▶→先週の記事で戦争映画のことに触れ、そのコメント欄でも個人的にオススメの作品をいくつか挙げました。関連で、韓国の戦争映画について少し書いておきます。基本的に朝鮮戦争をはじめ北朝鮮との戦いを扱ったものです。まず以前からよくある典型的な戦争物が<英雄的な兵士>等を描いた<戦意高揚>のための映画。近年では延坪海戦を描いた「ノーザン・リミット・ライン 南北海戦」等があります。進歩陣営側からは「クッポン(국뽕)映画」と笑われたり非難されたりもしていますが、国防部等にしてみれば若い世代の国防意識の低下には強い危機意識があるようで、昔に比べるとなんとか彼らにアピールするような内容を、との苦心&工夫はそれなりにあるかもしれません。(「クッポン」とは過剰なまでの愛国主義or愛国主義者のこと。) チャン・ドンゴンとウォンビン共演の「ブラザーフッド」は兄弟愛が基調で決してクッポン映画ではありませんが、国が掲げる戦争の基本は否定されてはいないと思います。では、これに対して進歩陣営側の作る戦争映画はというと、よくあるのが南北の兵士のコミュニケーションを描いた作品。「トンマッコルにようこそ」がその典型。 「JSA(共同警備区域)」やシュリ」もそうか。しかし私ヌルボが見るところ概して「北も南も同じ民族」という北への片思い的な民族主義が基調になっていて、なんだかなーといった感じ。このワク内ですが、あまり話題にならなかった「西部戦線1953」(→コチラ参照)は国や民族よりも個人が前面に出てきている点に注目した作品。しかし、依然として北朝鮮と軍事的に対峙している状態が続いている韓国では、たとえば兵役拒否をテーマにしたような作品はまず作れないでしょうね。(兵役拒否者に対する代替措置さえない韓国では、国が制作・公開を許可しないかも・・・。) また戦争の本質を掘り下げて考察するような作品も今の状況では出てこないのではないでしょうか?
▶興行成績を見ると、韓国映画の不振が続いています。今年に入って500万人を超えたのは、共に1月18日公開の「共助」(781万人)と「ザ・キング」(531万人)の2作品だけ。先週末のベスト10は、下記のように1.5作品(米韓合作の「オクジャ」は0.5)しかランクインしていません。今後の予定作の期待度は7月26日公開の「軍艦島」(ファン・ジョンミン主演)と8月2日公開の「タクシー運転手」(ソン・ガンホ主演)の期待度がかなり高いのでその結果に注目しましょう。そういえば、内容的にもレベルの高いヒット作が続いた昨年も、上半期で500万人を突破したのは「華麗なるリベンジ」(検事外伝)と「哭声/コクソン」だけだったですからね。(下半期は6作品。) 直接関係ありませんが、私ヌルボの期待作は(興行成績とは関係なく)アン・ジェフン監督のアニメ「ソナギ(にわか雨)」(8月公開)です。
★★★ NAVERの人気順位(7月18日現在上映中映画) ★★★
【ネチズンによる順位】
※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。
①(1) 風の踊り手(韓国) 9.44(43)
②(2) 吾輩は猫である(韓国) 9.42(225)
③(-) ファーミング・ボーイズ(韓国) 9,42(40)
④(3) ミス・サイゴン:25周年記念公演 in ロンドン 9.40(215)
⑤(-) モーディー 9.33(359)
⑥(6) KING OF PRISM -PRIDE the HERO-(日本) 9.29(416)
⑦(-) フリップ/反転 9.24(844)
⑧(7) 徐舒平(ソ・ソピョン)、ゆっくり穏やかに(韓国) 9.24(518)
⑨(8) ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣 9.14(651)
⑩(10) WE ARE X 9.09(125)
③⑤⑦の3作品が今回の新登場です。
