ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績 [6月26日(金)~6月28日(日)]

2015-06-30 22:45:59 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 この1週間はいろいろ忙しかった上に、昨日の肌寒さで風邪をひいたり、中日ドラゴンズは連敗街道まっしぐらだし、ということで絶不調で映画鑑賞もゼロ。まあ熱も引いたし回復には向かっているんですけどね。
 で、部屋の中を歩き回ったりして(←物が散らかっているので簡単なことではない)たまたま目に入ったのがこの本。
 李栄一+佐藤忠男「韓国映画入門」(凱風社.1990)。いやー、これは良い本です! 1898年といわれる韓国最初の公開上映に始まる韓国での映画ずいぶん詳細に書かれ(第一章.李英一)、第二章は「日本映画に描かれた韓国・朝鮮人」(佐藤忠男)、続いて第三章では「アリラン」(1926)から「狼の好奇心が鳩を盗んだ」(1989)まで62本の韓国映画がそれぞれ2~3ページを充てて紹介されていいます。過日韓国文化院で上映された韓国映画10作品中6作品がそこに含まれています。そういえば、先週の記事で「久しぶりに観て価値を再認識した」と書いた「馬鹿たちの行進」が表紙に使われていますね。そして最後の第四章では佐藤忠男先生が「韓国映画の精神」について「旅人は休まない」等の具体的作品に基づいて論を展開しています。
 「入門」としながらも、内容的にはそれをはるかに超えたもので、四半世紀経った今でも十分な価値のある本だと思うのですが、なぜか刊行からほどなくして書店から姿を消してしまいました。(以前そのわけを聞いたような気もしますが、アタマに残っていません。) 今、古書としてもあまり出回っていないようです。ある通販サイトでは3千円の値がついていましたが、私ヌルボがもしこの本を持っていなかったら迷わず買うところです。

 90年代初め頃の映画関係でもう1つ思い出したのがこの本です。(下左)
            
 中野茂樹「植民地朝鮮の残影を撮る」(岩波ブックレット)です。これも刊行は1990年。1992年初めて韓国に行った時にこの本を持っていきました。そしてこの映画館の写真(上右)を見に行ったのですが、正面で写真を撮っていると、1人のオジサンが近づいてきて「何を撮ってるんだ?」と(たぶん)訊ねるので、このページを見せたことを憶えています。しかし、その映画館の名前も場所も思い出せなくなってしまいました。で、今日横浜市立図書館で借りて見てみると、乙支路4街の国都劇場。関連情報をネット検索すると元はといえば「1913年から1999年まであった映画館」で、日本の統治自体には黄金座といったとのこと。え!?1999年になくなっちゃったのか! で、その跡地に建てられたのがベストウェスタンプレミア ホテル国都。「国都」の文字を名称に残しているというわけです。このレベルのホテルとは無縁だし、気づきませんでした。考えてみれば、この本の表紙の旧朝鮮総督府の建物からしてその後まもなく取り壊されたわけで、いろんなことが変わったのも当然といえば当然。とくに90年代以降の韓国ハ「大変化」といっていいほどの急速な変貌の時代となったわけだし・・・。

「朝鮮日報」6月26日掲載の「封切映画 ぴったり10字評」 (ハングル文も訳文も10字です。)

 「延坪海戦」

   祭の中の戦争とは皮肉 ★★★★


 「少数意見」

   公権力とは何かを問う ★★★☆


 「ネイドゥン」

   数学天才の孤独な闘争 ★★★☆


 「私の親しい悪党たち」

   より緩く、より荒唐無稽 ★★★

「ネイドゥン」(仮)はイギリス映画で数学の天才ネイドゥン少年の物語。彼にとって特別な存在だった父が突然交通事故で世を去った後、閉ざされた息子の心の扉を開くために努力する母と、昔はやはり数学の天才だったが今は心身を病んでいる数学の先生の支えで彼は国際数学オリンピックのイギリス代表に選ばれ、台湾で開かれる合宿に参加しますが、そこで中国少女と出会って数式では解けない感情(笑)を抱いたりして・・・。日本公開はあるとしてもずっと先? 他の3作品はすべて以下の記事中に説明があります。「延坪海戦」で「祭」というのは後述のように2002年ワールドカップのこと。

