毎度のことながら、もっともらしく語られる経済解説の類は、大体はウソっぽいというのがよく判ります。いや、それも商売のうちなのでしょうが、ある種の風説の流布みたいなもんですね。
日本は大量償還がやってくる2008年には借換ができず、国債が暴落して国が破産するとか何とか言ってた連中は何処に雲隠れしているんでしょうかね。こういう時にこそ、「今、国債が値上がりしているのは幻影で、もう直ぐ国債は暴落する!」とか、「円は売りまくられ1ドル180円まで暴落する!」とか、威勢のいい解説を見せて欲しいです。
日銀総裁選びでは泥沼化しつつあるようですが、日銀応援団の方々とかも「日本の金利が低いから円キャリートレードを招き、円安になっているんだ、だからもっと利上げして円を高くしなけりゃならない」だの言ってませんでしたか?他にも、「強い円が正しいんだ」みたいなことを盛んに主張していた人たちはどこのどなたですか?是非、「オレだ」と名乗り出て、同じ解説を付けて欲しいですね。
はっきり言って、適当に言ってるのと変わりないような気がする。評論家だか何だか知らないが、その時その時に都合よく言ってるだけにしか見えない。日本の金利は低いままだけど、急速に円高になったよ?別に利上げしなくてもいいんじゃないの。本当に金利が低いせいですか?それとも、ここから日銀に利上げスレ、とか言い出しますか?(笑)低金利のままでは円キャリートレードを招くから上げるべきだ、と言ってごらんよ。
「強い円」の希望者たちは大勢いたと思いますけど、お望み通りの展開となり良かったじゃないですか。ここで、「円が強くなって良かった、良かった。日本経済には良薬である」とか主張してみたらいいのではありませんか?
ところがですね、現実に円高となってみると、これもいつものお定まりコースなんですが、日本経済のダメージに話が集中するわけです。あれほど円は高くないとダメだ、とか言っていたくせに、ここに至って円高は経済成長を減速するから大変だとか慌てふためくわけです。誠に滑稽としか言いようがありません。なら、最初から「強い円」だの、低金利で円安だのと言わなければいいのにね。そんなに居心地のいい為替レートなんて定常的に維持できんのですって(笑)。
まず、円高になれば日本経済の成長にはマイナス要因となる。これはその通り。貿易収支では輸出超過であり、成長率への寄与度も大きいからだ。でも、北米市場のシェアは約4分の1以下で、近年はアジア地域が最も重要なので、一概には言えないだろう。米国で販売低調となったとして、その影響度はかつてに比べれば小さいだろう。とはいうものの、輸出先がアジアであっても、ドル建て決済であると減収要因であることに違いはない。貿易収支が約12兆円の黒字であったものが、たとえば10兆円に減少する、というようなことはあるだろう。その他にも、近年外貨建て投資が増えているので、所得収支にも影響が出るであろう。特に高齢者は保有資産が多く、こうした投資収入を消費に充てている人が結構いるのではないかと思うので、円高は痛手となるだろう。
つまり、日本にとっては円高というのが成長にはプラスに働く面は少ないのである。が、毎年同じく例えば1ドル100円の水準がずっと続くと、経済がそれに馴れて対応するようになるので、長期的にはプラスになるだろう。しかし、変化の局面というか、小さい範囲で見てみれば、変化の影響を受けやすくなるので問題が生じてくるのであると思う。
例えば小川が流れていて、一定に流れているとしよう。昔、子どもの頃に遊んだりしたことはあるんじゃないかな。笹船を浮かべて追いかけて行ったりとか(笑)。それはまあいいか。とりあえず、緩やかに流れている小川に木の葉を浮かべてみたとする。一定に流れているから木の葉や安定してゆっくりと流れていく。しかし、ある場所においては急に川幅が狭くなっていて、川底には石がゴロゴロしているとどうなるだろうか?そこは流れが乱れており、その部分を木の葉が通過する時には急に速くなり、乱流みたいになっているので木の葉はグルグルと回ったり、流れにもまれたりすることになるのである。同じ小川なのに、だ。そういう部分を過ぎて、再び先ほどの一定に流れていた幅に戻ると、何事もなかったかのように木の葉はゆっくりと流れていくだろう。経済環境もこういうようなもので、時には変化を生じてしまい、その短い時間とか局面とかにおいては大きく変動しているようだが、全体の中ではただの小川のままである。経済主体は木の葉の如く弄ばれるが、過ぎてみれば一定に流れている小川の上にいるのだ。現実には大変化というものがそうそう多くあるわけではない。安定した大河といえども氾濫したりするし、大きな変化がないわけではないが、それは時代の変化とか社会全体の劇的変化というようなもので、そこまでの大きなエネルギーは円高くらいでは生じないだろう(笑)。
参考までに、10%円高で実質GDPの下押しが0.3%程度であるなら、昨年の住宅投資激減の方がはるかに破壊的なものだったのではありませんかね。でも、今の円高みたいに、それほど大騒ぎしている人たちはいなかったでしょ?住宅投資の急ブレーキで日本経済の先行きが云々とか、株価が急落するとか、あんまり言われていなかったのではないでしょうか?なのに、円高が来ると、もっと騒ぐ人たちは多いんですよね。原材料輸入価格との相殺部分はあるだろうから、どのくらいの下押しとなるか判りませんけれども、1%とか下げますかね?どうなんでしょ?
