昨年3月の量的緩和解除、7月利上げ、そして今年2月の利上げ、と日銀の誤った政策によって、日本のデフレ脱却チャンスはことごとく潰されました。またしても、どん底に沈められていくかもしれません(昨年2月の参考記事)。
日本の低成長を決定的にすることで、日銀は一体何の得があるというのであろうか?
本当に異常としか思われないのである。日銀のやってることには、何らの正当性も論理的根拠も見出すことができないのである。
日銀を擁護してきた金融界や金融メディアにも責任の一端はあるだろう。リークなんかで、「同じ穴のムジナ」として仲良くやってきたからだ。少なくとも素人衆が反対を叫ぶよりも、影響力のある「業界の人々」がはっきりと「間違っている、反対だ」と主張していたならば、これほどの長期低迷を避けられただろう。日銀ばかりではなく、日本の金融関連業界全体のレベルが極めて低いのであり、そういう低レベルの集まりで「仲良しこよし」みたいに馴れ合ってやってきたから、日本経済はどん底に落ちて行ったのである。もしも、あとほんの少しでも全体のレベルが高ければ、いくつかの重要な分岐点で誤った選択を回避することができたかもしれない。しかし、確実に「間違った方向」を選択するという勝負強さが、日本経済の傷を深く大きいものにした。連敗街道まっしぐら。
連続誤答で失点を重ねた、ということなのだ。
大体勘で選んでも2択なら、連続で間違えることなんてそう多くあるわけじゃない(笑)。金融政策上では「やる」「やらない」とか、「上げる」「上げない」というような決定を繰り返してたわけで、こういうのを重要な分岐点として問題1から10までとか割り当てると、ほぼ連続誤答ということなのである。2の10乗って、いくらだ?えーと、1024分の1の確率でしか起こり得ないということで、「奇跡的」な政策決定を行ってきたのだ。それも、「頭を使って」決めたのだから、恐れ入る。普通の人が適当に決めるよりも、もっと確率は悪いのである。殆ど役立ってこなかったような頭を使い、あれこれと理屈をこねて、わざわざ正解じゃない方の答えを選ぶのである。正解を否定するところから始まっているとしか思えない。業界の専門的な人々がみんなでわざわざ「誤り」の方を選択するのですから、余程酷い業界ということなのでしょうか。
少なくとも名目成長で3%とか4%くらいを数年連続で過ぎるというような、「プラスの世界」に頭も体も馴れないと、いつまで経っても低成長・低金利の世界からは抜け出せないでしょう。恐らく、多くの人々の考え方や感じ方は直ぐには変えられないと思いますね。日銀がバカな決定をして、そうした「あるレンジ」に入るのを妨害しているのですよ。フィッシャー恒等式にあったように、期待インフレ率が正の値でせめて1%とか2%あれば、名目金利は3%とか4%とかになっていくに決まっているのに、それを敢えて「preemptiveな引き締め」を断行して期待インフレ率が正の値となってしまうのを阻止しているのが日銀の金融政策なのです。故に、いつまで経っても金利が上がっていかない。日銀が手にしている「モノ」とは、「名目金利」という調節機構にもかかわらず、それを「使いやすくする」ということさえも理解できないのである。
調節性ということで考えてみれば、金利幅が1%しかない場合に比べて、2%のレンジがあれば調節性は高まることはお分かり頂けるだろう。変動幅で考えたって、名目金利を1%から0.5%に落とせば、50%の変動となって相対的に大きな変動幅となってしまう。一方、2%から0.5%落としたとしても、これなら25%の変動幅で済む。金利という調節機構を見てみれば、変動中心のようなものがあって、仮にこれが3%あれば、調節によって上下1%変動させると2~4%というレンジでの調節が出来るのである。この変動中心が1%であると、0~2%となって、下限ギリギリでそこから下の調節機能は失われる。即ち、変動幅が1%を超えてくると、実質的に調節機能が全く作動しないというシステムになってしまうのである。もしこれが機械であったりすれば、誰もこのような設計をしないであろう。「調節機能が全く作動しない」ということを良しとはしないだろう。万が一、変動幅が1%を超えたとしても、”調節機能が全く失われるということがない”ように、たとえばセイフティ・マージンを0.5%とか空けておくであろう。機能が全く失われるようなギリギリのシステムなんて、危なっかしくて、普通は誰も作らないし、作っても採用されないであろう。そういう普通の発想さえも全くないのが、日銀である。変動中心が3%なら、調節域が上下2%あっても機能させられるのである。ところが、変動中心が1%であると下限が1%しかなく、それを超える変動に対してはリスクが高まる(確率的な問題であると思う)し、調節性は明らかに劣るのである。
