ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国で、映画「風立ちぬ」公開初日9月5日の観客動員は5位  ネチズンの評価は‘大分裂’

2013-09-06 23:46:32 | 韓国の文化・芸能・スポーツ関係の情報
         

 一時「右翼映画」との批判が出て韓国での公開が危ぶまれていた(→参照) 映画「風立ちぬ」。
 結局「切ない恋愛映画」として公開されることになり(→参照)、その公開初日が昨日9月5日でした。

 その反響・反応に注目している人は多いと思います。
 で、とりあえずその公開日の全国の観客動員数順位から。
※ネタ元は→コチラ。なお「風立ちぬ」の韓国題は「바람이 분다(パラミ プンダ)」です。

①スパイ(韓国.9/5~) 133,136人 ②エリジウム(米国.8/29~) 36,666人 ③かくれんぼ(韓国.8/14~) 31,963人 ④グランド・イリュージョン(米国.8/22~) 30,379人 ⑤風立ちぬ(日本.9/5~)12,193人

 ・・・ということで第5位。しかし同日公開の韓国のアクション・コメディ「スパイ」の1割以下と大差をつけられています。ちなみに上映館数は「スパイ」の694館に対し「風立ちぬ」は274館です。
 韓国では、過去のジブリ作品の観客動員数ベスト3は①「ハウルの動く城」 301万人 ②崖の上のポニョ 152万人 ③借りぐらしのアリエッティ 108万人。初日の数字で見るかぎり、「風立ちぬ」はとてもそこまで届きそうもないですね。

 韓国の代表的ポータルサイトの1つ<DAUM>中の<DAUM映画>でこの作品の評点を見てみると(→コチラ)、現時点で48人の平均が4.3。[追記:9月19日現在では141人の平均で5.1と少し上昇。]
 これまでの宮崎監督作品の平均評点(→参照)は「千と千尋の神隠し」9.4、「もののけ姫」9.2、「となりのトトロ」9.2、「ハウルの動く城」9.1、「風の谷のナウシカ」9.0、「未来少年コナン」9.0、その他の作品もすべて8.0以上だったことを考えると、この「風立ちぬ」は極端に低い、と言えます。
 「風立ちぬ」は、日本でもこれまでの作品と比べると相当に低いですが、「それに輪をかけて」極端に低いレベルですね。

 しかし、ネチズンの評点分布を見てみると、平均の4~5点をつけた人は少なく、0~1点と、8点以上の両極端に大きく分かれています。
※分布:[0点]=13人、[1点]=7人、[2点]=0人、[3点]=0人、[4点]=2人、[5点]=4人、[6点]=3人、[7点]=1人、[8点]=9人、[9点]=5人、[10点]=4人
 私ヌルボとしては、公開前の韓国での(マイナスの)前評判にもかかわらず、8点以上がずいぶん多いな、という感想。それに、日本でも評価が分かれているのは同じ。

 以下、低評価~高評価まで、ネチズンのコメントを拾ってみます。

・「第二次世界大戦。韓国人強制徴用で最高に悪質な強制労働と死を強要した三菱重工業が生産した零戦の開発設計者の一代記です。監督の意図を離れて、素材自体が絶対に韓国人が美しく眺めることができない素材です。導入部最初からセリフを聞くと、韓国人なら気がヘンになります![1.0、推薦24]
・「イスラムのテロリストも自分たちなりの夢と理想でテロをやったから、ラブストーリーをちょっと入れてアニメを作ればいいね」[0.0、推薦12]
・「誰が宮崎を右傾化人士ではないと言っているのか? 戦争技術者としての生、幸福、美を追求しただと? 説得力がない。忘れなければならない、生きなければならない? 反省というものは全然ない。宮崎の描き出した遺作だな」[1.0]
・「帝国主義正当化! 宮崎おじさんは、日本の誤りと言いながら、見せてくれるアニメーションは帝国主義を正当化させるもの!!!! ひどい奴の映画! 日本人ではなく一人の芸術家として観た映画だが、彼も日本人だった・・・」[1.0]
・「墜落することを知りながら飛翔しようとする老将の錆びついたエンジン」[5.0]
・「歴史を知っていればあまりに具合の悪い映画。ただ内容自体は一青年の飛行機愛にフォーカス。その歪曲が具合が悪い。けれども彼の最後なので。ただ映画自体は眠たい」[6.0、推薦1]
・「何が問題だ? 結局監督は帝国主義戦争に巻き込まれる個人の生を否定しなかった。やや退屈したという評価ならともかく・・・。宮崎は日本人だ。韓国人の好みに合わなかったら、それは輸入会社の責任だ」[8.0]
・「意見があまりに紛々としていて、レビューが少ないです。多少退屈です。中間部を過ぎて眠気を感じざるをえませんでした。映画は巧妙な感じがします。エンディングで出てくる音楽は良かったです。監督は"矛盾"を語っていたようです。内容は戦争に対して反対している感じを受けます」[8.0]
・「エンジニアは部品を作り、直し、修理して、ついには新しい完成品を作りだす。しかしそのエンジニアは国家の付属品となってひとつの国家(全体主義)のための道具として使用される。宮崎監督はどうかすると戦争の付属品として働いた数多くの個人に対するオマージュとして映画を作ったのではないかと思った」[9.0]
・「人生の黄金期の仕事と愛、社会的環境の束縛に対するアニメーション的な簡潔な物語」(10.0)


 上記以外に、同サイトの別のタブでアップされている力作レビューを2つ紹介します。

 1つ目は「宮崎駿式警告?」と題した→コチラ(→自動翻訳)
 ・・・これはなかなか冷静に見ています。最後の方だけ訳出します。
 「懸念?とは異なり、過去の軍国主義日本を美化したりそのような映画ではないようだ。宮崎駿式の、反戦映画と見た。
 次郎が自分を監視する政府に対して「近代国家とはいえない」と怒ると、会社の同僚たちは「日本が近代国家だと思うか」と大笑いする。
 アニメに表現されているように結核に感染した妻を愛した純粋な人が戦争の道具になってしまったことに対する切なさに対する、そして右傾化しつつある自分の国が二度と過去の日本のように破滅の道に立つなという警告のメッセージの映画と見た・・・」

 もうひとつは、大量の情報・知識を動員して本作品を批判しているもの。長いので、自動翻訳でなんとか理解してください。→コチラ(→自動翻訳)

 一方、映画専門誌「シネ21」のサイトの方は、ネチズンは今のところ6.0をつけた人1人だけ。専門家レビューは→コチラの1つ(イ・ファジョン氏)だけ。(→自動翻訳.※表題に「した道に~」とあるのは「ひとつの道に~」の誤訳。)
 イ・ファジョン氏は、そのレビューの末尾で次のように記しています。
 「非常な飛行機マニアであり、仕事中毒者である堀越の人生は、まるでアニメの道に生涯を捧げた73歳の巨匠自身の姿を投影したように濃い響きを抱かせる。だが堀越が作った "美しい夢の結晶"である零戦は当時の真珠湾空襲と特攻隊の戦闘機に使用されたのは、映画の外で議論の対象となる。"戦争美化"という世間の視線の前で宮崎駿の純粋な意図は多少歪曲された側面がなくはない。しかし、戦闘機の使い道に対する堀越の悩みはたしかに<紅の豚>のポルコが見せてくれた反戦精神ほど激しくはなかったようだ。」

 このイ・ファジョン氏の文章を読んで私ヌルボが思ったことは・・・。
 彼のみならず、歴史の中にも、現代の価値観をそのまま投影させた「物語」と「ありうべき人物像」を求める傾向の強い韓国人としては、作品中の次郎に対して「不正義の戦争」に対する批判精神・抵抗精神の不十分さに不満を抱くとともに、そこに描かれた過去の人間像がそのまま宮崎駿監督の姿勢であると理解(実は誤解)してしまう傾向があると思われます。
 戦前・戦中を描いた作品で、そんな理想像を体現したような人物(←ポルコのような)を登場させたりすると「ウソになる」と思う日本人と、植民地時代の抗日の義士やその闘争を(教科書等でも)「しっかり物語る」韓国との「歴史認識」のすれ違いがここにも表れているといえるかもしれません。

 以上いろいろ見てきましたが、おおよそは予測通りといったところでしょうか。しかし何といっても公開直後状況なので、今後なんらかの変化が出てくる可能性もなきにしもあらず、です。

 私ヌルボとしてこのブログ記事を読んで下さった方に願うのは、即断は避けるということ、そして日本人にもいろんな人がいるように韓国人にもいろんな人がいるということ。一括りにして「だから韓国人は~」と言ったりすると、「だから日本人は~」という韓国人と同じ顔になってしまいます。
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「韓国の代表的なタバコ」をコッソリ(?)吸ってみる

2013-08-02 19:39:33 | 韓国の文化・芸能・スポーツ関係の情報
 6月、韓国旅行に行った時のこと。
 タクシーに乗った時、「これはよかったな」と自分で思ったことは、乗り込んだらすぐ「日本人で会話は苦手なんで、ちょっとゆっくり話をしてください」と言っておくということ。
 過去、私ヌルボが苦心して韓国語をひねり出しているのに、運転手さんはマイペースでペラペラしゃべるので、イチイチ問い返すのも面倒くさく、テキトーにあいづちを打つようなこともしばしば。これではいかん、と反省しての措置です。

 しかし、清州の古印刷博物館の近くから乗り込んだタクシーのキサアジョシ(運転手さん)はそんなにゆっくり話してはくれませんでした。「忠清道の人はゆっくり話すと聞いてたんですけどねー」と言ったら笑ってましたが・・・。

 われわれが乗り込むまで、何かトロット(韓国演歌)を聴いていたようで、ヌルボがちょっと関心を示すと「金蓮子(キム・ヨンジャ)ですよ、知ってるでしょ?」。やっぱりウィキペディアの説明にあるように「韓国ではドライバーが好んで聞くジャンルの音楽」です。(関連過去記事は→コチラ。)

 ところで、タクシーの運転手さんというとなぜか連想する物がタバコ。
 われわれが日本人ということもあって、彼が「日本のタバコですよ」と取り出したのがメビウス。アルファベット表記はMEVIUSですが、ハングルでは메비우스ではなく、本来のドイツ語に拠り뫼비우스となっています。
 <コネスト>のサイト中の「韓国のタバコ文化」(→コチラ)という記事によると、韓国で人気の外国タバコで人気1位がダンヒル(全体で2位)で、2位がマイルドセブン(全体で6位)[←今年2月メビウスに改名]となっていて、やっぱりなーの人気ブランド。
 ※韓国映画「僕のヤクザみたいな恋人(私のチンピラな彼氏)」で、トンチョル(パク・チュンフン)がコンビニでバイトをするセジン(チョン・ユミ)にマセをくれ」と言う場面がありました。意味がわからない彼女にトンチョルは「マセと言ったらマイルドセブンだ、知らないのか?」と・・・。
 日本での略称「マイセン」よりも韓国ではもっとつづめて「마세(マセ)」とか「마쎄(マッセ)」と言っていたんですね。

