ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績 [12月6日(金)~8日(日)]

2013-12-10 21:08:08 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 数日前から北朝鮮№2の張成沢国防副委員長の失脚が日本のメディアでも大きく報道されています。
 一方で、「中央日報」(日本版)のサイトの11月11日に<北朝鮮が休日に7都市で80人を公開処刑、機関銃で乱射>という記事がありました。(→コチラ。)
 処刑の理由は「韓国から流入したドラマや映画を見たり、わいせつ物を流通した」などとのことです。これがふつうの国の出来事なら大ニュースどころではないでしょう。日本でもそれなりには報じられてはいますが、知らない人の方がずっと多いのではないでしょうか? あるいは<北朝鮮が強制収容所を拡大、最多20万人か>というニュースはどうでしょうか?(→コチラ。)
 マスメディアは権力者とその周辺、軍事・外交レベルのニュースは重視しても、庶民の生命に関わることには「些細なこと」とみているのでしょうか? 多くの国民もなぜか他国の庶民には関心を向けないようです。アメリカの銃乱射事件等に比べると、北朝鮮では「何があっても驚かない」という感覚になっているのでしょうか?
 こうした北朝鮮の住民あるいは脱北者に関する映画で、今週13日(金)14:50~オーディトリウム渋谷で上映される「豆満江」には注目。(→コチラ参照。)
 また、来年3月には、ユーロスペースで「北朝鮮強制収容所に生まれて」(→公式サイト)が上映されます。北朝鮮の政治犯強制収容所(平安南道价川の第14号管理所)に生まれ育ち、脱北して韓国に暮らす申東赫(シン・ドンヒョク)さんの過酷な半生をドイツ人監督が描いたドキュメンタリーです。この内容については→コチラ参照。本ブログでも彼自身による衝撃的な記録「収容所に生まれた僕は愛を知らない」については、→コチラや→コチラ、→コチラ等の過去記事で書きました。こういう本や映画に描かれていることがまぎれもない現実であることを思うと、南北の工作員合戦のような娯楽作品は、作品としての出来がいくら良くても、すなおには楽しめません。

           ★★★ Daumの人気順位(12月10日現在上映中映画) ★★★

【ネチズンによる順位】

①あまり者たちのヒッチハイキング(韓国)  9.6(32)
②メタリカ・スルー・ザ・ネヴァー  9.5(39)
③八月のクリスマス(韓国)  9.5(528)
④ニュー・シネマ・パラダイス  9.4(493)
⑤アンニョン?! オーケストラ(韓国)  9.2(21)
⑥道の上で(韓国)  9.2(65)
⑦完全に大切な愛(韓国)  9.1(183)
⑧コアラ(韓国)  9.1(96)
⑨大統領の執事の涙  9.0(58)
⑩アバウト・タイム  8.9(203)

 新登場は⑩だけです。⑤は先週多様性映画のランクで紹介しました。
 ⑩「アバウト・タイム」については後述します。

【専門家による順位】

①蜂蜜  8.5(2)
①楽園の瑕  8.5(2)
③ゼロ・グラビティ  8.2(5)
④17歳  8.0(3)
⑤ヒミズ(日本)  8.0(2)
⑥グロリアの青春  7.7(4)
⑦恋するリベラーチェ  7.6(3)
⑦イントゥギ(韓国)  7.6(3)
⑨ブルー・ジャスミン  7.5(6)
⑩ブエノスアイレス恋愛事情  7.3(3)
⑩ミスター・ノーバディ  7.3(3)
⑩あまり者たちのヒッチハイキング(韓国)  7.3(3)

