いい国作ろう!「怒りのぶろぐ」

オール人力狙撃システム試作機

「たった2ドル」の衝撃

2008年03月17日 16時39分43秒 | 経済関連
ちーす!
じゃなかった、チェースだね。
JPモルガン・チェースがベアスターンズを買ったんだって。

JPモルガン、市場価格を大きく下回る価格でベアー・スターンズ買収へ Reuters


これによれば、終値ベースで時価総額35億ドルだった会社を、僅か2億3600万ドルで買ったのだそうだ。
超お買い得、というか、ある種の緊急避難的措置だったんだろうね。それはNY連銀が救済資金を出したようなものだから、ベアに飛ばれると保有資産にある3兆円規模の債券(サブプライム分の20億ドルを除いた310億ドル分)が、バッタ屋に買われる在庫の山同然の激安になりかねないからであろう。

100分の1とかのお値打ちでなら現金出しますぜ、とか、言われかねないのでは。それに債権者たちの取り分を計算するとなると、これらバランスシート上に計上されている資産査定を行わねばならず、損失が拡大するおそれが大きいのと、現金化しようとすれば大量売りが発生するが「誰も買い手がいない」状況なので、余計に価格下落となり回収困難部分が増加するからであろう。

破綻処理を選択するよりも、こうした再生等私的整理を行う方が損失が少ないのは確かであろう(参考記事)。

そういう事情なんかがあったりして、急遽買収を決めたのであろう。
引受先をまず決めてから、NY連銀の資金供給が決められたのではないかと思う。こうするしか、大混乱を防ぐことができないと判断したからだろう。


それにしても、これからの底なし沼市場はどうなってしまうんかね。
世界中で金が数百兆円分消え去るのだろう、多分。



また円高と株安かよ!~2(追加あり)

2008年03月17日 11時52分38秒 | いいことないかな
日本の政治家は本当に頭が悪いというか、腐っているのではないか?


本当にどうしようもないな。
危機管理能力が全くない。打てる手がない、とかではないのだ。
持っている「手札」がありながら、ボケッと見てるだけ。本物のアホだ。

ソッコウで介入すべきだろ。
日本を沈めて、何の利益があるというのだ?
ドル買いするしかないだろが。

介入し難い、とかいう話ではないだろ。
日本が生き延びることが重要なのであって、まず、これが一番の目的だろが。非難を受けるかもしれない、とかって、何を言ってるんですか?

何が何でも、日本が大事に決まってるだろが。
頭がオカシイんじゃないか?


鈍すぎる。

あまりに、無能である。
腐れ政府のせいで、日本は本当にダメになる。


何故、テキパキと物事に対処できないんだよ。
一体、何の障害があると?やるべきことをやる、それだけだろ。何ら難しいことなんかないぞ。


無能政府は滅んでしまえ!


ちょっと追加だけど。

現時点で当局の為替介入は予想せず=榊原早大教授 Reuters

聞きに行く相手が間違っているんだって(笑)。誤った理屈を言う人間に聞くのは、あまり役立たないと思うが。

基礎体力が違い過ぎるだろ、そもそも。
日本の基礎的条件を考えて言ってんのか?この御仁は。

同じ病気だとして、瀕死の状況からどうにか一命を取り留めた病み上がりの時期と、ついこの前から病状が出始めた時期とでは、全然違うんだって。
それを判断するのに、唯一の指標が「実質実効為替レート」だけかよ。


もしも、こういう人が医者であった場合、確実に日本は死なされる。

95年には、日本はまだひどい「心筋梗塞」にはなっていなかった。
いくつかが壊死(主にノンバンクとか、住専関連)し始めていたが、銀行の体力はそれなりにあったし、多くの企業のバランスシートも壊滅的には痛んでいなかった。完全な血管閉塞には至っていなかったんだよ。心臓は苦しくなっても狭心症症状ではあったが、梗塞にはなっていなかった。
その頃に円高ショック(参考1参考2)を食らったとしても、基礎体力(予備的能力)があったから受けるショックの緩衝能とか、出てくる影響とかは全然違うって。

一度瀕死に陥った75歳の人と、割と条件の良い55歳の人では、同じインパクト―例えば低酸素状態―を受けたとしても、前者の方が病状悪化とか循環動態の悪化を招く可能性が高まり、後者では自律的に循環動態の中で吸収・調節されうる可能性が高い、ということ。リスク評価のできない人間であると、単一の指標で比べようとするので、10年前ではこんな程度だ、とか言うのだろう。

予備的能力が落ちていると、些細な変化さえも緩衝されず自律的調節能を超えてしまって、危機に陥るのだよ。喩えが変だけど、普段150mmHgの酸素分圧を吸入していたのに、これが120mmHgに急速に低下する(=条件の悪化ということ)と、基礎的条件が良ければ体がその変化に耐えられるし自律的に反応でき循環動態も維持されるが、条件が悪ければ低酸素状態に耐えられないので心臓の酸素供給が不足して心筋虚血を招き循環動態は危機に陥る、というようなことですよ。

日本が本当にそこまで回復して、基礎的条件が好転したんですか?
私には、とてもそうは思えない。


70円を切るまでは介入しないというような脳天気なことを言えるのは、基礎的条件を十分に見ていないからではないのかとしか思えない。95年の円高が来る前までは、デフレではなかった。賃金水準も今よりも高かった(この後にはデフレに陥って実質賃金高止まり、ということになっていったが)。失業率も、まだ3%以下だったんじゃないですかね?


有識者だか知識人だか専門家だか知らないが、こうやっていつもの如く「誤った考え方・知識」をばら撒き、さも正しいかのように言うことが、日本の経済政策を誤った方向へと導いているのではないかと思うのですよ。そうでなければ、とっくの昔にデフレ脱却はできていたであろうし、経済成長率も世界の平均的な国程度には戻っていたでしょうよ。


診立ても選択された治療法も間違っていたからこそ、こうした最悪の10数年間を強いられたのだよ。そうした罪の大きさを全く感じていないし、判っていないのだよ。未だに、こういう人間がいることが、何より腹立たしいのだ。




日銀総裁人事案についての提案・補足

2008年03月16日 14時27分26秒 | 政治って?
山口秦氏とかの名前が取り沙汰されたりしているようですが、それは最悪ですので絶対にヤメテ欲しい。

財務官経験者への同意を示唆、「素晴らしい方」=次期日銀正副総裁人事で鳩山・民主幹事長 マネーニュース 最新経済ニュース Reuters

あと、黒田、渡辺、という元財務官のお名前が挙がってきている、というような状況もあるようです。


少し古いですが、こちらのアンケートが参考になるかと思います。

〔緊急アンケート〕日銀の次の政策、利上げが53人中36人・利下げは17人 マネーニュース 最新経済ニュース Reuters

(一部引用)

次期日銀総裁(福井総裁の後任)は誰がふさわしいと思うか。

伊藤隆敏東大大学院教授(経済財政諮問会議委員)        1人( 1%)
岩田一政日銀副総裁                      ──( 0%)
植田和男東大大学院教授(元日銀審議委員)          11人(20%)
河合正弘アジア開発銀行研究所長(元副財務官)         ──( 0%)
黒田東彦アジア開発銀行総裁(元財務官)            2人( 3%)
榊原英資早大教授・インド経済研究所長(元財務官)       1人( 1%)
竹中平蔵慶大教授・グローバルセキュリティ研究所長(元総務相) 4人( 7%)
高橋進日本総研副理事長(元内閣府政策統括官)         ──( 0%)
山口泰元日銀副総裁                      ──( 0%)
吉川洋東大大学院教授(元経済財政諮問会議議員)        ──( 0%)
武藤敏郎日銀副総裁                     32人(60%)
渡辺博史国際金融情報センター顧問(元財務官)         ──( 0%)
その他                            2人( 3%)


これを見ると、マーケット関係者の評価が高いのは、植田さんだね。ホラ、ホラ、だから言ったじゃないですか(笑)。武藤さんがポシャッた後には、マーケット関係者からの信頼のある人の方がいいのではないかと思えますが。

ミスター円とか、平ちゃんは、人気ないのだね(笑)。
「諮問会議」組の、伊藤先生や吉川先生も、パッとせず。

山口さんはゼロですよ、ゼロ。渡辺さんもゼロ。
全くの論外なんでは?


意表の人選として名前を挙げた高橋進さんもゼロだね。ゴメンなさいね。

こうして見ると、似たり寄ったりか。


でもね、私的には、黒田さんか河合さんを推すなら、賛成します。
山口さんや渡辺さんは、絶対にパス。
特に、黒田さんは◎、アジア開銀総裁を継続せねばならず、どうしてもダメということなら、河合さんでどうだろうか、と思いますね。
白川さんはやはり決まり、ってことになるんですかね?今更外せませんかね。

組み合わせ的には、

・植田、黒田、白川
・植田、河合、白川

よりも、

・植田、黒田、高橋
・植田、黒田、河合
・植田、河合、高橋

とかの方がよさげなんですが。

ま、どうなることやら判りませんがね。




日銀総裁人事案についての提案

2008年03月15日 19時15分39秒 | 政治って?
混迷が続いていると思いますけれども、政府与党と民主党の妥協点を探しやすくする為に、私がプランを考えてみましたから。


えーと、とりあえず、総裁+副総裁2名のうち、双方「いいよ」と言ったのは白川氏だけですので、これは仕方ないですが決まり、ということでいいでしょう。

で、方式としては、与党側が総裁の名前を1名挙げ、民主は副総裁の名前を1名挙げます。民主党が総裁の案に不同意であれば、与党は次の人の名前を挙げていき、同意する人が出たら、そこで決まりです。副総裁の人も同様に、民主党が挙げた人に与党が同意するまで挙げていけばいいのです。

これで、簡単に決めることができるでしょう。


で、個人的な提案ですので。


総裁には、福井爺さん!でどうでしょうか?(笑)


冗談です。

ズバリ、植田和男東大教授でどうでしょうか。
植田和男 - Wikipedia

私がこれまで痛烈な日銀批判とか、デフレ退治を散々お願いしてきたのに、何故「悪評高き植田さん」を敢えて挙げたのか、ということを不思議に思われる方々もおられるでしょう。そのワケを書いておきましょう。

・経歴は立派だ(笑)
・海外経験が長い
・MITのPh.Dだ
・日銀審議委員経験が7年ある
・財政研の研究員だったので大蔵閥との脈あり
・多分理論派だろう?