 運転手さんのメビウスに対抗して(?)ヌルボが「私はこんなの吸ってるんですよ」とバッグから出したのが下の画像のタバコ。

       
        【韓国タバコのTHE ONE(blue)です。】

 なんで非喫煙者のヌルボがタバコを持っているのかというと、「非喫煙者」というのがウソだから。
 周囲の人たちの間では非喫煙者と思われていますが、実は年に2、3回程度もらいタバコで吸ってます。(お酒とタバコの好きなTヒョン、いつもコマウォヨ!) 勧められたモノは断れない性格(?)なのと、半年間隔くらいで吸うとホントに「美味いなー」と思うから。(笑) そして、タバコも一つの文化で、その土地その時代のなにがしかを表すものだから、どんなものか味わってみよう、という好奇心ですね、よくいえば・・・。

 2004年に中朝国境の町の図們に行った時、図們大橋を挟んで対岸の北朝鮮がよく見える国境ゲート上の売店で北朝鮮のタバコ(1箱20元=約280円)を2箱買い、吸ってみたことがありました。延吉空港の売店でも雲南製の「玉溪」(30元)と地元の銘柄「長白山」(20元)を購入。ちゃんと覚えているわけではありませんが、予想通り総じていがらっぽい味で、帰国後職場の同僚の喫煙者にあげたら、やっぱり不評でした。

※脱北者からの話を元に書かれた→コチラの記事(韓国語)によると、北朝鮮のタバコで最高級とされるのが「錦繍江山(금수강산)」というタバコだそうです。1箱3500ウォン(北朝鮮ウォン)。米1キロの価格とほぼ同じとは! その記者が会社の同僚にも分けて感想を聞いたら、「韓国でいちばん低レベルのタバコよりも下」との評価。「変な味だ」と言って吸いかけで止めた人もいたとか。
 なお、→コチラの記事(2007年.韓国語)によると、北朝鮮ではセブンスターが人気で、平壌では1万1000ウォン(北朝鮮ウォン)で取引されているとか。

 閑話休題。私ヌルボが持っていた韓国タバコは、前々日聞慶のコンビニで買った物です。
 店員さんに、「韓国で人気のあるタバコを2種類ください」と言ったら、出てきたのが先の「THE ONE(blue)」「ESSE(수)」(下の画像)でした。

            
    【「THE ONE(blue)」の箱の半分くらいの厚さしかないのに同じ20本入り。】

 日本に帰ってから、前掲の<コネスト>の記事を見たら、たしかに韓国タバコの売れ筋1位は「ESSE」で、2位が「THE ONE」でした。ちなみに3位は「THIS PLUS」です。※それぞれ、「THE ONE(orange)」等々、タールやニコチンの量等が異なる銘柄が数種ずつあります。

             
   【「マイルドセブンの人気を見て、韓国では「THIS PLUS」をつくった」という記述が前掲の韓国記事にありました。】

 買ったからには当然吸い比べてみなくちゃ、というわけで吸ってみたところ、THE ONE(blue)はホントに軽い味。しかし、「飲みやすければいいってもんじゃないゾ!」という韓国ビールと共通する問題もありそうな・・・。「ESSE(수)」は、箱の薄さからみて10本入りかと思ったら20本入り、ということはとても細いです。これも軽いことは軽いが少し苦味というか何というか・・・が混じっていて、ヌルボの好みには合わないかな。
 しかし、酒のアルコール度数も、伝統料理のエグい味も、音楽も文学も、人の生き方も時代とともにどんどん軽く軽くなって、タバコももちろん同様で、というのは韓国も日本も同じですね。たぶん他の国々も早い遅いの違いはあっても方向は同じなんでしょうね。

    
        【上からショートホープ、THE ONE(blue)、「ESSE(수)。」】

 喫み比べついでに、学生時代時折吸っていたショートホープを久しぶりに買って吸ってみました。懐かしいなー。ホッとします。今度吸うのは何ヵ月後か? その間またずっと非喫煙者のふりをしています。
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驚いたなー、HJリムの演奏と、彼女のリサイタルに対する×評

2013-06-26 21:06:09 | 韓国の文化・芸能・スポーツ関係の情報
 もう先々週のことになりますが、6月10日(月)は「この味がいいね」と君が言ったけど 六月十日は時の記念日(清水義範)と詠まれた時の記念日、・・・は関係なくて、新聞休刊日で朝刊はナシでした。で、その日の「毎日新聞」夕刊を見て、私ヌルボ、ありゃっ!と驚いたのです。

 何の記事かというと、3日から始まった韓国人の女性ピアニストHJリムのピアノリサイタル評。
 音楽評論家でもある平野昭慶応大教授が書いているのですが、見出しが「楽譜を読み直して」なんですよ。
 自分自身が「楽譜を読み直して」思ったという意味ではなくて、(このピアニストは)「楽譜を読み直して」ほしいものだ、と厳しい注文をつけているのです。
 新聞の音楽評等は、必ずしも予定調和的な提灯持ち記事というわけでもありませんが、ここまでの酷評はめずらしいのではないでしょうか? 平野教授も、長年のベートーヴェン研究者として覚悟をもって書いたものだと思います。
 ※この記事、ネット検索してもぜんぜんヒットしないのはなぜ?

 HJリムは本名イム・ヒョンジョン(임현정)。最近急速に注目を集めている若手(26歳)ピアニストです。12歳の時からフランスに留学してパリ国立高等音楽院等で学んだ彼女ですが、広く知られるようになったのは、コンクールで優勝して、というよくあるパターンではなく、韓国の家族に演奏を見せるためにYouTubeにアップした動画がネットユーザーの間で評判になったというもの。これに注目したEMIクラシックスが2011年に専属契約を結んだことも、またいきなりベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集でデビュー(2012年5月発売)したのも異例で、おまけにこのアルバムが米ビルボード誌のクラシカル・アルバムで1位を記録してイッキに話題のピアニストになった、というわけです。

 上記のYouTubeで注目された演奏というのが、具体的には次の3曲等。
①リムスキー・コルサコフの「熊蜂の飛行」 (→YouTube)
②ショパンのエチュードop10-4、op10-5「黒鍵」 (→YouTube)
③ラフマニノフの「エチュード」op.39-6、op.39-2 (→YouTube)

 はピアノ以外にもいろんな楽器の演奏家が演奏していますね。私ヌルボ、ずーっと以前にフルーティストのゴールウェイの演奏(→コチラ)をカセットテープで聴いて驚いたことがあります。鼻で息を吸っている間に口に溜めていた息を出すという循環呼吸法!(笑) 
 数多くのピアニストの中では、最近話題の、これも最近(4月)日本各地で公演を行ったユジャ・ワンの演奏(→コチラ)はすごいなーと思いました。中国人の女性ピアニストで、年齢は26歳。ということはHJリムと同い歳か。
 ところが、ユジャ・ワンが1分24秒で演奏しているのに対して、HJリムはもっと速くて1分20秒。まあ速さがそのまま演奏の評価になるわけではないですけどね。聴き比べて、いかがなもんでしょうか?
 ※「熊蜂の飛行」の韓国語タイトルは「왕벌의 비행」です。

 のショパンのエチュードop10-4嬰ハ短調は、ホロヴィッツ、ポリーニ等々錚々たる顔ぶれの演奏をYouTubeで聴くことができます。
 で、たとえばその定評あるポリーニが1分58秒で演奏(→コチラ)しているのに対して、HJリムは1分43秒。つまり、とにかく指が速く動くのです。この曲も、それなりに速さ勝負みたいな面も(ほどではないにしろ)ありますが、聴いてると急かされているような感もあります。
 ・・・と、ここで私ヌルボ、あらためて凄いなと舌を巻いたのがリヒテル(→コチラ)。1分32秒とHJリムよりさらに早く、それ以上に(直前にハンカチを投げるところから(笑))まさに入魂の演奏という感を受けます。

 ラフマニノフの「エチュード」は、私ヌルボ、これまでちゃんと聴いたことがありませんでした。
 聴いてみると、速さといい力強さといい、たしかにスリリングであるとともに、上記の平野昭教授が(ベートーヴェンのソナタについてですが)指摘しているような「まるで・・・団子になって主題の旋律性を犠牲あるいは放棄するスピード」というようなのはこのあたりについても言えるかな、という箇所も。

 平野教授は、ベートーヴェンの「告別ソナタ」については「終楽章の悪はしゃぎには高貴な大公との再会の喜びの表現が微塵も感じられなかった」とまで書いています。

 一方高評価もたくさんあって、評論家も宇野功芳氏を筆頭に賛辞が寄せられています。

 また6月16日の読売新聞の演奏会評(無署名)では、「楽聖ベートーベンの特性 浮き彫りに」との見出しで、批判的用語は用いないでそのユニークさを伝えています。いわく「急速楽章での異常なまでに速いテンポには驚く」、「無理のある楽曲構成をものともしない破天荒な推進力」、「ベートーベンの音楽が持つ暴力性を浮き彫りにしている」等々。

 クラシックファンの人たちのブログ評も賛否こもごも。
 たとえば→コチラの記事の「意気軒昂はいいけれども、正直なところ、聴いていると非常に疲れる」という受けとめ方はめずらしくない、というよりむしろふつう。
 一方、→コチラや→コチラは、音楽に関わっている方の感想ですがとても肯定的に受けとめています。その他絶賛記事もありますが、省略します。

 なお、6月28日まで(?)→コチラで彼女の東京(浜離宮朝日ホール)での「ハンマークラヴィーア」演奏の動画を視聴できるようになっています。

 この日本での公演に先立って、HJリムは故郷の韓国で5月23日初のステージに立ちました。
 それに先立って、「中央日報」等が詳しい紹介記事を掲載しています。

 また、それより前に、彼女が広く知られる以前の2010年の時点でインスタントメッセンジャーによるインタビュー記事がオーマイニュースのサイト中にありました。
 そしてHJリムがデビューアルバムを出した後の昨年5月、ショーケースのため韓国に立ち寄った際、そのインタビュアーのスンイ(쑹이)さん(女性)が招待されて、会場(COEXのヤマハ)で直接いろいろ話を聞いたとのことで、その記事が→コチラです。
 ヤマハを愛用している理由等を聞いた後、意外に小さい体格なのに、どうしてあんな強い打鍵力がでるのかと問うと、そこにいたお母さんが言うには子供の頃力が強くてあだ名が林巨正(イム・コクチョン)だったとか。
 そしてこの記事中に、その時演奏した「ピアノソナタ第8番"悲愴"」1楽章の動画があります。これは聴きものです! 
 演奏後、会場から当然のごとく出た「テンポが少し早いようですが」との指摘にも、彼女は(たぶん毎度のように)よどみなく次のように答えています。
 「私の演奏の速さは、ベートーヴェンが作曲した当時、メトロノームで音の一つひとつに直接速さを記録し、ていねいに作曲したその速さです。現代の便宜のためゆっくりと、演奏者にとって楽に演奏するというのは正しくないです。彼が定めた速さを弾くために手から血が出ても、その限界を跳び越えようと努力するのが正しい姿勢だと思います。」

 さて、私ヌルボの感想ですが、とても独創的な演奏だと思いました。しかし「衝撃」というものではありません。
 もっとも、これまでの音楽との衝撃的な出会いというのはそんなに数多くはありませんでしたが・・・。
 たとえばジュリアードSQによるバルトーク「弦楽四重奏曲」とか、大方の同世代(以上か?)の共通体験のグールドの「ゴルトベルク変奏曲」とか、アルバート・アイラーとかチック・コリアとかレッドツェッペリンとか・・・。
 ・・・あ、若かりし頃のばっかりだな。その後感性が鈍ったということかもなー。 年をとると音楽的感性も保守的になるのかもしれない・・・、ということも思ったりして・・・。