04年末~05年初頭では今と同じ位のドル円水準でしたが、そんなに大袈裟に騒いでいたようにも思わないんですけど。どうしてこれほど反応が異なるのか不思議です。円高を理由として、日本経済がどの程度の影響を受けそうか、という話は判りますが、円高即日本経済オワタ、みたいにはならないと思うのですけど。もう少し定量的な話とか、落ち着いて考えるとかしてくれればいいものを、やたらと大袈裟に大変だ大変だと大騒ぎしたがる人たちが多いみたいで、何か日本経済とか株式市場を落とそうという意図でもあるんでしょうかとか、訝りたくなります。確かに、05年夏頃には踊り場を迎えましたが、秋から冬にかけては日銀も社説子なんかもこぞって「プチバブルだ、大衆が調子に乗っている」みたいに散々非難していたじゃありませんか(笑)。「これは早速引き締めなければならない」みたいに日銀も日銀一派も一緒になってデフレ脱却の手掛かりを潰し、大衆を締めあげたんじゃありませんか。
それに当時のダウは10000~11000くらいで、今よりもはるかに低かったんじゃないですかね。05年中には一度も12000までは上げたことはなかったんじゃありませんか?ということは、今のダウの方がはるかに高いでしょ?
で、日本では当時円高になったし、デフレが続いていたし、失業率も高かったし、新卒採用は厳しい状況だったし、企業収益は今よりもずっと少なかったけれど、現在ほど大袈裟に株価は下落しなかったし、円高で大変だ大変だと大騒ぎになっていなかったし、日本経済は沈没するとも騒いでなかったと思いますけど。
要するに、どんな理屈であろうと、何とでも言えるってことだわな。同じ水準の円高であっても、オーバーに騒ぎ立てて株価下落に結び付けられるし、経済見通しを不安にできるし、こじつけることはどうとでもできる、ってこと。円キャリーでも、金利水準でも、為替でも、何だっていいのさ。適当な理由付けをして、都合よく解説することくらいは誰でも簡単に出来てしまう、ということ。笑える。
米国経済が失速すると影響はあるし、日本企業の業績は悪化する可能性は高まるし、円高で苦しくなることもあるだろうし、そりゃ色々と出ますわな。けど、どうしてこれほどまでに、自分たちで悲観論を合成し、市場ムードを悪化させ、現実に資産を減らすことに邁進するのか、私には判りかねます。日本経済は本当にどん底に落ちていくんですかね?
