いい国作ろう!「怒りのぶろぐ」

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日本振興銀行破綻報道についての雑感

2010年09月10日 21時44分57秒 | 社会全般
この国は何故失敗を続けるのか、ということについての理由の一端を示しているのが、この1件ではないかと思う。


それは、エリートとか呼ばれる連中の愚かな部分だろう。
元日銀マンで、竹中プランを推進したほどの人間が、こうも簡単に失敗に引っ掛かってしまい落ちてゆく、ということである。

ある意味、身の程知らずというか、自信過剰というか、傲慢というか、そういうのが合わさっているのかもしれない。それは、自分の失敗や敗北を認められない、ということから来ているんだろうと思う。先日の、岩本教授の不毛な議論にも見て取れる傾向である、ということだ。


08年3月>新銀行東京に学ぶ経済学~その3(色々追加)


この当時には、まだ定期預金が1千億円規模でしかなかったわけだよ。

日経さんの誰かがヨイショ記事を流していた(笑)ってことに、日経は何の反省もないだろうけどな。所詮、その程度の新聞でしかないってことの証左だ。こういう連中をもてはやしていたヤツラは、世間にも大勢いたじゃないか。テレビだって、木村を呼んで出演させてただろう?

そうやって、被害者拡大に協力したようなもんさ。

日本振興銀行側が、ウチみたいな弱小オメガ級ブログを読んでいたかどうかなんて知らない。だけど、木村剛は「悔しかった」んだろうよ、多分。そうして貸金の譲渡債権なんかに手を出していったんだろう。


新銀行東京に学ぶ経済学~その4

日本振興銀行が債権を買えばいい、と煽ったら、本当にそうしてしまった、っていうのと変わりないんだよね。


産経新聞あたりも、木村剛や池田信夫なんかと同じような主張をしておったよな?

産経グループは債務保証をしてあげなさい

新銀行東京も日本振興銀行も、焦げ付きがなければ、こういう末路を辿るなんてことはなかったんじゃないのか?
出鱈目理論の敗北なんだろ。いくら口だけ出まかせの屁理屈を並べたって、ド素人でも分かることが分かってなかった、ってことなんじゃないのか。
そのことが、認められなかったってことさ。もし敗北を認めて受け入れていたなら、ここまで悪化することは防げたのではないのか。


要するに、揃いも揃って、アレだってことなんだよ。

しかし、そういうことに反省なんかないの。
結局、マスコミというのは「実体のない無名の匿名さん」というのと一緒だからさ。
日経記事の書き手だって、産経記事の記者だって、同一性をトレースできないだろ?誰がそう言ってるか、というのを、完全匿名で誤魔化しているのと一緒なのさ。そういうヤツラに反省なんて文字は存在しない。

これは、日本の体質なんじゃないのかな、と思うようになったよ。
だって、一人や二人じゃないんだもの。
政治家も、官僚も、学者も、元日銀マンも、記者も、色々といると思うけれど、間違っていた、と認めて表明する人なんて、見かけないもの。せいぜい誤魔化すだけ。ウソを取り繕うか、自然と忘れてくれるのを待つだけ。

(珍しい事例としては、中谷巌氏が反省を述べていた(本を出してた)ことがあったが、それくらいなものではないのかな。後は知らない。思い浮かばない。)

だから、この国では、いつまで経っても反省なんかないんだよ。
反省もないから、同じような間違いや堂々巡りの議論が延々と繰り返されていくのさ。



中国の日本国債(JGB)購入の意図?

2010年09月10日 13時33分08秒 | 外交問題
国会質問で取り上げられたから、野田財務大臣が述べた、ということのようである。

「中国国債なぜ買えない」 野田財務相が改善の必要性を指摘 (産経新聞) - Yahoo!ニュース

質問に立った議員とか答弁した野田財務大臣には、きっと国家間の経済戦略に関するセンスがないんじゃないかと思う。まあ、こんなところで表だってする発言なのだから、敢えて複雑(波風を立てるよう)な答弁は避ける、ということはあるかもしれない。賢いなら、それはあくまで「戦略」として選ぶ、というだけなのだろうけれども。

暗愚な議員が「意図」ということに触れてきたのでしょうがなく答えました、ということであるなら、不自然だのと言う必要などなかった。無用に中国側の警戒心を高めただけだからだ。そもそも外貨準備なのだから、どの外貨を買おうと基本的には購入側の自由である。売りたくない、ということなら、そういう制限を設けるなり何なりをするしかないわけで。「何故買えない」とか言うのも、おかしいよね。中国国債をそんなに買いたいんですかね?日本政府が敢えて購入しなくても、投信なんかで中国投資ものがあれば、結果的には人民元を購入するのと同じなわけだから、それで別にいいと思いますけれども。

中国側はこうした日本の過剰な反応に対して、すぐさま返答を送ってきた。

中国:日本国債の購入は自国の必要性に基づいて決定-外務省 - Bloomberg.co.jp


これまで中国がドルやユーロを買っても誰も文句を言ったり、「どうして購入したのか、意図を言え」とか追及したりしてこなかったのに、日本円を購入されると急に「何で日本円(日本国債)を購入するんだ」と息巻くのもおかしな話である。別にいいじゃないですか。何か問題があると?
中国の購入した規模なんて、日本の国債残高から比べると圧倒的に少ない。それに、中国以外の外国人の保有する額に比べても、まだまだ少ないはずである。