ということです。バーナンキと知り合いかどうかは不明ですけれども、審議委員だったし、東大教授だったことなどから、外国の要人との人脈があっても不思議ではないかな、とか。
デフレを悪化させた張本人みたいに言われることもあると思いますけれども、基本的には「理論派」なのではないか、という淡い期待を持っています。
理論派だと、日銀のセントラルドグマに対抗できるのか、とか、金利引き上げを強硬することにならないのか、とか、疑問点は多々出されるであろうと思いますけれども、そもそも論としてある種の理屈を重んじようとしますので、理論的な政策選択を指向するのではないだろうか、と。

具体的には「デフレなのに金利引き上げ」みたいな、初歩的誤りを回避しようとする、ということです。もしそういう傾向の人であるなら、総裁に就任したとしても、金利引き上げ至上主義には陥らないのではないだろうか、と。

それと、日銀での経験年数が長いので、内部的なことにもある程度理解があるだろう、ということです。バーナンキ議長もFRBの理事職に就いていたわけですし、あまりに外部の人間すぎると、日銀の中のことを知るまでに時間がかかってしまうかもな、とか。

でも、そうなると、植田+白川ときて、東大・京大じゃなかった、日銀派に2名になってしまうので、財務省側は不満に思うかもしれない。財務官経験者とかって必ず出さないとダメなもんなんでしょうかね。

それより、岩田副総裁を留任か、一気に意表人事で元政策統括官の高橋進氏とか。外部の人で、民間と内閣府経験があるので、日銀に新たな刺激になっていいのではなかろうか、と。そういえば「サプライズ人事」って、死語になってしまったね。そういう意味でも、元内閣府から行くというのも一計では。それとも、学者をもう1人持ってくるか。くどい?

嫌われ松子ではないが、嫌われ植田(笑)だとしても総裁案としては割りと有効かもしれませんよ。少なくとも、須田さんや水野さんよりは、デフレ親衛隊ではないと思いますね。



また円高と株安かよ!

2008年03月15日 15時53分17秒 | いいことないかな
中国の「大根」と「もやし」に倣って、日本市場を言い表すとこんな文句になりそう。

酷い1週間でしたよ、私にとっては。
まさに悪夢。
隊長も人が悪いわな、もっと早く撤収を教えておいてくれれば良かったのに!


自分だけ逃げ延びればいい、ということか?(笑)

私は12600高地で戦い続け、惨憺たる被害を蒙ったというのに、どういうこと?
というか、12550や12500陣地は跡形もなく吹き飛ばされ、12300基地とか12250陣地に逃げてきたのに、そこも撤退ですから、敗走に次ぐ敗走です。

実は、あの爆上げの朝に少し売却してキャッシュを回収していたので、人のことは言えないんですけど、それでも、殆どを売らずに耐えているわけです。きっと援軍は来るだろう、と期待して戦い続けているんですよ。わが隊は、「持ち場を離れるな」という私の命令通りに(当たり前か、自分の資産だからね)、血を流しつつも耐えているんですよ。
それなのに…それなのに、みんな「オレはもうダメだ、撤退だ」となって、底なし沼状態になっちゃってるんですよ。まさに買い手不在。


出血大バーゲンセールに、客が誰も来ない店の人の心境がちょっと判りました(笑)。残された道は、「倒産御免、本当に本当の完全閉店セール」を開催せよ、ということなんでしょうか。
恐らく欧米の一部ファンドとかは、本当にそうなってしまってますから、これからも完全閉店セール開催となれば、ウリウリ大作戦だけが続くことになり、それを吸収する国内買い資金がないと日本企業はボロ安となってしまうでしょう。外人の持つ株式150兆円(18年度末)のうち、2割を売り出されても30兆円規模の新規買い資金がなければ買い支えることはできません。

それらが一斉に売り出されたら、本当に大変なことになってしまうんですよ。



世界に拡散する伝染病、「不安」

2008年03月15日 15時22分27秒 | 経済関連
現在、全世界に吹き荒れている嵐は、極めて強力な感染症のようなものだ。誰しも「自分がババを引きたくない」という、損失に対する極度の怖れなのだ。

参考記事:

「アニマル・スピリット」とは何か?

「アニマル・スピリット」とは何か~バブル現象について

この記事にも書いたが、連戦連勝の時に積み上げられてきたバランスシートの資産が急速に収縮を始めている、というのが今の状況だろう。多くの投資家たちは、昨年11月以降の「連戦連敗モード」突入を見ているから、「きっと負ける(=値下がりする)だろう」という悲観的な状態となっているのだ。「自分は損失を蒙らないように」と思って、売りに出す(キャッシュに換えたり安全な国債を買ったり)為に価格は値下がりを続けることになる。日本の土地はそうして坂道を転げ落ちていき、デフレの長いトンネルに突入したのだ。今は金融市場でこれと同じことが起こっている。「オレも売らないから、お前も売るな」と、全員が恐怖に耐えることができれば価格下落は止まるのだが、みんな「我が身可愛さ」で売り続けるし、自分自身が大量売り(投資資金は莫大でレバレッジもデカイから)の主体となっているから、下落の流れが判っているので「ベア」に張っている連中もいるだろう。この流れを堰き止めない限り、深刻な経済収縮が起こるだろう。


日本の被害だって、数十兆円規模なんかではないのだ。

日本売り~小銭を惜しんで大利を逃す?(追加後)

このまま円高が続き、株価下落が継続すると、日本が受ける被害はもっと拡大することになる。これまで失った額は200兆円規模なのだぞ?(2月末時点の時価総額は約433兆円、現在はもっと落ちているだろう)こういうのが世界経済全体から、消えてなくなるのだよ。海外投資家が持つ株式60兆円(←コレ、間違えました、ゴメン。今みたら気付いた。150兆円と読み替えてね)のうち20兆円を売りに出されてキャッシュを回収されたら、かつての10000万円割れどころか8000円くらいまで逆戻りするかもしれんのだぞ?日本でそれだけの資金を、勇気を持って買いに行ってる主体はあるのか?誰もいなかったじゃないか。そうなってからでは遅い。

参考記事にも書いたように、「エンドトキシン・ショック」のような状態なのだから、「不可逆期」に突入するのだけは阻止せねばならない。今はまだ「代償期」だろうと思うから、重篤な状態を防げばいずれ回復するだろう。だが、不可逆期になってしまえば、もう後戻りはできなくなる。壊れた部分が多くなり過ぎて、元の状態には戻れないのだよ。FRBが必死になってどうにか「循環維持」に努めてはいるが、原因に対するアプローチではないから、エンドトキシンが大量にある限り循環虚脱に陥ることは防げないかもしれない。

更に深刻な状況をもたらしているのが、不安が世界に蔓延したせいで欧米の大手金融機関が損失を回避しようとして、資金をファンドなどから引き上げつつあることだ。担保を積み増しせよ、と求めているのも同じだ。カーライル系のデフォに続いて、ベア・スターンズまでもが流動性危機に陥り、NY連銀とJPモルガン・チェースが資金供給を行った。これは不可逆期への入り口が、もう目の前に来ていることを意味するのではないかと危惧される。

米国株式は大幅反落、Bスターンズへの緊急融資でクレジット懸念再燃 Reuters

僅か2日前くらいに、マーケットの噂で「ベア・スターンズがヤバいらしいぜ」とか出ていたのを、CEOが事実無根だと打ち消したばかりで、SECもバランスシートに問題はないとか言っていた矢先、こうした事態を招いたのですからね。周りが疑心暗鬼になれば、誰も資金を回そうとしなくなるからこうなってしまうんですよ。


人体には、自分の体を守る為の機構というのがある。免疫系がそれだ。通常の感染症などに対しては、感染源を退治してくれたりする重要な機能なのだが、これもマズイ状況というのが引き起こされることもある。よくある、自己免疫疾患などやアレルギー反応などがそうなのだが、正常な自分の細胞や組織を攻撃してしまう、ということが起こってしまうのである。元々ある有効なシステムなのに、病的状態になってしまって、正常であるはずの自分の体を攻撃する結果をもたらす、ということなのだ。金融機関が担保を求めたり、資金供給を大幅に絞ったりするのが、まさにこれなのだ。過剰な防衛反応が拡大すると、免疫系が悪い影響を与えてしまうようになるのと同じなのだ。様々なサイトカインによる攻撃、免疫担当細胞による攻撃、抗体による攻撃、それらが正常細胞に対して行われてしまうのである。こうなれば、壊死範囲が広がり、ダメージは更に深刻なものとなろう。日本が陥ったデフレとその被害は、これと同じようなものなのである。防衛反応(=個々の損失回避行動)が、結果的に正常組織や有効なシステムを攻撃して機能不全に陥らせ、そうした機能不全を原因として新たな危機が生み出される、ということになるだろう。病気でいえば、多臓器不全(MOF)状態に陥るのである。

米国で起こっている変化というのは、こうした兆候がある。システム崩壊の危機である。

命名するとすれば、こんな感じかな。

・Speculative Assets Crisis (SAC):
事の発端はこれに尽きるだろう。土地でも、株や債券などの有価証券でもよい。勿論、チューリップの球根でも良い(笑)。連続の値下がりとか、投売りとか、そういった危機から始まるだろう。そもそもはリスクを多く取りすぎていることが原因になるのではないか。

・Severe Capital Distress Syndrome(SCDS):
初期の病態から進んで、広い範囲に被害が拡大した状態。ARDSやIRDSに倣って命名すると、こんな感じかな。
不安心理が強まり拡大する、極端なリスク回避行動を取るようになる、借り手の資金調達が困難になる、価格下落で保有資産が減少し損失が拡大する、投資家も貸し手もキャッシュかき集めに必死になる、貸し手からは追証とか担保積み増し等の正常部分への攻撃が始まる、土地や有価証券等資産の流動性がなくなるか大幅に低下する、などが複合的に起こってくるだろう。

