いい国作ろう!「怒りのぶろぐ」

オール人力狙撃システム試作機

人種差別と『黒いジャガー』

2008年06月12日 18時02分57秒 | 俺のそれ
現代アメリカにおいてでさえ、そういう問題が語られるというのは、やや残念ではある。

クリント・イーストウッド監督の「黙れ!」に、スパイク・リー監督が応戦(シネマトゥデイ) - Yahooニュース


自分の記憶の中では、何といっても『黒いジャガー』という古い映画が人種差別とアメリカを知るには良い教材となった。映画の中身とか映像云々はあまり覚えていないが、映画音楽を紹介するラジオ番組(NHKのFMだったと思う)で、初めてこのテーマ曲を聴いた時、かなり興奮したものだ(笑)。
いや、そんなには興奮しなかったけど。

でも、レコードを何度も聴いた。


話を戻すが、「硫黄島からの手紙」に黒人兵士が登場しない、という指摘は、言われるまで気付かなかった。そういう目線というのは、日本人であるが故に「うっかり気付かない」ということはある。

他の映画なんかでは、白人以外にも、まんべんなく黒人、ヒスパニック、アジア系などを意図的に登場させているシーンとかに気付いたことはあるけれど、戦争映画に黒人兵が映っていなかった、というのは、本当にうっかりしていて気付かなかった。

「アメリカならではの皮膚感覚」というようなものが必要なのだろう。陪審員の拒否とか、ああいうのにも日本人は馴れてないし。選挙でもそうだね。結構人種の影響は大きいから。人種のるつぼで鍛えられていると、やはり違うね。



原油価格のこと・2

2008年06月12日 12時29分13秒 | 経済関連
追加ですけれども、何と言いますか、「情報の質」ということを、よく考えて頂ければと思いますね。

つい先月にはこのような記事がありました。
円債こうみる:原油先物に調整リスク、インフレ沈静で金利低下も=大和総研 奥原氏 マネーニュース 最新経済ニュース Reuters

(一部引用)

一方で、米国のガソリン価格高騰や供給能力不足を受けて、日本政府はガソリン対米輸出の検討を開始。米国政府は戦略的備蓄の積み増し停止に加えて、サウジアラビアから6月以降に増産を取り付けるなど原油高対策を打ち出した。また、米議会は商品取引の相場操縦に関する罰則を強化するCFTC(米商品先物取引委員会)の拡大法案を可決。こうした諸策が原油高に一定の効果が見込まれると予想される。

=====

この「日本政府はガソリン対米輸出の検討を開始」という記述なんですが、この「内部情報リーク」はどこから出たものなのでしょうか?市場に流されたのだろうと思うのですけれども、そうするとマーケット関係者たちは「その情報を元に判断、行動しようとする」だろうと思いますので、米国ではガソリン需要が逼迫しているのだな、という印象を持つのではありませんかね。いや、これは私個人の印象でしかないんですけれども。


では、実際に米国のガソリン需要というのはどうなのかといえば、価格高騰のあおりを受けて「需要減少」ですわな。サブプライム問題もあって、消費減退でしょうし。つまり、ガソリンを日本から輸出する必要性なんて、これっぽちもなさそうだね、ということは普通に判るわけです。

米ガソリン需要は前年比38%減、ガソリン価格の高値更新で=マスターカード・アドバイザーズ マネーニュース 最新経済ニュース Reuters

(一部引用)

マスターカード・アドバイザーズが10日発表したスペンディングパルスの週間報告によると、6月6日までの週の米ガソリン(小売り)需要は、価格が最高値を更新するなか、1日平均908万6000バレルとなり、前年同期比3.8%減となった。
前週比では0.5%増加した。年初からの需要は前年比1.9%減少した。

マスターカード・アドバイザーズのバイスプレジデント、マイケル・マクナマラ氏は「地域別の前年比ベースでみると、全地域で2007年よりも消費が減少している」と述べ、ガソリン価格が最も高い西海岸での需要の落ち込みが特に目立つと指摘した。ガソリン平均小売価格は1ガロン=3.97ドルと、前週から0.03ドル上昇した。年初からは0.91ドル上昇した。