③「ファーミング・ボーイズ」は韓国のドキュメンタリーで、昨年の第21回釜山国際映画祭の話題作。農業で地球を救いたいユ・ジファン、大卒後進路に悩んでいたキム・ハソク、家業の農業を嫌って工学部に進んだものの故郷を素敵に変えたいクォン・ドゥヒョンの3人は、各々目的は違っても、農業をテーマにした世界一周無銭旅行を思い立ちます。旅をして、英語も農業も学べる一石三鳥のチャンス! しかし、海外の農場の80ヵ所にコンタクトを取ってみても返事があったのはたったの7ヵ所。はたして彼らの挑戦は実現できるのか? ・・・結局はこの3人組、オーストラリア、ネパール、イタリア、フランス、オランダ等11ヵ国を回り、それもコーヒー園、果樹・野菜研究所、農夫学校等々、多国籍農場ツアーという大収穫の旅行を果たします。朴元淳ソウル市長も注目したとのオマケつき。。原題は「파밍 보이즈」です。
⑤「モーディー」(仮)と⑦「フリップ/反転」(仮)については後述します。
【記者・評論家による順位】
①(1) 風の踊り手(韓国) 10.00(1)
②(2) ラ・ラ・ランド 8.34(14)
③(3) エル ELLE 8.00(8)
④(4) はじまりへの旅 7.50(9)
⑤(-) アメリカン・ハニー 7.50(6)
⑥(5) 老後の対策がない(韓国) 7.50(4)
⑦(7) オクジャ(韓国・アメリカ) 7,25(12)
⑧(8) 君の名は。(日本) 7.17(6)
⑧(8) ゲット・アウト 7.17(6)
⑩(10) エイリアン:コヴェナント 7.13(8)
⑤「アメリカン・ハニー」(仮)が今回の新登場です。2016年の第69回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞した英米合作の青春ロードムービー。主人公はテキサスに住む18歳の女の子スター(サシャ・レーン)。ウザったい継父、そして父親違いの妹弟との憂鬱な日々を送っていた彼女でしたが、ある日偶然目にしたのはバンに乗って家々を回り、雑誌を売りながら旅をして暮らす若者たちでした。(実際にそういう集団がいるそうです。) 悲惨な生活から抜け出すチャンスだ!と彼女はその仲間に加わり、旅をしながら昼は雑誌を売り、夜は連日パーティー。スターはやがて商売のコツを教えてくれた青年ジェイク(シャイア・ラブーフ)と愛し合うようになります・・・。この作品の注目点は、イギリス人女流監督のアンドレア・アーノルド監督がアメリカの中西部を1200マイルも実際に移動しながらドキュメンタリーのように撮ったこと。この作品に起用された俳優たちも旅の途中に出会った素人の若者たちで、主演のサシャ・レーンやシャイア・ラブーフも同様。2人はこの作品の撮影中に恋に落ち、恋人関係になったのだそうです。いやあ、こういう場当たり的な作り方で作品として十分以上にサマになっちゃうとはたいしたものです。ヒップホップとかカントリーミュージックとかの音楽の効果も大きいのかな? 韓国題は「아메리칸 허니:방황하는 별의 노래(アメリカン・ハニー:彷徨する星の歌)」。日本公開は未定のようです。
★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績7月14日(金)~7月16日(日) ★★★
連続首位の「スパイダーマン:ホームカミング」以下外国映画が席捲
【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・スパイダーマン ・・・・・・・・・・・・・7/05・・・・・・・・・1,416,916 ・・・・・・・・・5,901,885・・・・・・・・48,405 ・・・・・・・1,781
:ホームカミング
2(16)・・カーズ/クロスロード・・・・・・・7/13・・・・・・・・・・・266,767・・・・・・・・・・・288,564・・・・・・・・2,160 ・・・・・・・・・800
3(2)・・朴烈(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・・6/28・・・・・・・・・・・206,455・・・・・・・・・2,211,728 ・・・・・・・17,028 ・・・・・・・・・638
4(40)・・フリップ/反転・・・・・・・・・・・・・7/12・・・・・・・・・・・102,990・・・・・・・・・・・134,625 ・・・・・・・・1,101 ・・・・・・・・・249