・Financial System Failure(FSF)、Credit Insufficiency(CI ):
更に進むと不可逆領域となり、企業倒産やいくつもの銀行破綻などを招くであろう。金融システム全体の機能不全、信用(創造)機能の極端な不足や機能不全という状態を招く。日本で起こった貸し渋りや貸し剥がしということや、新規貸出の大幅な減少、大規模な信用枠の収縮、ということになるだろう。経済全体への影響も大きいだろう。多分この状態になると、通常では効いていた政策手段(例えば利下げ、マネーサプライ、等)に対する感受性(感応度)が著しく低下し、かなり強力な政策パッケージで対応しない限り、脱出困難となるであろう。日本のデフレスパイラル状態を思い浮かべてもらえれば、その深刻さが判るであろう。極端なダメージを受けると、人々の多くは「悲観」「不安」「臆病」との親和性が強化されてしまうため、アニマルスピリットを発揮できる人はもの凄く減ってしまうのであろう。



今後、最悪の事態に向かっていく可能性があるので、本格的な手を打つべきだ。FRB単独では難しいと思われるので、日本が協力を申し出るべきだ。米国金融機関やヘッジファンドのハイエナ?orコヨーテ?ご一行様には、キツイお灸を据えることになったでしょうから、もう勘弁してあげた方がいい。本格的に彼らの多くが倒れるまで放置したら、その被害は全世界に広がることになりますから。
「情けは人のためならず」
欧米人には難し過ぎて判らないでしょうけど、この言葉通りと思います。
彼らを助けることは、結果的には日本経済も世界経済も救うことになるわけですから。


緊急性があるので、ノロノロしている暇はありませんよ。日本の政府は本格的に無能なので、米国の代表者がどこかの筋を使って、外務省経由でもどこでもいいので官邸筋に直接アプローチしてみて下さい。

①まず、日米で詳細を決める以前の段階でいいですから、とりあえず「日本側から出資することが日米で合意、出資予定額は数兆円~数十兆円規模になる見込み」とか、アナウンスだけでいいので取り急ぎ出す。

②交渉の詰めは時間がかかるが、あまり時間はないので、バーナンキから交渉の日本側代表者を1名指名してもらいなさい。学者でも、日銀の人でも、政府の人でも、官僚でも、誰でもいいから、向こうから「信頼できる(できそう)な人間」ということで、FRB議長から指定してもらえば、日本政府はその人を日本側の事務局長とかに任命して、交渉に当たらせればいいのです。

③この代表が決まったら、この代表自身が指名する人をスタッフとして4~5名程度選抜してもらえばいいのでは。そこに、日銀、財務省、金融庁、等のサポート人員を入れる。法関係の人とか、日本の銀行や証券界の実務家もいた方がいいと思いますけど、そこら辺は適当に考えて下さい。

④このチームで日本側の出資スキームの全体像を考えてもらって、米国側に提示することになると思います。それか、スキームを作る際には米国側の人間を入れてもいいでしょうが、向こうの有利な出資は許しませんので悪しからず。細かい部分はとりあえず後回しとして、出資に双方が合意することが肝要です。時間との戦いになるでしょう。

⑤この出資の条件としては、為替介入か米国債売+コモディティ市場(主に原油、小麦、貴金属以外のメタルとか)への売り参加を容認してもらうことを求めます。必ず売るかどうかは為替や市況の動向次第です。米軍とか防衛費の話は、当面ちょっと後回しです。そんな細かい話を詰めている時間はありません。出資の文書に入れる必要はないとしても、別な形で「今後の交渉の際には、日本側主張を最大限尊重する」とか何とか、外交文書の一つとして一筆入れさせるか言質を取っておけばそれでもいいです。


これらのことを日本の政治家に決めさせると、多分、①に到達する前に世界経済が破滅しているだろうと思いますね。何一つ決まらないのですからね。現に日銀総裁でさえ、決めることができないでいるのですから(笑)。彼らにとっては、日本が破滅しようが、世界が破滅しようが、自分たちの目の前にある「お前にだけは負けんぞ」というような、ちっぽけなことにしか取り組めないし関心もないのです。

既に日本市場の資産200兆円をパアにしたのだから、今後10兆円や20兆円のレベルで「損失がいくらになると思ってるのか」とか、そういう論争をやっている場合ではないですよ、本当に。
日本が協力する、って言わない限り、窮状を脱する有効策は次第に尽きていきますよ。打つ手が遅れれば遅れるほど、治療効果も落ちていくので、可及的に速やかに取り組むべきです。


◇◇◇◇


ちょっと追加です。

この前、緊急対策が必要だ、と言って命名したプランは名前がマズイかも。
続・緊急経済対策―「翔べ、日本」(笑)

「とぶ」という音は、「飛びます、飛びます」と同じで(違うか、笑)、所謂「ぶっ飛び」を連想させ、不吉でしたね。もっと別な名前にしておいた方がいいでしょう。

候補としては、やはり「黒い」を入れておきたい。ブラック・ストーンの真似であると思われてしまうかもしれんけど(笑)。
「黒いお金」とか。あまりにダイレクトすぎか。
「黒いカメ」→かめの中にお金貯めてるイメージ
「黒い影」→いかにも陰謀っぽく
「黒い腰ぎんちゃく」→手下っぽい

どれもダメだね。

「ニッポンの火消し」は?どう?
「日本の火消し」
何となく、良さそうに思えてきた。あと、
「バンザイ!ニッポン」
とか。破産したみたい?
「万歳!日本」
諸外国に喜ばれていそうだけど(笑)。




さすが中国

2008年03月14日 14時36分18秒 | いいことないかな
ひょっとして、日本人も見習うべきなのかもしれない(笑)。

【中国】「また大根ともやしかよ!」、食事めぐり工場で騒乱(NNA) - Yahooニュース


騒乱が広がるのも、文句を言うだけではなく実力行為に及ぶのも、中国の気質が出ていて面白い。

日本でも、今のような政治とか社会環境なのだから、同じように大騒ぎしても不思議ではないのだが、みんな大人しくしている。偉いのかもしれないけど、変革の力としては弱いかもしれない。

暴動を起こすのは問題だろうけど、かといって、いくら意見を言ってみたところで、今の政治家たちは何一つ変えられないのだ。まともなことを、ただの一つも決めることさえできないでいるのだ。


あるのは、絶望のみ。


あのね、楽観主義者っぽい私が言うのだから、これは余程酷いのだよ。



ドサクサに紛れて

2008年03月14日 00時37分40秒 | 政治って?
福田政権は本当にやる気があるのか?
政治が動かない、とか文句が出ると、こんなつまらんところだけはサクッと可決してやがる。国交省の「時間切れ」「ほとぼりが冷めるまで」「フェードアウト」みたいなしょうもない作戦じゃないか。

東京新聞道路財源法案が衆院通過 08年度以降も特定財源維持政治TOKYO Web


誰があのまんま通せと言ったんだよ。
経済の混乱や日銀総裁人事の混乱に乗じて、コッソリと通してんじゃないか。
コイツらの根性は心底腐ってるな。
うやむやにしてもいい、なんて言ってないぞ。衆院を通過すれば、参院で否決されたとしても、3分の2で可決できるからって、勝手に通したんだよ、与党は。

許せん。やりたいようにやってるだけだ。
民主党の譲歩を引き出したいのであれば、道路と総裁人事とセットで交渉とかすればいいものを、勝手に道路だけ先に通したんだよ。

実際の道路工事と一緒だな。自分たちで線を引いて、勝手に工事をやって、勝手に道路を作っていく、そういうことだ。
総裁人事問題で民主党への風当たりが強くなった今というタイミングを見計らって、ここぞとばかりにスススッと先に進めたんだよ。汚い手を使いやがって。

もうメチャクチャだ。

これじゃ、政治には何も期待できんな。与野党ともに互いに好き勝手にやって、混乱を増幅させ悪い方へ悪い方へと突き進んでいく。悪くなる方だけを、意図的に選択しているのさ。この法案を通せば、また地方が、地方が、ってばら撒き戦術が継続されるだけだ。道路族が実権を掌握し、無駄に金が注ぎ込まれる。守旧派政治が完全復活だ。

もう終わってるな、この国の政治は。



新銀行東京に学ぶ経済学~その3(色々追加)

2008年03月13日 16時34分37秒 | 経済関連
※いくつかリンク先に参考記事を追加しました(19時頃)。

新銀行東京の将来を考える上で、参考になる銀行がある。例の木村剛氏の関与していた銀行です。
似たような中小企業融資を掲げて登場した、全くの民間による運営である日本振興銀行の場合にはどうなのか、見てみる。

決算資料>

日本振興銀行H18年度決算

日本振興銀行H19年度中間決算


直近の資料で比較すると、ある特徴が判る。とりあえず、H18年度の本決算では黒字確保となっていたが、この大きな要因は法人税等調整額で黒になっただけである。業務純益も経常利益も赤字であるので、銀行の基本的体質は苦しいことに違いはない。新銀行東京ばかりではないのである。
19年度中間期では業務純益がプラスに転じているので、若干の改善が見られているが本決算ではどうなのかまだ不明である。

新銀行東京の不良債権比率がうなぎのぼりになってきたのは、新聞等で報じられたとおり。では、日本振興銀行の場合にはどうなのか見てみる。

まず、資産運用の資金総額は増加している。これは金利の割と高い定期預金を多く集めることによって達成されている。資金コストが上昇するが、利ざやが取れる限り問題はない。

ア)貸出額は若干増加しているが、資金比率は45.4%から41.3%に低下している。
資金総額が増大しても、貸出を伸ばすのではなく国債を大量に購入して運用している、ということである。利ざやは小さいが、資金規模が大きくなるとメリットは出てくるだろう。要するに、貸出で銀行収益をもっと上げよう、ということではなく、国債を買っているだけである、ということ。

イ)貸倒引当金はほぼ同比率だが、個別引当金の割合が増加している。
半年間で、11億7500万円から約15億円に増加、貸出額に対する比率は約4.2%から約4.5%に増加した。

ウ)リスク管理債権比率は増加している。
18年度本決算では、約22億4千万円で貸出額に対する比率は約8%であったが、中間期では約30億7千万円で比率が約9.3%に上昇。破綻先等が約40%増加、3ヶ月以上延滞も増加した。

エ)金融再生法基準での債権分類でも、不良債権比率は上昇(正常債権比率は低下)している。
正常債権比率は貸出額の約92%から、約90.6%と1.4ポイント程度悪化している。破産更生等債権は貸出額に対する比率が約3.64%から約4.19%に悪化、危険又は要管理債権の合計額は増加している。特に要管理債権は2倍程度に増加している。