[2015年7月21日の追記] 2014年12月HJリムの来日公演がありました。その時の堀内悠希の指揮する都響と共演したチャイコフスキー「ピアノ協奏曲第1番」等について、私ヌルボが「なるほど」と思ったブログ記事は→コチラ。バッハのリサイタルの曲目解説を担当した鷲尾仁美さんの「HJリムの音楽について、音大ピアノ専攻卒の私が思うこと。」という記事です。また、→コチラの方の感想記事も興味深く読みました。私ヌルボはというと、別のオケと共演した→コチラの動画でチャイコンを聴いただけですが、少なくとも「これは自分の知っているチャイコフスキーではない」といった感じで、音楽を聴く「心地よさ」はありませんね。ま、「心地よさ」以外の感動が得られる方もいるかもしれませんが・・・。
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韓国の消えゆく職業 「~クン」と「~ジャンイ」②

2013-05-19 22:12:59 | 韓国の文化・芸能・スポーツ関係の情報
 1つ前の記事の続きです。

 「꾼(クン)」と「장이(ジャンイ)」の違いについて。前の記事で「時間をかけて調べてみます。(汗)」と書きましたが、単にこの2冊の本の内容から察すると、「○○クン」という職業は山で植物を採ったり、海で魚を獲ったりというような第1次産業に従事する人々、それに対し「○○ジャンイ」とよばれる職業は、伝統的な手工業や炭焼き、陶工等の職人、カッコよくいえば匠(たくみ)。つまり第2次産業の人々であると大雑把ながら理解すればよさそうです。

   ≪「꾼」の部(つづき)≫

⑧竹網漁師(죽방렴 어부)
 죽방렴の漢字は竹防廉です。
 朝鮮半島南部の多島海方面。麗水と統営の間、慶尚南道南海郡に只族(지족.シジョク)海峡という海峡があり、その一帯にV字型のかなり大きな定置網が見られます。長さ10mほどのクヌギの杭を約300本干潟に打ち込み、竹を編んだ網を張って水の流れの反対方向に広げて設置したものです。
 これで獲ったイワシ、ワカメ、ユムシ(!)等はこの地方の特産として知られています。
  ※ユムシ(개불)をご存知ない方は画像検索してみてください。動画検索すると、さらにオゾマシイ姿が・・・。

     
     【ずいぶん大がかりな仕掛けです。(左) 扇形の要部分(右)は魚に逃げられないように工夫されています。】

⑨海女(해녀)
 「あまちゃん」は今日本に約2000人。一方韓国では約5000人と倍以上もいます。世界ではこの2ヵ国だけです。2011年10月三重県鳥羽と志摩で海女サミットが開かれ、日韓が提携してユネスコの無形文化遺産への登録をめざすことが宣言されたそうです。
 韓国の海女は大多数が済州島。日本の海女は32年前の約4分の1に減少し、近年は三重県南部でも多くが韓国海女になっているとのことです。
 この本によると、江原道高城郡では、船で沖合に出て潜るのだとか。また男の海士(あま)もいるそうです。(済州島にも5人海士がいる。)

⑩塩作り(소금꾼)
 塩田で塩作りをしている人です。
 私ヌルボは、小学生の頃鳴門市方面で塩田を見た記憶があります。しかしウィキペディアによると、日本の塩田は1972年に事実上全廃されるに至ったとか。その後観光目的等で復元されたりもしていますが・・・。
 本書に記されている全羅北道扶安郡のコムソ塩田(곰소 염전)(→コチラ参照)は、ホ・ヨンマンの漫画「食客 4」で詳しく描かれていました。韓国でも数少ない天日塩田で、ここで作られる塩は約10倍のミネラルが含まれているそうです。
 塩田といえば、映画「青い塩」のラスト近くの塩田のシーンを思い出す人もいると思います。あの撮影地は忠清南道安眠島の斗山塩田ですが、「全羅の塩田で撮ったシーンも使われている」とのこと。コムソ塩田のことかな?

⑪鷹匠(봉받이)
 봉받이は電子辞書にもNAVER辞典にも載っていない単語でした。しかし、記事を読めば、いや、写真だけでもわかります。매사냥꾼、つまり鷹(매)で狩り(사냥)をする人、というわかりやすい言葉もあります。
 ウィキペディアの「鷹匠」の項目や<総合アートから鷹匠な日々>というブログの記事によると、鷹狩りは2010年ユネスコ世界無形文化遺産に登録されましたが、日本はこの時登録された世界11ヵ国の中に入っていないのですね。韓国は入っています。上記ブログ記事には「韓国での鷹匠の認知度は、間違いなく日本より上だと感じました」と記されています。
 ※参考→日本放鷹協会ARRCN(アジア猛禽ネットワーク)のサイト。
 ※上記ウィキペディアの文中にある松原英俊さんは、立花隆「青春漂流」(1985)で紹介されていました。(彼ももう還暦を過ぎたのかー・・・。)→<鷹匠 松原英俊 公式Webサイト>

⑫クヌギの樹皮の家造り(굴피집지기)
 日本では、神社仏閣等では、ヒノキの樹皮で屋根を葺いた檜皮葺(ひわだぶき)というのがありますが、韓国にはクヌギの皮(굴피.クルピ)で葺いたクルピチプがあるんですね。
 <visitkorea>の記事によると、「昔の家屋が体験できます」という江原道の旌善(チョンソン)アラリ村では、このクルピチプの他、伝統瓦屋根の家、ノワチプ(板葺きの家)、チョルプチプ(麻葺きの家)、トルチプ(石板葺きの家)等を1棟単位で利用できるとあります。いろいろあるものです。

         
 【こういうふうにして皮を剥ぐのか。(左) 三陟(サムチョク)市にあるクルピチプ。(右) 日本人には雑に見えるような葺き方が韓国的。】

⑬男寺堂(ナムサダン)の音頭取り(남사당 앞쇠)
 男寺党(남사당)は農楽、曲芸、仮面劇、人形劇等を演じて各地をまわる芸人集団。詳しくはウィキペディア参照。(→コチラ。)
 そういえば、映画「王の男」(2005)でカム・ウソンやイ・ジュンギが演じていましたね。
앞쇠もふつうの辞書にはない言葉のようですが、本文に「상쇠」と同義とあり、こちらは「朝鮮語辞典」に「農楽隊などで先頭に立ってケンガリ(鉦.かね)を打ちながら全体を指揮する人」とありました。
 この男寺党の本拠地が京畿道安城市では、2001年から「バウドギ祭り」という祭りを開催しているほか、4~10月の毎週土曜にも常設公演が行われているそうです。

 以上が「クン」の本に載っている職業の全部。「ジャンイ」については続きで、ということにします。
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韓国の消えゆく職業 「~クン」と「~ジャンイ」①

2013-05-18 17:20:53 | 韓国の文化・芸能・スポーツ関係の情報
 4月19日の記事で、今の高校生には通じない日本語がたくさんある、というようなことを書きました。

 私ヌルボが小学校の音楽の授業で教わった歌には、戦前からの唱歌が多かったので、今の若い人たちには「わからない日本語」の宝庫ですね。たとえば・・・
 ♪さぎりきゆるみなとえの・・・(「冬景色」)
 ♪どてのすかんぽじゃわさらさ・・・(「すかんぽの咲くころ」)等々。
 そして、たぶんもっとよく知られているのが「村の鍛冶屋」。
 ♪しばしもやすまずつちうつひびき・・・
 当時の少年ヌルボは「槌打つ」を「土打つ」と誤解して、どういう意味だろうと疑問に思ってました。(笑) この歌の二番の出だしはたしか「あるじは名高い働き者よ」でしたが、最初は「あるじは名高きいっこく親爺」だったそうで、今の多くの日本人にはさらにわけがわからないでしょう。

 いや、それ以前に、鍛冶屋という職業自体、かなり前から説明をしないとわからない職業になっていると思われます。
 子ども時代、自宅からちょっと離れたところに鍛冶屋さんがありましたが、今にして思えば、それもひとつの「歴史的な体験」かもしれません。
 ※ウィキペディアによると、現在でも伝統的な野鍛冶は日本各地に存在しているとのことですが・・・。

 消えつつある職業といえば、鋳掛屋(いかけや)はどうなんでしょうか? 経師屋(きょうじや)は健在かな?
 また、悉皆屋(しっかいや)という職業があったことは、舟橋聖一の<隠れ反ファシズム>小説「悉皆屋康吉」を読んで初めて知りました。

 まあ、そんな難読用語オンパレードの近過去の例を持ち出すまでもなく、コンピューターの普及とともに活版の植字工等々、現在進行形の消えゆく職業は多々あります。

 さて、ここで2冊の韓国書を紹介します。
 2001年5月、同時に刊行された「꾼(クン)」「장이(ジャンイ)」です。

    
   【「クン」(左)と「ジャンイ」(右)。この2つの違いは・・・、うーむ、時間をかけて調べてみます。(汗)】

 10年以上前に購入して、精読することなく放置していたのですが、最近読み直して、この本の価値を再認識しました。
 内容は「사라져가는 토종문화를 찾아서(消えゆく郷土文化を訪ねて)」の副題にあるように、時代の変化とともに消えていく仕事に携わっている最後の人たちを取材した記録です。

 書名の「꾼」「장이」は、それらの職業をしている人を「○○꾼」とか「○○장이」とよぶことが多いことによるものです。
 ・・・と言っても、私ヌルボが知っていた単語は「일꾼(働き手)」「나무꾼(木こり)」「소리꾼(歌うたい)」「사기꾼(詐欺師)」「숯장이(炭焼き)」くらいなものかな。
 「장이」に似た「○○쟁이」の場合は「겁쟁이(臆病者)」「거짓말쟁이(嘘つき)」等が思い浮かびますが、侮蔑の意の籠められた言葉が多いですね。つまり、詐欺師のような良くない稼業ではなくても、差別の対象だったことがうかがわれます。

 以下、この2つの本でとりあげられている職業を紹介します。
 全体的にみると、山や海等で自然の幸を獲て生活している人々と、伝統工芸に携わっている職人に大別されます。
 中には、「꾼」や「장이」の付かない職業も含まれています。

   ≪「꾼」の部≫

①高麗人参採り(심메마니)
 심메마니は심마니の江原道方言(NAVER辞典)。高麗人参といっても、深山に自生する非常に高価な山参(산삼)が目当て。
 ※本書には、彼らの用いる独特の隠語が「디딤」=신발(履き物)以下50例以上も載っています。옷(服)のことを「너구리」(タヌキ)と言う。しかし「마당너구리」(庭タヌキ)とは개(犬)のこと。日本でも猟師たちの間では<山言葉>というのがありましたね。

②薬草採り(약초꾼)
 キム・ミョンボクさんが忠清道方言で속단(続断.ナベナ)、승마(升麻.ショウマ)、운지(雲芝.カワラタケ)その他たくさんの薬草の名前をあげています。

③イワタケ採り(석이)
 석이の漢字は石栮。深山の岩壁に着生する地衣類の一種です。しかし、こういう仕事が昔は成り立ち得たのかー・・・。

④マツタケ採り(송이꾼)
 송이の漢字は松栮。日本には専門家がいるのでしょうか?

