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続・緊急経済対策―「翔べ、日本」(笑)

2008年03月11日 21時30分22秒 | 経済関連
前の続きです。


2)日本経済の成長減速防止

上記買取とは別に、違う対策も取らせてもらうことにします。
まず一つ目は、米国債の一部売却です。現在債券高となっており、売りには適しています。これにより、米国金利は若干上昇圧力となり、ドル安をやや改善する効果が期待できます。日本にとっては円高によるダメージが軽減されることが期待されます。
で、この売却した米国債はキャッシュに置き換わりますが、これをどうするかということになります。そこで二つ目としては、米国債の売却代金は原油等の商品先物市場での投資資金にさせていただきます。具体的には先物市場で売ることになるでしょう。

米国債を少量ずつ売却していき、投資資金として少し溜まってきたら、先物を売ることになるでしょう。15億バレルの原油購入を考えると、1バレル当たり1ドルの下落で15億ドル分の輸入価格抑制効果がある、ということになります。よって、先物市場規模がどの程度か知りませんが、売り資金が続く限り常時投入していくことになるでしょう。これは小麦など他の先物市場での売りでも構いません。

原油価格の経済に対する影響としては、これまで幾度か取り上げましたが、内閣府のペーパーが参考になります。
ESRIESRI Discussion Paper No173 短期日本経済マクロ計量モデル(2006年版)の構造と乗数分析

原油価格の50%上昇とか、100%上昇ということになれば、もっと大きな負の影響を持つことになりますので、私の考える経済対策としてはかなりの効果が期待できるものと思います。


ここで、気になる理屈を目にしましたので、取り上げてみます。

ドル安だけでは最近の原油高を十分説明できない=FRB幹部 ワールド Reuters

[ワシントン 10日 ロイター] 米連邦準備理事会(FRB)国際金融部門のアソシエートディレクター、スティーブ・カミン氏は10日、ドル安は原油価格に上昇圧力をもたらしているが、それだけで大幅な原油高の理由をすべて説明することはできない、との考えを示した。
世銀主催の原油コンファレンスで語った。
 同氏は、大半のエコノミストが用いている基準に基づけば、ドルが1%下落するごとに原油価格を1%押し上げる効果があると指摘、「ドルが下落すれば、テクニカル的に原油に上昇圧力がかかる。問題はどの程度上昇するかだ。簡単な答えだけでは、最近の大幅な原油高を十分説明することはできない」と述べた。

=====


何と、『ドルが1%下落するごとに原油価格を1%押し上げる効果がある』というのです!
しかも大半のエコノミストが用いている基準だとも言うのです。これって本当なんでしょうか?初めて聞いたんですけど。
一体、どのような理論に基づいているのか、根拠は何なのか、というのが不明なんですよね。しかし、ドル安=原油高という、あたかも基本定理であるかのように信じている、ということに驚きました。誰も疑問に思わないのかな?

原油輸入国ではドル決済であると、ドル下落で輸入価格は相対的に値下がりする。原油の必要量が大幅に変動するわけではないので、価格には大きく依存せずに必要量を調達することになるだろう、ということかな?
日本であれば、1バレル100ドルで買っていると、ドル円が120円なら円換算で12000円だ、と。ドル円が円高ドル安となっていても、1バレル購入するのに先の円換算価格である12000円までは払うだろうから、ドル円が100円なら1バレルが120ドルまで上昇余地がある、みたいな理屈でしょうか?(笑)
どうみてもウソっぽいけど。
それとも、米国内のインフレ率の問題とかでしょうか?

全然判らん。1%のドル下落は1%の原油価格上昇、の法則は、誰が言ったの?