新銀行東京ほどではないが、日本振興銀行も不良債権は増加しているのである。この理由というのが何か、ということになるが、2つあるだろう。
一つは誰でも思いつく、景気悪化ということだ。
小規模な倒産件数は増加の一途を辿っており、その流れが継続しているのと、日本経済自体の減速傾向ということがあるだろう。デフレを脱却できなかったことも勿論ある(借入は負担増になる)。
もう一つは、大前氏の指摘のあった「大手行にカモられた」というのに関連しているだろう。それは例の「貸金業法改正」だ。何故木村剛氏があれほど法改正を糾弾していたのか、景気悪化の原因にこの法改正を挙げていた(参考:成長率の押し下げ要因は何だったか)のか、ということにも関係しているかもしれない。

それはこうだ。
大前氏の言うように、大手行への返済原資を得るために新銀行東京の貸した金が流れていった、というのとほぼ同じだ。上位に位置する(貸出金利が低く、喩えて言えばプライムな貸出ということかな)のは、大手行だの、その他銀行だの、金融機関だの、とあって、更に借入金利が上昇する貸し手の方に行くのはノンバンクや消費者金融業者ということになるだろう。つまり、この「最後の貸し手」の方から絞ったので上の方に金が流れなくなっていった、ということだ。消費者金融で借りられたときには、その借りたお金を銀行などの返済に充てていたのだ。しかし、消費者金融業者は金利引下げによって貸出を厳しくせざるを得なくなり貸さなくなって、すると、既に借入していた先(例えば新銀行東京とか日本振興銀行とか)への返済困難に陥ったということだ。

返済が回っていたのは、銀行の「次の貸し手」が必ず現れてきていたからであり、結果的には多重債務に陥らせることになっていたであろう。アメリカ人なら銀行借入が返済不能に陥れば、そこで「バンザイ」するのだが、日本人は銀行へ返済を継続しようとして、貸金から金を借りるのだ。しかし、この還流システムが、「次の貸し手」の末端の方(要は貸金)から絞られたので、銀行の方まで金が戻ってこなくなった、ということ。すなわち、貸倒増加ということになるのではないか。

民間だから、とか、官業だから、とか、そういう問題ではなく、日本の多重債務に陥る基本的仕組み(笑)が関係しているのだ。貸金業者の貸出が絞られれば、日本振興銀行とか新銀行東京などの借り手の中に、払えなくなる人たちが出てくることは「予め判っていた」のだ。そういうシステムになっていることが、日本の融資の中では「当たり前」になっていたのだ。

だからこそ、「貸金業者がやっていけなくなる」とか言っていたのだ。「次の貸し手」になってくれないと、困る銀行とかが出てくるからさ。なので、絶対に反対するに決まっている。
事業者への融資は除外せよ、と再三言っていたワケは、これで判ったよ。上限金利が厳しくなれば、これまで「最後の貸し手」に回っていた貸金業者たちが消えていなくなる。すると、自分が最後の貸し手になる可能性が出てくるわけだからね。プライムから遠く離れていくほど、その貸し手が「最後の貸し手」になる可能性は高くなるだろう。

関連記事:

貸金業の上限金利問題~その5

貸金業の団信の効果

(貸し手が銀行でも貸金でもヤミ金でも基本的な仕組みには無関係だ。もし完全自由化されていれば、おのおの単なる貸出業者でしかないのだから。ババを引かないように、次の貸し手が現れそうな人間に貸す、ということ。次の貸し手が現れないと新銀行東京みたいに焦げ付くことになる。数ヶ月で飛ばれてしまうのも同じ。)


新銀行東京の場合であれば、大手行が最初の貸し手、で、次の貸し手が新銀行東京、ということ。新銀行東京より下流に他の金融機関やノンバンク・貸金などがいたかもしれないが、そこらへんが貸さなくなると上に金が戻ってこなくなるので不良債権となるであろう。

新銀行東京 19年度中間期

コスト率がどの程度か判らないと、この前書いたのですが、これに出ていました。
もう全然ダメね。集めた資金の殆どが定期預金なので、調達コストが1.05%、その他運営経費が1.93%もかかっているので、合計で2.98%と、3%近い水準です。これは貸倒率を除外した水準ですから、ここに貸倒率を上乗せすることになるので、ほぼノンバンクよりも高い貸出金利とかになってしまいかねませんね。コスト率3%+貸倒率3%なら、最低でもこれ以上の貸出金利や運用収益をあげない限り、赤字ですから。業務純益の若干の改善が見られますが、これは物件費が軽減されただけなので利益が伸びたわけではないですね。土地建物等の負担軽減なのか、委託業務見直しで利権の一部が解消されたのか判りませんが、本業の儲けがいいわけではない、ということです。

更に悪いのは、貸出金残高が着実に減っている、ということです。19年9月末では2218億円で、僅か半年で250億円もの融資残高減少になっています。投資運用収益で3%もの成績は期待できないだろうと思うので、せいぜい国債利回り程度でしかないでしょう。すると、コスト率が3%もあるのだから逆ザヤとなるのは確実です。なので、少なくとも3%を上回る金利で貸し出す以外にはないのですよ。資金量が膨大で、国債程度の利息収入でも経費や預金金利を払えるのであれば、貸出は少なくてもいいですよ。しかし、そうではない。資金総量が小さいが故に、調達コストも経費のウェイトも高くなりがちなので、これを上回る貸出金利を確保できないと安定的な運用収入では赤字になるだろう。

リスク管理債権比率は、約188億円で貸出総額の8.47%、破綻先債権は昨年中間期から約200%増の24億4千万円、16億円以上も増加している。昨期の中間ではリスク管理債権比率が2.24%だったものが、たった半年で6.22%に増加、更に半年で8.47%に増加、というのは尋常ではない。しかし、新銀行東京のリスク管理債権比率は8.47%だけど、日本振興銀行ではもっと高い約9.28%だったから、官業のせい、というわけでもないかも(笑)。それと、金融再生法基準でも、新銀行東京の正常債権比率は89.83%に対して、日本振興銀行でも90.56%ですから、僅か0.7ポイントしか差がないですね。破産更生等債権は新銀行東京の3.46%に対して、日本振興銀行は4.19%ですから、この部分では新銀行東京の方がまだ少ない、ということです。ただ、危険債権とか要管理債権の比率が異なるので、一概には言えないわけですが。

この前目にしたのですが、日本振興銀行をちょっと称賛しているような記事を見かけたのですが、それって、多分誤解ではないかと思われます。

ちょっと追加:
コレね>はてなブックマーク - 新銀行東京 - 漂流する身体。

債権の構成を見れば、それほど大きな違いなど見当たりません。違いが大きいのは、官業っぽいので新銀行東京の方が初期投資額が大きく、経費も甘い、ということかと思います。これは書いた通りに、多分、様々な利権絡みとか、オコボレなんかのせいではないかと思いますが、定かではありません。


そもそも「貸倒率が高い」というのは、貸出ターゲット層がどこなのか、ということで違いがあるのは仕方がないのです。異常に高くないのであれば他の銀行より高くても問題ないし、倍の貸倒率であっても新規貸出が供給でき、融資残高が維持できるバランスが保たれている限り、銀行経営は成り立ちます。ただ、年平均貸倒率が3%の層であると、貸出金利をかなり高くしないと無理でしょうね。新銀行東京なら、コスト率3%+貸倒率3%となり、最低でも平均貸出金利が6%となっていなければならない、ということです。今の体質のまま400億円を追加投入しても、業務利益が上がるようにはならないと思えますが、如何でしょうか。


まあ池田信夫が言うみたいに、金利が30%だろうが40%だろうが払える中小企業は日本にいくらでもあるのであれば、新銀行東京も日本振興銀行も貸出先に困るはずもないし、チマチマと国債運用なんてやってないで、もっと儲けられるであろう「高い金利」(笑)で貸し出せばいいものを、どうして貸さんの?
なのに、一体全体何を思ったか、与信残高比率をわざわざ下げて、資金総量を大きくして「国債運用」でも経費が賄えるようにしたいんですと(笑)。それは不合理ではないのか?わざわざ儲ける機会を自ら放棄すると?なにゆえ?


大爆笑だね。
これが彼らのビジネスモデルなんだそうです。
中小企業に高金利で無担保融資できる、いくらでもそういう企業はある、と豪語しておきながら、実際にやっていることは「与信比率を下げ」て、安全資産である国債運用で経費捻出しよう、ということですわな。


あれだな、日経や産経の記事で書かれていた理屈と一緒だな。
中小企業や零細個人が借りられなくて倒産する、だから貸せ、と言っておきながら、新銀行東京みたいに貸倒率が高すぎると、「ずさん融資」などと非難するのだそうだ。新銀行東京も、貸倒が増加して融資を控えて融資残高が激減したんじゃないですかね。

新聞にはどちらでも書ける。何でもそうだね。
自分たちに都合よく、好きに書けるのさ。

あれほど、もっと貸せ、貸せるように自由にしろ、とか言っておきながら、何故「新銀行東京は融資残高を250億円も減らしたんだ、もっと貸せ、貸さないとヤミ金に行くぞ、倒産件数がもっと増えるぞ」とか言わないのかね(笑)。


本当に勉強になりますね、生きた教材は(笑)。

日本の学力低下を散々嘆く新聞社説子や記者とかが、科学的応用力や情報読み取り能力に乏しいのではないか、それゆえ立場が変わればいくらでも主張を変えてくるということも、よく判りましたよ。

ほんとうに、ありがとうございます(爆)




関係ないけど、記事を投稿してから、ウチのブログ特有なのか、goo全体でそうなのか不明なのだけれども、激重でページが切り替わるまで凄く時間がかかる。他のはてなとか、普通のページは普通に開くし、切り替わり速度も普通なのだけれど、ウチのブログはどうしてこれほど時間がかかるのか、謎。

まさか…(また陰謀論、笑)




また追加なんですが(20時45分くらい)

NIKKEI NET(日経ネット):経済ニュース -マクロ経済の動向から金融政策、業界の動きまでカバー

(以下に引用)

日本振興銀、定期預金残高1000億円突破
 日本振興銀行(東京・千代田、上村昌史社長)は13日、個人・法人の定期預金残高が10日に1000億円を超えたと発表した。2007年末に札幌、仙台、広島、福岡の四都市に店舗を開設するなど、拠点網の拡大などが寄与した。