⑤ハチミツ採り(석청꾼)
 漢字だと石清。ハチミツといっても養蜂場で採ったものではなく、深山の木や岩の間に蜂が貯えた上等のハチミツなんだそうです。(そういうものがあることさえ知らなんだ。)

⑥草幕農民(초막 농사꾼)
 草幕とは、山間(やまあい)の狭い空閑地に開いた畑のわきに草やワラで作った小屋です。農作業中の休憩や降雨の時の退避、農機具の保管等の場所として用います。
 上の表紙の画像がその草幕です。場所は忠清北道丹陽郡。
 この88歳になるというおじいさん、村の自宅から草幕のある畑まで2㎞あまりを歩くのが大変で、1時間かかるとか。
 この草幕は、かつて朝鮮に多数いた火田民と関係するのでは、と思われますが、今回はそこまでは未確認。

⑦トクサル漁師(독살 어부)
 독살(トクサル)というハングルを見て頭に浮かんだのは毒殺。毒薬で魚を獲るのかと思いましたがそうではなくて、同音異義語の固有語トクサルは、海岸の浅瀬に積み上げた石垣のこと。主に干満の差が大きい西海岸の干潟で1.5m内外の高さに大きな円形状に石を積み上げ、満潮時に入り込んで干潮時には出られなくなった魚を網ですくって獲るのです。

    
         【ずいぶん大がかりな石垣の囲いです。】

 → 韓国の消えゆく職業 「~クン」と「~ジャンイ」②
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ロッテモール金浦空港店のトイレで見た親子便器

2013-02-24 23:48:59 | 韓国の文化・芸能・スポーツ関係の情報
 この2週間、諸般の事情(寒いとか・・・)で記事のアップが間遠になっていました。その間もネタはどんどん溜まっているので、今週は小出しにでもしていかなければ、ということで、うーん、何から書くかなと考えた最初はトイレのこと。

 海外経験が豊富な人のトイレにまつわるモロモロは、本で読んでも話を聞いてもネタは尽きないほどで、中身もおもしろいものが実にたくさんあります。そこへいくと、私ヌルボの経験などホントに微々たるものです。
 今回も1つのテーマに絞ります。それは2連の大便器のことです。

 昨年12月のソウル旅行の際、ロッテモール金浦空港に行きました。2011年12月にオープンした大型複合モールです。
 そこのトイレに入って、目にとまったのが1つの個室(「大」の方)の便器です。

     

 手前は、ふつうの大きさの便器。真ん中にかなり小さい小便器があり、向こう側にはとても小さい大便器があります。
 実際に見た時は、この写真よりもずっと小さく見えました。「何だ、こりゃ!?」と内心驚き、写真に撮ったというわけです。

 考えてみれば、小さい子どもを連れたお父さんがトイレ(個室)に入る時、子どもを外で長く待たせるのも心配だし、子どももお父さんと時を同じくして便意を訴えることもよくあるので(?)、そのような場合にはこのような大小2連の大便器だと便利、ということなんでしょうね。

 まあ父と幼い息子がなかよくきばっている姿は微笑ましく、ウンチガイッタ(운치가 있다)」=「風情がある」といえなくもないので、よろしいのではないでしょうか?

 ここで私ヌルボが思い出したのは、2004年8月に中国の延吉からマイクロバスで長白山(白頭山)に行った時のこと。
 途中昼食(←主なメニューは生野菜)をとった蘭興休閑山荘のトイレでは、下の写真のように同じ大きさの便器が並んでいました。

      

 長白山旅行で見る以前に、このような2連便器は雑誌だかの写真で見たことはあったので、すごいオドロキというほどではありませんでした。
 ただ、連れションは日本でもよくありますが、連れウン、それも並んでというのは友人同士でもあるのか、とかいろいろ考えましが、食生活同様、この分野にも各地で多様な伝統・習慣があるだろうから・・・と、そのまま深く調べたりもしないできました。
 もしかしたら、中国朝鮮族にもこのようなトイレで父子が並んでしゃがむということがあるのかもしれない、とロッテモールの親子便器を見て思った次第です。

 この話題については、ネイティブの話等でウラを取ったわけではないので、いずれ聞いてみることにします。
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韓国のタルチュム(仮面舞)とハンセン病者のこと

2013-02-21 23:57:34 | 韓国の文化・芸能・スポーツ関係の情報
 2月11日の記事「韓国の「ピョンシンチュム(病身舞)」のこと等」の続きです。
 何日も日が空いてしましましたが、何をどう書き、また自分としてはどう考えるのかわからなかったというのも理由のひとつです。
 結局、わからないなりに書くことにしました。

 韓国の民俗芸能のひとつのタルチュム(탈춤)については、韓国文化に多少なりとも興味を持っている人はご存知のことでしょう。「탈」は「仮面」、「춤」は踊り。つまり仮面舞のことです。

 仮面はよく土産物店でも売られていますね。笑い顔のお爺さんとか、頬や額に丸く紅を塗った若い女性等々。

 そんな面の中で、下の画像のように顔全体に斑点のあるものもよく見受けられます。
            
 これがタルチュムの中でよく演じられるムンドゥンイチュム(문둥이춤)の時に用いられる面です。
 そしてこのムンドゥンイ(문둥이)とは、ハンセン病患者のことをさす韓国語の固有語です。

 <KBS WORLD>の記事には、タルチュムとムンドゥンイについて次のような説明があります。

 韓国の伝統仮面劇であるタルチュムの名称は地方によって違った呼び方があり、釜山では古くから「野で遊ぶこと」という意味の純粋な韓国語、「トゥルノルム」と呼ばれてきました。普通、トゥルノルムを漢字で現わした「野遊び」を音読みにすると野遊(ヤユ)となりますが、釜山の東莱区に伝わるタルチュム、東莱野遊びだけは昔から東莱(トンレ)「ヤユ」ではなく、「ヤリュ」と呼ばれています。 
 韓国の各地に伝わるタルチュムのほとんどにはムンドゥンイの場面があります。こうして疎外されている人々も社会の一員として認めているのです


 一読して、最後の下線をつけた部分が「すっきり書かれすぎている」と思いました。

 タルチュムは、韓国各地に伝えられていて、それぞれの特色もありますが、おおよその共通点もあるようです。上記のようにムンドゥンイの場面もそのひとつです。
 先の記事で病身舞(ピョンシンチュム)について書きましたが、このムンドゥンイチュムも病身舞のひとつです。
 各地のタルチュムに登場するムンドゥンイチュムは、本来の身分が両班(貴族)であり、先祖が重ねた罪業のために不治の病にかかって出世の機会もないというムンドゥンイが自分の境遇を恨み嘆く、という内容ものです。

 すでにここまでの説明で、日本人のアナタは疑念あるいは拒否感を抱いたかもしれません。
 そのことを考える前に、まずそのムンドゥンイチュムがどのようなものか、見てみてください。
 この動画は、慶尚南道の固城五広大(고성 오광대.コソンオグァンデ)です。

   
     【ムンドゥンイチュムは最初(00:25~03:47)に演じられています。】

 固城五広大では、連続して演じられる第1~5科場(과장)の最初の第1科場でムンドゥンイチュムが演じられています。
 途中、足が利かないというような動作もありますが、滑稽さを強調したようなものではなさそうです。
 「固城五広大 重要無形文化財 第7号」の説明記事には「この場面の内容は、両班が権勢を恣にして一般民衆を抑圧し、蔑視する封建社会の痛みを、マルトゥギという庶民の代弁者が、両班の醜悪な姿を赤裸々に明らかにすることで辛辣に批判する」と書かれています。

 ウィキペディアの病身舞の説明によると、病身舞は「日韓併合とともに、集会取締令の対象の一つとして禁止され、日本の敗戦後に復活する」とあります。
 朝鮮総督府は、はたしてどんな経緯で病身舞を禁止したのか? 興味はありますが、そこまでは私ヌルボの調べ作業は進んでいないので、保留にしておきます。
 また「韓国国内においても身体障害者に対する差別的な踊りではないかという批判がある」とも記されています。(韓国ウィキには、この記述はありません。)
 調べてみると、たしかに2001年の「国民日報」に関連記事がありました。ただ、これは民俗芸能としての病身舞ではなく、演劇の中で脳性麻痺障碍者をまねて笑いをとっていたことに対して初等学校で障碍児教育を担当している教師が抗議をしたというものでした。しかし一部のネチズンは「孔玉振(コン・オクチン)の病身舞は誰も非難しない」としてその教師の主張を偽善であると攻撃し、一度は公演内容是正を約束した企画会社も「私たちの劇場には障碍者が毎回観覧をしている」と立場を変えたとのことで、さらに障碍者及び関係組織の抗議が続けられたようです。

 では、このムンドゥンイチュムについて韓国の人たちはどう見ているのでしょうか? 「문둥이춤」と「차별(差別)」の2語で検索すると、興味深い記事がいくつかヒットした中で、たとえば忠北大学校の民俗研究会の掲示板で、学生たちの演じたムンドゥンイチュムについて次のような(先輩の?)コメントが載っていました。
 ・・・人間臭さのある良い公演でした。病・身・舞をみるまでは。そんな公演に一体何を考えて病身舞を入れたのですか? タルチュムに入っている病身舞は、両班の心がよじれて腐っていることを風刺したものです。・・・皆さんが見せてくれた病身舞は何ですか? ・・・皆さんは障碍者の不便な身体を公式の場で笑い物にしました。皆さんは平気で笑って病身舞を踊りました。・・・民俗研究会は、それらの人々(障碍者とその家族)の心をえぐる公演をしました。皆さんは、皆さんと民俗研究会全体の人格を地に落としました。病身舞を見た後にもうその公演を見て笑うことができませんでした。
 この厳しい批判を受けとめたコメントがさらに続いています。

 また日本の「嫌韓流」の本であげられているネタ45項目を律儀にも紹介した記事(→コチラ)がありました。そこで筆者自身がコメントの中で、「韓国人の障碍者差別はひどい」と題して「障害者福祉施設を住宅価格が下がると言って近所に作らないようにしたり、パラリンピックを放送中止させたり、障碍者をまねる病身舞があったり、障碍児という理由で毎年約1000人を海外に捨てる」と記している29番目の項目について、「私はこの批判が本当に考えてみる余地が多いようです」と書いています。

 これらを見ると、韓国の障碍者差別についての「ハードル」は日本に比べてかなり低いのは事実ですが、徐々に高くなりつつあることがうかがわれます。

 ただ、このテーマは柳美里の「石に泳ぐ魚」をめぐる裁判のように、「表現の自由」などとも関わる難しい問題も内包しているように思われるので、「ハードル」が高いことがはたしてどこまで「良いこと」と言えるのかどうか? これまた「保留」にしておきます。(ずるい!)

