いい国作ろう!「怒りのぶろぐ」

オール人力狙撃システム試作機

福島第一原発の15条通報はいつだったか?

2012年07月13日 17時27分26秒 | おかしいぞ
東電ばかりではなく、政府側の罪もあるはずだ。
情報隠しを行った事実があるからだ。
何度も言うが、官邸HP上で公開されていたPDF文書は、事故から1週間~10日後くらいには、何故か隠されたわけである。

問題は、3月11日当日の発表だった。
10条通報に関しては、15:42で、官房長官会見や公表文書中にも記載が割と早い時間帯から存在していた。だが、16:45の15条通報に関しては、当初記載されていなかった。


20時前までの公開文書では、10条通報後の記述が増えたのは、警察庁を情報源とするものだった。それは、1Fのオイルタンクが流出した、という「外見上の記録」だった(どうして警察管轄だったかというと、個人的推測では「警備上の理由」というやつでは)。15条通報という記述は、ずっと記載されなかった。

その後も、福島県知事の災害派遣要請、2Fの施設周辺の崩れ(防衛)、17:38の女川のタービン建屋地下の火災(消防庁)、東海第二のプール水Hi-Lo警報で水張り開始、17:35の2Fの10条通報、といったものの記述が順次書き加えられていったわけである。このような、割と些細な出来事でさえ報告が上がってきており、整理されて記載されていた、ということを意味する。

ところが、15条通報に関して、16:36に判断、16:45に通報という記述が登場したのは、菅総理が非常事態宣言をした後から、約1時間半経過した20:30だった。


つまり、それまでは情報がつかめていないとか、きちんと連絡体制ができていないとか、東電の保安院の間でのみ「おおごとにしないで、こっそり処理」しようとしていたか、何らかの事情があったものと思う。官邸に情報が上がってきて、これはヤバいぞ、となったのが、18時過ぎとかであったとすると、恐らく1号機では燃料棒露出が始まっていたかもしれない、という時間になっていたということだ。手遅れということが、この時点でほぼ確定的だったのかもしれない、ということ。


それから、電源車の記述に関して、これも政府発表が消された。
重要なのが、電源車の手配が最も早かったであろうと推測されるのが、警察庁だったのではないか、ということである。対テロ警備などの理由から、警察管轄が定点カメラ映像とかを持っていても不思議ではないし、そうであれば外見上の変化を常々観察できるから津波の映像とかタンク流出の事実なんかをいち早く知ることができたとしても、当然だと思えるから。

で、警察庁からの情報では、17時には電源車が出発、18:25分には現着となっていたはず、ということだ。電源が到達していたはずなのに、それから、何をやっていたのだろう?繋ぎこみに時間がかかった、とか、ケーブルが存在してなかった、といった不手際などが上げられていたわけだが、ヘリでケーブル空輸とかを速攻で要請すればよかったはず。

他にも、東北電力手配、保安院手配、東電手配の電源車がそれぞれ現地に行っているはずで、高圧と低圧車が向かっていたわけである。これら電源というのは、結局どうだったのか、ということだ。


疑問に思うのは、15条通報に関して記述が初登場した時間が遅い(20時30分)、非常事態宣言の17時3分まで、どうなっていたのか、ということだ。これから国会事故調の報告書を読んで確認していこうと思うのだが、官邸の公表文書からは、これら記載が全て隠された。

本当は、15時半以降から、16時くらいまで、どうする、どうなってる、なんとか穏便に東電と保安院で処理しよう、とか、隠しだてをしていたのではないのですか?電源車が出発したとされる17時には警察庁が知っていたとなると、下の方でごにょごにょやっていて、それらは結局手遅れを招いた遠因になったりしたのではありませんか?

もう手に負えない、本格的にマズくなってはじめて、「ヤバいです」と上の方まで報告が行った、とかではないんですか?

福島県の災害派遣要請というのが、16:47だったので、これは15条通報が官邸の上の方まで達する以前に、福島県側には連絡が行っていたということなのでは?


結果論的になってしまいますが、18時までに1号機をどうにかもたせられていたなら、後の展開は違っていたかもしれない、と思わずにはいられません。


それから、東電社員の2名がタービン建屋で死亡していたと報じられた件についてだ。

>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/a8ebcbafc093b2266bb448ad0483cce3


これも、本当に謎なのだけれど、発表された死因が「出血性ショック」だったことだ。津波浸水で溺死というならまだ分かるが、外傷起因の出血死なんて、ほぼ想定し難い。これも真実が解明されているとは言い難いのである。こうした記者発表を行っていたのは、少なくとも電力会社では無理なはずで、警察とかになるのではありませんか?

そうすると、これら発表に加担しているのは、警察組織ということになるんじゃないですか?