ごく平凡に考えると、原油価格が上がれば日本のような輸入国は、決済の為に多くのドルを買わねばならなくなる。1億バレル必要なら、1億バレル×ドル単価の分だけ必要だ。ドル単価が1%上昇すると、100万ドル分のドルを多く買わねばならなくなるから、その分だけ為替はドル高に動くことになるだろう。ドル単価が50ドルから100ドルに上昇するなら、50億ドル分のドル買いとなる。決済の為に必ず「自国通貨を売ってドルを買わねばならない」からだ。日本、韓国のような輸入国がドルを買うことになればどうなるか?単価で20ドル値上がりすると、400億ドル分多くドル買いをすることになるだろう。すなわち、ドル高となってしまう。
為替は原油価格で決まるものではないので一概には言えないが、原油が高いことによるドル高効果はあながち小さいとは言えないだろう。

日本の石油依存度は低下してきており、物価上昇への影響もこれまでは小さく抑えられてきた。が、ここまで大幅な上昇となると、価格転嫁は避けられず、消費者物価上昇要因となっていくだろう。物価上昇により需要減少となることが考えられ、経済成長にはマイナスに作用することになるだろう。輸入総額の大幅な上昇には必ずしも結びつかず、需要減との相殺などで原油のウェイトは単価増分ほどの影響を示さないだろう。1バレル100ドルであっても、ドル円が100円ならば1万円で済み、120円なら12000円となるので、為替の影響は無視できない。が、そうした輸入価格変動以上に、円高により輸出企業の業績を下押しの方が影響が大きい可能性があるので、ドル安は望ましいわけではない。


今度は米国内の事情を中心に考えてみる。
ドル安ということは、輸入品価格が多分上昇する。それまで100ドルで買えたテレビが110ドルとかに値上がりしてしまうだろう、と(普通は自国通貨安が即、輸入品価格上昇にはならないでしょうけど、一応)。すると米国人は、物価が上がっているのだから給料を上げろ、と言い始めるし、輸入品以外のサービス価格とかも上昇していく傾向にある、と。そうなれば、米国内はインフレ率上昇となるので、実物である資源価格は上昇することになるだろう、だから、原油高になる、とかの理屈なんだろうか?
例の桶屋が儲かる理論っぽいけど。
一般的傾向としては、インフレ率が高くなると通貨は下落するだろうけど、ドルに関してはそういう要因ばかりではないわけで、一概には言えないんじゃないでしょうか。


それとも、直近の原油価格上昇局面を迎えている期間において、原油価格上昇と為替で逆相関があった、とかでしょうか?
それも単なる偶然の一致か、観察期間が短いだけでたまたま成立していた法則なのでは?


ドル安となりそうな要因というのは、
・米国の名目金利が下がり金利差が縮小(今の利下げ後みたいに)
・名目金利低下は通常景気後退局面なので通貨が売られる?
・(名目金利が低下しても)期待インフレ率が高い
というようなことがあるとして、原油価格が上がる理由というものが全く不明なのである。
米国での物価上昇に対する影響度で考えると、原油価格上昇は「思った程大きいマイナスにはならない」ということがあるだろう。少なくとも日本よりは、原油価格上昇の消費者物価に対する弾性値は低いだろう。

原油価格が上昇しても、米国での物価上昇への影響度がそれほど大きくないのであれば、原油価格上昇には容認するという姿勢であるとしても不思議ではないかも。必ずしも経済減速に繋がるわけではないからね。ドル安で輸出が伸びる方が、原油高で輸入額が増大するマイナスよりも有利だ、ということかもしれませんし。