 今回の記事に関連して、韓国で民族舞踊を仕事としている方の「極私的ふれあい音楽探訪」というブログ(日本語)はおおいに参考になりました。2006年に4回にわたってムンドゥンイチュムについての記事があります。(→)
 その記事の中で、次のようなくだりには速断ばかりか遅断も避けがちな私ヌルボも「なるほど・・・」と思った次第です。

 伝統芸能の文脈の中でムンドゥンイチュムが踊られる時、そういったらい病患者に対する過去・現在の差別の眼差しに対する反省とか、ある種の考察のようなものがなされているのをついぞ目にしたことがないし、そういった議論がされているのも聞いたことがありません。 
 ・・・でも、例えその発祥が障害者をバカにしてコケにするものであってもわたしはムンドゥンイチュムが好きだ。五広大が好きだ。継承したい。


 このようなハンセン病等の病者や障碍者に関わる表現活動をめぐる問題は、文学の分野でもあるのは日本も韓国も同じです。それらについては、さらに続くということにいします。
 (知れば知るほど、次なる問題が見えてくる、ということで、延々と続くなー・・・。)

野村伸一「巫と芸能者のアジア」(中公新書)には、「苦汁に満ちた生を生きながら、道にさすらい、滑稽におどり、うたった朝鮮の芸能者広大(クァンデ)とその芸能」について、非常に詳しく書かれています。しかしなぜかムンドゥンイチュムという言葉は載っていません。その代わりに「疥癬僧(オムジュン.옴중)」という言葉が用いられています。ネット検索すると、たしかに楊州の別山台ノリ(양주 별산대놀이)ではそう呼ばれるそうですが・・・。何か考えがあってのことなのか・・・。

 ※<ハンセン病と韓国文学①>に続きます。

[韓国とハンセン病関連記事]

 → <ハンセン病の元患者、歌人・金夏日さんと、舌読と、ハングル点字のこと>

 → <2005年毎日新聞・萩尾信也記者が連載記事「人の証し」で金夏日さんの軌跡を記す>

 → <ハングル点字のしくみを見て思ったこと>

 → <韓国の「ピョンシンチュム(病身舞)」のこと等>

 → <ハンセン病と韓国文学①>

 → <ハンセン病と韓国文学② 高銀・韓何雲・徐廷柱・・・、韓国の著名詩人とハンセン病のこと>
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韓国の「ピョンシンチュム(病身舞)」のこと等

2013-02-11 19:10:11 | 韓国の文化・芸能・スポーツ関係の情報
 韓国は、日本に比べると「差別語」のハードルがかなり低いようです。いや、この数十年の間に日本でのハードルがどんどん高くなってきた結果差が開いたといった方が正しいでしょう。

 日本の代表的侮蔑語のバカは、幸い禁止語にはなっていません。韓国語では바보(パボ)で、語源については以前記事にしたことがあります。(→コチラ。他の説もたぶんある。)
 しかし、たとえば漫画家カンプルの作品で映画化もされた「バボ」の場合、この言葉は練炭の一酸化炭素中毒で知的障碍者となった主人公の青年のことを示しています。日本だったらこのようなタイトルはまずつけられないでしょう。
 韓国の歌にも「바보같이(パボカッチ)」(バカみたいに)という歌詞がずいぶん多くみうけられます。また2AMは同じ意味の「바보처럼(パボチョロム)」(バカのように)という歌を歌っています。(→コチラ。いい歌ですよ。) アラ、バブルシスターズも同名の歌を歌ってるの?(→コチラ。)

 バボと違って、明らかに障碍者関連の侮蔑語でよく使われている言葉が미친놈(ミッチンノム)=「狂ったヤツ」병신(病身.ピョンシン)です。
 これらは、日本だと当然「禁止語」の部類なんですが・・・。

 「병신」という言葉でネット検索すると、動画・画像等々も含めいろいろヒットしますが、つい先刻「당신의병신도는?」(あなたの病身度は?)というのがあることを知りました。名前をハングル入力してクリックすると「アナタの病身度」が短いコメントつきで%表示されるというものです。
※ヌルボの場合は、「늘보 의 병신도는 85%이며, 장판을 뜯어먹을 수 있을 만한 병신력을 지녔습니다」(病身度85%で、床を齧って食えるほどの病身力を持っています)との判定。あー、そうですか。
 ・・・つまりは、このようにもおもしろ半分で用いられる言葉というわけです。

 いつものように長~い前書きなんですよ、このあたりまでは。
 やっと本論に近づいてきました。

 「病身」といえば「ピョンシンチュム(병신춤)」=病身舞という伝統踊りが韓国にあります。
 ウィキペディアには、次のような説明があります。

 病身舞は、大韓民国慶尚南道密陽に伝わる伝統芸能の一つ。ハンセン病患者、小人、身体障害者、せむしなど、「身体障害者・病人=病身」として表現される。 
 女流演劇家の一人である孔玉振(コン・オクチン、1931~2012年)が、一人舞台で病身舞を演じてから、マスコミを通じて韓国中に知られることとなり、大衆娯楽化した。 日韓併合とともに、集会取締令の対象の一つとして禁止され、日本の敗戦後に復活する。


 またYOU TUBEには→コチラのような病身舞の動画があるのですが、日時・場所等不明で、いわゆる<嫌韓ブログ>のネタのような取り上げ方もされています。上記のウィキの記述も含めて、注意深く扱う必要があると思います。

 ウィキで名前があげられている孔玉振(공옥진.コン・オクチン)いう女性舞踊家(「一人唱舞劇」演者)は、昨年(2012年)7月9日亡くなったことが「朝鮮日報(日本版)」(→コチラ)で報じられました。
 彼女の動画は→コチラで見ることができます。

 2010年「孔玉振が地方無形文化財保持者に指定された」という朝鮮日報の記事を取り上げたブログ記事がありました。(→コチラ) いろんな情報にのっとった記事で参考になりますが、基本的には否定的な観点で書かれ、とくにコメントには<嫌韓の人たち>が集まってきています。

 このように、病身舞について書いたり論じたりしようとすると「微妙な問題」に否応なくゆきあたらざるをえません。
 私ヌルボとしても書き方が難しいところですが、いろんな記事や動画を見て、この病身舞の主な性格・要素についてわかったこと、思ったのは、次のようなことです。

①病者・障碍者のしぐさ等自体の「滑稽さ」をそのまま演じる「おもしろさ」。・・・これはもちろん「差別」に直結します。
②病者・障碍者を登場させて、両班のような支配階級に対するを風刺・批判。・・・だからといって、問題ナシ、とはならないでしょう。
③病者・障碍者自身の苦悩の表現。・・・30年ほど前に孔玉振の舞踊を見た麿赤児が「これぞ舞踏だと思った。人間の暗く捻れた否定的な動作の舞踏だが、限りなく強烈だった」と感想を述べている(→コチラ)は、おそらくその深い表現力に感じてのことでしょう。

 どんな表現が差別なのか? あるいは「差別」の要素を含んだ表現(芸能・文学等)は禁止されるべきか? 等々、この件については難題がいろいろあります。
 また、歴史事実として朝鮮総督府が「なぜ」病身舞を禁止したのか、も調べてみないとわかりません。
 ・・・まあ、それらは「継続課題」(←便利な言葉です)ということで・・・。

 本論に近づいた、と先に書きましたが、この病身舞のことも実は本論そのものではないんですよ。
 しかし、すでにかなりの字数を費やしてしまったので、今回はここまでにしておきます。

[2013年6月8日の追記] その後、津村喬氏による非常に積極的な病身舞肯定論、いや礼賛論を読みました。→コチラ。  
 ここで津村氏は、「病身舞は韓国の繊細にして大胆な文化が生み出した、伝統文化の精髄なのである」と述べるばかりでなく、「病身舞を前近代的で野蛮なもの」のように取り扱うことに対して、「これを禁止した日帝の侵略者と立場を同じくしているのか。ひとを不安にさせ、禁止しなければならないと思わせるほど権力者たちを脅かしたこれを、さらに国際圧力によって葬り去りたいと思っているのか」と厳しく批判しています。
 私ヌルボは、必ずしも全面的にこの主張に与するものではありませんが、病身舞に関心を持つ方にはぜひぜひご一読をおすすめします。


※つづきの記事は<韓国のタルチュム(仮面舞)とハンセン病者のこと>です。

 → <ハンセン病の元患者、歌人・金夏日さんと、舌読と、ハングル点字のこと>

 → <2005年毎日新聞・萩尾信也記者が連載記事「人の証し」で金夏日さんの軌跡を記す>

 → <ハングル点字のしくみを見て思ったこと>

 → <韓国のタルチュム(仮面舞)とハンセン病者のこと>

 → <ハンセン病と韓国文学①>

 → <ハンセン病と韓国文学② 高銀・韓何雲・徐廷柱・・・、韓国の著名詩人とハンセン病のこと>
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ハングル点字のしくみを見て思ったこと

2013-02-04 22:05:55 | 韓国の文化・芸能・スポーツ関係の情報
 前々回の記事<ハンセン病の元患者、歌人・金夏日さんと、舌読と、ハングル点字のこと>で、金夏日さんが視力を失った後、ハングルを学び、さらにハングル点字を習得したことを書きました。

 しかし、実は私ヌルボ、これまでハングル点字がどのようなものか、知識は全然ありませんでした。

 そこで手っ取り早く、ウィキペディアの「ハングル点字」の項目を見てみると、次のような表が載っています。
    
    

 説明にあるように「多くの言語の点字とは異なり、一つの点字に一つの文字を対応させる方式は使用しない。その代わり、ハングルの初声、中声、終声にそれぞれ一つの点字を対応させる方式を採っている」というわけです。

 つまり、たとえば한국(韓国)の場合、「한」と「국」の2字ではなく、ㅎ・ㅏ・ㄴ・ㄱ・ㅜ・ㄱと6つに分けて打ち込むということです。

 また、「한」の場合のㄴは終声ですが、하나の나のように初声になる場合も当然あるので、ㅎ・ㅏの次のㄴがそのどちらかも区別をつけておく必要がある、ということですね。

 文字の特性上やむをえないことでしょうが、日本語点字に比べると分量が多くならざるをえず、読む視覚障碍者も、点字翻訳者も大変だなあ、と思いました。

 一般の文字表記では、日韓の書き言葉の長さにはほぼ同じくらいといっていいと思います。
※たとえば、google翻訳で何か日本語の文を入力して、自動翻訳された韓国語と字数を比べてみればわかります。
 それが点字だとどれくらい違ってくるか、例をあげてみます。

 とくに理由はありませんが、次のような文で比較してみました。( )は字数です。

 卵をゆでる (5) 
 계란을 삶는다(6)


 これを点字にすると・・・。

 たまこ ゛をゆて ゛る (9) ※濁点は1文字分。
 ㄱㅖㄹㅏㄴㅇㅡㄹ ㅅㅏㄹㅁㄴㅡㄴㄷㅏ(17)

 このように、ハングルだとずっと長くなってしまいます。(삶다なんてメンドーな動詞にしたこともありますが・・・。)

 ちなみにローマ字だと・・・。
 tamagoo yuderu (13)

 ・・・ということもあって、でしょう。ハングル点字では、よく使う接続詞等は略字の点字があるんですね。下の表は韓国ウィキの「한글 점자(ハングル點字)」にありました。
     

 では、ハングル点字の歴史はいつからなんだろう、というのが次の疑問。ウィキ日本版には記述はありませんが、同じく韓国ウィキに載っていました。それによると、現在のハングル点字は、パク・ドゥソン(朴斗星.박두성.1888~1963)という教育者が1926年に発表した「訓盲正音(훈맹정음)」に基づくもので、それが戦後数度の改正を重ねて、1994年に現在の標準のハングル点字統一案がハングル点字研究委員会により発表されたということです。
※「訓盲正音」は、もちろん「訓民正音」から。
※パク・ドゥソンは仁川出身で、現在仁川に記念館があります。(→コチラ。)

 日本の点字は「1890年石川倉次の考案した日本語の6点式点字が、東京盲唖学校で採用される」、「1901年日本式点字が官報に公表される」ということですから、ここでもはからずも私ヌルボの持論(?)の「日韓を分ける24年差の歴史」があてはまるようです。