 ④「17歳」と⑥「グロリアの青春」が新登場です。
 ④「17歳」は、「8人の女たちのフランソワ・オゾン監督の新作。注目の新人女優マリーヌ・ヴァクトが演じているのは名門のリセに通う女子高生。両親は離婚していて、彼女は医者をしている母と暮らしていて、母のボーイフレンドも同居。そんな彼女が登校時見知らぬ男に誘われたのがきっかけで売春を始めちゃうんですね。主に金持ち相手で・・・。ところが、そんな生活はいつか破綻するもので・・・。原題は「Jeune et Jolie」、韓国題は英題と同じで「영 앤 뷰티풀(Young and Beautiful)」。日本公開は来年の2月。
 ⑥「グロリアの青春」はチリ&スペインの合作。タイトル中のグロリアは58歳のバツイチ女性。最後の恋を求めて、お見合いパーティーに参加していて、ある日7つ年上の元海軍将校ロドルフォと出会い、恋に落ちるのですが、元妻と娘からお金をせびられたりしている彼のなさけないこと! で、彼女はどうするか? 彼女の人間像というのが、孤独で寂しい年を取った独身女性、というのとは全然違って、酒もタバコもセックスも貪欲に楽しむといった女性で、→コチラの紹介記事の見出しは「50代女性の全裸セックスシーンに世界中から感嘆の声!」。今年の第63回ベルリン国際映画祭で上映され、主演のパウリナ・ガルシアは銀熊賞(最優秀女優賞)を受賞しています。韓国題は「글로리아」。日本公開は来年3月1日です。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[12月6日(金)~8日(日)] ★★★

         1位はイギリス映画「アバウト・タイム」

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・週末観客動員数・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(13)・・アバウト・タイム ・・・・・・・・・・・12/05・・・・・・・・・・・・・477,262 ・・・・・・・・・569,878・・・・・・・・4,257・・・・・・・・568
2(新)・・インシディアス 第2章 ・・・・・・12/05・・・・・・・・・・・・・225,733 ・・・・・・・・・273,147・・・・・・・・1,946・・・・・・・・405
3(1)・・11時(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・11/28・・・・・・・・・・・・・158,976 ・・・・・・・・・784,348・・・・・・・・5,536・・・・・・・・415
4(6)・・くもりときどきミートボール2 ・・11/21・・・・・・・・・・・・・153,167 ・・・・・・・・・664,905・・・・・・・・4,553・・・・・・・・409
        フードアニマル誕生の秘密
5(2)・・結婚前夜(韓国)・・・・・・・・・・・・・11/21・・・・・・・・・・・・・128,680・・・・・・・・1,097,786・・・・・・・・7,668・・・・・・・・358
6(新)・・大脱出・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12/05・・・・・・・・・・・・・112,354 ・・・・・・・・・133,194 ・・・・・・・・・971・・・・・・・・287
7(3)・・ハンガーゲーム2・・・・・・・・・・・・11/21 ・・・・・・・・・・・・・・98,067 ・・・・・・・1,050,797・・・・・・・・7,345・・・・・・・・315
8(5)・・友へ、チング 2(韓国)・・・・・・・・11/14 ・・・・・・・・・・・・・・78,392 ・・・・・・・2,920,249・・・・・・・21,444・・・・・・・・331
9(4)・・チャンス(韓国)・・・・・・・・・・・・・・11/28 ・・・・・・・・・・・・・・59,322 ・・・・・・・・・404,919・・・・・・・・2,978・・・・・・・・298
10(23)・・おしん(日本) ・・・・・・・・・・・・・12/05 ・・・・・・・・・・・・・・22,577 ・・・・・・・・・・58,485 ・・・・・・・・・380・・・・・・・・233
       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 4年前からこのブログ及び韓国の映画興行成績の記事をやってますが、その間韓国映画とアメリカ映画以外の作品がトップになったことがあったかどうか、わかりません。それだけめずらしいことです。
 新登場は1・2・6・10位の4作品です。このところ大体4つずつ入れ替わってます。
 1位「アバウト・タイム」は、そのめずらしいイギリス映画。分類するとSFロマコメで、具体的にはタイムスリップ物というと「11時」と共通ですが、コチラは主人公の青年自身の過去がその範囲。自分の過去に戻って、それも何度も過去をやり直して理想の女性と出会って、・・・って「いいなー」とフィクションなのについ本気で(?)うらやましく思った私ヌルボですが、ある実際に観た方のブログには「いくら時間をさかのぼって出会いの場面や、愛の告白をそっくりそのまますり替えようとも、相手の心まで自分の希望どおりにはすり替えられないゾ(゙ `-´)/」と至極当然のことが書かれていて、(なぜか)うなだれてしまいました。観た人たちの感想は総じて好評。なんで日本公開が未定なのだ!? 韓国題は「어바웃 타임」です。
 2位「インシディアス 第2章」は、2010年の前作の続編。前作では、新居に引越したらさまざまな怪奇現象に襲われたランバート一家。今作では父親の母の家に移るが、父親の少年時代の秘密を探ろうとしたことから再び想像を絶する恐怖に見舞われることに。わー、なんという悲惨な家族なんや!(突然の関西人。) 韓国題は「인시디어스: 두번째 집」。日本公開は来年1月10日です。
 6位「大脱出」は、シルべスター・スタローンとアーノルド・シュワルツェネッガーの2大スターが競演するサバイバル・アクション大作。何者かに濡れ衣を着せられたブレスリン(スタローン)がぶち込まれた所は、“墓場“と呼ばれる海上のタンカーにある牢獄。彼は脱出計画を練り始めるが、囚人を束ねるロットマイヤー(シュワルツェネッガー)に目をつけられてしまう・・・。韓国題は「이스케이프 플랜」。日本公開は来年1月10日です。
 10位の「おしん」は日本では10月に公開されましたが、さして話題になることもなく、首都圏では1ヵ月ほどで打ち切られてしまったようですね。<懐かしの名画ブーム>の韓国の方が注目されているかも・・・。韓国題は「오싱」です。

