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貸金業の上限金利問題~その7

2006年04月28日 22時03分41秒 | 社会全般
何度も取り上げて申し訳ないが、坂野早稲田大教授らのペーパーでは、「金利水準」については、検証されていない。にもかかわらず、あたかも「金利水準は破産とは関係ない」という結論を導きだせるかのように扱うのは何故でしょう?少なくとも、金利上限撤廃or引き下げ反対の根拠にはならないと思う。「破産はライフイベントが原因だ」=「金利は違う」という発想なのだろうか?


また、引下げ反対論者たちは、ヤミ金が増加してきたことと、上限金利引下げとの関連性があるかのように示しているが、なぜ「上限金利が引下げられたのでヤミ金が増加した」と言えるのか不思議だ。他の要因として考えられる、経済環境、調達金利の低下、賃金引下げ等の収入減、貸金業者へのアクセスが容易になったこと、過剰な広告、貸金業利用者の増加率、顧客(多重債務者)情報横流し件数、貸出審査の緩み、業者間の貸出競争、などと比較して、これらの要因よりも「上限金利引下げが闇金を増加させた原因」と信じる根拠というのは一体何でしょうか?経済学を学ぶものたちがよく笑う、「sun spot」と景気循環の関連性みたいなものなのでしょうか?それともジャイアンツ優勝と景気循環の相関とか?(笑)


また凄く変なモデルを考えてみよう。


次のような条件としましょうか。


・多くの人が食べたがる不思議なキノコ(=借金)がある
・食べると何かの効果(=効用)がある
・このキノコを食べると、体内に「負債」という巣を作る
・この巣は自然に増殖して増大していく
・巣には毒性があって、放置すればいずれ「死」(=破産)に至る
・死に至る巣の大きさがどれくらいなのかは不明
・食べるキノコの種類によって、増殖率が異なる
・常に解毒薬(=返済)を飲まなければならない
・解毒薬は巣を分解して小さくする
・各人ごとに収入と支出という代謝がある

イメージとしては、『風の谷のナウシカ』の「瘴気」みたいなもんですかね(笑)。胞子にやられる、と。


早稲田大消費者金融研究所のペーパーや金利引下げ反対派たちの主張は、

1)食べるキノコの量や増殖率と死は関係ない
2)需要があるので、どんなキノコも食べられるようにするべき
3)キノコを食べる側が注意すればいい
4)キノコを売る側はキチンと相手を選んで売っている
5)キノコの種類を規制すると「違法キノコ」への需要増で闇市が大きくなる
6)代謝のうち、収入減少が死への要因



貸金業の上限金利問題~その6

2006年04月28日 20時12分14秒 | 社会全般
ちょっとしつこいですが、また書きます。

一応、ある世帯(個人でもいいですが)での、収支を考えてみることにします。これを、非常にヘンな言い方で申し訳ないのですが、「代謝」と呼ぶことにします(用語としては明らかにオカシイのですけど、他の言い方が思いつかず。なので、当面こう呼ぶことにします)。


代謝はかなり重要なことです。普通は、基礎的な代謝量が大体決まっていることが多いでしょう。それは生活の為の、必要最低限の支出額というのがある、ということになります。今の生活環境を維持する為の、いってみれば固定費みたいなものと考えればいいと思います。例えば住宅ローン返済額や家賃、公共料金、各種保険料、学校の授業料、最低必要食費、等々でしょうか。裁量的な支出ではなく、既に払込先が決まっていて、毎月の金額もほぼ同じくらいであると思います。これらの費用は、支出削減努力が非常に困難な種類の支出ということになると思います。


この基礎代謝に対して、摂取するエネルギー量、つまり収入ですけれども、この両者の差額が一般的な自由支出ということになると思います。貯金するかもしれないし、服を買ったり、本を買ったり、娯楽に回したり、ということですね。これらは、通常削減努力によって、いくらかは支出カットが可能であろうと思います。カット幅は人によって異なります。浪費タイプは当然ながら、カット幅が凄く小さくなってしまいます。支出カットの努力に対して感じる苦痛が同じであっても、「苦痛に感じやすい人」のカット幅はそうでない人(=節約上手とか)よりも小さくなり、同じカット幅を達成しようとするならば苦痛は大きくなってしまいます。