 → <ハンセン病の元患者、歌人・金夏日さんと、舌読と、ハングル点字のこと>

 → <2005年毎日新聞・萩尾信也記者が連載記事「人の証し」で金夏日さんの軌跡を記す>

 → <韓国の「ピョンシンチュム(病身舞)」のこと等>

 → <韓国のタルチュム(仮面舞)とハンセン病者のこと>

 → <ハンセン病と韓国文学①>

 → <ハンセン病と韓国文学② 高銀・韓何雲・徐廷柱・・・、韓国の著名詩人とハンセン病のこと>
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鄭大世の水原(スウォン)サムスン入団について、サッカー素人の寸感

2013-01-03 14:13:14 | 韓国の文化・芸能・スポーツ関係の情報
 はっきり言って私ヌルボ、韓国のサッカーについては詳しくありません。あ、日本のサッカーについても・・・。

 鄭大世については、昨年5月彼についてのドキュメンタリー映画「TESE」で初めていろんなことを知りました。
 その感想を本ブログ記事(→コチラ)でも少し書いた中で、彼が北朝鮮代表の道を選んだことについて「日本代表の道を選んだ李忠成のこれまでを辿っても、彼なりの必然性が当然理解されるでしょう。鄭大世が3世、李忠成が4世という点も関係あるかも・・・」などと全くの見当で記してしまいました。
※鄭大世は在日韓国人3世で、韓国国籍の父と朝鮮籍の母の間に生まれ、東京の朝鮮大学校を卒業後、2006年にJリーグ川崎フロンターレに入団。07年から北朝鮮代表として活躍し、国際Aマッチ28試合に出場、5ゴールをマークしている。

 その彼が、川崎フロンターレからドイツのボーフム、さらにFCケルンに移籍したことは知っていましたが、たまたま今日(1月3日)twitterの朝鮮日報日本語版を見ていたら「Kリーグ:鄭大世、水原に移籍」というツィートが目に入りました。

 関連情報を探してみたら、すでに暮れの12月21日の段階で「ケルン鄭大世 Kリーグ水原へ 出場機会に恵まれず移籍」というニュースがスポニチ等で報じられていたのですね。

 今日の「朝鮮日報日本語版」の記事は日が経つと契約してなければ見られなくなってしまうので、同内容の「中央日報日本語版」の記事もリンクを張っておきましたが、後者の見出しは「人民ルーニー鄭大世、水原サムスン入団確定」。
 彼にイングランドのウェイン・ルーニー選手の名に因んだニックネームがあることも初めて知った私ヌルボであります。

 水原サムソンについて、ウィキの説明を見ると、2010年まではあの車範根(チャ・ポムグン)チャ・ドゥリの父親が監督だったんですね。

 しかし、鄭大世が水原に入団するとなると、朝鮮総聯や朝鮮学校との関係や、それについての実家のもろもろはどうなるのかな、と他人事ながら少し気になります。

 それにしても、こうした話題について2ちゃんねるの反応は早いなー。

     
  【この単純な似顔絵は実によく彼の顔の特徴をつかんでいる、と思います。】
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新年 福をたくさんお受けくださいませ! 韓国オタクのご挨拶と、お雑煮&トッククのこと等

2013-01-01 16:58:56 | 韓国の文化・芸能・スポーツ関係の情報
 あけましておめでとうございます。새해 복 많이 받으세요! 
 今年もよろしく。

 今年も「2012年の個人的総括と、2013年の抱負」を書くつもりで昨年一昨年の記事を見直してみたら、あら、これから書こうと思っていたこととあまり変わらないことが書かれているでないの。
 「時が過ぎるのが早い」とか「きっちり韓国語の勉強をして検定試験をうけるぞ」とか・・・。
 つまりは、さしたる進歩もないまま同じようなことを繰り返しているということがわかりましたよ。
 ここは反省のしかた自体を反省しなきゃならん(マジ笑)ということで、総括と反省は明日(か、それ以降)に先延ばしします。(この手法も使いすぎだなー。自分自身でも信じられなかったりして・・・。(笑ゴマ。あ、近頃はテヘペロというのか。)

 はてさて私ヌルボ、今年の正月も郷里の徳島で自分が作った雑煮を食べることから始まりました。

       
  【具は小松菜・里芋・鶏肉。母が東京出身だった関係で澄まし汁です。】

 雑煮といえば、以前、ネイティブの韓国人女性に「日本人はなぜお雑煮などというキケンなものを食べるのですか?」というような質問をされたことがありました。

 例年新聞やTVで報じられるように、お雑煮の窒息事故がすごく多いのに、それでもなぜあえて食べるのか、という意味でした。
※今→コチラの記事を見ると、不慮の事故死のうち「気道閉塞を生じた食物の誤嚥」による死亡者数は4816人。(厚生労働省の2011年人口動態調査) また「全国75ヵ所の救命救急センターの07年調査(死者371人の分析)では、餅(全体の24.5%)が最も多く・・・」とあるから、毎年1000人以上がお餅のギセイになってる(←ヌルボ推定)ということのようですね。とくにお年寄り。「お酒に酔って談笑しながら餅を食べる時が危ない」そうですから、ご家族の皆さん留意してくださいね。
 この件についてはウィキ(→コチラ)の記述も参照されたし。
 あ、先の質問に対してどう答えたんだっけな? 「旨いから」「日本人だから」「そんなこと言ったら車だって危険で乗れない」・・・どれも違うような気がします。

 韓国でも正月にトックク(떡국.餅汁)を食べますが、韓国のお餅(トック.떡)はもち米(찹쌀.チャプサル)ではなく、うるち米(멥쌀.メプサル)で粘り気が少ない上、棒状のものをスライスして用いるため、およそノドにつまらせる危険性はありませんからねー。

          
   【棒状のトックを切って使います。スライスしたトックの袋入りもふつうに売られています。】

 韓国料理が日本でも普及した現在、ネット通販もふつうに購入可能。「韓国・トック・通販」でいろいろヒットします。
 作り方は、たとえば→コチラコチラコチラを参照してください。それぞれ若干の違いはありますが、具としては牛肉・ねぎ(or玉ねぎ)・玉子が基本。もっとも私ヌルボ、食べたことはあっても作ったことはありません。
 できあがりのトッククの画像は、上記の記事のほか、ソウルナビの「韓国のお正月、ソルラル(旧正月)」にも載ってます。この記事には、韓国の正月について総合的に説明しています。(コネストにも同様の記事があります。)

 ・・・と、韓国雑煮というべきトッククについて書きましたが、韓国の人たちがこれを食べるのはまだ早い!
 韓国で正月といえば旧正月ですからね。
 新正月は休日は1日だけで、デパート等では無休のところもめずらしくはありません。(→コチラ参照。)
 盧武鉉大統領の時に新正月も旧正月同様3連休になったのに、李明博大統領がまた元に戻しちゃったのです。政権による公休日数の変転については、本ブログの過去記事(→コチラ)をご覧ください。

 で、その旧正月ですが、今年は2月10日(日)。したがって9日(土)~11日(月)が公休で3連休になります。
 この時期は日本でも11日が建国記念の日で3連休。もしかして韓国旅行を予定している人も多いのではないでしょうか?
 ちょうど旧正月と重なってしまうので要注意ですよ! 観光ポイントやお目当ての店が正月休みになっている可能性があります。事前確認を十分になさってくださいね。
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韓国芸能界 2012年の10大ニュースをみる

2012-12-31 22:04:49 | 韓国の文化・芸能・スポーツ関係の情報
 昨年に続いて、今年も「スポーツ韓国」の記事をもとに芸能界の10大ニュースを見ていきます。
※韓国では芸能界のことを演芸界(연예계.ヨネゲ)といいます。

 今回はデータ集計の詳しい説明がありませんが、昨年と同じであればエンタテインメント専門家に今年の話題3つを選んでもらった結果を集計したものです。

①韓国人歌手PSY(サイ)の「江南スタイル」世界的ヒット(71票)
 PSY(サイ)が7月15日に発表したアルバム「싸이6甲 Part 1」収録の「江南スタイル」は、その後YouTubeでのプロモーションビデオのアクセス回数が記録的な数字に上ったことが伝えられ、12月には再生回数を10億回を突破しました。(12月31日21:44現在1,090,765,453回。)
 そしてビルボードのチャートは7週2位を維持したものの1位獲得はならず。しかしヨーロッパ各国のチャートで1位になりました。
 とくに人気をよんだのは말춤(マルチュム)すなわち馬ダンス。馬の手綱を握るように手を前に交差させ、馬にまたがるように足を外股に開いて踊ります。
 この曲を知らなかった人、馬ダンスを見たことがない人はとりあえずYouTubeで見てみてください。→コチラです。
 ところが、これだけヒットしたのになぜか日本では話題にもならず。その理由については→ウィキペディアにいろいろ書かれています。上記YouTubeの数字操作疑惑も出たりしていたようで・・・。

②人気女性グループT-ARAをめぐるいじめ論議(41票)
 日本でも人気のT-ARA(티아라.ティアラ)ですが、7月30日にファヨンがスタッフと議論の末自由契約になってしまいました。その騒ぎの影響で8月のグループ活動はすべてキャンセル。その背景にグループ内での「いじめ」があったのでは、という情報が飛び交いました。真相ははたして・・・。私ヌルボとしては「危うきに近寄らず」。・・・ではありますが、私ヌルボ、今年(2012年)4月29日の記事で辛ラーメンのテレビCMにメンバー7人が登場していたことを動画入りで書きました。→コチラ
 各メンバーが7通りのレシピを紹介するというCMなんですが、私ヌルボ、「これはもしかして各メンバーの人気とか力関係とかに関わっているのではないか?」と書いたのは、今にして思えば正鵠を得ていたかも・・・。(と自画自讃(笑)。)
 「一般的な見方によるところの人気順位」を参照しつつ見ていくと、1位ジヨンが①正統ラーメン、2位ウンジョンが②飯盒ラーメン、3位ヒョミンは③冷ラーメン・・・と続き、そしてラスト7位ヒョミンが⑦緑茶牛乳カップラーメン!
 「う~む、これが一番問題だぞ~。を混ぜるなどとは言語道断横断歩道!」というのがヌルボの感想でした。これを食べさせるのは日本人ならいじめととるのでは? そしてこれを作らせるというのも背後に何かあったとは思いませんか? あら、緑茶牛乳カップラーメン作って食べてみてから言え!という心の声が・・・。