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(2)あまり者たちの・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11/28 ・・・・・・・・・・・・・2,838 ・・・・・・・・・・・・・・・9,861 ・・・・・・・・・・73 ・・・・・・・・・35
       ヒッチハイキング(韓国)
2(新) マリー・アントワネットに別れを告げて・・12/05 ・・・・・・・・・2,405 ・・・・・・・・・・・・・・・3,723 ・・・・・・・・・・27 ・・・・・・・・・21
3(1)・・MUD -マッド-・・・・・・・・・・・・・・・・11/28・・・・・・・・・・・・・・2,337 ・・・・・・・・・・・・・・26,167 ・・・・・・・・・190・・・・・・・・・30
3(新)・・ミッション ・・・・・・・・・・・・・・・1986/12/24 ・・・・・・・・・・・・・2,298 ・・・・・・・・・・・・・・22,709 ・・・・・・・・・・81 ・・・・・・・・・・1
5(4)・・アンニョン?! オーケストラ(韓国) ・・・11/28 ・・・・・・・・・・・・・1,495 ・・・・・・・・・・・・・・・9,875 ・・・・・・・・・・62 ・・・・・・・・・24

 2・3位が新登場です。
 2位「マリー・アントワネットに別れを告げて」は、日本では2012年12月に公開されました。韓国題は「페어웰, 마이 퀸(フェアウェル、マイ・クィーン)」。
 3位「ミッション」は、この頃定番となった感のあるシルバー映画館での再上映ですね。韓国題は「미션」です。シルバー映画館のサイト(→コチラ)を見ると、今上映中の2本のうち1本は「三十四丁目の奇蹟」(1947)。クリスマスが近いからなー。来週は出てくるかな? もう1本は申相玉監督、崔銀姫主演の「同心草(동심초)」(1959)。朝鮮戦争で寡婦となった女性の物語。歌曲もあって、これが美しい曲なのですよ。(→コチラ。)
 最近この「同心草」の他「ある女子大生の告白」(1958)「姉妹の花園」(1959)の3作品を収録したDVDが発売されたという記事がありました。(→コチラ。)