           ★★★ Daumの人気順位(6月30日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】

①プロジェクト・イーグル  9.4(35)
②チャップリンの独裁者  9.3(37)
③戦場のピアニスト  9.3(572)
④ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ  9.2(126)
⑤トラッシュ!-この街が輝く日まで-  8.7(84)
⑥少数意見(韓国)  8.7(706)
⑦言えない秘密  8.7(2600)
⑧マッドマックス 怒りのデス・ロード  8.7(1834)
⑨サード・パーソン  8.6(101)
⑩ファインディング・ビビアン・マイヤー  8.5(30)

 ⑥「少数意見」がこのランキングに新しく入りましたが、新登場の作品はありません。

     【専門家による順位】

①マッドマックス 怒りのデス・ロード  8.8(9)
②リヴァイアサン  8.6(5)
③セッション  8.4(7)
④ひと夏のファンタジア(韓・日)  8.0(7)
⑤バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)  7.4(7)
⑥雪の轍(わだち)  7.3(3)
⑦少数意見(韓国)  7.2(4)
⑧生きる(韓国)  7.1(8)
⑨無頼漢(韓国)  7.0(8)
⑩スパイ  7.0(5)

 こちらも新登場はありません。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[6月26日(金)~6月28日(日)] ★★★

         6月恒例の国防意識涵養映画「延坪海戦」、出足好調で1位

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・週末観客動員数・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(49)・・延坪海戦(韓国) ・・・・・・・・6/24・・・・・・・・・・・1,105,428 ・・・・・・・・1,438,343・・・・・・・・11,114・・・・・・・1,013
2(1)・・ジュラシック・ワールド ・・・・6/11・・・・・・・・・・・・641,589・・・・・・・・・4,446,210・・・・・・・・39,126 ・・・・・・・・674
3(2)・・極秘捜査(韓国)・・・・・・・・・・6/18・・・・・・・・・・・・505,925・・・・・・・・・2,191,705・・・・・・・・17,309・・・・・・・・・661
4(10)・・少数意見(韓国)・・・・・・・・・6/24・・・・・・・・・・・・139,221 ・・・・・・・・・・215,474・・・・・・・・・1,628・・・・・・・・・398
5(47)・・テッド2 ・・・・・・・・・・・・・・・・・6/25 ・・・・・・・・・・・・71,494・・・・・・・・・・・・89,966 ・・・・・・・・・・737 ・・・・・・・・297
6(45)・・私の親しい悪党たち(韓国)・・・6/11 ・・・・・・・・66,102・・・・・・・・・・・・96,765 ・・・・・・・・・・774 ・・・・・・・・375
7(新)・・ジャングル・バンチ ・・・・・・6/25 ・・・・・・・・・・・・26,373・・・・・・・・・・・・27,941 ・・・・・・・・・・202 ・・・・・・・・247
          :タヌキ海賊団と宝の地図
8(新)・・デモニック ・・・・・・・・・・・・・・6/25 ・・・・・・・・・・・・21,031・・・・・・・・・・・・28,459 ・・・・・・・・・・219 ・・・・・・・・146
9(3)・・京城学校:消えた少女たち(韓国)・・6/18・・・・・19,724 ・・・・・・・・・・344,926・・・・・・・・・2,664・・・・・・・・・274
10(6)・・映画 深夜食堂(日本) ・・・・6/11・・・・・・・・・・・・18,890・・・・・・・・・・・・83,494 ・・・・・・・・・・659・・・・・・・・・・83
      ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 今回の新登場は1・5・6・7・8位の5作品です。
 1位「延坪海戦」は、国中がワールドカップで盛り上がっていた2002年6月の、韓国とトルコの3位決定戦が行われていた29日、北朝鮮の警備艇2隻が黄海の北方限界線(←北朝鮮側は認めていない)を侵犯し、韓国海軍も哨戒艇2隻を派遣して計4隻の艦艇が接近した時北朝鮮側が発砲し、双方の間で銃撃戦が展開されました。韓国側はこの交戦により6人が死亡し、北朝鮮側は死亡13人と報告されています。ところが、→ウィキペディアの説明にもあるように、連日テレビはワールドカップ一色でこの事件には関心が向けられず、金大中・盧武鉉と続く進歩系大統領は殉職軍人の一周忌や2007年まで行われた追悼式典にも列席することがなく、遺族・関係者は空しい思いを抱えてきたとのことです。それが(ここでも)保守の李明博政権以来状況が変わってきて、ここに映画が作られるに至った、というわけです。で、この作品はチェ・スンジョの小説「延坪海戦」をモチーフに6人の戦死者の話を描いている、ということです。韓国内でも、進歩系の一部(?)からは批判の声があるようですが、→<Kstyle>の記事によると、北朝鮮が「傀儡の極右集団が韓国の軍事的な挑発で起こった西海の武装衝突事件を歪曲、捏造した不純で反動的な映画、反共和国を批判する映画だ」等々と非難の声を上げたというのも「ヤッパリね」です。原題は「연평해전」です。
 5位「テッド2」は、好評だった前作(2012)の続編。ジョンが8歳の時から30年の間友情を育んできたテッドでしたが、彼は「人」ではなく「物」であるという裁判所の判決でメンタル崩壊に陥ってしまいます。そこではジョンと共に自分の人権(?)を立証するために勝率99.8%という弁護士サマンサ(アマンダ・セイフライド)を訪ねるのですが・・・。韓国題は「19곰 테드 2」、日本公開は8月28日です。
 6位「私の親しい悪党たち」は韓国の犯罪アクション・コメディ。見習いのジヌ(リュ・スンボム)は、初めて下された任務で失敗してしまいます。これまで監視し続けてきた車両の移動ラインの把握と報告なのですが、後をつけていた車が大型トラックに衝突する事故に逢ってしまったのです。一方、事故処理のために駆けつけたレッカー車の運転手ナミ(コ・ジュニ)は半壊した車両から怪しいカバンを発見します。ジヌもそのカバンの正体を知って中身を山分けすることに。しかし、このカバンを取り戻そうとする一党の標的になり、危険極まりない状況に置かれた2人は彼らの追跡に立ち向かうため、さらに悪質な悪党になろうと決心するのですが・・・。原題は「나의 절친 악당들」です。
 7位「ジャングル・バンチ:タヌキ海賊団と宝の地図」は、フランスのアニメシリーズの第2作。前作は2013年韓国で公開されましたが、日本では未公開です。今回も主人公は偶然ジャングルで生まれて野生の猛獣に成長したタイガーペンギンのモリス(←皮膚が虎柄になっている!)。物語は、タヌキのスージーが父親が残してくれた神秘の宝物地図をタヌキ海賊団に奪われたところから始まります。ジャングルを守るモリスと仲間たちはスージーを助けて地図を取り戻し宝物を手に入れることができるか?というもののようです。韓国題は「정글번치: 너구리 해적단과 보물지도」です。
 8位「デモニック」(仮)は、「死霊館」(2013)、「アナベル 死霊館の人形」(2014)に続くジェームズ・ワン製作のホラーの完結編。「死霊館」で描かれた陰惨な出来事から25年。入るな・触るな・語るなとされてきたその廃屋に6人の若者がやってきて・・・、そりゃヤバイだろ、ってことがないと始まらないからなー。一応原題(&韓国題)のままに仮題をつけておきましたが、日本でも不確実情報によれば2016年に公開されるようで、となると独自の邦題がつけられるのでは? 韓国題は「데모닉」です。