ガソリン需要の過去4週間移動平均は前年比5.2%減少した。

=====


はい、需要減少ですね。
経済学の教える通りの状況が観察された、ということになりましょう。移動平均でも減少傾向が続いていたわけですから、先月20日頃の時点でも「需要は減少傾向」だったでしょうね。なのに、日本から輸出を検討、ですって?(笑)

EIAの統計でも、ガソリン在庫は特別少ないわけではありません。見通しとして、消費減退だろう(サブプライム・ショック等のリセッション懸念とか)という時に、在庫を増やそうとする意味なんてあまりないでしょう。むしろ、いつもより売れなくなっているなら「在庫が積みあがる」ということになりますし、輸入量を落としていくしかない、ということにもなるでしょう。


米原油在庫が大幅減、輸入減で=EIA週報 ワールド Reuters

(一部引用)

米エネルギー省エネルギー情報局(EIA)が11日発表した週間石油在庫統計(6月6日までの週)によると、輸入減を背景に原油在庫が予想以上に減少した。一方、ガソリン・留出油在庫は増加した。原油在庫は460万バレル減の3億0220万バレル。アナリストは110万バレル減と予想していた。原油輸入は日量9万8000バレル減の日量969万バレルとなった。

=====

ええー、当方のブログ記事に対抗して天下のロイターさまが記事を出してきた、ということでもないでしょうが、ちょっと引っ掛かるんですよね。
ガソリン在庫は増えているけど、「原油在庫は大幅に減ったんだ!」と強調したいのかもしれませんが、3億バレル割れの年さえあったじゃないですか。今年の原油需要見通しが減少であれば、在庫を多くするメリットなんてないんじゃありませんかね。

またデータを見てみましょうか。
U.S. Weekly Crude Oil Ending Stocks Excluding SPR (Thousand Barrels)

ここ最近では、00年、01年、03年、04年なんかは、08年よりも少ないか同程度でしかないですね。輸入量が減って在庫が減るのは、景気がパッとしない時期だから、ということもあるのではありませんか?
経済成長が落ちるのですから、生産活動も低迷していまいがちでは、ということですよ。少なくとも「今年が特別な年」ということではなく、あんまり大きく違わないんじゃないですか、ってことを言っているんですよ。現に、ガソリン需要は減少が観察されており、通年でも需要減少が続くことは予想されますね。

日本から輸出が必要なほど需給は逼迫しているのでしょうか?


調整局面を迎えておかねば、上昇幅が今よりも大きくなってからでは「傷が深く」なるでしょう。体力が散々削がれてきたハズなので、今度大きな崩落が起こったら、少し倒れるだけでは済まなくなるでしょう。耐え切れないかもしれませんよ。



※ちょっと関係ないけど

過去に、こういう記事を書くと、必ず報復の嫌がらせをされるんですよね(笑)。私個人に損をさせることができたとしても、それでみなさんが儲かるわけではない、ということは憶えておいた方が良いでしょう。
目の敵にしたい気持ちは判りますけれども、だからといって、正しい情報や考え方を隠蔽してよい、ということにはなりませんので。

米国には、「米国の良心」を持つ人々がいるんですよ。私のようなちっぽけな取るに足らない人間の言うことでも、真摯に考えて正義を実行しようとする方々がおられる、ということです。私は、そういう米国の正義を信じてきたし、今でも変わっていませんよ。
日本のマスメディアとか、政治家とかに比べれば、はるかに勇気ある人たちがいるのです。それは羨ましい限りだな、といつも思うんですよ。

日本みたいに、権力に馴れ合ったり隠蔽に加担するのではなく、どのような権力にも立ち向かう、勇気と正義を信じる人たちが、マスメディアにも知識人たちにも大勢いるのだ、ということを過去に実証してきた国がアメリカなんですよ。世界にそういう国は滅多にないでしょう。日本と決定的に異なるのが、そこなのです。