5(32)・・モーディー ・・・・・・・・・・・・・・・・7/12 ・・・・・・・・・・・・57,063・・・・・・・・・・・・85,999 ・・・・・・・・・・680 ・・・・・・・・・233
6(49)・・ダークナイト ・・・・・・・・・2008/8/06・・・・・・・・・・・・・40,923・・・・・・・・・4,148,762 ・・・・・・・27,569 ・・・・・・・・・153
7(33)・・ナザレのイエスは神の子か?・・7/13・・・・・・・・・33,768・・・・・・・・・・・・47,752 ・・・・・・・・・・349 ・・・・・・・・・217
8(4)・・オクジャ(韓・米)・・・・・・・・・・・・・6/29・・・・・・・・・・・・29,790 ・・・・・・・・・・・267,839 ・・・・・・・・2,031 ・・・・・・・・・・93
9(3)・・トランスフォーマー ・・・・・・・・・・6/21・・・・・・・・・・・・20,242 ・・・・・・・・・2,606,760・・・・・・・・21,445 ・・・・・・・・・212
/最後の騎士王
10(新)・・ファンタスティック短編傑作選1・・7/13 ・・・・・・13,000・・・・・・・・・・・・・17,000 ・・・・・・・・・・102 ・・・・・・・・・・・3
※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。
記事冒頭にも書きましたが、韓国映画がパッとしない、ということについては記事冒頭に書いた通りです。
今回の新登場は2・4・5・6・7・10位の6作品です。
2位「カーズ/クロスロード」は、日本でも2日遅れの7月15日公開されています。韓国題は「카3: 새로운 도전」です。
4位「フリップ/反転」(仮)は、アメリカの青春ロマンスというか、幼なじみの中学生同士の初恋物語です。「スタンド・バイ・ミー」のロブ・ライナー監督作品で、同じようなテイストがあるのかな? ウェンデリン・V・ドラーネンのYA小説「Flipped」が原作。時は1950年代後半。7歳(小2)の女の子ジュリーちゃんの向かいに引越してきた一家の男の子が同い年のブライス君。ブライス君を一目で好きになったジュリーちゃんはいろいろ気を引いたりしますが、ブライス君は(私ヌルボに似て)シャイな少年でした。彼女の積極攻勢をかわしつつ、その後中学1年にまで成長したブライス君。ある日ジュリーちゃんがくれたタマゴをゴミ箱に捨てちゃったのがバレてしまいます。これには怒ったジュリーちゃんはその日からブライス君を避けるようになりました。しかし、厄介だった彼女が消えるとブライス君はむしろ前とは違ってジュリーちゃんのことがが気になり始めます・・・。韓国題は「플립(フリップ)」で、原題は「Flipped」。「反転する」といった意味のようです。つまり、同じ場面をジュリーちゃんとブライス君それぞれの視点から反転して繰り返すという方式で話を進めている、ということのようです。なお、この作品が作られたのは2010年。それがなぜ今になって? <WATCHA>等を通じてネチズンたちの要望があったのかな? 日本でもずっと未公開のままで、今後も公開の可能性はなさそう、か?
5位「モーディー」(仮)は、カナダのフォーク・アート女性画家モード・ルイス(1903~70)の半生と、夫エヴェレット・ルイスとの愛を描いた作品。カナダのノバスコシア生まれのモード(サリー・ホーキンスは)若年性関節リウマチのため手足が不自由で、体も小さかった彼女はもっぱら家で家族と過ごしていましたが、30代半ばで両親は相次いで亡くなります。小さな家で貧しい生活をしていた彼女は、やがて魚の小売り業をしていたエヴェレット・ルイス(イーサン・ホーク)と出会い結婚します。モードが描いた絵を見たエヴェレットの勧めでモードがポストカードに絵を描き、それをエヴェレットが魚と一緒に売ります。1枚25セント。そんな彼女の絵の評判がだんだん高くなっていきます・・・。彼女の絵の画像は→コチラの記事参照。韓国題は「내 사랑(私の愛)」。日本公開は2018年なのかな?
