映画だ。


 確かに、あの山岳ベースで、12人もの若者が凄惨な暴力によってその命を奪われたのは事実だ。
 しかし若者たちの理想を追い求める思いは、「勇気がなかった」で語りつくせるものだろうか。

 

 

 映画の中で、新しい歴史を作ろうとする言葉は、闘争に突き進む若者たちの武装の道具として使われる。
 若者たちの革命の議論は、言葉の上っ面だけをなぞった、滑稽な言葉遊びにしか見えない。

 1972年2月、あさま山荘。一人の女性を人質に取って、5人の若者が立てこもった。井浦新扮する若者が、人質の女性に言う。

 「我々は共産主義者です。
 我々の目的は、資本家の利益のために民衆を抑圧している政府権力の打倒にあります。
 つまり、戦争や不平等をなくす革命のために闘っているんです」

 人質の女性は、目を伏せたまま井浦新の言葉を聞いている。

 さらに井浦新は続ける。

 「この山荘に侵入したのは・・・、例えば・・・、デモの最中に機動隊に追われ、民家に助けを求めたようなもんなんです。」

 人質の女性が、目を上げる。不安げな、しかし感情を押し殺しているような、緊張した面持ちの女性の顔。やや上目遣いに井浦新を見ている。そんな女性の顔を捉えたショットに、井浦新の言葉がかぶる。

 「だから、あなたは、人質ではないんです。」

 ガラス窓を割り、突然、土足で山荘に入り込んで来た若者たち。客や夫が外出している時間、一人だけ山荘にいた女性は人質となった。

 山荘の外では警察が取り囲み、「人質を解放しなさい」と警告する。それに対し、若者たちが発砲する。警告の声と銃声が響く中、「あなたは、人質ではない」という若者。

 人質となった女性は、この若者の言葉をどのように聞いただろう。

 映画のその後のシーンは、女性の背中越しに井浦新をとらえており、女性の表情をはっきりと見ることはできない。

 しかし、映画は、過激派の若者を、一般市民とかけ離れて、革命に酔いしれている存在として描いている。

 武装闘争、革命を叫ぶ若者が、すでに時代社会の中で浮いていたことを端的に示す、象徴的なシーンだ。

 

 

 理想を求める言葉は、こんなに軽いものだろうか。
 『実録・連合赤軍』は、自由や平等を求める理想が、イデオロギー的な言葉として使われている。
 おまえは共産主義化していない!、総括しろ!
 「総括」って何? 何を自己批判しろっていうの?
 仲間を殺すことを正当化するために、弱さを克服しろ、共産主義化しろ、「革命」の言葉が語られる。


 しかし、よりよい社会を求めようとする人々の願いは、より高い次元に人を導こうとする崇高なものではないだろうか。
 そんな人として尊厳を感じさせる言葉が、語られることのないまま映画は終わる。

 

 

 

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新しい歴史をつくろうとする思い       関川宗英 - chuo1976

新しい歴史をつくろうとする思い関川宗英「自由と平等を求めてよりよい社会をつくろうとすること『実録・連合赤軍』をめぐって」1夢や理想を持って社...

新しい歴史をつくろうとする思い       関川宗英 - chuo1976

 

 

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新自由主義と連合赤軍    関川宗英 - chuo1976

新自由主義と連合赤軍関川宗英「自由と平等を求めてよりよい社会をつくろうとすること『実録・連合赤軍』をめぐって」31972年の「山岳ベース事件...

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弱者を抑圧する社会に終止符を打つ         関川宗英 - chuo1976

弱者を抑圧する社会に終止符を打つ関川宗英「自由と平等を求めてよりよい社会をつくろうとすること『実録・連合赤軍』をめぐって」4映画『実録・連合...

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新しい歴史をつくろうとする思い       関川宗英

2020-12-18 05:35:36 | 映画

新しい歴史をつくろうとする思い       関川宗英

 

「自由と平等を求めてよりよい社会をつくろうとすること  『実録・連合赤軍』をめぐって」1   

 


 夢や理想を持って社会を変えようとした若者たち、その思いは純粋なものだ
 自由と平等を求めてよりよい社会をつくろうとすること、それは人として尊い願いだ

 

 総括という名のもとに行われた集団リンチ、1972年連合赤軍は12名の仲間を殺した。
 おまえはスターリニストだ、おまえは共産主義化していない、総括しろ、「革命」のために同志の顔を殴る、そのリンチで仲間が死ぬと「敗北した」とその弱さをまた責める。
 人間を暴力で支配しようとする、それは人として最低の行いだろう。

 凄惨なリンチ、「革命」に縛られた者たちが仲間を殴る、そのシーンを延々と見せられるこの映画(『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)』 若松孝二 190分 2007年)を観ることは苦痛だった。

 

 『実録・連合赤軍』は、1972年のあさま山荘事件までの連合赤軍の軌跡を描いたものだ。
 映画は三部構成となっている。第一部は連合赤軍結成までの流れを1960年の安保闘争から記録映像やスチール写真で概観し、第二部が山岳ベースで若者たちが突き進んだ集団リンチ、そして第三部が、1972年2月19日から2月28日にかけて、長野県北佐久郡軽井沢町にある「浅間山荘」に連合赤軍が人質をとって立てこもったあさま山荘事件となっている。