なので、基本的に変動リスクに対応できる調節機構を維持しようと思えば、普通に名目金利が「ある程度の高さ」になることが必然なのであって、それは先進国などを見てみれば3%とか4%とかにはなっているのである。潜在成長率が2%なのか、それとも1.5%なのか国ごとで違いはあるかもしれないし、期待インフレ率もそれぞれ異なってはいるが、それらの合成された結果として、名目金利が日本のように異常に低い国はないのである。日本の名目金利が上がって行かないのは、日銀の政策が「金利を早く上げたい」という勇み足の結果なのです。犬にエサをあげる時に、「待て」と言ったら指示があるまで食べずに待っているのだが、日銀は待てないのである。直ぐに目の前のエサに食いついてしまうのである。「上がるまで待っていれば」金利の正常化が早く進むのに、それが待てないのである。期待インフレ率が1%とか2%とかになってくれば、「確実に」名目金利は上昇し、金利調節機構を有効に機能させられるのに、である。
日銀短観で大企業製造業のDI が悪化していたそうじゃないですか。CPI も2月はマイナスだったよね?まあ、日銀に言わせると、フォワード・ルッキングだから別にいいんだ、これからどんどん景気が良くなって上がって行くんじゃボケ、ということらしいから。
日銀は昨年3月の枠組み公表から1年だから、きちんと点検してくれるんだろうな。成長経路からの乖離と、乖離リスクについて、定性的・定量的に出せよ。「もうデフレじゃないんだ、デフレは終わったんだ」というのも、日銀の正式発表で明らかにできるんだろうな?デフレが継続していたにも関わらず金利を上げることの意味とは何だ?デフレではない、という”理解”(笑、日銀お得意の言葉だ)ならば、そのように明らかにするべきである。また、「物価の安定の理解」の変化についても公表してくれるんだろうな。委員の入れ替えがあったし、「理解」が共通しているとは限らないからな(笑)。
期待インフレ率が正の値を持続し、名目成長率がある水準以上を連続で達成していけない限り、日本の安定的な経済成長は無理だろう。日銀には、そういう基本的な考え方が全くないままなのである。
日本の低成長を決定的にすることで、日銀は一体何の得があるというのであろうか?
本当に異常としか思われないのである。日銀のやってることには、何らの正当性も論理的根拠も見出すことができないのである。
日銀を擁護してきた金融界や金融メディアにも責任の一端はあるだろう。リークなんかで、「同じ穴のムジナ」として仲良くやってきたからだ。少なくとも素人衆が反対を叫ぶよりも、影響力のある「業界の人々」がはっきりと「間違っている、反対だ」と主張していたならば、これほどの長期低迷を避けられただろう。日銀ばかりではなく、日本の金融関連業界全体のレベルが極めて低いのであり、そういう低レベルの集まりで「仲良しこよし」みたいに馴れ合ってやってきたから、日本経済はどん底に落ちて行ったのである。もしも、あとほんの少しでも全体のレベルが高ければ、いくつかの重要な分岐点で誤った選択を回避することができたかもしれない。しかし、確実に「間違った方向」を選択するという勝負強さが、日本経済の傷を深く大きいものにした。連敗街道まっしぐら。
連続誤答で失点を重ねた、ということなのだ。
大体勘で選んでも2択なら、連続で間違えることなんてそう多くあるわけじゃない(笑)。金融政策上では「やる」「やらない」とか、「上げる」「上げない」というような決定を繰り返してたわけで、こういうのを重要な分岐点として問題1から10までとか割り当てると、ほぼ連続誤答ということなのである。2の10乗って、いくらだ?えーと、1024分の1の確率でしか起こり得ないということで、「奇跡的」な政策決定を行ってきたのだ。それも、「頭を使って」決めたのだから、恐れ入る。普通の人が適当に決めるよりも、もっと確率は悪いのである。殆ど役立ってこなかったような頭を使い、あれこれと理屈をこねて、わざわざ正解じゃない方の答えを選ぶのである。正解を否定するところから始まっているとしか思えない。業界の専門的な人々がみんなでわざわざ「誤り」の方を選択するのですから、余程酷い業界ということなのでしょうか。