6位「ダークナイト」は、2008年に大ヒットしたクリストファー・ノーラン監督によるアクションの再上映。(おもしろかったな。もう9年も経つのか。) 韓国題は「다크 나이트」です。
7位「ナザレのイエスは神の子か?」(仮)はキリスト教がテーマのアメリカのドラマ。韓国題は「예수는 역사다(イエスは歴史だ)」ですが、原題は「The Case for Christ」で、リー・ストロベルというジャーナリストが書いた同名の本が下敷きになっている作品で、その翻訳本(いのちのことば社,2004)のタイトルがこの仮題です。物語の主人公はそのストロベル。最年少の新人記者として新聞社に入社した彼は、ある日家族との夕食の席で急に危機的状況に陥った娘を一クリスチャンが救います。妻はその後信仰の道に入りますが、事実と合理性を重視する彼は神の存在を否定し、信仰を受け入れません。そんな彼でしたが、ある人物が自分の記事のために不当に濡れ衣を着せられて起訴された事件を経て事実と信仰にの間で葛藤し始め、イエスの復活に関わる信じられないほどの真実を発見し始めます・・・。日本公開はなさそう、かな?(このジャンルは日韓で相当の違いあり。)
10位「ファンタスティック短編傑作選1」は、現在開催中(7月13~23日)の第21回富川(プチョン)国際ファンタスティック映画祭中のプログラム。韓国題は「판타스틱 단편 걸작선 1」です。
【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(12)・・モーディー ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7/12・・・・・・・・・・・・57,063 ・・・・・・・・・・・85,999・・・・・・・・・・・・・680・・・・・・・・・233
2(13)・・ナザレのイエスは神の子か? ・・7/13 ・・・・・・・・・・・33,768 ・・・・・・・・・・・47,752・・・・・・・・・・・・・349・・・・・・・・・217
3(51)・・アメリカン・ハニー ・・・・・・・・・・・・・7/13・・・・・・・・・・・・・2,481・・・・・・・・・・・・・3,851・・・・・・・・・・・・・・31・・・・・・・・・・48
4(3)・・ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ・・2002/8/09・・・・2,197・・・・・・・・・・・・37,336・・・・・・・・・・・・・290・・・・・・・・・・34
5(2)・・その後(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・7/06・・・・・・・・・・・・・1,918・・・・・・・・・・・・15,249・・・・・・・・・・・・・116・・・・・・・・・147
1・2・3位が今回の新登場ですが、いずれについても上述しました。
▶興行成績を見ると、韓国映画の不振が続いています。今年に入って500万人を超えたのは、共に1月18日公開の「共助」(781万人)と「ザ・キング」(531万人)の2作品だけ。先週末のベスト10は、下記のように1.5作品(米韓合作の「オクジャ」は0.5)しかランクインしていません。今後の予定作の期待度は7月26日公開の「軍艦島」(ファン・ジョンミン主演)と8月2日公開の「タクシー運転手」(ソン・ガンホ主演)の期待度がかなり高いのでその結果に注目しましょう。そういえば、内容的にもレベルの高いヒット作が続いた昨年も、上半期で500万人を突破したのは「華麗なるリベンジ」(検事外伝)と「哭声/コクソン」だけだったですからね。(下半期は6作品。) 直接関係ありませんが、私ヌルボの期待作は(興行成績とは関係なく)アン・ジェフン監督のアニメ「ソナギ(にわか雨)」(8月公開)です。
「朝鮮日報」7月15日掲載の「封切映画 ぴったり10字評」 (ハングル文も訳文も10字です。) | ||
---|---|---|
) | 「フリップ/反転」 魔法のように輝いた時 ★★★☆ 「モーディー」 2人のためだけの風景 ★★★☆ 「カーズ/クロスロード」 自動車レース、最高だよ ★★★ 「アメリカン・ハニー」 抑圧された夢、蛍が青春 ★★☆ | |
4作品すべて以下の記事の中で紹介しています。 |