 3時間以上の映画だが、歴的背景を踏まえ、若者たちが残虐なリンチで仲間を殺していくその暴力が赤裸々に、執拗に描かれている。
 しかし、この映画を観ることは、辛いことだった。

 なぜ見ているのがつらかったのか。
 血のりが付いた顔を何度も殴る、その暴力シーンが生理的な嫌悪感をもたらすのか。
 それとも若者たちの理想が、こんないじめに潰されていくのを認めたくなかったからか。

 


 かつてパゾリーニは、『ソドムの市』という映画を作った。
 ナチス下イタリアの4人のファシストが、少年少女に欲望の限りを尽くす異常性愛、糞を食べ、眼球を抉る、狂気倒錯の映画だ。
 それは、徹底的にブルジョアジーの腐敗を告発するための表現だったのか。
 それとも、パゾリーニ自身の異常と狂気が作らせたものなのか。


 映画のレビューをネットで検索すると、

「糞尿地獄には分かっていても目を背けました。全編通して狂気の沙汰ですね。
思想的なものは全く感じませんでした。単なる監督の趣味でしょう。」

などという感想が沢山見受けられる。

 その一方で、

「不謹慎な話かもしれないけど、イラク戦争で米軍が刑務所のイラク人に対して行ったとされる虐待行為。このニュースが流れた時期、「ソドムの市」を思い出した。」

といった感想もあった。イラク戦争下の狂気と『ソドムの市』を結びつけるこの感想は、私を惹きつける。

 


 森達也の本を読んでいて、『撫順の奇蹟を受け継ぐ会』を知る。以下は、会のウェブサイトから引用した、植松楢数(90歳)の証言だ。

「私は腰の拳銃を取り出し、先程からの拷問に地に伏して悶え苦しんでいる老人の後頭部に銃口を押し当て、そこに倒れたり、座ったままでいる7人の老人を次々に射殺した。私の同僚も、私と同様まるでだるま落としのパチンコでもやる時のような格好で、動けなくなった老人を片っ端から射殺している。

 乳飲み子を懐に、我が身で子供を悪魔の手から守ろうとしていた老婆もまた、佐藤軍曹の拳銃一発で横に向き直り、乳飲み子をしっかり抱いたまま、低いうめき声をあげながら死んでしまった。佐藤軍曹は、片方の足で老婆の横腹をけったかと思うと、『エイッ! 面倒だ、こ奴もやってしまえ』と舌うちしたかと思うと、見る間に泣き疲れ声も出なくなっている、何事が起こっているかも知らない二歳の男の子の頭は、一発のもとに撃ち貫かれた。

 窪地はあたり一面血の雨が隆ったように、27名の撃ち殺された中国農民、老人、子供の真っ赤な血潮に、地面の色は赤黒く変わっている。そして、その血の海に落ちこんだかのようにもがき続けている。」

 『ソドムの市』が告発するもの、それ以上に異常な世界は私たちのすぐ隣にある。

 

 

 

 人間の欲望を徹底的に描こうとしたパゾリーニ。
 ファシズムの暴虐に対して、神は何も救いの手をさしのべなかったという思い。
 あるいは、人として許されないような欲望を、自分が抱えていること。
 


 私も初めて『ソドムの市』を見た時は、正視に耐えられず、映画の途中で映画館を出てしまった。
 もう40年も前のことだ。
 しかし、『ソドムの市』は忘れられない映画となって、ずっと私の中で引っ掛かってきた。
 『ソドムの市』の残虐さは、私たちのなかの狂気を抉り出そうとする。

 

 


 観ることが苦痛だった『実録・連合赤軍』。
 『ソドムの市』も観るのがつらい映画だった。
 しかし、その苦痛の中身は違うように感じる。

 

 

 

 

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理想の言葉はこんなに軽いのか    関川宗英 - chuo1976

理想の言葉はこんなに軽いのか関川宗英「自由と平等を求めてよりよい社会をつくろうとすること『実録・連合赤軍』をめぐって」2「1972年、かつて...

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年の瀬のうららかなれば何もせず

2020-12-17 06:26:34 | 俳句

年の瀬のうららかなれば何もせず
                           細見綾子

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地の涯に倖せありと来しが雪

2020-12-16 06:20:59 | 俳句

地の涯に倖せありと来しが雪
                           細谷源二

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鍋もっておでん屋までの月明り

2020-12-15 06:48:15 | 俳句

鍋もっておでん屋までの月明り
                           渥美 清

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札幌国際芸術祭

 札幌市では、文化芸術が市民に親しまれ、心豊かな暮らしを支えるとともに、札幌の歴史・文化、自然環境、IT、デザインなど様々な資源をフルに活かした次代の新たな産業やライフスタイルを創出し、その魅力を世界へ強く発信していくために、「創造都市さっぽろ」の象徴的な事業として、2014年7月~9月に札幌国際芸術祭を開催いたします。 http://www.sapporo-internationalartfestival.jp/about-siaf