恐らく質問に立った議員は、「中国は元高となるのを避ける為に円を購入しているんだ」といったような発想を持っていたのではないかと思うが、それは違うのではないか。そんな意図ではないだろう。中国が日本に対して「円高にしてやれ」と意図して、日本の代りに中国が輸出で大儲けしてやるぜ、というような目論見を持つわけではない。或いは、日本国債を大量保有することによって、日本への「国債売り」という脅しカードを使えるようにしたいわけでもないだろう。

どうしてかと言えば、日本円(国債)を買ってドルを買わないということは、必然的にドル安人民元高を招く要因となるから、である。つまり、日本国債を一生懸命購入しても人民元安を達成できるわけじゃない、ということである。なので、「人民元安誘導」を目的としているというような発想は根本から間違っているように思われる。次の「日本国債売り」というカードであるが、これも外資系のファンド勢なんかが幾度となく仕掛けてきて、10倍とかのレバレッジ効きまくりの先物も駆使してきたって、多勢に無勢で総量(国債残高・発行額)が大きく買い手が多い日本では、ほぼ惨敗といいますか「恐怖演出」までの売りはできなかったわけですよ。これをやる為には、かなりの額を保有しなければならず、そうするとその額の大きさそのものが逆にリスクとなってしまう、ということになるわけです。多く持てば影響力は大きくなるけれども、逆に「そんな多額の売り」をこなそうと思えば現実には無理だよね、ということになってしまう、ということ。


なので、国会での議論には疑問を感じるわけである。

では、中国はどういったことを考えていると思うか?
それは、自分だったらどうするか、という視点に立つことが必要である。野田財務大臣には経済運営に関するセンスが乏しい為に、「自分が中国の立場であるとどのように考えるのか」ということが、きっと思い浮かばないのではないのかな、と思う。いや、私の方が優れている、と言いたいわけじゃありませんが。

大雑把に言って、「ポートフォリオの構築である」、と推測している。
これは、あくまで私が中国の運営する立場であれば、ということで考えている。実際には、当事者にしか分からないから、何とも言えないわけですが。

で、どうして、そのように考えるのか、ということを書いてみよう。


①対外資産は「虎の子」

外貨準備高が200兆円といった多額になるということであれば、中国経済―まさにTiger economy―の今後を支える重要な「虎の子」資産ということになるわけである。中国自身がいつまでこれほど稼げるか分からないのだから、そうした将来に備えるには対外資産というものが重要になるわけである。恐らく、いずれやってくるであろう、先進国病のような低成長時代というものを想定しているはずであろう。そうなる前に、対外資産を充実させて準備しておくのは当然ということである。

②ドル一辺倒を回避

これまでは輸出から生じる貿易黒字が積み上がる為に元高を招いてしまうという側面があったわけだが、これをドルペッグとすることによってドル買いを継続してきたのだ。その為に、世界で一番の米国債保有国となったのである。ドル資産は米国債の保有高以上に多いはずで、これをユーロ資産なんかにも分散はしはじめていた矢先、欧州の変調ということになってユーロへの信頼は揺らいだわけである。

そうなると、通貨を分散した方がよいのではないか、という発想に向かうのは当然ということになるだろう。そもそもの動機としては、ユーロの不安というものがあったから、というものではないだろう。それは、単なる偶然だったはずである。ドル一辺倒を回避する、というのを根本的に意図したものと思うのである。

これには、いくつかの理由というものがある。
一つは、過去100年というスパンでの長期に渡るドル安の進行、ということである。今後のドルという通貨はどうなるのか、不確実性があるということだ。かつてのポンドのように、他の通貨にその座を追われるかもしれない。そうすると、単一国に集中しているのは、リスクが大きすぎると判断するのは当然だ。
もう一つは、実際の売り抜けということを考えた場合の、買い方の不安ということがある。あまりに大量に保有していると、売ろうと思っても売るに売れず、捌き切れない、ということが起こりうる。流動性リスク、というようなことかな。なので、あまりに多くの米国債を抱えてしまうと、「売ってやるぜ」という脅しを実際に行使しようとする時には、自分の資産も大ダメージを食らう、ということがあるからである。なので、あまりに多すぎるというのは、一蓮托生の危険性が高まるので、これを回避したいということになる。

③基準となる通貨の創設を念頭に置いているのでは

恐らく実験的にこの手法を試しているのではなかろうか、ということがある。
その上で、実際の人民元の動きを見れば、自国にとって厳しいかどうかが見えてくるから、ということではないか。
そうすると、いずれは世界共通となる基準通貨導入を提唱してくるだろう。これは中国の高官が既に提案していたが、もっと具体的な手法まで踏み込んでくるかもしれない。その為の準備、ということではなかろうか、と。

当ブログにおいても、その提案をしていたので、発想としては賛成できるものである。

日中で共通通貨単位の創設を推進せよ~3
(記事中に1及び2のリンクも含まれています)


そういうわけで、「中国が日本国債を買ってる!これは、怪しい。何かの(侵略的)意図でもあるんじゃないか」みたいな短絡的な思考には、大いに疑問に思うわけですよ。

中国は、日本国債ばかりではなく、韓国国債だって買ってるし、恐らくGDP比率とか貿易高比率なんかで複数国の通貨を買っていると予想している。
そうやって、ポートフォリオを構築すれば、資産効率が高まる(はずだ)から、合理的に判断して実行に移してきているわけである。日本の無知無能な政治家連中なんかとは、考えている次元が違うんですよ、多分。

日本で同じことを実行しようと思えば、きっと議論だけで5年はかかるね。仮に実現できたとしても、10年くらい経たないと無理じゃないか(笑)。
情けない。