日本のマスメディアを見れば一目瞭然です。権力に対して、あまりに弱い。むしろ片棒を担ぐ連中の方が多いくらいですから(笑)。比較にもなりませんよ。




原油価格のこと

2008年06月12日 00時49分13秒 | 経済関連
先日書いた記事にコメントをいただいたままになっていましたので、追加しておきます。

日本の協力で世界経済を救うべき

陰謀論は好きですよ(笑)。石油の代替はない、というのはそうでしょう。しかしながら、供給を大幅に上回る需要がなければ、「価格は上がらない」というのが経済学の教えるところです。脱石油という書き方がマズかったかもしれませんが、省エネ化、エネルギー効率アップ、自然エネルギー利用、石油使用製品の削減、等のことです。記事にも書いていますが、所得水準の低い国では石油が高騰すれば、それを用いた製品自体が売れなくなってしまうだけですので、実需が落ちるだけです。ガソリンも燃料を多く用いる産業も苦しむだけですので。簡単に言えば、車が売れなくなる、みたいなことです。産油国が儲かって、その落ち込みを上回る消費を拡大するとかであれば別ですが、そこまで世界経済を支えきれるものではないでしょう。


陰謀論というのは、例えばこんなのを書きました>砂漠の夜の物語

こちらのコメント欄とか>外国人労働者について

印象改善?ということではないでしょうが、献血でごちそうするという特別な取組みをサウジ在日大使館が行うというニュースがありましたね。これは関係ない話ですね。



1)06年10月 OPEC減産を決定

原油レポート

こちらのレポートに述べられていますが、減産決定を受けて原油価格は「下落」となりました。供給能力が上回っているので減産するわけで、需要がそこまで多くない、ということでもあります。前の記事に取り上げた2010年までの予測でも、価格は下落するだろうというのがIEAのみならず、米系、英系、スイス・独系、豪系コンサルのいずれも下落であり、基本的には需要予測よりも供給力が上回っていれば価格は下落するものであると思います。インフレ率がちょっと関係するので、単純に数字の大きさを比較することは難しいかもしれませんが、平均的な物価上昇の要因を除けば、実質上昇率はプラスであっても低いか下落するということであると思います。

当時(06年9月)のOPEC10カ国+イラクの生産量(日量、以下特に断りがない場合は全て日量です)は、2963万バレルで8月よりも約20万バレル減産であったにも関わらず、11月以降に120万バレル減産を決定した、ということです。


2)06年12月 OPEC減産を決定

OPEC臨時総会速報

こちらに示されるように、減産決定からわずか数ヶ月で更に50万バレルの減産が決定されました。需要予測、高水準の在庫、供給能力、これらの検討結果から減産という判断をした、ということです。「2580万バレルに減産」ということです。大幅に減っている、ということです。

もう一点は、アンゴラ加入です。アンゴラの生産量は90万バレルといった水準でしたので、生産枠外ですから、実質的には生産量が大幅に落ちるということでもない、ということでしょうか。IEA予測では、アンゴラの生産量は200万バレル程度までは増加するだろう、ということでした。中国との関係が出てくるので、スーダン問題とも関連し重要です。


3)07年8月のレポート

石油天然ガス・金属鉱物資源機構資料

こちらの予測では、OPECの要求生産量は約3100万バレル程度です。06年11月には約2900万バレル(アンゴラ除く)でしたので、仮にアンゴラの生産量を100としても、僅か100万バレルの増加でしかありません。供給能力から見れば問題のある水準ではなく、増加量はたったの3.2%でしかないのです。


4)07年9月以降 IEAの08年見通しは連続で下方修正

IEA、04年第4四半期と08年の世界の原油需要見通しを下方修正 ワールド Reuters

(一部引用)

国際エネルギー機関(IEA)は12日発表した月例報告の中で、2007年第4・四半期および2008年の世界の原油需要見通しを下方修正した。そのうえで、価格高騰が需要を一段と抑制する可能性があると指摘した。
(中略)
2008年の原油需要の伸びについては、従来予想を日量7万バレル下回る210万バレルになると予測した。

=====

ここから判ることは、08年予測としては「下方修正」、つまり需要の伸びは鈍化ということです。
08年1月以降、IEAは「毎月下方修正」を繰り返しています。つまり、昨年秋以降、需要予測が「上方修正」されたことは一度もありません。neverです。never。

IEAが08年世界石油需要見通しを引き下げ、一段の下方修正も Reuters

5月の下方修正では、以前に210万バレルの増加と言っていたのを、半分以下の103万バレル増加までに、大きく減少しているんですよ。

IEAが08年世界石油需要見通しを引き下げ、過去6年で最低の伸びを予測 ワールド Reuters

現在の世界生産は約8600万バレルですが、こちらの記事からはOPECで3160万バレルです。残り、5440万バレルは非加盟国の生産ということです。勿論、最大はロシアです。他に、北米、欧州、アジア等が加わるので、OPECが占める割合は4割を切っており、約63%は別だということです。