【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(新)・・デモニック ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6/25 ・・・・・・・・・・・・・21,031・・・・・・・・・・・・28,459・・・・・・・・・・・・219・・・・・・・・146
2(1)・・映画 深夜食堂(日本)・・・・・・・・・・・・・6/18 ・・・・・・・・・・・・・18,890 ・・・・・・・・・・・・83,494・・・・・・・・・・・・659 ・・・・・・・・83
3(2)・・ひと夏のファンタジア(韓・日)・・・・・・・6/11・・・・・・・・・・・・・・2,944・・・・・・・・・・・・・20,297 ・・・・・・・・・・・160・・・・・・・・・39
4(3)・・戦場のピアニスト ・・・・・・・・・・・2003/1/01・・・・・・・・・・・・・・1,174・・・・・・・・・・・・・・7,797・・・・・・・・・・・・・63・・・・・・・・・10
5(24)・・君が生きた証 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7/09・・・・・・・・・・・・・・1,104・・・・・・・・・・・・・・1,310・・・・・・・・・・・・・・9・・・・・・・・・・6

 今回の新登場は1・5位の作品です。
 1位「デモニック」については上述しました。
 5位「君が生きた証」は、日本では今年2月に公開されています。韓国題は原題のままで「러덜리스(Rudderless)」です。
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