何かの情報をテコにして、相場を動かしたいという人々が多いんでしょうかね。まるで変動幅を大きくすることを目的としているかのようです。それほどまでに過激に悲観的にならねばならないのでしょうか?踊り場を迎えるかもしれませんが、そんなに言うほど酷い状況が待っているのでしょうか?個人的にはそうならないことを願っていますけど。
ドル安の次は日本売り=円安だ、とか勇ましいことを語ってくれる方もおられるみたいなので、もしそうなってくれると「円高で大変だ大変だ地獄」からは抜け出せそうなので嬉しいですね。是非円売りでお願いしたいな、と。
日本は大量償還がやってくる2008年には借換ができず、国債が暴落して国が破産するとか何とか言ってた連中は何処に雲隠れしているんでしょうかね。こういう時にこそ、「今、国債が値上がりしているのは幻影で、もう直ぐ国債は暴落する!」とか、「円は売りまくられ1ドル180円まで暴落する!」とか、威勢のいい解説を見せて欲しいです。
日銀総裁選びでは泥沼化しつつあるようですが、日銀応援団の方々とかも「日本の金利が低いから円キャリートレードを招き、円安になっているんだ、だからもっと利上げして円を高くしなけりゃならない」だの言ってませんでしたか?他にも、「強い円が正しいんだ」みたいなことを盛んに主張していた人たちはどこのどなたですか?是非、「オレだ」と名乗り出て、同じ解説を付けて欲しいですね。
はっきり言って、適当に言ってるのと変わりないような気がする。評論家だか何だか知らないが、その時その時に都合よく言ってるだけにしか見えない。日本の金利は低いままだけど、急速に円高になったよ?別に利上げしなくてもいいんじゃないの。本当に金利が低いせいですか?それとも、ここから日銀に利上げスレ、とか言い出しますか?(笑)低金利のままでは円キャリートレードを招くから上げるべきだ、と言ってごらんよ。
「強い円」の希望者たちは大勢いたと思いますけど、お望み通りの展開となり良かったじゃないですか。ここで、「円が強くなって良かった、良かった。日本経済には良薬である」とか主張してみたらいいのではありませんか?
ところがですね、現実に円高となってみると、これもいつものお定まりコースなんですが、日本経済のダメージに話が集中するわけです。あれほど円は高くないとダメだ、とか言っていたくせに、ここに至って円高は経済成長を減速するから大変だとか慌てふためくわけです。誠に滑稽としか言いようがありません。なら、最初から「強い円」だの、低金利で円安だのと言わなければいいのにね。そんなに居心地のいい為替レートなんて定常的に維持できんのですって(笑)。
まず、円高になれば日本経済の成長にはマイナス要因となる。これはその通り。貿易収支では輸出超過であり、成長率への寄与度も大きいからだ。でも、北米市場のシェアは約4分の1以下で、近年はアジア地域が最も重要なので、一概には言えないだろう。米国で販売低調となったとして、その影響度はかつてに比べれば小さいだろう。とはいうものの、輸出先がアジアであっても、ドル建て決済であると減収要因であることに違いはない。貿易収支が約12兆円の黒字であったものが、たとえば10兆円に減少する、というようなことはあるだろう。その他にも、近年外貨建て投資が増えているので、所得収支にも影響が出るであろう。特に高齢者は保有資産が多く、こうした投資収入を消費に充てている人が結構いるのではないかと思うので、円高は痛手となるだろう。
つまり、日本にとっては円高というのが成長にはプラスに働く面は少ないのである。が、毎年同じく例えば1ドル100円の水準がずっと続くと、経済がそれに馴れて対応するようになるので、長期的にはプラスになるだろう。しかし、変化の局面というか、小さい範囲で見てみれば、変化の影響を受けやすくなるので問題が生じてくるのであると思う。
例えば小川が流れていて、一定に流れているとしよう。昔、子どもの頃に遊んだりしたことはあるんじゃないかな。笹船を浮かべて追いかけて行ったりとか(笑)。それはまあいいか。とりあえず、緩やかに流れている小川に木の葉を浮かべてみたとする。一定に流れているから木の葉や安定してゆっくりと流れていく。しかし、ある場所においては急に川幅が狭くなっていて、川底には石がゴロゴロしているとどうなるだろうか?そこは流れが乱れており、その部分を木の葉が通過する時には急に速くなり、乱流みたいになっているので木の葉はグルグルと回ったり、流れにもまれたりすることになるのである。同じ小川なのに、だ。そういう部分を過ぎて、再び先ほどの一定に流れていた幅に戻ると、何事もなかったかのように木の葉はゆっくりと流れていくだろう。経済環境もこういうようなもので、時には変化を生じてしまい、その短い時間とか局面とかにおいては大きく変動しているようだが、全体の中ではただの小川のままである。経済主体は木の葉の如く弄ばれるが、過ぎてみれば一定に流れている小川の上にいるのだ。現実には大変化というものがそうそう多くあるわけではない。安定した大河といえども氾濫したりするし、大きな変化がないわけではないが、それは時代の変化とか社会全体の劇的変化というようなもので、そこまでの大きなエネルギーは円高くらいでは生じないだろう(笑)。
参考までに、10%円高で実質GDPの下押しが0.3%程度であるなら、昨年の住宅投資激減の方がはるかに破壊的なものだったのではありませんかね。でも、今の円高みたいに、それほど大騒ぎしている人たちはいなかったでしょ?住宅投資の急ブレーキで日本経済の先行きが云々とか、株価が急落するとか、あんまり言われていなかったのではないでしょうか?なのに、円高が来ると、もっと騒ぐ人たちは多いんですよね。原材料輸入価格との相殺部分はあるだろうから、どのくらいの下押しとなるか判りませんけれども、1%とか下げますかね?どうなんでしょ?