★★★ NAVERの人気順位(7月18日現在上映中映画) ★★★
【ネチズンによる順位】
※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。
①(1) 風の踊り手(韓国) 9.44(43)
②(2) 吾輩は猫である(韓国) 9.42(225)
③(-) ファーミング・ボーイズ(韓国) 9,42(40)
④(3) ミス・サイゴン:25周年記念公演 in ロンドン 9.40(215)
⑤(-) モーディー 9.33(359)
⑥(6) KING OF PRISM -PRIDE the HERO-(日本) 9.29(416)
⑦(-) フリップ/反転 9.24(844)
⑧(7) 徐舒平(ソ・ソピョン)、ゆっくり穏やかに(韓国) 9.24(518)
⑨(8) ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣 9.14(651)
⑩(10) WE ARE X 9.09(125)
③⑤⑦の3作品が今回の新登場です。
③「ファーミング・ボーイズ」は韓国のドキュメンタリーで、昨年の第21回釜山国際映画祭の話題作。農業で地球を救いたいユ・ジファン、大卒後進路に悩んでいたキム・ハソク、家業の農業を嫌って工学部に進んだものの故郷を素敵に変えたいクォン・ドゥヒョンの3人は、各々目的は違っても、農業をテーマにした世界一周無銭旅行を思い立ちます。旅をして、英語も農業も学べる一石三鳥のチャンス! しかし、海外の農場の80ヵ所にコンタクトを取ってみても返事があったのはたったの7ヵ所。はたして彼らの挑戦は実現できるのか? ・・・結局はこの3人組、オーストラリア、ネパール、イタリア、フランス、オランダ等11ヵ国を回り、それもコーヒー園、果樹・野菜研究所、農夫学校等々、多国籍農場ツアーという大収穫の旅行を果たします。朴元淳ソウル市長も注目したとのオマケつき。。原題は「파밍 보이즈」です。
⑤「モーディー」(仮)と⑦「フリップ/反転」(仮)については後述します。
【記者・評論家による順位】
①(1) 風の踊り手(韓国) 10.00(1)
②(2) ラ・ラ・ランド 8.34(14)
③(3) エル ELLE 8.00(8)
④(4) はじまりへの旅 7.50(9)
⑤(-) アメリカン・ハニー 7.50(6)
⑥(5) 老後の対策がない(韓国) 7.50(4)
⑦(7) オクジャ(韓国・アメリカ) 7,25(12)
⑧(8) 君の名は。(日本) 7.17(6)
⑧(8) ゲット・アウト 7.17(6)
⑩(10) エイリアン:コヴェナント 7.13(8)
⑤「アメリカン・ハニー」(仮)が今回の新登場です。2016年の第69回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞した英米合作の青春ロードムービー。主人公はテキサスに住む18歳の女の子スター(サシャ・レーン)。ウザったい継父、そして父親違いの妹弟との憂鬱な日々を送っていた彼女でしたが、ある日偶然目にしたのはバンに乗って家々を回り、雑誌を売りながら旅をして暮らす若者たちでした。(実際にそういう集団がいるそうです。) 悲惨な生活から抜け出すチャンスだ!と彼女はその仲間に加わり、旅をしながら昼は雑誌を売り、夜は連日パーティー。スターはやがて商売のコツを教えてくれた青年ジェイク(シャイア・ラブーフ)と愛し合うようになります・・・。この作品の注目点は、イギリス人女流監督のアンドレア・アーノルド監督がアメリカの中西部を1200マイルも実際に移動しながらドキュメンタリーのように撮ったこと。この作品に起用された俳優たちも旅の途中に出会った素人の若者たちで、主演のサシャ・レーンやシャイア・ラブーフも同様。2人はこの作品の撮影中に恋に落ち、恋人関係になったのだそうです。いやあ、こういう場当たり的な作り方で作品として十分以上にサマになっちゃうとはたいしたものです。ヒップホップとかカントリーミュージックとかの音楽の効果も大きいのかな? 韓国題は「아메리칸 허니:방황하는 별의 노래(アメリカン・ハニー:彷徨する星の歌)」。日本公開は未定のようです。
★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績7月14日(金)~7月16日(日) ★★★
