いい国作ろう!「怒りのぶろぐ」

オール人力狙撃システム試作機

証人喚問があった件

2005年12月14日 16時39分13秒 | 社会全般
印象を言えば、元木村建設・篠塚東京支店長というのは、かなりの「たぬき」と思えた。姉歯を叩いて自分の懐にキックバックを掠め取るような人だから、かなりのタマと見えた。木村社長は操り人形的な人物なのかもしれない。総研にいいように利用され、「多分まずいんだろうな」という程度は知っていたかもしれないが、それがどういうことになるのか、という部分についてまでは「何も考えていなかった」というような人なのかもしれない(はっきり言うと、ちょっと話しの理解が悪い人みたいな感じ。演技だとすると名演技だな。まるで他人事のような感じ)。だが、篠塚支店長は、平成設計と総研と木村建設と、そのグループ内でどういう仕事をするか、ということは十分知っていたはずだ。答弁の仕方も、篠塚支店長の方が「いかに責任を逃れるか」ということに腐心していたように思う。


普通、どの業界であっても仕事の発注者と受注者の立場関係で、暗黙の力関係がある。姉歯建築士の立場では、背に腹は変えられない、という弱さがあったのだと思う。拒否する強い意志があれば・・・というのは、人間の弱さが関係するのかもしれない。「仕事が取れない」となれば、良からぬ仕事に手を貸してしまう。弁護士の中にだって、金融業者と密接に繋がって「債務整理」を謳いながら別な「ヤミ金」に債務者を送り込むような人達も実際に存在してたし。狼の群れの中に、いたいけな羊を放り込むようなことをやるのだ。


「オタク以外にも業者はごまんとあるからね」
これは色んな業界に通用する殺し文句とも言える。下請けの中小企業が価格交渉をする時に、「泣かねばならない」となるのは、他に発注するよ、という暗黙の圧力が働くからだ。支店長は姉歯建築士から「金をバックしろよ」と強要したようなものだ。それは工事というか建設の何の部分でどうやって「金をひねり出すか」「おこぼれを頂戴するか」ということを、「よく知っている」ということだ。姉歯建築士は、ある意味被害者とも言えるかもしれない。篠塚支店長のような人間が、姉歯のような弱さを持つ人間を餌食にしたようなものだろう。「わかってるよな?」と言われりゃ、それが「何を意味しているか」ということも暗黙に判っていたはずだ。支店長は、「毎回は言ってない」という証言をしていたが、それは事実だろう。何故なら、圧力が一定の効果を持つようになれば、「大体いつものようにやってくれ」と言えば、「平米(単位面積当たり)で○○kgくらいまで落とせるだろ?」とか(たとえそれが違法な水準であっても)を意味することになるだろう。


工事現場に運び込む鉄筋量が、他の現場と全く違うとしたら、普通は誰でも気付く。他の現場と半分とか3分の1くらいしか積んでなかったとしたら、そりゃ「やけに少ないな」と気付く。工事を担当していた木村建設が工事現場を管理していて、それが気付かないはずがないと思いますね。大体資材調達する際に細かい見積りを出すから(普通はソフトに入力して、定型的なパターンとして出されるはずであろう)、構造計算の結果必要な資材を調達する時に、同じ規模のビルと全く違う量であったら、普通は分からないはずがないのでしょう。構造物の材料が急に減るというのは、通常有り得ないな、と判るはずですね。よっぽどの技術革新とか、材料学的な変革とか、そういうものでないと有り得ないことだろうと思います。仮に、木造船を作ろうとした時に必要な材木量が、同じ規模の船で数分の一で済んでしまうということはないでしょう。これが船体の材料がグラスファイバーに変わって、重量も使用材料も大きく変わる、というようなことでなければ、使う材料がそれ程減ることは想定できないはずでしょう。専門の船大工が「こんな少ない木材で船なんて作れねえ」とかって感じるはずだろう、ということですね。


コンサルタントとかブローカーとか呼ばれる(若しくは自称する)人達は、ちゃんとした人達も多いと思いますが、特定業界に強みを発揮して、業界内部での情報を仕入れたり何処からか聞きつけてきてくるんですね。事業を行おうとする人達に定型的な事業計画書を持ってきたり、他の業者達との交渉とか許認可の申請とか、そういったことを引き受けて、利益を得るのですね。事業に手馴れた人達とか人的資源を多く持つ企業とか、そういった事業者以外では案外素人的なことも多いかもしれず、今回問題となったビジネスホテル事業であっても、新規事業の遂行となれば知らないことが多かったりするかもしれません。「~~ホテルも○○コンサルに頼んでやってもらった」というような情報を知ったり、建築関係の業者達などから「○○コンサルを紹介しましょうか」とか言われたりすることもあるかもしれません。そうすると、事業者はあらゆる交渉ごとなども含めて、コンサルを頼ってしまうかもしれません。きっと色々な業界で、そういうコンサルが存在してると思います。


総研もまさにこういうコンサルだろうと思っています。しかも業界内ではよく知られたカリスマ的コンサルということで、きっと事業の仕切りは十分よく知っていたでしょうね。事業者はこういう連中が「何処から利益を抜くか」ということがよく分からないと思います。普通は気付かないと思いますね(私も知らないけど)。裏ではくっついているということも。コンサル、設計、施工業者、これらが一体となっているということにも、中々気付きにくいと思います。