<また寄り道:
米国では、日本みたいに大人しく言われるがままに働くのではないから、働き手が「金寄こせ!」と要求することは少なくないのでは。米国において、ある一定以上に高いインフレ率というのは、「ケッ、オレはこんな安い金で仕事をしてやんねえぜ」という根源的な自己主張(実際口に出すかどうかは別として)があるからではないかと思っている。もの凄く平たく言えば、「ホラ、ホラ、さっさと20ドル出しな!」みたいな気質、ということかと。個人的思い込みなんですけど。
日本人労働者の場合には、客に「300円じゃなきゃ買ってやんねえぜ」と言われると、「わかりました、300円でいいです」みたいな感じになるのではないかと。これが客ではなくて、使用者とか納入先の大企業とか、要は「上の立場」にあるものに対しても同じように反応してしまう、みたいなことです。大企業が下請けに、「300円じゃないとお宅からは仕入れないよ?ん?それでもいいの?どうする?代わりは他にも一杯いるんだからさあ」みたいな要求を出した場合(現実にそうなのかは知りません、例です)、受け入れてしまうのが日本人かな、と。労働者も同じで、「お前さんには300円だけしか払えないよ、代わりは他にもいるから」みたいなことになると、「わかりました、それでいいです」ということになってしまう、ということです。これが米国人の場合であると、「オレの仕事は最低でも500円だ、ビタ一文まけられねえ。ダメなら、ヨソへ行くぜ」という風に、自分で値付けしているようなものではないのかな、と。なので、賃金上昇圧力は常に強く、結果としてインフレ率がそこそこ高いような気がするのです。>


結局のところ、大半のエコノミストが言ってる
「1%ドル安は1%原油価格上昇」の法則
の根拠も考え方も全然判らない、ということです。
誰か教えてくれませんか?


3)国際協力・協調

日本のお金で世界金融が救われるなら、感謝されることが期待できるかもね、ということです。一部の人たちには文句を言われるかもしれませんがね(笑)。
原油先物市場で価格を下げる為に売りをやったりすると、凄い文句が出そう。でも、マネーゲームの結果、需給に基づかない価格形成となっているのだから、そういう反則技には別な返し技を使うしかないでしょう?
それもしょうがないんですって。
マーケットのルールはそうなっていますから(笑)。



緊急経済対策―「翔べ、日本」(笑)

2008年03月11日 20時19分36秒 | 経済関連
日本の政治はトコトン腐っている。まるで電池切れで動かなくなったブリキのロボットみたいなものである。
今のような、世界経済が大変で日本の経済成長にも悪影響が出るという時にでさえ、何一つ動いていかない。あるのは、永田町という異次元世界での冒険ファンタジーごっごだけである。「日本政治」という、誰の何の為にやっているのだか分らない特殊な世界で、自分たちの殻に閉じこもって永遠にやっているのである。本当の愚か者である。世界にリーダーシップを示すとか、そういう次元の問題ではない。政治ごっごに明け暮れて、眼前にある問題に対処しようともせず、誰かの為に何かをするでもなく、ただ一つの行動さえも起こせず、これから歩いていく方角を指し示すでもなく、無駄に時間だけが過ぎていくという、国民には耐え難き無能集団が日本の政治家なのだ。

一国民からはっきり言わせていただくと、もう絶滅して欲しい。そういう連中はいらない。
問題を解決し、事態を収拾し、安全を確保し、国民を守ってくれる人間だけがいればいいのだ。


本題に入ろう。
大仰なタイトルをつけたが、アイディアに乏しいので悪しからず(笑)。今流行りの「I can!」とかでもいいのだけれど、どうみてもオバマのパクリですし、何かと外来語で済まそうとする心性はあまり好きではないので。漢字でいいんですよ、漢字で。外国人にも漢字Tシャツは人気があるだろうし(関係ないか)。ライジング・サンとかでもいいのだけれど、これも朴李ですから止めておきました。日本人なら日本語を用いましょう、ということで。ま、作戦コード名は別に何だっていいです。「黒いジャパンマネー」とかでも構いません(笑)。


昨年に対策としてちょっと書いたのですが、これにパワーアップしてみようと思います。
ジャパンマネーは世界金融の救世主となれるか


緊急経済対策の主たる目的は、
1)世界金融システムの安定化
2)日本経済の成長減速防止
です。
以下、各論的に書いてみます。


1)世界金融システムの安定化

今、一番重要なのがこれです。欧米金融機関の資金かき集めは続いているものと思われ、ギアが逆回転になっている流れは変わっていないでしょう。FRBが金利引下げや供給増で対応していますし、政府の緊急対策も打たれましたが、大手金融機関の「必死だな」状況は変わっていません。彼らの持ち札のうち、かなりの部分がポジション整理とかを中心にキャッシュとして回収されてきたでありましょうが、それでもまだ危険な状態を脱したとも言えないでしょう。