連続首位の「スパイダーマン:ホームカミング」以下外国映画が席捲
【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・スパイダーマン ・・・・・・・・・・・・・7/05・・・・・・・・・1,416,916 ・・・・・・・・・5,901,885・・・・・・・・48,405 ・・・・・・・1,781
:ホームカミング
2(16)・・カーズ/クロスロード・・・・・・・7/13・・・・・・・・・・・266,767・・・・・・・・・・・288,564・・・・・・・・2,160 ・・・・・・・・・800
3(2)・・朴烈(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・・6/28・・・・・・・・・・・206,455・・・・・・・・・2,211,728 ・・・・・・・17,028 ・・・・・・・・・638
4(40)・・フリップ/反転・・・・・・・・・・・・・7/12・・・・・・・・・・・102,990・・・・・・・・・・・134,625 ・・・・・・・・1,101 ・・・・・・・・・249
5(32)・・モーディー ・・・・・・・・・・・・・・・・7/12 ・・・・・・・・・・・・57,063・・・・・・・・・・・・85,999 ・・・・・・・・・・680 ・・・・・・・・・233
6(49)・・ダークナイト ・・・・・・・・・2008/8/06・・・・・・・・・・・・・40,923・・・・・・・・・4,148,762 ・・・・・・・27,569 ・・・・・・・・・153
7(33)・・ナザレのイエスは神の子か?・・7/13・・・・・・・・・33,768・・・・・・・・・・・・47,752 ・・・・・・・・・・349 ・・・・・・・・・217
8(4)・・オクジャ(韓・米)・・・・・・・・・・・・・6/29・・・・・・・・・・・・29,790 ・・・・・・・・・・・267,839 ・・・・・・・・2,031 ・・・・・・・・・・93
9(3)・・トランスフォーマー ・・・・・・・・・・6/21・・・・・・・・・・・・20,242 ・・・・・・・・・2,606,760・・・・・・・・21,445 ・・・・・・・・・212
/最後の騎士王
10(新)・・ファンタスティック短編傑作選1・・7/13 ・・・・・・13,000・・・・・・・・・・・・・17,000 ・・・・・・・・・・102 ・・・・・・・・・・・3
※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。
記事冒頭にも書きましたが、韓国映画がパッとしない、ということについては記事冒頭に書いた通りです。
今回の新登場は2・4・5・6・7・10位の6作品です。
2位「カーズ/クロスロード」は、日本でも2日遅れの7月15日公開されています。韓国題は「카3: 새로운 도전」です。
4位「フリップ/反転」(仮)は、アメリカの青春ロマンスというか、幼なじみの中学生同士の初恋物語です。「スタンド・バイ・ミー」のロブ・ライナー監督作品で、同じようなテイストがあるのかな? ウェンデリン・V・ドラーネンのYA小説「Flipped」が原作。時は1950年代後半。7歳(小2)の女の子ジュリーちゃんの向かいに引越してきた一家の男の子が同い年のブライス君。ブライス君を一目で好きになったジュリーちゃんはいろいろ気を引いたりしますが、ブライス君は(私ヌルボに似て)シャイな少年でした。彼女の積極攻勢をかわしつつ、その後中学1年にまで成長したブライス君。ある日ジュリーちゃんがくれたタマゴをゴミ箱に捨てちゃったのがバレてしまいます。これには怒ったジュリーちゃんはその日からブライス君を避けるようになりました。しかし、厄介だった彼女が消えるとブライス君はむしろ前とは違ってジュリーちゃんのことがが気になり始めます・・・。韓国題は「플립(フリップ)」で、原題は「Flipped」。「反転する」といった意味のようです。つまり、同じ場面をジュリーちゃんとブライス君それぞれの視点から反転して繰り返すという方式で話を進めている、ということのようです。なお、この作品が作られたのは2010年。それがなぜ今になって? <WATCHA>等を通じてネチズンたちの要望があったのかな? 日本でもずっと未公開のままで、今後も公開の可能性はなさそう、か?