5)中国の需要増加

よく言われるのが、中国が大量に輸入するから需給が逼迫する、みたいなことです。
例えば、05年の輸入量よりも06年は約1836万トン増加していますが、日量でいえば約37.2万バレルに過ぎません。当時OPECに加盟していなかったアンゴラの生産量で十分間に合ってしまう程度の量でしかない、ということです。なので、06年に「中国の輸入量は増加した」にも関わらず、OPECは120万バレルもの減産を決定した、ということは、中国の輸入量がOPECの供給を補える程に増加していたわけではなかった、ということに過ぎないのです。

06年に比べて、07年にも輸入量は増加していましたが、増加率は鈍化し約1800万トンでした。日量では36.5万バレルですので、アンゴラ以外のスーダンなどからの輸入が増加するのであれば、かなりカバーされてしまうでしょう。近年中国の輸入先はアフリカが増加していますが、それはアンゴラやスーダンからの輸入量が増加している為でしょう。

08年の輸入量の伸びは、価格高騰と中国経済の高インフレによって、国内産との価格差が大きくなりすぎるので、大幅に鈍化するのではないかと思います。経済成長で金持ちが増えたといっても、べら棒に高い車だけではなくガソリンを買えるとなる層というのは、限界がありますから。


6)米国の生産量は減ったまま

U.S. Crude Oil Field Production (Thousand Barrels)

90年1月を100として同月を比較すると、98年は86.7、08年は67.5でしかありません。これはどういうことか?
本当に国内需要が逼迫しているのであれば、生産を増加させることは不可能ではないはずですが、価格上昇が明確になった05~06年以降であっても生産量は減少傾向が続いています。下げ止まり感は若干あるかもしれませんが、それでも、かつてのように生産を増やすという状況にはなっていない、ということでしょう。

あと、こちらも>U.S. Weekly Total Gasoline Ending Stocks (Thousand Barrels)

「total Motor gasoline stock」は昔と何も違いなどなさそうにしか見えませんね。

もしも本当に原油価格が上昇を続けるのであれば、交易条件悪化を受け入れてまで、或いは国内の不満増大や需給逼迫を放置してまで、原油生産を増やそうとしないことの理由などないでしょうね。だって、国内的に雇用拡大にもなるし、輸入量を減らせるから交易条件は改善されるでしょう。けれども、それをやらないということは、「原油生産で儲かる」ということではないから、なのではありませんか?


7)原油価格は作られた相場

結局のところ、OPECが減産前の水準に戻しておけば、世界需要はほぼ問題なく賄えると推測されるでしょう。07年秋以降に需要が増加する要因は、何一つ出されてこなかった、ということですよ。供給量の増加の方が、上回っていたのですよ、多分。それはOPEC以外の生産量の増加が、OPECの地位低下を招いているという形で示されているでしょう。儲かれば掘るに決まっているのですから。アフリカの生産量増加も、影響しているでしょう。需要が大幅に増加している中で、OPECが供給を減らす特別な理由などなく、単純に非加盟国の供給量が増加したからだ、ということ以外にはないでしょう。

埋蔵量や生産量でサウジの次に来るのは、イランとイラクです。米国との関係を見れば、何故、イラク戦争が起こったのか、イランの問題は何故続くのか、ということは、判りそうで判りませんね(笑)。反米的といえばベネズエラがありますけれども、シェブロンが手痛い失敗をしたのも、何となく「そうですか」とは思いますね。誤算だったのは、ロシアがこれほど輸出で儲かるとは、考えていなかったのかもしれませんね(笑)。

いずれにせよ、08年の世界需要は大幅に下方修正されたのだ、ということは憶えておいた方がいいでしょう。
何の理由もなく、ささいなこじつけ的理由を並べ立てて、上昇を演出してきた連中はいるのだ、ということです。買いの建玉は相当積みあがっているようですね。売り玉も結構ありますが、現物(原油)を持っていれば、例えば来月(将来時点)に今よりも高い値段で売る権利を買っているだけなので、十分儲かりますからね。

売り玉が買い玉を上回らない限り、下がっていかないので、結局は資金量で決まる。今は、売りを上回る買建が積み上がっているので、「誰か」が売らないと超えられないのだ。