報道で見られた如く、某ファンド系のように担保差し入れをできずに資金繰りに行き詰るファンドや金融機関などが出てくることは今後もあるかもしれません。これまで起こってきた現象としては、相場に張っていたファンドや金融機関のお金が膨張し過ぎ、それがしぼんできているということだろうと思います。上がっていく場面ではこの膨張策でうまく資金が回っていくが、この逆回転が起こると信用収縮に繋がるということでしょう。


 a)投資と信用枠

個人投資家でもほぼ同じようなものではないかと思います。
100万円で株を買い、これが値上がりして150万円になれば担保価値が上がるので、例えば信用取引の枠が400万に広がり、400万円でまた株を買うと値上がりして500万円になり、担保価値が上がるので更に信用枠が広がり、ということで、上がり続ける限り「枠の収縮」は起こらない、ということになります。信用創造というのは、基本的には持っている資産に応じて拡大するので、資産価格上昇が継続していると信用枠を目一杯にして買い進んでも儲けが出るし、資産総額が膨張する一方になるのです。

しかし、今回の一件では米国の住宅価格下落から始まった、「信用枠の連鎖的収縮」というようなことが発端なのです。まあ、個人投資家で言えば、持ってる株のうち一つの銘柄(毒銘柄とでも呼びましょう)が大幅に下落した、というようなことでしょうか。普通は他の銘柄で値上がり益があるので、値下がりした毒銘柄だけ売って処分すれば問題は解決するのですが、この毒銘柄は流動性危機に陥って、誰も買い手が付かなくなってしまった、ということですね。で、
・処分できないので持っていなければならなくなり、毒銘柄を持っているせいで損失額が拡大していく
・その恐怖は他の投資家や銘柄などにも悪影響を及ぼし、恐怖感が伝染していく
・すると、みんな慌ててキャッシュを用意する為に他の銘柄売却をしようとして、資産を売ることになる
・みんなが売るので、毒銘柄以外の価格もどんどん下がり続ける
・持っていた資産総額は大幅に減少し、追証を迫られる
・追証が払えそうにない人はどこからか資金調達しなければならなくなって困っている

とりあえず「一番気に食わない日本市場」で株を売ってキャッシュを回収したが、それでも足りず、しょうがなく欧米や中国・インド等新興国株式なども売却した、というところに来ているのでしょう。

これまでの信用枠拡大は、潤沢な資金流入で自ら買う→上がっているので他のみんなも買う→なのでまた上がる→信用枠が拡大し新たな買い資金が生み出される→また買うので上がる→信用枠がもっと拡大して…以下ループ、ということです。この拡大システムは際限なき拡大を可能にしてしまうという危険性があるのと、資金量が大きいと自ら買った効果で値上がりして枠が拡大するという連鎖効果をもたらすと思います。その歯止めのようなものをどのようにするか考えておかねば、今回のような混乱を招くものと思います。

おしえてにちぎん(おやじギャグですみません)じゃなかった、ソシエテ・ジェネラルのケルビル容疑者の一件のように、膨大な額を相場に張ることが可能、というのも、こうした信用枠拡大システムの効果(専門の人たちはレバレッジとか言うのかな?)があった為じゃないかなと思います。張る額が大きければ損失もデカい、ということになってしまいますね。


