大飯原発4号機稼働後に、揚水発電が同じ供給力であること、増加した117.5万kW以上に火力が削減(157万kW)されたこと、これらから当方が考えてみたことを書いておく。
参考>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/12f7a934e8b993ede89ded9575442a94
それは、揚水発電の用い方がどうなっているのかな、ということだ。
先日の供給力からすると、ベースになるのは、
①原子力236+③水力271=597万kW …()
である。この他、自己調節分(関電の設備で供給力を調節できるもの)以外の
⑥他社受電+⑦融通=634万kW …()
である。これを()に加えたものが、1日の中でほぼ定量としてカウントされる分ではないかな、ということである。使用する電力としての優先順位が、
()→()→ ②火力 → ④揚水
というのが普通の予測である(揚水はエネルギー効率が一番悪いので)。
ただ、火力1313万kWを100%フルパワーで稼働させているということではないだろう、と推測される。
基礎となる数値として、()で約600、()で約600~650と見れば、1200~1250万kWが定量としてカウントされる。とりあえず、1200として話を進めよう。
時間帯によっては、需要量が1500万kWくらいに落ちている時には、この1200+火力300万kWで対応、ということになる。では、需要量が2500万kWに到達する時間帯には、どうするのだろうか?
もし、1200+火力1313万kWのフルパワーで稼働して2513万kW、これのバックアップ(予備率の確保)として、揚水400~430(約14%)ということであると、需要が86%であっても発電設備は揚水以外がほぼフル稼働状態、ということになってしまうわけである。果たしてそんな運転の仕方をするだろうか?
当方が運転担当者ならば、そうはならないと思う。電力足りない派の人々がよく口にする通り、火力発電がトラブルで停止したり出力低下になったりすることもあるから、火力がフルパワーというのは必ずしも多くないのではないかな、と。自動車でもそうだが、100馬力の車が50馬力使って走るのと、50馬力の車が50馬力のフルパワーで走るのでは、前者の方が望ましいであろう、というのと同じ。需要の伸びに応じて、ある程度対応力を残しておく方が望ましいので、火力は上に余裕を持たせているはずだ、ということである。
なので、ベースが()+()の1200、火力が1300という時、需要量が2500なら、揚水分の供給力が若干は使われている可能性が考えられる。それならば、火力を1470から1313に落として、157万kW分を外した意味が分かる。
本来的には火力の上限側への対応力があった方がよいし、1300フルパワー運転よりも、1300/1470の余裕運転の方が望ましいと思われるからである。しかも、揚水発電を使うよりも、はるかに効率的だし有利なはずだから。そう考えれば、同じ供給力であるとしても、火力1300+揚水400よりも、火力1470+揚水230の方がよいはずなのだ。
にも関わらず、火力を削ったわけだ。
それは揚水発電を使っている、ということの間接的証拠ではないか、ということである。
実際、揚水発電はどのように用いられるのだろう?