政府発表の遅れも、電源車のことも、死亡した若い社員2名についても、謎があるし、事実が隠蔽されたままなんじゃないのか、ということだ。電源車の電力が尽きて、3号機だったかのHPCIが停止して冷却できなくなった、という朝日の記事があったようにも思うが、それも真偽の程が分からぬままになったようにも思う。疲れて居眠りしたからだ、といったような記述だったように記憶していたが、本当のところはどうだったのだろう、と。
現場の人間を責めたいわけじゃないよ。死ぬかもしれないという覚悟で、1号機が爆発した横で必死の冷却作業をしていたのだから、責められないさ。でも、つぶさに明らかにしてゆくことは、事故の全容解明に役立つから。


日本という病~4

2012年07月13日 16時19分53秒 | 社会全般
国会事故調査報告書の本文の方は、まだ全部読めていない。今後断続的に取り上げることがあるかもしれない。今日取り上げるのは、本文ではなく参考資料中の記述についてである。


が、本題に入る前に、ちょっと述べておきたい。
ニュース配信の見出しは、あまりに酷いものだったので。



日本の大手マスコミは、海外メディアの論調を持って来て、国会事故調の批判をしているものがある。彼らは、恥というものを知らないのだろうか。「文化で片づけていいのか」と言うのなら、日本のマスコミ自身が徹底追及をして、「行為を行った各個人」の責任というものを明確にしてもらい、それぞれ「誰がどんな過失や責任があったか」を報道すればいいではないか。そういう強制力のある調査なり、国家権力による捜査なりを、強く求めればいいではないか。


海外メディアの原文を見たわけではないから、どういう文脈で批判したのかということを正確には言えない。だが、日本の処分は生温い、個人の判断や行為のひとつひとつまで踏み込んで責任の所在と有無を明らかにすべし、というのが、欧米メディアの考える「事故調査」ということであろう、ということだ。誰が何をやったか、そこに過失は存在したかしなかったか、ということを一点一点解明せよという意味だ。過失があったなら、法的に責任を問え=罰を受けるべし、ということだ。


間違っても、こんなロクでもない論点ではないであろうことは、確かだろう。

これだ>http://www.yomiuri.co.jp/job/biz/qapolitics/20120712-OYT8T01094.htm?from=navlk

========

最近公表された報告書がその英語版で、事故の背景に日本固有の習慣や文化、人間関係があると指摘したため、一部の欧米メディアが批判を加えたのです。「だったら、何でも文化のせいにできるではないか」、と。
 政府の調査委員会とは別に、国会も時限立法に基づいて調査委員会を設置したのは知っているよね。ただ、任命された10人の委員に議員がまったく入っていなかった。正副委員長くらい現職議員であるべきだったと思いますね。
 そして、報告書の英語版で「メイド・イン・ジャパン」の大惨事、つまり、「権威にたてつかない」「グループ志向の行動」「なんでも従順」、そんな日本文化があって大事故が起きたという評価でしめくくった。それでは、根本原因が日本の人間関係、慣習、文化にあるといったのに等しい。
 アメリカの日本政治専門家ジェラード・カーティス氏が英ファイナンシャル・タイムズ紙(7月10日付)へ寄稿し、「そういうなら、リーマン・ショックの金融危機がアメリカ文化のせいだ、というのと同じ」とかみついている。米通信社なども、その点で疑問符がつく、と批判しているそうです。
 本来、再発を防ぐ国会の立法審議に役立てる目的の委員会。やはり議員主体の構成で調査を貫くべきでした。そうすれば、調査自体が国会審議に近いものになり、もっと成果と教訓を今後の立法化に生かせたと思うからです。

 (調査研究本部 池村 俊郎)
(2012年7月13日 読売新聞)


=========


よくもまあ、こんなことを言えますね。国会議員主体の構成にしておけばよかった、みたいな物言いって、それは、議員さんなら何とでも「騙せるから」ですかな?
国会議員が、どんな専門的な調査ができると?
讀賣の言う「国会審議に近いものになり」、なんてのは、議員さんならばどんな圧力でも人的操縦でも可能になるから、ではないのか。


こういうことを臆面もなく書き立てるマスコミの存在自体が、「日本的」ということの象徴なのだよ。日本国内のマスコミが、これまで東電幹部の法的責任について、追及すべし、というキャンペーンを張ったりしたことなどあったか?


ふざけるな。

東電の内部調査、民間事故調、政府事故調と、いずれにおいても、厳しく責任追及などしてこなかったし、東電が繰り返してきた「整合性のないウソの説明」というものさえも、諾々と放置してきたではないか。


いいか、民間事故調の人間たちは、少なくとも当方よりは原発に詳しい人間がいたはずだ。

運転操作方法についても、当方には全く検討もつかないものだったが、民間事故調の人間ならば専門知識があったはずだ。

それなのに、何故、当方ですら「おかしい、疑問だ」と感じられる部分を放置したのだ?
東電の説明は、整合的ではない、ということが分かるのに、それを問題視しないという姿勢はどうしてなのか?
そういう姿勢が問題だ、と言っているのだよ。


東電が事故対応マニュアルを黒塗りで出してきて、あのままだったら、当方にだって、各報告書に書かれていることは何が何だかちんぷんかんぷんだった。

東電の奴らは、全部正しく開示し説明するとバレるかもしれない、ということを十分分かった上で情報を選んで開示していたし、大量に出しておけば、どうせ「お前らド素人が見たって分かるまい」ということだったろう。

だがな、あの開示されたマニュアルを読めば、ある程度きちんと書かれているんだよ。どうりで隠したがるはずだ。東電のウソが明らかとなり、化けの皮が剥がれていったんだよ。


それでも、当方が疑問を提起した部分については、政府事故調も含めて踏み込めていない感があったわけである。唯一、疑問点について掘り下げた報告書を出してくれたのが、国会事故調だったのだ。


ウソをついている人間は、恐らく東電だけじゃない。
政府側の人間にも、確実にいる、ということだ。


彼らの結託と隠蔽を続けさせているのは、誰だと思うか?
何だと思うか?

これこそが、日本の病的な「システム」なんだよ。



話が大きく逸れたので、記事を改めて書く。