 同銀行は個人・法人の定期預金受け入れや中小企業向け貸し出しに特化。2月末時点で16都道府県、39店舗の拠点網を持つ。今春には上越・四国地方にも新たに店舗を設け、10年までに100店舗にする計画だ。(20:02)

=====


この記事が出たのは今日の20時02分、これは偶然に一致にしては出来過ぎなような気がします。
日経記者の中に、何かのツテとかコネクションがあって、業界からのご意見だの頼みごとだの、そういうのが効くとかあるのでしょうかね?
ちょうちん記事みたいなのは、週刊誌だの何だのの筋ではあると思いますけど、ここまであからさまなタイミングで出るというのは、どういうわけなんでしょう(笑)。ああ、これも単なる陰謀論に過ぎませんので。
ウチのブログ記事が出されて、それを誰かが監視しているとか、御注進が銀行筋に行ったので、思わず対抗記事を日経に流したとか、そういうことは一切考えておりませんのでご安心下さいませ。


引用記事が抜けてた…
リンクが切れるので、日経記事を引用しておきました。


なるほど、納得!
みたいな。

世の中の仕組みというものについて、私のような田舎者で頭も悪く身分の低い人間には知らないことがたくさんあるね。上流階級の方々には、インナーでしか判らない力学だの、政治的影響力だの、きっと様々なことがあるんでしょう。

NIKKEI NET:検索 日本振興銀行

日経さんの記事検索では、日本振興銀行に普通の関する記事なんて全然ないんですよね。でも、右側に並んでいるスポンサーリンクを見ると、何となく感じるものがありますね。

定期預金、おまとめOKのローン、求人情報2件、と7本中4本が日本振興銀行ですか。ま、検索語に応じて出てくるスポンサーが違うのかもしれませんが。

けど、上に来ているのが噂に上った(隊長のところ辺りで見かけたような…)ビービーネット(株)さんのMSCB話ですか。ふーん。そうですか。いや、全然興味もなかったし、何も知らないんですけど。

ビービーネット株式会社 第3回・第4回MSCB

で、ウェル・フィールドキャピタルとかって、何かで見たかも、とか思ったわけですが、2月にSESCから行政処分勧告が出されていましたな、ウェル・フィールド証券は。
20215 ウェル・フィールド証券株式会社に対する検査結果に基づく勧告について

先のMSCBの文書によれば、ウェル・フィールドキャピタルという会社は、ウェル・フィールド証券の100%子会社で、総資産700万円で従業員1名の、所謂「ペーパーカンパニー」っぽい感じがしますが、どうなんでしょうか。会社実態はあると思いますけれども(割当先になっているのですし)、売上高0円ですし、単なる受け皿として存在しているだけみたいにしか見えないですね。過去1期しか存在してない会社みたいです。これが、6億円のMSCBの割当先ということなんですか。
金融関係というのは、とても複雑なので大変勉強になります。

で、ビービーネットという会社の大株主には、日本振興銀行とウェル・フィールド証券が並んで記載されている、と。そーですか。

頭のいい人たちにしか判らない、何かと難しい仕組みがあるんですね。



新銀行東京に学ぶ経済学~その2

2008年03月13日 13時46分12秒 | 経済関連
理論の中の話や考え方を現実世界に適合させるにはどのように組み立てていくか、ということが必要になることは多い。学問というのはそういう意味において、実社会に役立つのである。現実世界には「生きた教材」があるのだ。新銀行東京の例は、まさに優れた教材の一つであろう。そこには、社会の構造とか実態が浮かび上がってくるかもしれない。

最初に山口氏の至極当然のご意見をご紹介。

H-Yamaguchinet 他人の金を他人のために使う話

『何しろ経営が回復する見込みなのだ。この状況で出してくるんだから、まさか民間から資金を引っ張れないほどのいいかげんな再建計画ではあるまい。「たったの」400億円だ。堂々と民間金融機関やらファンドやらに資金拠出を持ちかけたらいいではないか。東京都に頼ろうとなんかするから、経営が甘くなるのだ。民間で調達できるなら、わざわざ再び都民の血税を400億円「も」投入するまでもあるまい。なんなら、融資先に対してやるような審査を、自行に対してやってみるといいんじゃないかな。』

=====


本当に新銀行東京に将来性があって、収益見込みとか事業再建の可能性が高いのであれば、金融業に参入したい民間企業や経営に参画したいとか高いリターンを得たいファンドから資金を引っ張れるはずだ、ということだ。石原都知事曰く、まず400億円を投入した後でならそういう話も出てくるかも、とかふざけたことを言っていたが、そうなると民間企業等に400億円を都民がプレゼントしろとでも言うのであろうか(笑)。所詮、殿様商売だから。自分が400億円払うわけではないので、屁でもないぜということかと。


それから、もっと悪辣な話が出ていたのがこちら。

いよいよ瀬戸際、新銀行東京 SAFETY JAPAN 大前 研一氏 日経BP社

是非全文を読んで頂きたいのですが、私の評価として重要な点を挙げておくと、次のようなことです。
①新銀行東京は先に貸していた(大手行等)金融機関にカモられた
②東京都の関連出入り業者たちに融資を受けさせる腹積り(港湾局長談話)

大前氏も山口氏の意見と同様にデューデリジェンスによって新銀行東京への出資を検討すべし、ということも述べています。メトロポリタン銀行の話は始めて知りましたが、それにしても役人たちの仕事ぶりというのは、所詮こんなものなのかもしれません。餅は餅屋、ということで、民間に任せるものは任せた方がいいのでしょう。言ってみれば、壮大なプロジェクト立ち上げですから、これにまつわる利権だのオコボレだの、数え切れないくらいあったのでしょう、多分。銀行の土地建物、様々なシステム、他に思いつかないけれど、看板だのロゴだの印刷物だの、ありとあらゆるものがあるでしょうね。ま、これは今はおいておく。


①について:

第一に、恐らく新銀行東京は「一番最初の貸し手」となることは少なく、他の金融機関から既に借入していて苦しい経営状況にあった借り手が多かったのではないか、ということになるだろう。最初の貸し手になれたのは、他で全て断られたベンチャーのような借り手だけではないだろうか、ということ。

日本人に特有?かどうかは不確実ではあるが、所謂「多重債務」という気質のようなものに起因するかもしれない。アメリカ人と日本人では異なる、という部分だ。これは昔の時点でも言われており、取り上げたことがある。
貸金業の上限金利問題~その9
この中でHiraの論文というのがあるのだが、日本においてはどういうわけか「複数の金融機関・貸金」などから次々と借入てしまう、という傾向があることが指摘されていた。これが多重債務なのである。

たとえば住宅ローンがあるとする。アメリカ人は今のサブプライムローンで問題となっているように、ローンが払えなければ「住宅差押え」を選ぶ方が普通だ、ということ。金利10%の住宅ローンの支払が滞れば、別に「20%のローンから借入て資金調達し払い続けようとする」ということは少ない、ということだ。ところが日本人では、破産への心理的障壁が高いのか、破産コストが高いせいなのか、差押えを選択することは少なく、消費者金融から高利で借金してはるかに低利の住宅ローンを払い続けようとするのだ、ということ。個人の民事再生は昔よりも若干増えたと思うが、利用は多くはないだろう。日本人は、「借金を必ず返さなければいけない」という倫理観が定着している為なのか、返済できないことを申し訳なく思うのでどうにかして返そうと必死で努力するのだと思う。この性質があるからこそ、ヤミ金の取立ては可能になるし、多重債務者への貸し込みというウマミが出てくるのである。返せないことを苦にして自殺する人が多いのも、こうした気質を反映しているのではないかと思う。

この傾向は恐らく事業者においても同じであり、銀行借入の返済に困ると、「次の貸し手」を探し求めて借りてしまうのである。それ故、大前氏の指摘のように大手行が新銀行東京のような「次の貸し手」からカモることが可能になるのである。ある企業があって、大手行から5000万円借入しているとしよう。経営が苦しくなって返済に度々行き詰ると、銀行から取引停止処分などを食らうかもしれない。そうなれば信用を失い事業継続が困難になるだろう、と経営者が考える。で、大手行への返済原資を得る為に、「次の貸し手」を探すということになる。それが新銀行東京のような銀行であった、ということだろう。つまり、大手行は新銀行東京よりも先んじて回収に成功できる、ということになるのである。返済してもらうのは、元を辿れば「新銀行東京が出したお金」ということに他ならない、ということを大前氏が指摘しているのであろう。つまり、「次の貸し手」が登場する限り、まるで川の流れのように金が移動していく、ということになるだろう。上位から、大手行、地銀、信金・信組、公的金融機関や制度融資、ノンバンク、消費者金融、のようになっている、というようなことだろう(順番は必ずしも正しくはないだろうが、最初と最後は多分そうだろう)。つまり、大手行に返済する為に、次の貸し手に借り、次の貸し手に返す為にまた次の貸し手に借り、というのが順繰り行われる、ということになるだろう。これこそが多重債務の本質なのである。再生手続や清算を選択することは、日本人気質的には困難だ、ということだろう。今、新銀行東京がもがいているさまが、まさしくそのものだろう。

こうして新銀行東京が貸したお金は、先に貸していた大手行の返済に回され大手行の不良債権を軽減したが、新銀行東京には返済に苦しむ債務者が残された、ということ。これが、大手行にカモられた、ということだろう。


第二に、新銀行東京の話とは別にして、大手行からは「絶対に新銀行東京なんて拾ってやらんぜ」という総スカンを食らう理由があるのではないだろうか、ということ。それは石原都知事に起因するものだろう。石原都知事は銀行設立前に、かなり痛烈に大手銀行批判を行っていたこと、そして例の外形標準課税を巡る東京都と銀行団とのバトルだ。こうした要因があるので、他の銀行さんたちからしてみると、本音の部分では「ざまあ見ろ」ということなのではないか。これはあくまで私個人の見方なのだが。そもそも銀行経営のド素人のくせに、とか、できるもんならやってみ、とか、冷ややかに見ていたのだろうと思う。で、大きく躓いて、やっぱりな、と。腹の中では大笑い、と。まあその気持ちは分らないでもない。だって都が銀行を持つとか経営する必要性なんて全然ないもんね。