式で書けば、次のように表すことができます。

収入=基礎代謝+自由支出  ・・・(1)


ここで、初期段階で支出カットできる額を「一次カット額」とし(通常は自由支出から削減します)、受け入れられる削減努力の限度を示す係数として「受忍係数」として、次のように定義することにします。

一次カット額=一次受忍係数×自由支出  ・・・(2)
(ただし、0≦一次受忍係数≦1)


先に述べたように受忍係数が小さい(削減が受け入れ難い)人は、同じ自由支出額であっても一次カット額が小さくなってしまいます。借金返済に回すという場合には、この一次カット額から振り向けられることになると思われます。更に返済負担が大きくなっていくと、受忍係数を半ば強制的に1にせざるを得ず、この時は自由支出を全部返済に回す、ということになるということです。


これよりも大きい返済を必要とする場合には、どうなるでしょうか。収入が同じであれば、当然基礎代謝を減らすしかないですよね。これは自由支出削減よりも、もっと厳しく感じられることが殆どだろうと思います。持家やマンションを「手放す」(抵当で取られるということかな?)とか、現在家賃よりも安い賃貸に転居する、私立学校を転校・退学する、食事を削る、というような苦痛を選択するとなれば、普通は自由支出を削減するよりももっと大変ですね。なので、一般にこれらの受忍は容易ではないため、一次受忍係数よりも小さくなるでしょう。それでも、生きていく為の最低金額は必要なので、一定限度以上には削減できなくなります。これを二次受忍係数とすれば、

二次カット額=二次受忍係数×基礎代謝  ・・・(3)
(ただし、0≦二次受忍係数<一次受忍係数、と推定、例外あるかも)


返済に回せる金額範囲は、初めのうちは「0~一次カット額」、次のステージへ進むと「一次カット額+二次カット額の一部」、さらにステージが進行すると最大の「自由支出+二次カット額」に向かっていくということになるかと思います。
通常では、一次カット額>二次カット額であろうな、と思います。


元々低所得である場合、(1)式で言えば、自由支出が少なく、相対的に基礎代謝の割合が多くなります(低所得ほどエンゲル係数が高い、というのと似ている)。なので、一次カット額の絶対値が小さくなります。自由支出の割合・絶対値とも大きい方がセーフティマージンの幅が広く、逆に小さければ小さいほど収入減少や基礎代謝増加(家賃や公共料金の値上げ、食品値上がり等)の影響を受けやすく、セーフティマージンは狭い、ということになります。

また、ギャンブル狂、異性に貢ぐ、アルコール依存、薬物中毒、高額ブランド品買い漁り、などといった状況にある人は、一次受忍係数が小さいので(他の大多数の人にとっては優先順位が低いと思われるような特定の支出を削れない)、すぐに二次カット額へと移行するでしょう。たとえ収入が一定以上あっても、一次受忍係数が極端に小さければ低所得と同様にセーフティマージンは狭いことになります。


全く預貯金がない場合、支出水準が収入よりも少なければ新たな借入は生じません。しかし、基礎代謝+自由支出が一定期間内で収入を上回ってしまうと借入するよりないでしょうね。セーフティマージンの狭いグループでは、広いグループに比べて自由支出部分で吸収できない変動が発生しやすいと推測されますし。


まとめると、借金の返済限界は基本的には、「一次カット額+二次カット額」、最大値付近では、「自由支出+二次カット額」ということかな。収入が基礎代謝以下しかない場合には、普通の借入返済は不可能(親などが返すとか、返済開始時期を遅らせるなどの設定などがあれば可能かも)。既に有している借入返済の為に、自由支出が大幅に減少している場合には、新たな借入がよりシビアな「二次カット額」に突入しやすいと予想される。


こういうことは、経済学の、基本のキの字でなのですか?よく知らんけど。投資や政府支出などを考えない時の、基礎消費と限界消費性向にちょっと似てるね。