③韓国映画のルネサンス(40票)
 7月公開のキム・ユンソク、キム・ヘス、イ・ジョンジェ、チョン・ジヒョン、キム・スヒョンといったスター俳優が勢ぞろいした犯罪アクション「泥棒たち」が観客動員1302万人を超え、「グエムル 漢江の怪物」にかわって韓国映画歴代1位に。続いて9月公開のイ・ビョンホン初の時代劇「光海、王になった男」も1231万人(現在)で「王の男」を抜いて歴代3位と、相次いで1000万人を突破。さらに10月公開のオオカミ少年(ソン・ジュンギ)と世の中に心を閉ざした少女(パク・ボヨン)の恋物語「オオカミ少年」も拡張版も含め700万人を超えた大ヒット。
 その他、チャ・テヒョン主演の西氷庫の氷をめぐる時代劇コメディ「風と共に去りぬ」、寄生虫の集団感染の恐怖を描いたキム・ミョンミン主演の「ヨンガシ」、名古屋で地震を契機に出あった彼女(イム・スジョン)と結婚した男(イ・ソンギュン)が、最高の奥さんを得たずが離婚を決心するはめに至って考えたことは、という「私の妻のすべて」の3作も400万人を超えて、韓国映画は少なくとも本国では復活。そして年間の累積観客数も歴代初めて1億人を突破しました。国民平均年間2本の韓国映画を観たことになるそうです。
※韓国映画で過去1,000万人を超えた作品は①「グエムル 漢江の怪物」(2006)1,302万人②「王の男」(2005)1,230万人③「ブラザーフッド」(2004)1,175万人④「ツナミ」(2009)1,145万人⑤「シルミド」(2003)1,108万人(※以上、千の位4捨5入)でした。
 しかし、(私ヌルボの得た他情報によると)1000万人超えの2作は記録更新のために無理して上映スクリーン数の確保をはかったようで、その分ワリを食ってしまったマイナーな映画もあったそうですよ。

④キム•ギドク監督の「ピエタ」がベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞(18票)
 2012年3月日本公開の「アリラン」を見ると、キム・ギドク監督は近年かなりの創作の苦しみに苛まれていたようです。「ピエタ」は日本では2013年夏一般公開されます。

⑤イ・ビョンホンとイ・ミンジョンの交際(14票)
 6月熱愛説が流れた当時、2人はそれを否定しましたが、結局2ヵ月後公式に恋人同士であることを認めました。
 ドラマの中の恋人から実際の恋人に発展したカップルがチ•ヒョヌとユ•インナ。tvNの水木ドラマ「仁顕王后の男」の主人公の2人。6月ファンミ-ティングで、チ・ヒョヌはユ・インナを心から愛すると告白した時には彼女の方は特別な反応を見せていなかったそうですが、10日後盆唐(プンダン)の公園での深夜デートがスクープされた時は彼女はカメラに向かってVサインしたそうです。(笑) 8月にチ•ヒョヌは入隊。彼女については「具体的な言及を避けた」そうです。
 4月に結婚したスター女優チョン•ジヒョン、相手は韓服デザイナーのイ•ヨンヒの外孫のチェ・ジュンヒョクという男性だそうです。

⑥IUとウンヒョクの写真流出事件(12票)
 11月に人気女性歌手IUと、SUPER JUNIORのメンバーのウニョクのプライベートでのツーショット写真がネット上に流出し、騒ぎになりました。その写真は、熱愛説がささやかれてきた2人が顔を寄せあって並ぶ親密な様子が撮られているもの。ウニョクの上半身が裸に見えること、2人がベッドのような場所で寝転んでいるように見えることから密会中の写真として大きな波紋が広がりました。IUの所属事務所によれば、問題の写真は今年の夏IUの具合が悪かった時、IUの家にウニョクが見舞いに来てソファーで撮った写真だ。2人はデビュー時から親しい先輩後輩同士で、IUのお母さんとも一緒に食事をするほど親しいと説明し、熱愛関係にあるとする噂を否定しています。そして写真流出がIUの不注意によるもので、先輩のウニョクに迷惑をかけたことを謝罪しました。

⑦MBCの長期ストライキ(12票)
 李明博大統領の側近だったキム社長が「政治的な偏向報道を強要している」などとして公正放送回復と社長退陣を掲げて1月からストライキを繰り広げてきたMBC(文化放送)労組。結局韓国放送史上最長の170日間のストライキを7月まで続けました。その間組合は社長の公金流用疑惑をネット上で報道する等、市民に支持を訴えました。与野党の推薦を受けて成立した新理事会による調整•処理で一応合意をみたものの、まだまだ問題は多いようです。(<レイバーネット>は、韓国の労働闘争の諸情報を数多く伝えています。)

⑧カン・ホドンの芸能界復帰(9票)
 2011年9月に脱税容疑で放送活動を中断した<国民的>カン•ホドンですが、引退前に担当していたSBSの芸能番組「スターキング」に11月10日1年2ヵ月ぶりにカムバック。その時の動画がYouTubeにありました。(→コチラ。)
 ピアノの弾き語りをしてます。MBCで独立番組になった「膝打ち導師」にも復帰し、KBSでは1月から始まる新芸能番組のMCに抜てきとか。引く手あまたです。
 復帰といえば、2012年4月慰安婦をめぐる発言の波紋で活動を中断したキム•グラが5ヵ月の自粛期間を終えて活動を再開。この「慰安婦をめぐる発言」の詳細は→コチラの記事参照。関連で→コチラも。「極右派日本人と舌戦」なんて誰のことかと思ったら産経の黒田勝弘氏か。そりゃあ相手が悪かったね。しかし5年前、10年前の発言が非難の対象になるのか・・・。
 あ、<元祖花美男(원조 꽃미남)>のチャン•ドンゴンも「紳士の品格」で12年ぶりのドラマ復帰。
 兵役を終えての復帰組はヒョンビンカン•ドンウォン、・・・ってもう除隊!? ずいぶん早い感じ。心待ちにしてたファンにとっては長かったでしょうが・・・。

⑧うわさのあった芸能界のプロフォール事件が水面の上に現れる(9票)
 プロポフォールといえば、2009年に急逝したマイケル・ジャクソンの死因となったのがこの麻酔薬の静脈注射。幻覚を引き起こす麻酔薬だそうです。韓国芸能界でも以前からうわさはあったそうですが、10月18日タレントのエイミーがその使用容疑により、検察側から1年の実刑を求刑されたそうです。日本での一般知名度は高くはありませんが、SHINHWAのメンバーのイ・ミヌの元彼女として知る人ぞ知るタレントとのことです。

 ・・・あれ? ここまでで9つなのに「スポーツ韓国」はあと1つ書いていないぞ。票数が少なくて書けなかったのかな?
 ここは急遽<SB S2012芸能界10大ニュース>を援用して、1つだけ追加しておきます。

○破局・離婚したスターたち
 日本のファンたちも動揺したのが韓流スターリュ・シウォンが結婚1年6ヵ月で破局というニュース。現在離婚調停の手続きを進めているそうですが、離婚をしたい夫人とは異なり、リュ•シウォンは「娘のために家を守る」という意志を見せているとか・・・。
 以前日本のTV番組にも出ていた女性コメディアンのチョ•へリョンは性格の違いを理由に結婚13年で離婚。おしどり夫婦(韓国語ではインコ夫婦)として知られていたチョン•ノミン&キム•ボヨン夫婦も3月に離婚のニュースが伝えられました。チョン•ノミンの始めたマッコリ事業がうまくいかず「負担を妻に負わせたくなかった」と彼は理由を語っています。同い年の俳優カップルとして知られていたコン•ヒョジン&リュ•スンボム、熱愛10年の恋人関係を整理しました、というのが8月。2001年SBSドラマ「華麗なる時代」で共演して実際の恋人関係に発展、2003年に一度破局したものの復縁。しかし復縁後5年で再び迎えた破局に、ファンの間では「残念だ」という声が出たとのこと。

 「スポーツ韓国」は、2011年の芸能界がソテジとイ・ジアの離婚訴訟(1位)、カン・ホドン、芸能界引退(2位)、映画「るつぼ」が社会的波紋を起こす(4位)、芸能人A嬢のセックス動画流出(5位)など否定的な事件が目についたのに比べ、2012年は全般的に大衆に夢と希望を与えてくれたニュースが多かった」と総括し、「特にK-POP、映画、国内と海外など各分野の選んだ活躍を通じ、韓国芸能界が量的ㆍ質的な成長を成し遂げたと見ることができる」ととても肯定的・楽観的に結んでいます。
 うーむ、問題もいろいろあるとヌルボは思うし、細かく調べると実際あるんですけどねー。じき新年だから、ここまでにしときますね。

 では皆さん、よいお年を!
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NHK「東京カワイイTV」、韓国で“オルチャン”探しとは平和だね~、この時節柄

2012-10-14 07:41:13 | 韓国の文化・芸能・スポーツ関係の情報
 昨晩TVをつけっ放しにして予定の記事「韓国とキリスト教」(中公新書)の感想を書いていたら、そのTV番組で韓国ネタをやっているんですよ。
 内容は、およそ私ヌルボとはぜ~~~んぜん無縁の世界なんですが、いやそれゆえに興味深く思って(?)最後まで見ちゃいましたねー。
 何という番組かというと、NHK総合23:30~24:00「東京カワイイTV」。テーマは「“オルチャン”って何!? 韓国で大ブームの秘密を追え!!」

※この回の番組のあらましは、→コチラのブログ記事参照。

 さて、“オルチャン”という言葉は“モムチャン”等ともに何年も前に韓国で流行り、そのまま定着した言葉です。
 本ブログでも2010年10月1日<韓国プロ野球7冠王 李大浩選手、「僕も<オンチャン>」だって?>と題した記事でこの言葉を紹介しました。ハングルで書くと얼짱얼굴(オルグル.顔)が짱(チャン.最高の人)という意味です。

 その“オルチャン”を探して、佐野真依子ちゃん(→オフィシャルブログ)とロミヒちゃん(→オフィシャルブログ)の、今までヌルボはもちろん知らなかったおねーちゃんたち2人が韓国に行くんですよ。

 この番組で最初気になったのは、このお2人が
  オ 
   ↘ルチャン

・・・と高低のイントネーションで発音していたこと。
 これは
   ↗ルチャン
  オ

・・・と低高で発音してほしいところ。「あんちゃん、半チャンやるか?」の「あんちゃん」じゃなくて「半チャン」の方ね。

 で、この番組によると韓国でオルチャン(얼짱)tvってのがあるんですと。チラッとその画面も映ってましたが、今検索して確認したらTV局ではなくて<코미디TV(コメディTV)>の中の番組なんですね。→コチラがそのサイトのメインページ。関心のある方はハングルわからなくてもテキトーにクリックしてみて下さい。上部の얼짱tv等のアイコンとか・・・。
※オルチャンtvの第1回はYouTube(→コチラ)で見られます。第2回以下もあります。

 さて、そのオルチャンの代表として紹介されていたのが満20歳になったばかりのヨンギちゃん(本名:홍영기.ホン・ヨンギ)。日本から行った2人と会って、いろいろメイクのこととかファッションのこととか話したり、ソウルのカロスキル、ホンデ(弘大)、トンデムン(東大門)、カンナム(江南)、チョンノ(鍾路)の街でオシャレな若者に話を聞いたり等々。
 しかし、このヨンギちゃんってコはずいぶん人気があるんだねー。釜山のちょっとしたイベント?では彼女を待って1000人もが列つくってるんだからねー。一方で彼女、しっかりとネット上のショッピングモールを通じてかなり収入を得ているようで・・・。うーん、わからん世界だー。
 あ、「東京カワイイTV」の番組ホームページでは、ヨンギちゃんのブログが→コチラになっていましたが、正しいのはコチラですよ~。それから彼女のネット上のショッピングモールは→コチラでOK。

 オルチャンは別に男女を問わず用いられる言葉で、番組でも“オルチャン男子”font color="yellowgreen">カン・ヒョンミンくんが登場してました。彼のブログは→コチラ
 しかし、オトコながらもたしかメイクに2時間かける(!)とか言ってたなー。うーん、わからん世界だー、その2。(彼、兵役はこれからなんだろうなー・・・、だいじょぶなんだろか?(何が?))