それと、既存金融機関の現場では、「ウチでは貸せませんが、あくまで独り言として聞いて欲しいんですが、新銀行東京なら貸してくれるとか噂話を聞いたことがあります」みたいに暗に紹介するとか、できるかも。すると、そっちから金を引っ張ってきてもらえれば、自分の所には返済してもらえることが分っているから、紹介するインセンティブは十分有ると思える。


②について:

大前氏のご指摘どおり、優越的地位の利用に他ならないだろう。まるで抱き合わせとか、そういうのとも同じだろう。物語が直ぐに思い浮かぶよ(笑)。こんな感じ。

都の仕事が欲しいって?そうだよね、わかりますよ。
その場合、新銀行東京に預金1本(百万円)と、それを担保に新規融資300万円を受けてくれないかな~。
イヤなら別にいいんですよ、イヤなら。
他の業者さんも仕事を欲しいって毎日見えてますからねえ。最近では都の仕事をなかなか自由には割り振れないので、困っているんですよ。新銀行東京の話は、別に深く考えなくてもいいですよ、内部的な事情なんで。新銀行東京の融資を受けないからといって、仕事が回らないってことはないですから。ええ、大丈夫ですよ。けど、業界の競争は厳しいからねえ、いまどき。上のほうから号令かかってるから、融資実績とかで優先的に割り振られたら、私にはどうにもできないんですよねえ~笑

 ◇◇◇

日本人的気質のせいかわかりませんが、「融資を受けたければ~」とか「仕事を取りたければ~」といった条件をだされても、こうした殺し文句には逆らえないのですよ。交渉力が対等とか、借り手が顧客だとか、そういうのは幻想なんですよ。かつて政府系金融機関の統合話の頃に書いた(熱闘!官業金融~第1Rの続き)けど、銀行が優位なのであり貸し手が強いのですよ。だからこそ、酷い取立てとかが成立してるんですよ。


とりあえず、新銀行東京を存続させるかどうかは、まずデューデリジェンスを都の役人がやるのではなく、全く外部の買い手同様の立場の人にやってもらわねばダメだね、ということ。


後で追加します。



今日は一息つけたけど

2008年03月12日 23時23分12秒 | いいことないかな
朝の上げの勢いは見せかけだけで、地合は改善していないね。

その後またしてもズルズルと下げる展開。
これまでにも同じようなチャートを幾度見たことか(笑)。警戒感が残ったまま、ということなんだろうね。

ま、それでも、勇気を持って新規資金投入した部隊は、頑張ってくれたみたいだから良かった。連続のマイナスよりはまだいい。損失拡大となるよりは、マシだもんね。


頑張れ、わが部隊。
いや、ごめん、日本市場よ頑張ろう!(笑)



続・緊急経済対策―「翔べ、日本」(笑)

2008年03月11日 21時30分22秒 | 経済関連
前の続きです。


2)日本経済の成長減速防止

上記買取とは別に、違う対策も取らせてもらうことにします。
まず一つ目は、米国債の一部売却です。現在債券高となっており、売りには適しています。これにより、米国金利は若干上昇圧力となり、ドル安をやや改善する効果が期待できます。日本にとっては円高によるダメージが軽減されることが期待されます。
で、この売却した米国債はキャッシュに置き換わりますが、これをどうするかということになります。そこで二つ目としては、米国債の売却代金は原油等の商品先物市場での投資資金にさせていただきます。具体的には先物市場で売ることになるでしょう。

米国債を少量ずつ売却していき、投資資金として少し溜まってきたら、先物を売ることになるでしょう。15億バレルの原油購入を考えると、1バレル当たり1ドルの下落で15億ドル分の輸入価格抑制効果がある、ということになります。よって、先物市場規模がどの程度か知りませんが、売り資金が続く限り常時投入していくことになるでしょう。これは小麦など他の先物市場での売りでも構いません。

原油価格の経済に対する影響としては、これまで幾度か取り上げましたが、内閣府のペーパーが参考になります。
ESRIESRI Discussion Paper No173 短期日本経済マクロ計量モデル(2006年版)の構造と乗数分析

原油価格の50%上昇とか、100%上昇ということになれば、もっと大きな負の影響を持つことになりますので、私の考える経済対策としてはかなりの効果が期待できるものと思います。


ここで、気になる理屈を目にしましたので、取り上げてみます。

ドル安だけでは最近の原油高を十分説明できない=FRB幹部 ワールド Reuters

[ワシントン 10日 ロイター] 米連邦準備理事会(FRB)国際金融部門のアソシエートディレクター、スティーブ・カミン氏は10日、ドル安は原油価格に上昇圧力をもたらしているが、それだけで大幅な原油高の理由をすべて説明することはできない、との考えを示した。
世銀主催の原油コンファレンスで語った。
 同氏は、大半のエコノミストが用いている基準に基づけば、ドルが1%下落するごとに原油価格を1%押し上げる効果があると指摘、「ドルが下落すれば、テクニカル的に原油に上昇圧力がかかる。問題はどの程度上昇するかだ。簡単な答えだけでは、最近の大幅な原油高を十分説明することはできない」と述べた。

=====


何と、『ドルが1%下落するごとに原油価格を1%押し上げる効果がある』というのです!
しかも大半のエコノミストが用いている基準だとも言うのです。これって本当なんでしょうか?初めて聞いたんですけど。
一体、どのような理論に基づいているのか、根拠は何なのか、というのが不明なんですよね。しかし、ドル安=原油高という、あたかも基本定理であるかのように信じている、ということに驚きました。誰も疑問に思わないのかな?

原油輸入国ではドル決済であると、ドル下落で輸入価格は相対的に値下がりする。原油の必要量が大幅に変動するわけではないので、価格には大きく依存せずに必要量を調達することになるだろう、ということかな?
日本であれば、1バレル100ドルで買っていると、ドル円が120円なら円換算で12000円だ、と。ドル円が円高ドル安となっていても、1バレル購入するのに先の円換算価格である12000円までは払うだろうから、ドル円が100円なら1バレルが120ドルまで上昇余地がある、みたいな理屈でしょうか?(笑)
どうみてもウソっぽいけど。
それとも、米国内のインフレ率の問題とかでしょうか?

全然判らん。1%のドル下落は1%の原油価格上昇、の法則は、誰が言ったの?

ごく平凡に考えると、原油価格が上がれば日本のような輸入国は、決済の為に多くのドルを買わねばならなくなる。1億バレル必要なら、1億バレル×ドル単価の分だけ必要だ。ドル単価が1%上昇すると、100万ドル分のドルを多く買わねばならなくなるから、その分だけ為替はドル高に動くことになるだろう。ドル単価が50ドルから100ドルに上昇するなら、50億ドル分のドル買いとなる。決済の為に必ず「自国通貨を売ってドルを買わねばならない」からだ。日本、韓国のような輸入国がドルを買うことになればどうなるか?単価で20ドル値上がりすると、400億ドル分多くドル買いをすることになるだろう。すなわち、ドル高となってしまう。
為替は原油価格で決まるものではないので一概には言えないが、原油が高いことによるドル高効果はあながち小さいとは言えないだろう。

日本の石油依存度は低下してきており、物価上昇への影響もこれまでは小さく抑えられてきた。が、ここまで大幅な上昇となると、価格転嫁は避けられず、消費者物価上昇要因となっていくだろう。物価上昇により需要減少となることが考えられ、経済成長にはマイナスに作用することになるだろう。輸入総額の大幅な上昇には必ずしも結びつかず、需要減との相殺などで原油のウェイトは単価増分ほどの影響を示さないだろう。1バレル100ドルであっても、ドル円が100円ならば1万円で済み、120円なら12000円となるので、為替の影響は無視できない。が、そうした輸入価格変動以上に、円高により輸出企業の業績を下押しの方が影響が大きい可能性があるので、ドル安は望ましいわけではない。


今度は米国内の事情を中心に考えてみる。
ドル安ということは、輸入品価格が多分上昇する。それまで100ドルで買えたテレビが110ドルとかに値上がりしてしまうだろう、と(普通は自国通貨安が即、輸入品価格上昇にはならないでしょうけど、一応)。すると米国人は、物価が上がっているのだから給料を上げろ、と言い始めるし、輸入品以外のサービス価格とかも上昇していく傾向にある、と。そうなれば、米国内はインフレ率上昇となるので、実物である資源価格は上昇することになるだろう、だから、原油高になる、とかの理屈なんだろうか?
例の桶屋が儲かる理論っぽいけど。
一般的傾向としては、インフレ率が高くなると通貨は下落するだろうけど、ドルに関してはそういう要因ばかりではないわけで、一概には言えないんじゃないでしょうか。


それとも、直近の原油価格上昇局面を迎えている期間において、原油価格上昇と為替で逆相関があった、とかでしょうか?
それも単なる偶然の一致か、観察期間が短いだけでたまたま成立していた法則なのでは?


ドル安となりそうな要因というのは、
・米国の名目金利が下がり金利差が縮小(今の利下げ後みたいに)
・名目金利低下は通常景気後退局面なので通貨が売られる?
・(名目金利が低下しても)期待インフレ率が高い
というようなことがあるとして、原油価格が上がる理由というものが全く不明なのである。
米国での物価上昇に対する影響度で考えると、原油価格上昇は「思った程大きいマイナスにはならない」ということがあるだろう。少なくとも日本よりは、原油価格上昇の消費者物価に対する弾性値は低いだろう。

原油価格が上昇しても、米国での物価上昇への影響度がそれほど大きくないのであれば、原油価格上昇には容認するという姿勢であるとしても不思議ではないかも。必ずしも経済減速に繋がるわけではないからね。ドル安で輸出が伸びる方が、原油高で輸入額が増大するマイナスよりも有利だ、ということかもしれませんし。


<また寄り道:
米国では、日本みたいに大人しく言われるがままに働くのではないから、働き手が「金寄こせ!」と要求することは少なくないのでは。米国において、ある一定以上に高いインフレ率というのは、「ケッ、オレはこんな安い金で仕事をしてやんねえぜ」という根源的な自己主張(実際口に出すかどうかは別として)があるからではないかと思っている。もの凄く平たく言えば、「ホラ、ホラ、さっさと20ドル出しな!」みたいな気質、ということかと。個人的思い込みなんですけど。
日本人労働者の場合には、客に「300円じゃなきゃ買ってやんねえぜ」と言われると、「わかりました、300円でいいです」みたいな感じになるのではないかと。これが客ではなくて、使用者とか納入先の大企業とか、要は「上の立場」にあるものに対しても同じように反応してしまう、みたいなことです。大企業が下請けに、「300円じゃないとお宅からは仕入れないよ?ん?それでもいいの?どうする?代わりは他にも一杯いるんだからさあ」みたいな要求を出した場合(現実にそうなのかは知りません、例です)、受け入れてしまうのが日本人かな、と。労働者も同じで、「お前さんには300円だけしか払えないよ、代わりは他にもいるから」みたいなことになると、「わかりました、それでいいです」ということになってしまう、ということです。これが米国人の場合であると、「オレの仕事は最低でも500円だ、ビタ一文まけられねえ。ダメなら、ヨソへ行くぜ」という風に、自分で値付けしているようなものではないのかな、と。なので、賃金上昇圧力は常に強く、結果としてインフレ率がそこそこ高いような気がするのです。>


結局のところ、大半のエコノミストが言ってる
「1%ドル安は1%原油価格上昇」の法則
の根拠も考え方も全然判らない、ということです。
誰か教えてくれませんか?