これがよく分からないわけだが、当方の想像で書いてみる。
まず、貯水池であるが、これは露天というか、外に開放されているのですよね?もしそうであるなら、ずっと使ってないと雨が降って自然に満水になるかもしれず、使わないともったいない、ということがあるかも。逆に雨が長期間降らず、貯水池の水がどんどん減ってしまう可能性もあるので、天候に左右されるということも理解できる。
ただ、貯水池は常時満水にしておくと、雨が降った時もったいないので、当方が運転担当者であると満水にはせず、雨が降った時にも溜まるように、必ず空きを作っておくだろう。どうしても必要な時には、ポンプでくみ上げて満水にすればいいわけだし。
また、原発を動かしていて、夜間の余力がある時に水を汲み上げておく、というのが関電などの説明なわけだが、エネルギーロスが大きいので普通に考えると火力なんかを優先し、揚水発電分はいざという時以外には使わない方がいいんじゃないか、としか思えないわけだ。これを使うのは、どうしてか、というのが問題意識。
普通に考えると、ヤカンの湯を沸かそうとする時、ガスとかの火力を最大にしても、直ぐには蒸気が発生しない。当たり前だけど。水を沸かして蒸気を出すには、時間がかかる、ということ。なので、火力発電も同じだろうと思う。いかに反応が早いタービンとかであっても、蒸気圧がある水準まで上がってゆくのに、時間が必要だろう、と。
でも、電力需要は1500万から2000万くらいまで急激に立ちあがってゆく。この急増に対応できるかどうか、ということがある。火力を需要増に合わせて最大火力で燃やしたとしても、直ぐには水が沸騰せず蒸気圧も追いつけない可能性がある。
昔、学校の暖房がスチームだったのだが、あれも朝一番だとカンカン音がするだけで蒸気が配管内に充満してゆくまで非常に時間がかかっていた。実際に熱くなるまでには、時間がかかっていた。中学校では石炭ストーブだった(うちの風呂釜もそうだ)が、あれも火力を最大にするには、時間がかかった。石炭を入れた途端にゴーっと燃えるのではなく、火力がある程度大きくならないと入れる石炭が直ちに燃えるようにはならない。結構早い時間帯から燃やして準備してないとならない、ということ。
LNGのタービンなんかだとかなり早く出力が上がるかもしれないが、それでもやっぱり水を沸かすのに時間は必要だろう。
そうすると、火力のパワーを需要増に合わせて上げてゆくには、言ってみれば「助走」が必要となるはずで、タイムラグを埋める方法が求められるのではないか、ということである。で、助走時間は出力が多く、需要はまだそこまで高まっていない、という時間帯を生じることになるのではないか、と。
需要が1500から2000になる時、火力は2000の需要に追い付く為に、予めほぼ2000にもっていけるような運転状態になっていないとならないはず、ということ。実際の需要が1600とか1700しかなくても、2000程度に対応できる出力準備になっているんじゃないかな、ということ。
そうすると、この助走時間帯では、需要の上がり方によって「火力の出力が余る」ことがきっと出てくるのではなかろうか、ということがある。そういう時に、余った電力で揚水に回すのではないか、ということだ。
それから、火力の性質として、運転を下限まで落としても待機出力が必ずあるのではないか、と。完全に運転を止めてしまうと立ち上げに時間がかかるから、自動車のアイドリング状態に似た待機運転状態を保つのではないかな、と。配管などに蒸気が充満するまで時間がかかるから、完全停止は必要がないと判断した時だけでしょう、多分(供給力が1313に減ったのは完全停止、ということでしょう)。
で、待機時の出力が10~20%の下限であると、火力が1300なら待機時出力が130~260万kWとなるので、上記()+()との合計が需要量を上回った時間帯でもやはり揚水発電が行われるのではないかな、ということである。
つまり、揚水発電というのは、原発の稼働云々で増加するという性質のものではなく、むしろ火力発電の需要とのタイムラグを埋める為に使われるものではないのかな、ということだ。火力には助走時間が必要で、助走時間帯で需要を超過している出力分を揚水発電に回すのではなかろうか、ということだ。
そうであるなら、揚水発電を日々使うことになっても不思議ではなく、逆に「空き」を作って為に(常時満水になってしまうと、待機中の火力が無駄になってしまうから)、日中に揚水分の供給力が用いられる、ということになるであろう、と。それは、供給力の大きな不足を埋める為、ということもあるかもしれないが、どちらかといえば、供給力オーバーとなる時間帯でギャップを解消する為の調節機能だ。
まとめると、揚水発電というのは、
・雨が降って必然的に満水になるかもしれない
・火力の”助走時間帯”で超過供給量を調節する為
・火力の”アイドリング運転”状態での超過供給力を調節する為
(火力は動かすと下限出力がある水準以上に発生するから)
ということでは。
なので、日中に揚水発電分を意図的に使用して「空き」を作っておくなら、上記例でのベース1200(()と()の合計)に火力が1300でもフル出力にはならず、揚水分を例えば200~300で短時間だけ供給し、火力分は1000くらいで間に合わせられる、ということで、1000/1300なら4分の3程度の運転状態でよくなる。
火力の上側に余力が残されているということは、需要が予測より上ぶれたとしても、1000→1300とすれば対応可能、ということかな、と(恐らくそういう需給逼迫は殆ど発生しない、というのが当方の理解である)。
参考>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/12f7a934e8b993ede89ded9575442a94
それは、揚水発電の用い方がどうなっているのかな、ということだ。
先日の供給力からすると、ベースになるのは、
①原子力236+③水力271=597万kW …()
である。この他、自己調節分(関電の設備で供給力を調節できるもの)以外の
⑥他社受電+⑦融通=634万kW …()
である。これを()に加えたものが、1日の中でほぼ定量としてカウントされる分ではないかな、ということである。使用する電力としての優先順位が、
()→()→ ②火力 → ④揚水
というのが普通の予測である(揚水はエネルギー効率が一番悪いので)。
ただ、火力1313万kWを100%フルパワーで稼働させているということではないだろう、と推測される。
基礎となる数値として、()で約600、()で約600~650と見れば、1200~1250万kWが定量としてカウントされる。とりあえず、1200として話を進めよう。
時間帯によっては、需要量が1500万kWくらいに落ちている時には、この1200+火力300万kWで対応、ということになる。では、需要量が2500万kWに到達する時間帯には、どうするのだろうか?