<ちょっと寄り道:
ケルビル容疑者のポジション整理の為に日本市場での大幅下落が起こったのだ、とか解説を加えていた元マッキンゼーとかの人がいたような気がするが、ちょっと疑問に思うこともある。ケルビル容疑者の投資先は殆どが日本だったのか、売り越し額の大部分がそれで説明がつくものなのか、ということですね。因みに、私自身はマッキンゼー何ちゃらとかいうコンサルのことは、あんまり信用してないんですよ。多分立派な人たちは大勢いると思うし、理論的に正しいことも教えてくれるのでしょうけど、彼らの言うとおりに実行した場合、日本が本当に幸せになれるのか疑問に思うことはあるからです。結局はどんな社会を目指したいのか、という所に行き着くのではないかな、と思うのですよ。アメリカと同じ社会システムになりたいなら、マッキンゼーの言うことを信じてやればいいだろう。でも、私は日本がアメリカと同じ社会になるなんて受け入れ難い。アメリカ型社会がそんなにいいのであれば、他の先進諸国も同じにしていてもよさそうだと思うが、あんまりないような気がするけど。つまり、そんなにマネしたいとは考えていないのではないでしょうか。笑>


ケルビル容疑者の一件は、ベアリング銀行が倒産するに至った教訓が活かされていないのではなかろうか、と思わないでもありません。ニック・リーソンがオプション取引で巨額損失を蒙ったように、ケルビルも1人で巨額資金を張り込んでいけたわけで、そういうシステムそのものが危険だ、ということではないかな、と。どこかにブレーカーのようなシステムを組み込まないと、レバレッジで創造された「幻の貯金箱」が膨大な資金量となってしまって、勝ってる時はいいが下落スパイラルに陥ると、貯金箱が幻であったが故にどこからも資金は出てこないわけですからね。身の丈に合わない「貯金箱の大きさ」というものに問題が潜んでいそうです。このことは、融資全般について言えるかもしれませんが、まだ見ぬキャッシュというのは「払えるだろう」という予測の中にしか存在しておらず、現実に出して頂戴って話になったら、殆どは資金調達に窮するってことです。


 b)金融システム安定化の対策

前置きが長くなりましたが、対策を考えてみます。
信用枠の膨張にブレーキをかけるシステムについては、今すぐに緊急性はないので、事態が落ち着いてからじっくりと世界中の専門の人たちに考えてもらえればいいかな、と思います。素人考えで恐縮ですが、信用枠を個別金融機関ごとに資産額に応じて制限を加えるとか、最大のレバレッジ倍率に限度を設けるとかでしょうか。ま、この辺はよく判りません。

現在欧米の大手金融機関はキャッシュかき集めに必死になっているようですから、これを止めねばなりません。以前に書いたとおり、日本が持っている金を出し、毒(若しくはその疑いのある債権)を除去するということです。
額は多い方がいいですが、最低でも15兆円規模程度を目指します。
大手金融機関からの買取請求に応じて、流動性のなくなっている各種債券等を買い取るのです。評価額は当然大幅ディスカウントです。差額分に相当する株式転換条項つき債券を担保として取ります。これにより大手金融機関にはかなり資金的余裕が生まれると思われますので、その分は米国内の他の部分に対応できるようになるでしょう。

買い取った債券のデフォルトは日本の損失となりますので、何らかの特約条項が必要です。こうした条件は専門の方々によく知恵を絞ってもらって、考えてもらえばよろしいのではないかと思います。私ならば、損失が埋まるまで日本政府が払う防衛関連費用を相殺する、とか入れると思います。航空自衛隊が購入するエンジン費用だの、ミサイル防衛で払う分だの、いくらでもありますから。日本が支払うべき分については、米国内で誰が払うか決めてもらえばいいのですよ。米国政府か、業者間で痛み分けか、政府と按分か、好きなように考えてもらえればいいです。



とりあえず。
続きは次の記事で。




12600高地攻防戦~ある兵士の手記

2008年03月11日 14時03分43秒 | 俺のそれ
①3月7日(金)

依然として含み損を抱え、相場全体が上がらなければこれが解消されることはなく、買い方にとっては厳しい戦いが続いていた。その他大勢は退却に次ぐ退却で、日経平均下落が起こっていた。