5位「モーディー」(仮)は、カナダのフォーク・アート女性画家モード・ルイス(1903~70)の半生と、夫エヴェレット・ルイスとの愛を描いた作品。カナダのノバスコシア生まれのモード(サリー・ホーキンスは)若年性関節リウマチのため手足が不自由で、体も小さかった彼女はもっぱら家で家族と過ごしていましたが、30代半ばで両親は相次いで亡くなります。小さな家で貧しい生活をしていた彼女は、やがて魚の小売り業をしていたエヴェレット・ルイス(イーサン・ホーク)と出会い結婚します。モードが描いた絵を見たエヴェレットの勧めでモードがポストカードに絵を描き、それをエヴェレットが魚と一緒に売ります。1枚25セント。そんな彼女の絵の評判がだんだん高くなっていきます・・・。彼女の絵の画像は→コチラの記事参照。韓国題は「내 사랑(私の愛)」。日本公開は2018年なのかな?
6位「ダークナイト」は、2008年に大ヒットしたクリストファー・ノーラン監督によるアクションの再上映。(おもしろかったな。もう9年も経つのか。) 韓国題は「다크 나이트」です。
7位「ナザレのイエスは神の子か?」(仮)はキリスト教がテーマのアメリカのドラマ。韓国題は「예수는 역사다(イエスは歴史だ)」ですが、原題は「The Case for Christ」で、リー・ストロベルというジャーナリストが書いた同名の本が下敷きになっている作品で、その翻訳本(いのちのことば社,2004)のタイトルがこの仮題です。物語の主人公はそのストロベル。最年少の新人記者として新聞社に入社した彼は、ある日家族との夕食の席で急に危機的状況に陥った娘を一クリスチャンが救います。妻はその後信仰の道に入りますが、事実と合理性を重視する彼は神の存在を否定し、信仰を受け入れません。そんな彼でしたが、ある人物が自分の記事のために不当に濡れ衣を着せられて起訴された事件を経て事実と信仰にの間で葛藤し始め、イエスの復活に関わる信じられないほどの真実を発見し始めます・・・。日本公開はなさそう、かな?(このジャンルは日韓で相当の違いあり。)
10位「ファンタスティック短編傑作選1」は、現在開催中(7月13~23日)の第21回富川(プチョン)国際ファンタスティック映画祭中のプログラム。韓国題は「판타스틱 단편 걸작선 1」です。
【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(12)・・モーディー ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7/12・・・・・・・・・・・・57,063 ・・・・・・・・・・・85,999・・・・・・・・・・・・・680・・・・・・・・・233
2(13)・・ナザレのイエスは神の子か? ・・7/13 ・・・・・・・・・・・33,768 ・・・・・・・・・・・47,752・・・・・・・・・・・・・349・・・・・・・・・217
3(51)・・アメリカン・ハニー ・・・・・・・・・・・・・7/13・・・・・・・・・・・・・2,481・・・・・・・・・・・・・3,851・・・・・・・・・・・・・・31・・・・・・・・・・48
4(3)・・ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ・・2002/8/09・・・・2,197・・・・・・・・・・・・37,336・・・・・・・・・・・・・290・・・・・・・・・・34
5(2)・・その後(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・7/06・・・・・・・・・・・・・1,918・・・・・・・・・・・・15,249・・・・・・・・・・・・・116・・・・・・・・・147
1・2・3位が今回の新登場ですが、いずれについても上述しました。