 いやー、一方で領土問題をめぐっていろいろカンカンガクガクやっている中、こーゆーヘイワな場面もあったりして、どこの国にもいろんな人たちがいるもんだ。

 佐野真依子チャンのオフィシャルブログ読んだら、今回の放送は9月に韓国に行って撮ったんだそうです。9月の記事中に<韓国photo1><韓国photo2>というのがありました。ウチらおぢさんたちが韓国で彼女たちを見たら日本人女性とわかるかどうか? もしかして、意外と話が合うかも・・・(うそだろ)。

 彼女のブログ記事の書き方を、私ヌルボも取り入れてみるのもおもしろいかも・・・(うそだろ)。

 今日から3連休ー!
 びゃーびゃーしてきます。

 きゃ。
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<全羅民国>? <全裸民国>?? 韓国の「百怪事典」はオモシロイ!

2012-05-20 20:05:42 | 韓国の文化・芸能・スポーツ関係の情報
 一昨日5月18日。韓国では1980年光州民主化運動のメモリアルデーです。
 光州の国立5.18民主墓地では、第32周年5.18民主化運動記念式が開かれました。李明博大統領は、就任初年度の2008年はこの式典に参席しましたが、以後は出席せず、今年も不参加で、一部で非難の声があがりました。
 今回は、野党(進歩陣営)からは民主統合党の朴智元非常対策委員長、統合進歩党の姜基甲非常対策委員長、今年の大統領選挙の有力候補とされる民主党の文在寅(ムン・ジェイン)当選者等がもちろん参席。与党(保守陣営)からもセヌリ党の黄祐呂代表、大統領選挙候補者として朴槿恵前非常対策委員長、李在五議員、鄭夢準議員、金文洙京畿道知事等が記念式に参加したそうです。
 ニュースによると、金滉植(キム・ファンシク)首相が光州民主化運動について、「時代の混乱の中で現代史を民主化の方向に転換させた」と述べ、続けて、対話と妥協によって社会的葛藤を解決しなければならないと強調し、「法と原則を守ることこそが成熟した民主主義の要求だ」と述べた・・・というのは、保守陣営の立場からの我田引水的解釈だなーと私ヌルボは思いました。

 さて、前日の5月17日の石丸次郎さん(アジアプレス)のtwitterに次のようなツイートがありました。(5つのツイートをまとめて記します。)

 明日は5.18光州の日である。もう、32年も前になるのか。全斗ファン時代の85年・学生の頃、一人で光州市と望月洞を訪ねた。墓地でひとり一時間ほど思いにふけり山から下りて学生らしき若者グループに声かけ一緒に飲んだ。互いに拙い英語で話した。80年のこと聞きたいというと辺りを見回した。 
 なぜだか覚えていないが、二件目はディスコに連れて行かれ、したたか踊った。三軒目は静かな居酒屋でマッコリごちそうになった。政治の話になると彼らは声を潜めた。運動圏の学生たちではなく政治の話したくなさそうだった。日本語勉強してるという一人が言った。「クワンジュはちょんらみんこくです」
 「??」最初は意味がわからなかった。下手な漢字でメモしてくれてわかった。「光州は全羅民国」。全羅道こそが民主化運動の中心だと言うのである。政治の話はそれで終わった。数年後の留学時代に光州を再訪。また街で偶然会った若者グループと飲んだ。もう周囲気にする人はいなかった。
 堂々と、そして熱心に民主化と統一について語ってくれた。このときも、女性が言った。「ここは全羅民国なのよ」。
 明日は518。光州事件後に生まれた若い人たちも「全羅民国」という言い方しているんだろうか・・・。


 1985年というと、「32年」どころか、37年も前ですね。80年のこと聞きたいというと辺りを見回したというあたりは、軍事政権に対する民主化闘争が沸騰した1987年の少し前の雰囲気が感じられます。

 この文中で石丸さん自身が問題にしている「全羅民国」という言い方について、たぶん今も使われているように思いました。
 先月の総選挙の結果を見ても、過去の大統領選挙同様、極端な地域差が今回も見られ、これはちょっとやそっとで解消されるものではない、もしかして古代の百済(=全羅道)新羅(慶尚道)以来ずーっと続いている地域対立ではないかと思うのも自然だし、ならばいっそのこと分離独立した方がスッキリするのでは、というアイディアが出てくるのも無理からぬところでしょう。(いわずもがなですが冗談半分ですよ。)

 ・・・ということで、전라민국(全羅民国)」でネット検索してみました。
 するとgoogleのヒット件数は約164万件。思っていた以上の数の多さです。
 個々に見てみると、いろいろおもしろい記事があります。

 「全羅民国の分離独立駄目なの???(전라민국 분리 독립 안되나???)」という記事は、素朴な疑問そのままの記事。その住民を「全羅ディアン(전라디안)」とよんでいるのはこの記事だけでもないようです。(日本語自動翻訳→コチラ。)
 「独立国家 全羅民国(독립국가 전라민국)」という記事には、全羅民国の定期的な集まりの記念写真等が載っています。

        
  【上記の記事にはんな写真も。横断幕の文字は「故郷が全羅道ですみません」。2007年の大統領選挙での鄭東泳候補の選挙運動?】

 また、画像検索してみると、「全羅民国の出入国事務所」の写真が?!?
       
    【向こう側に金大中の写真。青地に白く「思想検査」の表示。画像修正したのかな?】

 「全羅民国」を移動して(!)北朝鮮の西側にくっつけた地図もあります。
          

 「全羅民国独立シナリオ(전라민국 독립 시나리오)」という記事には「紅本旗」という国旗の画像が載せられています。「紅」の字は、名産の「魚(홍어.ホンオ)」=エイに由るものです。

         
    【赤い地の色は北朝鮮国旗と共通。そこに名物のエイとローソク台を配したもの。】

 そして最近4月27日には全羅民国愛国歌の歌詞なるものが公開されました。(→コチラ。日本語自動翻訳は→コチラ。)
 ただ、その内容は韓国国歌の「愛国歌」のもじりで、やたらと紅魚(ホンオ)が出てきて、それも「ホンオの香り三百里 暴動山河」とか、「このエイと親北に忠誠を尽くして」とか、どうも悪意が感じられないでもない、それでコメントもいろいろ寄せられています。

 さて、全羅民国について私ヌルボが一番オススメしたいのが「百怪事典(백괴사전)」中の「全裸民国」の記事。(→コチラ。日本語自動翻訳→コチラ。)
 
 見出し語の全裸民国は、全羅民国と同じハングル標記゛す。ここからしてオアソビ。
これにも国歌が載ってますが、前出のものよりかけ声が入っていたり、名所や特産品(スイカ、クルビ等)が折り込まれていたりして、素朴な味わいがあります。

★「百怪事典」はヌルボも愛読しているあの「アンサイクロペディア」の韓国版です。

※「ウィキペディア」のパロディ版のフリー百科事典「アンサイクロペディア」をご存知ない方は、まあ見てみてください。たとえば秀逸な記事中の「読書感想文に書くと親呼び出しにされる図書一覧」は実に凝っているし(「1=2」はそれ以上)、また「繰り下がりのある引き算の10未返却事件」等も楽しいです。
 「大阪民国」の項目(→コチラ)なんぞはかなりめっちゃらくっちゃら。
 「大韓民国」の項目は→コチラ
 これに対抗して、「百怪事典」の「倭国(왜국)」の項目は→コチラ。日本語自動翻訳はコチラ

 上述のように全羅道に対する慶尚道等からの「特別な見方」は依然存続しているし、日韓両国の間にもいろいろ感情的なやり取りが日常化している状況が続いています。双方のユーモア感覚がクッションのような働きをして、また相互理解につながればいいんですけどねー・・・。
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韓国映画ファン必見(?) KBS2テレビ「映画がいい」 で、コン・ヒョジンの出演作をふり返る

2012-04-02 22:16:48 | 韓国の文化・芸能・スポーツ関係の情報
 私ヌルボ、韓国映画ファンを自認しながらも、KBS2テレビの영화가 좋다(映画がいい)という番組のことは最近初めて知りました。なんとなく番組表を見ていて目に入ったというわけです。
 毎週土曜日の10:05~11:05の1時間番組です。

※KBSテレビはパソコンでタダで見ることができます。
 方法がわからないという方は、本ブログの過去記事
 「韓国KBSテレビの過去の番組(ただし2週間以内)をパソコンで見る方法」
 「韓国&日本のテレビ・ラジオをインターネットで視聴するには・・・」を参照してください。

 ・・・ということで、3月31日放映の回を見てみました。
 内容は、たとえば新作の紹介。
 4月11日公開の「カン・ギ・ナム」とか、B級の雰囲気が色濃く漂うSF映画「人類滅亡報告書」とか・・・。
 「カン・ギ・ナム」は「간통을 기다리는 남자(姦通を待つ男)」の略語だそうです。
 また、4月26日公開の「ウンギョ」は作品の紹介だけでなく、70代の老人を演じる(!)主演のパク・ヘイル、共演のキム・ゴウンキム・ムヨルの3人がゲストとして出演してました。
 それに観客動員数トップに立った「建築学概論」のいろんなシーンも流したり、また「ハートブレイカー」「シラノ恋愛操作団」の比較もしていたようで・・・。
 なにぶん韓国語の聴き取りが得意ではないもので、何度も動画を止めてはテロップ(もちろん韓国語)の解読作業をやったりして、きっちり理解しようとすると時間のかかること・・・、ハハハ(汗)。

 で、今回の番組で一番興味をもったのは、最初の方の「私は俳優だ(나는 배우다)」のコーナー。昨年のヒット歌番組「私は歌手だ(나는 가수다)」のパクリ的タイトルがホントに多いなー、ということはさておき、今回はコン・ヒョジン編。前週(3月24日)はハ・ジョンウ編だったから、「ラブフィクション」の主役が連続出演ですね。

 そのコーナーで、コン・ヒョジンのデビュー以来の諸作品をたどっていたのですが、私ヌルボが観たものも「女高怪談 2少女たちの遺言」から「牛と一緒に7泊8日」まで7作品もあって、懐かしかったです。・・・というよりも、最初の頃の作品は、そもそもコン・ヒョジンが出演していることを知らなかったので、「えーっ、そうだったの!?」という感じでしたねー。

 YouTubeに、ちょうどこのコーナーの部分だけが見つかったので載せておきます。

    

 コン・ヒョジンについては、<左見右見>というブログに、彼女の整形疑惑(?)を中心に、過去の写真をいろいろたくさん載せた記事がありました。(→コチラ)
 それを見ると、なるほど鼻等をいじってる感じではありますが、別に美人で売ってる女優でもないし、別にいいじゃないですかっっ! ってヌルボが声を荒だてるこたーないですが・・・(笑)。

    
  【デビュー作「女高怪談 2少女たちの遺言」(1999)。19歳の時。主演ではありません。】

    
 【「火山高」(2001)に出ていたとは知らなかった! テロップは「個性派女優としての出発点」。シン・ミナの映画デビュー作でもある、というのも知らなかった~。】

 本ブログ2011年8月2日の記事に書いたことですが、彼女が「黄金漁場」の<膝打ち導師>にゲスト出演した時、「いつも「美人とはいえないが・・・」といわれ続けていてイヤ。"美貌の女優"とよばれたい」と語っていたことを思い出しました。
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