これまで、わが隊は投資資金の約10%もの損失を蒙っていた。
哀れなり、ミニ株部隊。
ほんのささやかなポートフォリオさえも、容赦ない攻撃に曝されるということだ。更に、年末から年初にかけて投入していた新戦力(資金)では、約15%の大損害となっていた。それでも、新戦力部隊投入効果による僅かばかりの戦果があったので、この新たに獲得したキャッシュでミニ株部隊を追加していた。男なら買いだ(笑)という戦略方針の下、やっと獲得した戦果で買ったのに、また激戦に巻き込まれることになってしまったのだ。


この日、やはり13000円を割っていた。
キャッシュは残してあったので、いくつか買った。週末持ち越しになってしまうが、必ずや回復するであろう、という読みで敢えて買ったのだった。しかし、これが惨劇の始まりだった…。

日経平均は前日より大幅に下げ433円安の12782円で引けた。
このあと、欧州も米国市場も大幅安となり、不安な週末を過ぎることとなった。外為市場では、ドル下落が止まらず、円高の恐怖感は市場を覆っているようだった。


②3月10日(月)

始まる前から悲観ムードが漂っていた。誰も買う気力を持っていないようだった。米国の下げとシカゴの日経先物の下落が尾を引いているように思われた。

が、寄付では思ったほど下げず、約70円安と小安く始まった。

わが隊の新戦力は一端は上昇したものの、その後はズルズルと後退していった。売り方が仕掛けた攻撃に、あっけなく土俵を割る程度の防衛部隊しかいなかった。戦線は撤退を繰り返し、もうすぐ昨年来安値ラインが見えていた。日経平均12600円を巡る攻防戦が始まった。前場では一時「12600高地」を売り方に奪われたが、買い方も僅かに切り返し、50円ほど押し込む場面もあった。が、間際には再び売り優勢となり、12600高地を死守できるかは午後に持ち越された。

後場のスタートから大量の売り物が出された。売り方は航空支援を要請したようだった。対地攻撃用に騎兵隊を呼び寄せたらしい。現代の騎兵部隊は、ヘリと相場が決まっている(笑)。激しい機銃掃射とポッドから火を噴いて吐き出されるロケット弾の攻撃は、脅威であった。更に爆撃機による絨毯爆撃も行われた。この攻撃により、あっさりと12600高地を奪われてしまった。
が、買い方も勇気を出し、わが隊も増援部隊を補強し新規資金投入を決断した。買い方は、再び12600高地の奪還に成功したのだった。売り玉を浴びながらも、12600高地に踏み止まって、戦い続けた。が、わが隊にはもう増援を呼ぶ力は残っていなかった。どうにかその場に踏み止まることしかできなかった。売らずに耐えるのみ、ということだ。味方の反撃を期待しつつ、わが隊は弾切れにつき戦況を注視するしかできなかった。

ひとさんまるまる時以降に激しい戦闘があり、多くの買い方部隊が粉砕されていった。売り方の仕掛けの前に、次第に後退戦の様相となっていった。そして遂に1時間も持たずして、12550陣地への退却を余儀なくされた。わが隊は激しく傷つき、流血のため真っ赤に染まっていた。一覧は惨憺たる大流血となって、数字には赤い糸を引いていた(笑)。おのれ~、売り方どもめ。
その後、12550陣地に籠もって防衛戦が展開された。敵は次々と迫ってくるのだが、陣地の守りを容易には突破できないでいた。しかし、援軍の期待できない戦いに、買い方部隊が疲弊していく様子が見てとれた。戦線から撤退してゆく買い方部隊。次々と撃たれて死んでゆく…。明日の見えない戦いには、空しさと敗北感だけが残された。

結局戦闘終了時には安値更新となり、12550陣地も放棄して退却となった。12532円で引けたのだった。
この日、アジア、欧州、米国とみんな敗北となったようだった。各地の戦線で退却となった。

わが隊の失敗は、12600高地を死守するべく戦闘に参戦したことだった。
やめておけばよかった。
損害を更に大きくしてしまった。


こうして東京戦線においては、12600高地を失った。
買い方には心理的に大きなダメージとなった。

今後も苦しい戦いは続く……