もし、1200+火力1313万kWのフルパワーで稼働して2513万kW、これのバックアップ(予備率の確保)として、揚水400~430(約14%)ということであると、需要が86%であっても発電設備は揚水以外がほぼフル稼働状態、ということになってしまうわけである。果たしてそんな運転の仕方をするだろうか?
当方が運転担当者ならば、そうはならないと思う。電力足りない派の人々がよく口にする通り、火力発電がトラブルで停止したり出力低下になったりすることもあるから、火力がフルパワーというのは必ずしも多くないのではないかな、と。自動車でもそうだが、100馬力の車が50馬力使って走るのと、50馬力の車が50馬力のフルパワーで走るのでは、前者の方が望ましいであろう、というのと同じ。需要の伸びに応じて、ある程度対応力を残しておく方が望ましいので、火力は上に余裕を持たせているはずだ、ということである。
なので、ベースが()+()の1200、火力が1300という時、需要量が2500なら、揚水分の供給力が若干は使われている可能性が考えられる。それならば、火力を1470から1313に落として、157万kW分を外した意味が分かる。
本来的には火力の上限側への対応力があった方がよいし、1300フルパワー運転よりも、1300/1470の余裕運転の方が望ましいと思われるからである。しかも、揚水発電を使うよりも、はるかに効率的だし有利なはずだから。そう考えれば、同じ供給力であるとしても、火力1300+揚水400よりも、火力1470+揚水230の方がよいはずなのだ。
にも関わらず、火力を削ったわけだ。
それは揚水発電を使っている、ということの間接的証拠ではないか、ということである。
実際、揚水発電はどのように用いられるのだろう?
これがよく分からないわけだが、当方の想像で書いてみる。
まず、貯水池であるが、これは露天というか、外に開放されているのですよね?もしそうであるなら、ずっと使ってないと雨が降って自然に満水になるかもしれず、使わないともったいない、ということがあるかも。逆に雨が長期間降らず、貯水池の水がどんどん減ってしまう可能性もあるので、天候に左右されるということも理解できる。
ただ、貯水池は常時満水にしておくと、雨が降った時もったいないので、当方が運転担当者であると満水にはせず、雨が降った時にも溜まるように、必ず空きを作っておくだろう。どうしても必要な時には、ポンプでくみ上げて満水にすればいいわけだし。
また、原発を動かしていて、夜間の余力がある時に水を汲み上げておく、というのが関電などの説明なわけだが、エネルギーロスが大きいので普通に考えると火力なんかを優先し、揚水発電分はいざという時以外には使わない方がいいんじゃないか、としか思えないわけだ。これを使うのは、どうしてか、というのが問題意識。
普通に考えると、ヤカンの湯を沸かそうとする時、ガスとかの火力を最大にしても、直ぐには蒸気が発生しない。当たり前だけど。水を沸かして蒸気を出すには、時間がかかる、ということ。なので、火力発電も同じだろうと思う。いかに反応が早いタービンとかであっても、蒸気圧がある水準まで上がってゆくのに、時間が必要だろう、と。
でも、電力需要は1500万から2000万くらいまで急激に立ちあがってゆく。この急増に対応できるかどうか、ということがある。火力を需要増に合わせて最大火力で燃やしたとしても、直ぐには水が沸騰せず蒸気圧も追いつけない可能性がある。