少なくとも名目成長で3%とか4%くらいを数年連続で過ぎるというような、「プラスの世界」に頭も体も馴れないと、いつまで経っても低成長・低金利の世界からは抜け出せないでしょう。恐らく、多くの人々の考え方や感じ方は直ぐには変えられないと思いますね。日銀がバカな決定をして、そうした「あるレンジ」に入るのを妨害しているのですよ。フィッシャー恒等式にあったように、期待インフレ率が正の値でせめて1%とか2%あれば、名目金利は3%とか4%とかになっていくに決まっているのに、それを敢えて「preemptiveな引き締め」を断行して期待インフレ率が正の値となってしまうのを阻止しているのが日銀の金融政策なのです。故に、いつまで経っても金利が上がっていかない。日銀が手にしている「モノ」とは、「名目金利」という調節機構にもかかわらず、それを「使いやすくする」ということさえも理解できないのである。
調節性ということで考えてみれば、金利幅が1%しかない場合に比べて、2%のレンジがあれば調節性は高まることはお分かり頂けるだろう。変動幅で考えたって、名目金利を1%から0.5%に落とせば、50%の変動となって相対的に大きな変動幅となってしまう。一方、2%から0.5%落としたとしても、これなら25%の変動幅で済む。金利という調節機構を見てみれば、変動中心のようなものがあって、仮にこれが3%あれば、調節によって上下1%変動させると2~4%というレンジでの調節が出来るのである。この変動中心が1%であると、0~2%となって、下限ギリギリでそこから下の調節機能は失われる。即ち、変動幅が1%を超えてくると、実質的に調節機能が全く作動しないというシステムになってしまうのである。もしこれが機械であったりすれば、誰もこのような設計をしないであろう。「調節機能が全く作動しない」ということを良しとはしないだろう。万が一、変動幅が1%を超えたとしても、”調節機能が全く失われるということがない”ように、たとえばセイフティ・マージンを0.5%とか空けておくであろう。機能が全く失われるようなギリギリのシステムなんて、危なっかしくて、普通は誰も作らないし、作っても採用されないであろう。そういう普通の発想さえも全くないのが、日銀である。変動中心が3%なら、調節域が上下2%あっても機能させられるのである。ところが、変動中心が1%であると下限が1%しかなく、それを超える変動に対してはリスクが高まる(確率的な問題であると思う)し、調節性は明らかに劣るのである。
なので、基本的に変動リスクに対応できる調節機構を維持しようと思えば、普通に名目金利が「ある程度の高さ」になることが必然なのであって、それは先進国などを見てみれば3%とか4%とかにはなっているのである。潜在成長率が2%なのか、それとも1.5%なのか国ごとで違いはあるかもしれないし、期待インフレ率もそれぞれ異なってはいるが、それらの合成された結果として、名目金利が日本のように異常に低い国はないのである。日本の名目金利が上がって行かないのは、日銀の政策が「金利を早く上げたい」という勇み足の結果なのです。犬にエサをあげる時に、「待て」と言ったら指示があるまで食べずに待っているのだが、日銀は待てないのである。直ぐに目の前のエサに食いついてしまうのである。「上がるまで待っていれば」金利の正常化が早く進むのに、それが待てないのである。期待インフレ率が1%とか2%とかになってくれば、「確実に」名目金利は上昇し、金利調節機構を有効に機能させられるのに、である。
日銀短観で大企業製造業のDI が悪化していたそうじゃないですか。CPI も2月はマイナスだったよね?まあ、日銀に言わせると、フォワード・ルッキングだから別にいいんだ、これからどんどん景気が良くなって上がって行くんじゃボケ、ということらしいから。
日銀は昨年3月の枠組み公表から1年だから、きちんと点検してくれるんだろうな。成長経路からの乖離と、乖離リスクについて、定性的・定量的に出せよ。「もうデフレじゃないんだ、デフレは終わったんだ」というのも、日銀の正式発表で明らかにできるんだろうな?デフレが継続していたにも関わらず金利を上げることの意味とは何だ?デフレではない、という”理解”(笑、日銀お得意の言葉だ)ならば、そのように明らかにするべきである。また、「物価の安定の理解」の変化についても公表してくれるんだろうな。委員の入れ替えがあったし、「理解」が共通しているとは限らないからな(笑)。
期待インフレ率が正の値を持続し、名目成長率がある水準以上を連続で達成していけない限り、日本の安定的な経済成長は無理だろう。日銀には、そういう基本的な考え方が全くないままなのである。