04年末~05年初頭では今と同じ位のドル円水準でしたが、そんなに大袈裟に騒いでいたようにも思わないんですけど。どうしてこれほど反応が異なるのか不思議です。円高を理由として、日本経済がどの程度の影響を受けそうか、という話は判りますが、円高即日本経済オワタ、みたいにはならないと思うのですけど。もう少し定量的な話とか、落ち着いて考えるとかしてくれればいいものを、やたらと大袈裟に大変だ大変だと大騒ぎしたがる人たちが多いみたいで、何か日本経済とか株式市場を落とそうという意図でもあるんでしょうかとか、訝りたくなります。確かに、05年夏頃には踊り場を迎えましたが、秋から冬にかけては日銀も社説子なんかもこぞって「プチバブルだ、大衆が調子に乗っている」みたいに散々非難していたじゃありませんか(笑)。「これは早速引き締めなければならない」みたいに日銀も日銀一派も一緒になってデフレ脱却の手掛かりを潰し、大衆を締めあげたんじゃありませんか。
それに当時のダウは10000~11000くらいで、今よりもはるかに低かったんじゃないですかね。05年中には一度も12000までは上げたことはなかったんじゃありませんか?ということは、今のダウの方がはるかに高いでしょ?
で、日本では当時円高になったし、デフレが続いていたし、失業率も高かったし、新卒採用は厳しい状況だったし、企業収益は今よりもずっと少なかったけれど、現在ほど大袈裟に株価は下落しなかったし、円高で大変だ大変だと大騒ぎになっていなかったし、日本経済は沈没するとも騒いでなかったと思いますけど。
要するに、どんな理屈であろうと、何とでも言えるってことだわな。同じ水準の円高であっても、オーバーに騒ぎ立てて株価下落に結び付けられるし、経済見通しを不安にできるし、こじつけることはどうとでもできる、ってこと。円キャリーでも、金利水準でも、為替でも、何だっていいのさ。適当な理由付けをして、都合よく解説することくらいは誰でも簡単に出来てしまう、ということ。笑える。
米国経済が失速すると影響はあるし、日本企業の業績は悪化する可能性は高まるし、円高で苦しくなることもあるだろうし、そりゃ色々と出ますわな。けど、どうしてこれほどまでに、自分たちで悲観論を合成し、市場ムードを悪化させ、現実に資産を減らすことに邁進するのか、私には判りかねます。日本経済は本当にどん底に落ちていくんですかね?
何かの情報をテコにして、相場を動かしたいという人々が多いんでしょうかね。まるで変動幅を大きくすることを目的としているかのようです。それほどまでに過激に悲観的にならねばならないのでしょうか?踊り場を迎えるかもしれませんが、そんなに言うほど酷い状況が待っているのでしょうか?個人的にはそうならないことを願っていますけど。
ドル安の次は日本売り=円安だ、とか勇ましいことを語ってくれる方もおられるみたいなので、もしそうなってくれると「円高で大変だ大変だ地獄」からは抜け出せそうなので嬉しいですね。是非円売りでお願いしたいな、と。