3)国際協力・協調

日本のお金で世界金融が救われるなら、感謝されることが期待できるかもね、ということです。一部の人たちには文句を言われるかもしれませんがね(笑)。
原油先物市場で価格を下げる為に売りをやったりすると、凄い文句が出そう。でも、マネーゲームの結果、需給に基づかない価格形成となっているのだから、そういう反則技には別な返し技を使うしかないでしょう?
それもしょうがないんですって。
マーケットのルールはそうなっていますから(笑)。



緊急経済対策―「翔べ、日本」(笑)

2008年03月11日 20時19分36秒 | 経済関連
日本の政治はトコトン腐っている。まるで電池切れで動かなくなったブリキのロボットみたいなものである。
今のような、世界経済が大変で日本の経済成長にも悪影響が出るという時にでさえ、何一つ動いていかない。あるのは、永田町という異次元世界での冒険ファンタジーごっごだけである。「日本政治」という、誰の何の為にやっているのだか分らない特殊な世界で、自分たちの殻に閉じこもって永遠にやっているのである。本当の愚か者である。世界にリーダーシップを示すとか、そういう次元の問題ではない。政治ごっごに明け暮れて、眼前にある問題に対処しようともせず、誰かの為に何かをするでもなく、ただ一つの行動さえも起こせず、これから歩いていく方角を指し示すでもなく、無駄に時間だけが過ぎていくという、国民には耐え難き無能集団が日本の政治家なのだ。

一国民からはっきり言わせていただくと、もう絶滅して欲しい。そういう連中はいらない。
問題を解決し、事態を収拾し、安全を確保し、国民を守ってくれる人間だけがいればいいのだ。


本題に入ろう。
大仰なタイトルをつけたが、アイディアに乏しいので悪しからず(笑)。今流行りの「I can!」とかでもいいのだけれど、どうみてもオバマのパクリですし、何かと外来語で済まそうとする心性はあまり好きではないので。漢字でいいんですよ、漢字で。外国人にも漢字Tシャツは人気があるだろうし(関係ないか)。ライジング・サンとかでもいいのだけれど、これも朴李ですから止めておきました。日本人なら日本語を用いましょう、ということで。ま、作戦コード名は別に何だっていいです。「黒いジャパンマネー」とかでも構いません(笑)。


昨年に対策としてちょっと書いたのですが、これにパワーアップしてみようと思います。
ジャパンマネーは世界金融の救世主となれるか


緊急経済対策の主たる目的は、
1)世界金融システムの安定化
2)日本経済の成長減速防止
です。
以下、各論的に書いてみます。


1)世界金融システムの安定化

今、一番重要なのがこれです。欧米金融機関の資金かき集めは続いているものと思われ、ギアが逆回転になっている流れは変わっていないでしょう。FRBが金利引下げや供給増で対応していますし、政府の緊急対策も打たれましたが、大手金融機関の「必死だな」状況は変わっていません。彼らの持ち札のうち、かなりの部分がポジション整理とかを中心にキャッシュとして回収されてきたでありましょうが、それでもまだ危険な状態を脱したとも言えないでしょう。

報道で見られた如く、某ファンド系のように担保差し入れをできずに資金繰りに行き詰るファンドや金融機関などが出てくることは今後もあるかもしれません。これまで起こってきた現象としては、相場に張っていたファンドや金融機関のお金が膨張し過ぎ、それがしぼんできているということだろうと思います。上がっていく場面ではこの膨張策でうまく資金が回っていくが、この逆回転が起こると信用収縮に繋がるということでしょう。


 a)投資と信用枠

個人投資家でもほぼ同じようなものではないかと思います。
100万円で株を買い、これが値上がりして150万円になれば担保価値が上がるので、例えば信用取引の枠が400万に広がり、400万円でまた株を買うと値上がりして500万円になり、担保価値が上がるので更に信用枠が広がり、ということで、上がり続ける限り「枠の収縮」は起こらない、ということになります。信用創造というのは、基本的には持っている資産に応じて拡大するので、資産価格上昇が継続していると信用枠を目一杯にして買い進んでも儲けが出るし、資産総額が膨張する一方になるのです。

しかし、今回の一件では米国の住宅価格下落から始まった、「信用枠の連鎖的収縮」というようなことが発端なのです。まあ、個人投資家で言えば、持ってる株のうち一つの銘柄(毒銘柄とでも呼びましょう)が大幅に下落した、というようなことでしょうか。普通は他の銘柄で値上がり益があるので、値下がりした毒銘柄だけ売って処分すれば問題は解決するのですが、この毒銘柄は流動性危機に陥って、誰も買い手が付かなくなってしまった、ということですね。で、
・処分できないので持っていなければならなくなり、毒銘柄を持っているせいで損失額が拡大していく
・その恐怖は他の投資家や銘柄などにも悪影響を及ぼし、恐怖感が伝染していく
・すると、みんな慌ててキャッシュを用意する為に他の銘柄売却をしようとして、資産を売ることになる
・みんなが売るので、毒銘柄以外の価格もどんどん下がり続ける
・持っていた資産総額は大幅に減少し、追証を迫られる
・追証が払えそうにない人はどこからか資金調達しなければならなくなって困っている

とりあえず「一番気に食わない日本市場」で株を売ってキャッシュを回収したが、それでも足りず、しょうがなく欧米や中国・インド等新興国株式なども売却した、というところに来ているのでしょう。

これまでの信用枠拡大は、潤沢な資金流入で自ら買う→上がっているので他のみんなも買う→なのでまた上がる→信用枠が拡大し新たな買い資金が生み出される→また買うので上がる→信用枠がもっと拡大して…以下ループ、ということです。この拡大システムは際限なき拡大を可能にしてしまうという危険性があるのと、資金量が大きいと自ら買った効果で値上がりして枠が拡大するという連鎖効果をもたらすと思います。その歯止めのようなものをどのようにするか考えておかねば、今回のような混乱を招くものと思います。

おしえてにちぎん(おやじギャグですみません)じゃなかった、ソシエテ・ジェネラルのケルビル容疑者の一件のように、膨大な額を相場に張ることが可能、というのも、こうした信用枠拡大システムの効果(専門の人たちはレバレッジとか言うのかな?)があった為じゃないかなと思います。張る額が大きければ損失もデカい、ということになってしまいますね。


<ちょっと寄り道:
ケルビル容疑者のポジション整理の為に日本市場での大幅下落が起こったのだ、とか解説を加えていた元マッキンゼーとかの人がいたような気がするが、ちょっと疑問に思うこともある。ケルビル容疑者の投資先は殆どが日本だったのか、売り越し額の大部分がそれで説明がつくものなのか、ということですね。因みに、私自身はマッキンゼー何ちゃらとかいうコンサルのことは、あんまり信用してないんですよ。多分立派な人たちは大勢いると思うし、理論的に正しいことも教えてくれるのでしょうけど、彼らの言うとおりに実行した場合、日本が本当に幸せになれるのか疑問に思うことはあるからです。結局はどんな社会を目指したいのか、という所に行き着くのではないかな、と思うのですよ。アメリカと同じ社会システムになりたいなら、マッキンゼーの言うことを信じてやればいいだろう。でも、私は日本がアメリカと同じ社会になるなんて受け入れ難い。アメリカ型社会がそんなにいいのであれば、他の先進諸国も同じにしていてもよさそうだと思うが、あんまりないような気がするけど。つまり、そんなにマネしたいとは考えていないのではないでしょうか。笑>


ケルビル容疑者の一件は、ベアリング銀行が倒産するに至った教訓が活かされていないのではなかろうか、と思わないでもありません。ニック・リーソンがオプション取引で巨額損失を蒙ったように、ケルビルも1人で巨額資金を張り込んでいけたわけで、そういうシステムそのものが危険だ、ということではないかな、と。どこかにブレーカーのようなシステムを組み込まないと、レバレッジで創造された「幻の貯金箱」が膨大な資金量となってしまって、勝ってる時はいいが下落スパイラルに陥ると、貯金箱が幻であったが故にどこからも資金は出てこないわけですからね。身の丈に合わない「貯金箱の大きさ」というものに問題が潜んでいそうです。このことは、融資全般について言えるかもしれませんが、まだ見ぬキャッシュというのは「払えるだろう」という予測の中にしか存在しておらず、現実に出して頂戴って話になったら、殆どは資金調達に窮するってことです。


 b)金融システム安定化の対策

前置きが長くなりましたが、対策を考えてみます。
信用枠の膨張にブレーキをかけるシステムについては、今すぐに緊急性はないので、事態が落ち着いてからじっくりと世界中の専門の人たちに考えてもらえればいいかな、と思います。素人考えで恐縮ですが、信用枠を個別金融機関ごとに資産額に応じて制限を加えるとか、最大のレバレッジ倍率に限度を設けるとかでしょうか。ま、この辺はよく判りません。

現在欧米の大手金融機関はキャッシュかき集めに必死になっているようですから、これを止めねばなりません。以前に書いたとおり、日本が持っている金を出し、毒(若しくはその疑いのある債権)を除去するということです。
額は多い方がいいですが、最低でも15兆円規模程度を目指します。
大手金融機関からの買取請求に応じて、流動性のなくなっている各種債券等を買い取るのです。評価額は当然大幅ディスカウントです。差額分に相当する株式転換条項つき債券を担保として取ります。これにより大手金融機関にはかなり資金的余裕が生まれると思われますので、その分は米国内の他の部分に対応できるようになるでしょう。