コンサルが「もっと安く、早く出来ますよ」と、それまで予想していた計画よりも、はるかに初期投資が少ない計画を持ってくるんでしょうから、事業者は「そんなに安く出来るんだ」と驚くと思いますね。そこに落とし穴がある。
「ウチの知ってる業者が請負えば、安くやってくれますよ」「もっと工事費を落とせますよ」とかを事業者に言うのですね。建築業者達や設計事務所は仕事が欲しいと思っているから、ここでも発注者と受注者の関係が生まれる。設計事務所に「(構造計算をクリアして工事費を)安く出来るところに出せ(探せ)」ということを指示するだけでいい。コンサルが「仕事を回す代金をよこせ」ということを受注業者(設計、建築会社)に求めたりするんですね。で、その謝礼を捻出するのはどこからか、ということになれば、他の計画よりも安くなっている以上、「引っこ抜ける部分」から取って来るしかない。今回の中では、「鉄筋を間引き」したとも言える。「姉歯を使え」と直接指示しなくとも、設計・施工業者に「構造計算をクリアさせろ」ということを言うだけでいい。


だが、犯罪認定となるには、実際にコンサルからの強制とか「違法性を知っていて施行をさせた」とか、そういうことがないと無理なんじゃなかろうか、とも思う。内河所長はかなり上手な感じがした。本当に総研が違法建築を強制したというようなことを、木村建設とかから証拠が出ない限り、コンサルの責任追及は難しいんじゃないのかな。議員さん達の怒りがちょっと「空回り」のような感じで、内河所長が薄笑いを浮かべ続けていた。

・・・というような印象でした。



「濡れ手で粟」

2005年12月14日 12時50分26秒 | 社会全般
やっぱりハイエナ軍団は、潜んでいましたね。プロの連中は、現金決済対象の株式の内、半分以上を占めていたとのことです。

Yahoo!ニュース - 読売新聞 - ジェイコム株UBSも取得、証券6社の利益169億


以下に記事より一部抜粋。

証券6社が取得していたジェイコム株は合計で5万3214株にのぼり、みずほ証券が8日に買い戻しをできず、現金決済の対象となった9万6236株のうち、55・3%と過半数を占めていた。8日のジェイコム株の平均株価(59万4979円)から試算すると、UBSを含む6社の株式取得代金は計約316億円。13日の決済で株の代わりに引き渡された現金の額は計約485億円で、差し引き計約169億円の利益を得た計算になる。
与謝野金融相は13日の閣議後の記者会見で「(証券会社が)誤発注を認識しながら、間げきを縫って自己売買部門で取得するのは美しい話ではない」と、これらの証券会社を批判した。


彼らは52000株以上の保有となっており、特にUBSは38000株以上買っていたらしい。UBS単独でも発行済み株式の2.5倍以上を買い占めていたってことだ。な、言ってた通りでしょ?プロが酷いことを散々やっているんですよ。彼らには、買い資金だけ返済して、利益なんざ払ってやる必要なんてないんですよ。だって、「誤発注」だな、って判っても、こういった買占めをするんですから、証券業界の同業者としては、風上にも置けないでしょ?個人投資家に説教してる場合ではないんですよ。与謝野さんが「美しくない」というのは、その通りですよね?「濡れ手で粟」ってのは、まさにこのことだ。みずほ証券の損失のうち、4割以上はこいつらの懐に入るのだ。


証券業協会(そんなようなのがあるよね?)の会員資格の「倫理規定」みたいなので、自主規制でもしたら?こういうのを「真似てる」個人はいっぱいいるんですよ。だって、「プロはみんなやってるじゃないか」って思ってしまう人達が、出てきても不思議じゃないでしょ?本当に紳士的な振る舞いで、「健全な市場形成・投資家育成」というのを目指しているならば、まず「身内」から襟を正すべきなんじゃないか?そうして、個人投資家達に手本を見せるのが当然なのではないか?中央公論の記事の中に「他人が不幸になるところに利益がある」というようなデイトレーダーの発言があったけど、それを地でいってるのがこうしたプロのハイエナどもなんですよ。


よく引き合いに出される有名な話がある。大正時代に、清水善造がウィンブルドンのチャレンジ・マッチ(前年優勝者への挑戦者決定戦、将棋竜王戦の挑戦者決定戦みたいな感じ)決勝で当時の世界最高選手と言われたチルデンと対戦した時のことだ。チルデンがコート上でうっかり足を滑らせ転倒した時に、清水は相手が起き上がってラリーを続けられるように、わざと山なりのゆるいボールを返した。転んだ相手に対して、ここぞとばかりにウイニングショットでポイントを奪ったりはしなかった。この時、試合は白熱した第三セット途中だったらしい。このセット、11-13までもつれたが(普通は6ゲーム先にとるとセットを取れる)、結局清水は4-6、4―6、11-13で敗れた。この年、チルデンは優勝したそうだ。


対決している相手に対して、正々堂々と戦って勝つという姿勢は、かつての日本人の中に培われていた。清水は商社マンだったらしいが、こうした美徳というようなものが根付いていた日本人が、かつては普通に存在していたのだと思う。だが今は、「勝てれば何でもいい」「儲けりゃいいんだ」という、「勝てば官軍」的な人々が多いのかもしれないな。与謝野さんが言ったように、「美しくない」話しが多すぎるのだ。


個人投資家の中には、発注ミスなのか何なのかとか、正確な仕組みを知らないで取引していることもあるかもしれない。だが、証券業者達はそれが「どういうことなのか」が判っていてやっている連中が殆どだろう。特に外資系が多いな。大量に買っていたのは、UBS、モルガン・スタンレー、日興コーディアル、リーマン・ブラザーズ(またかよ、笑)、クレディ・スイス(不正取引で業務停止食らってなかったか?以前に)、そして少しだけ(1000株)野村だ。こうしてみると、野村は相当少ないな。


勝負の世界は厳しい。それは確かにそうだ。だが、勝負の全てが「どんな手を使っても勝てばいい」ということであるなら、「美しき日本人」は本当に存在しなくなってしまうだろう。