昔、学校の暖房がスチームだったのだが、あれも朝一番だとカンカン音がするだけで蒸気が配管内に充満してゆくまで非常に時間がかかっていた。実際に熱くなるまでには、時間がかかっていた。中学校では石炭ストーブだった(うちの風呂釜もそうだ)が、あれも火力を最大にするには、時間がかかった。石炭を入れた途端にゴーっと燃えるのではなく、火力がある程度大きくならないと入れる石炭が直ちに燃えるようにはならない。結構早い時間帯から燃やして準備してないとならない、ということ。
LNGのタービンなんかだとかなり早く出力が上がるかもしれないが、それでもやっぱり水を沸かすのに時間は必要だろう。
そうすると、火力のパワーを需要増に合わせて上げてゆくには、言ってみれば「助走」が必要となるはずで、タイムラグを埋める方法が求められるのではないか、ということである。で、助走時間は出力が多く、需要はまだそこまで高まっていない、という時間帯を生じることになるのではないか、と。
需要が1500から2000になる時、火力は2000の需要に追い付く為に、予めほぼ2000にもっていけるような運転状態になっていないとならないはず、ということ。実際の需要が1600とか1700しかなくても、2000程度に対応できる出力準備になっているんじゃないかな、ということ。
そうすると、この助走時間帯では、需要の上がり方によって「火力の出力が余る」ことがきっと出てくるのではなかろうか、ということがある。そういう時に、余った電力で揚水に回すのではないか、ということだ。
それから、火力の性質として、運転を下限まで落としても待機出力が必ずあるのではないか、と。完全に運転を止めてしまうと立ち上げに時間がかかるから、自動車のアイドリング状態に似た待機運転状態を保つのではないかな、と。配管などに蒸気が充満するまで時間がかかるから、完全停止は必要がないと判断した時だけでしょう、多分(供給力が1313に減ったのは完全停止、ということでしょう)。
で、待機時の出力が10~20%の下限であると、火力が1300なら待機時出力が130~260万kWとなるので、上記()+()との合計が需要量を上回った時間帯でもやはり揚水発電が行われるのではないかな、ということである。
つまり、揚水発電というのは、原発の稼働云々で増加するという性質のものではなく、むしろ火力発電の需要とのタイムラグを埋める為に使われるものではないのかな、ということだ。火力には助走時間が必要で、助走時間帯で需要を超過している出力分を揚水発電に回すのではなかろうか、ということだ。
そうであるなら、揚水発電を日々使うことになっても不思議ではなく、逆に「空き」を作って為に(常時満水になってしまうと、待機中の火力が無駄になってしまうから)、日中に揚水分の供給力が用いられる、ということになるであろう、と。それは、供給力の大きな不足を埋める為、ということもあるかもしれないが、どちらかといえば、供給力オーバーとなる時間帯でギャップを解消する為の調節機能だ。
まとめると、揚水発電というのは、
・雨が降って必然的に満水になるかもしれない
・火力の”助走時間帯”で超過供給量を調節する為
・火力の”アイドリング運転”状態での超過供給力を調節する為
(火力は動かすと下限出力がある水準以上に発生するから)
ということでは。
なので、日中に揚水発電分を意図的に使用して「空き」を作っておくなら、上記例でのベース1200(()と()の合計)に火力が1300でもフル出力にはならず、揚水分を例えば200~300で短時間だけ供給し、火力分は1000くらいで間に合わせられる、ということで、1000/1300なら4分の3程度の運転状態でよくなる。
火力の上側に余力が残されているということは、需要が予測より上ぶれたとしても、1000→1300とすれば対応可能、ということかな、と(恐らくそういう需給逼迫は殆ど発生しない、というのが当方の理解である)。