買い取った債券のデフォルトは日本の損失となりますので、何らかの特約条項が必要です。こうした条件は専門の方々によく知恵を絞ってもらって、考えてもらえばよろしいのではないかと思います。私ならば、損失が埋まるまで日本政府が払う防衛関連費用を相殺する、とか入れると思います。航空自衛隊が購入するエンジン費用だの、ミサイル防衛で払う分だの、いくらでもありますから。日本が支払うべき分については、米国内で誰が払うか決めてもらえばいいのですよ。米国政府か、業者間で痛み分けか、政府と按分か、好きなように考えてもらえればいいです。



とりあえず。
続きは次の記事で。




12600高地攻防戦~ある兵士の手記

2008年03月11日 14時03分43秒 | 俺のそれ
①3月7日(金)

依然として含み損を抱え、相場全体が上がらなければこれが解消されることはなく、買い方にとっては厳しい戦いが続いていた。その他大勢は退却に次ぐ退却で、日経平均下落が起こっていた。


これまで、わが隊は投資資金の約10%もの損失を蒙っていた。
哀れなり、ミニ株部隊。
ほんのささやかなポートフォリオさえも、容赦ない攻撃に曝されるということだ。更に、年末から年初にかけて投入していた新戦力(資金)では、約15%の大損害となっていた。それでも、新戦力部隊投入効果による僅かばかりの戦果があったので、この新たに獲得したキャッシュでミニ株部隊を追加していた。男なら買いだ(笑)という戦略方針の下、やっと獲得した戦果で買ったのに、また激戦に巻き込まれることになってしまったのだ。


この日、やはり13000円を割っていた。
キャッシュは残してあったので、いくつか買った。週末持ち越しになってしまうが、必ずや回復するであろう、という読みで敢えて買ったのだった。しかし、これが惨劇の始まりだった…。

日経平均は前日より大幅に下げ433円安の12782円で引けた。
このあと、欧州も米国市場も大幅安となり、不安な週末を過ぎることとなった。外為市場では、ドル下落が止まらず、円高の恐怖感は市場を覆っているようだった。


②3月10日(月)

始まる前から悲観ムードが漂っていた。誰も買う気力を持っていないようだった。米国の下げとシカゴの日経先物の下落が尾を引いているように思われた。

が、寄付では思ったほど下げず、約70円安と小安く始まった。

わが隊の新戦力は一端は上昇したものの、その後はズルズルと後退していった。売り方が仕掛けた攻撃に、あっけなく土俵を割る程度の防衛部隊しかいなかった。戦線は撤退を繰り返し、もうすぐ昨年来安値ラインが見えていた。日経平均12600円を巡る攻防戦が始まった。前場では一時「12600高地」を売り方に奪われたが、買い方も僅かに切り返し、50円ほど押し込む場面もあった。が、間際には再び売り優勢となり、12600高地を死守できるかは午後に持ち越された。

後場のスタートから大量の売り物が出された。売り方は航空支援を要請したようだった。対地攻撃用に騎兵隊を呼び寄せたらしい。現代の騎兵部隊は、ヘリと相場が決まっている(笑)。激しい機銃掃射とポッドから火を噴いて吐き出されるロケット弾の攻撃は、脅威であった。更に爆撃機による絨毯爆撃も行われた。この攻撃により、あっさりと12600高地を奪われてしまった。
が、買い方も勇気を出し、わが隊も増援部隊を補強し新規資金投入を決断した。買い方は、再び12600高地の奪還に成功したのだった。売り玉を浴びながらも、12600高地に踏み止まって、戦い続けた。が、わが隊にはもう増援を呼ぶ力は残っていなかった。どうにかその場に踏み止まることしかできなかった。売らずに耐えるのみ、ということだ。味方の反撃を期待しつつ、わが隊は弾切れにつき戦況を注視するしかできなかった。

ひとさんまるまる時以降に激しい戦闘があり、多くの買い方部隊が粉砕されていった。売り方の仕掛けの前に、次第に後退戦の様相となっていった。そして遂に1時間も持たずして、12550陣地への退却を余儀なくされた。わが隊は激しく傷つき、流血のため真っ赤に染まっていた。一覧は惨憺たる大流血となって、数字には赤い糸を引いていた(笑)。おのれ~、売り方どもめ。
その後、12550陣地に籠もって防衛戦が展開された。敵は次々と迫ってくるのだが、陣地の守りを容易には突破できないでいた。しかし、援軍の期待できない戦いに、買い方部隊が疲弊していく様子が見てとれた。戦線から撤退してゆく買い方部隊。次々と撃たれて死んでゆく…。明日の見えない戦いには、空しさと敗北感だけが残された。

結局戦闘終了時には安値更新となり、12550陣地も放棄して退却となった。12532円で引けたのだった。
この日、アジア、欧州、米国とみんな敗北となったようだった。各地の戦線で退却となった。

わが隊の失敗は、12600高地を死守するべく戦闘に参戦したことだった。
やめておけばよかった。
損害を更に大きくしてしまった。


こうして東京戦線においては、12600高地を失った。
買い方には心理的に大きなダメージとなった。

今後も苦しい戦いは続く……



カンテイ

2008年03月10日 21時17分16秒 | いいことないかな
カンテイと言っても、官邸のことではありません。
「鑑定」です。


実は、数ヶ月前くらいに起こった出来事がありました。

私が古い封筒に1万円札を入れておいたのですが、偶然にもウチの妻が封筒ごとビリビリと破いてしまったのです。

封筒がボロかったので中身が入っていないものと思い込み(えてして事故はこのように起こるもの、笑)、4つくらいの断片に破いて捨ててしまったのですね。

私は「何てことすんだよ~」とか泣きながら(ウソ)、ゴミ箱を漁ることになってしまいました。で、封筒の断片を発見できたのですが、1万円札は勿論ちぎれてしまっていました。
私は、Mr.レディじゃなくて、マリックさんではありませんので、お札を元には戻せません(笑)。なので、銀行に持っていくこととしました。

まず、断片をできるだけ正確に合わせてテープで止め、一応、見かけ上は1万円札の体裁に復活できました。これを透明な袋(今度は中身がバッチリ見えるぜ)に入れ、銀行で事情を話しました。

すると、窓口のお姉さんは言いました。
「破れている範囲が大きいので、お取替えできるかどうか確認しますので少々お待ち下さい」
みたいなことだったと思います。で、暫くして戻ってきました。
「残念ですが、交換はできませんので、カンテイに出すしかないようです」

何だ、それは…初めて聞いた…とか内心思いました。
窓口のお姉さんは、鑑定ということについて説明を続けてくれました。

要するに、破損が酷い場合には銀行では交換できず、『日銀』に鑑定して貰う為に預かって、後日金額を振り込む、という制度なのだそうです。

ほほー、そういう仕組みだったのか。
何たって、日本銀行券だもんね。

ところで、これって制度上は貸与、みたいなもんなのかな?どうなんでしょう?
日銀がお札をみんなに貸している、というようなことでしょうか?
キャッシュカードも、確か貸与になっていたように思うんですが、違いましたか?電子マネーの入れ物とかも実は貸与とかなんでしょうか?よく知らんのですけど。

これはまあいいや。
で、お姉さんが言うには、戻ってくる金額が1万円かどうかは判りません、ということなんですよ。ちょっとショックを受けましたよ、その時は。破損が酷いとか、欠損部分が大きいとかだと、お札の一部しか戻されない、ということがあるようだ。知らなかったよ。

例えば燃えちゃったりしたお札とかは、一部しか戻されない、とかなんでしょうか?ヘタにマジックとかでお札を燃やしちゃったりして、失敗した日にゃ、本当に燃えちゃったりすると泣くかも。マジックでお札を破いたり燃やしたりするのは、ひょっとしてダメなんでしょうか?いや、禁止スレ、とか言いたいわけではありませんので。マジックくらい好きにやらせろや、とは思いますので。


で、更にお姉さんが言うには、うちの銀行では鑑定に出せません、とか言うじゃありませんか。何だよ、どこの金融機関でも扱えるってわけではないんですね。これも知らなかった。

仕方なく別な銀行に行き、鑑定をお願いしまして、例によって銀行さんですから書類を書け書けと、見たことのない書類などに書かされた。イヤ、そんな大袈裟でもないんですけど。「簡単な書類です」っていうと、ヘンなアルバイトや教材売りつけ商法みたいな響きがありますが、簡単な書類だったように思う。


後は、日銀が善意の鑑定(笑)をしてくれて、1万円を返してくれるのを待つ、ということになったわけです。
実は、戻ってきたかどうかは確かめていなかったのですが、数ヶ月ぶりに通帳に記帳してみたら、1万円が振り込まれていましたよ。良かった。何だか凄く得した気分になりましたよ。まるで、昨年冬に着て以来一度も着てなかった背広の胸ポケットから3万円を発見した時のような、凄く得した感がありました(大袈裟)。


そういうわけで、日銀には紙幣の鑑定というお仕事があるんだな、ということを知ったわけです。しかも金額が減る場合もある、ということも勉強になりました。

ああ、関係ないですが、窓口のお姉さんについ余計なことを言ってしまいました。それは、戻ってくる金額が少なくなる場合がある、という説明だったので、「そうなんですか、ああ、そういえば、確かお札を短冊状に細かく切って、20枚くらいの一万円札からその短冊の一片ずつ抜き取り、最後に貼り付けてちょっとだけ短くなった20枚のお札と、抜き取った短冊で合成した1枚の合計21枚とかにして捕まった人がいましたね。アッハッハッ」とか、どうでもいい事件の紹介をしてしまいました。
ごめんなさい。
銀行窓口で話すことなど滅多にないものですから、つい無駄に話してしまいました。お姉さんは反応にちょっと困っていたかもしれません。どのようにリアクションをすればよいのか、そんな事件を聞かされても、何と言えばいいのやら、という感じでしょうか。
内心では、「忙しいのに余計なおしゃべりしやがって、このクソおやじ、リアクションできねえー!」とか思っていたやもしれません(笑)。

でも、ガラガラに空いてたし。



色んな意味で、勉強になった事例でございました。
(オチがない)