ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [11月2日(金)~11月4日(日)]

2018-11-07 01:43:11 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▸日本では9日から一般公開される「ボヘミアン・ラプソディ」は、韓国では10月31日から公開されていますが、観客動員数で2位というだけでなく、ネチズンの平均評価も9.68と、破格の高ポイントで1位になっています。クイーンのボーカリスト、フレディ・マーキュリーの伝記映画ということで、私ヌルボ、40年くらい前のことをじわっと思い出しました。(とくに「キラー・クイーン」は「ずいぶん音楽性の高い曲だなあ」というのが第一印象でした。) これはぜひ音響設備のいい映画館で観なくては・・・。
 さて、韓国のネチズンの中にも10点満点で1点しかつけてない人も約8千人中60人ほどいます。その理由で最も多いのは「同性愛がどうも・・・」という人。また数人が問題にしていたのは、予告編でクイーンのメンバーの1人が旭日旗の図柄入りのTシャツを着ていたことに触れていました。→コチラの記事参照。韓国人からの抗議を受けて製作会社側ではCGでTシャツを濃い赤色で塗りつぶしたとのことです。あいかわらずですが、やれやれです。※この記事の元の「中央日報」は、<旭日旗>でなく<戦犯旗>と書いています。
    
【韓国ファンの抗議で、旭日旗Tシャツ(左)をCGで塗りつぶした。】

▸10月30日(火)~11月1日(木)、3日連続で韓国文化院に通い、<コリアン・シネマ・ウイーク 2018>の日本初公開の4作品を観てきました。「復讐のトリック」「私に残った愛を」「トック」「母のノート」を観てきました。「復讐のトリック」の原作本は推理小説の名作とされるバリンジャーの「歯と爪」。何十年か前に読んで、結末部分が袋綴じになっているという体裁は思い出せたものの、内容はすっかり忘却。新鮮な気持ちで映画を観られると思ったものの、構成がフクザツな上に疲れ気味でついウトウト。まあおおよそは理解したという程度で終わったのは残念。他の3作品は、老齢とか病気とかで余命いくばく云々を悟った人の生き方が(大雑把な)共通項といったところか。それに(韓国でいうところの)多文化家族の問題を扱った「トック」(←インドネシア人の嫁が出てくる)とか、認知症の問題を取り上げた「母のノート」とか、今の韓国の社会を垣間見る、そんな要素もいろいろ盛り込まれています。
 そういえば、日本でも「エンディングノート」(2011)というドキュメンタリーの佳作がありましたね。それから「はなちゃんのみそ汁」(2015)は若くして亡くなったお母さんの話か。他にもいくつかあったような・・・。

▸先週の韓国の興行成績1位は韓国映画の「完璧な他人」。親しい連中が集まった場で、1人が提案したゲームが始まります。それは自分たちのケータイをテーブルに置いて、限られた時間の間に来る電話やSMS、カカオトーク等々をすべて公開しようというものなのですが、ゲームが始まると各々の秘密が次々と暴かれていって大変なことに・・・というコメディ(?)。今日本で公開中のアメリカ映画「search/サーチ」はPCの画面上だけで物語が展開するという構成と思いがけない結末で話題のようです。また2日から始まった北川景子主演の「スマホを落としただけなのに」もやはりすごく大変なことになっていく話のようです。このようにスマホやPCの怖い面を中心にすえた映画が各国で同時期に登場するのも現代社会のなにがしかを物語っていますね。

※先週も「朝鮮日報」の「封切映画 ぴったり10字評」と「週末の劇場街」は掲載されませんでした。

         ★★★ NAVERの人気順位(11月6日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
       ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。

①(-) ボヘミアン・ラプソディ  9.68(7,917)
②(-) 晩夏(韓国)  9.58(12)
③(-) ポーランドに行った子供たち(韓国)  9.57(237)
④(-) 60日のサマー(韓国)  9.38(13)
⑤(-) 劇場版 夏目友人帳 ~うつせみに結ぶ~(日本)  9.31(125)
⑥(-) スタビー軍曹  9.39(48)
⑦(-) パウロ 愛と赦しの物語  9.29(285)
⑧(1) 悲しみに、こんにちは  9.28(71)
⑨(2) ミス・ペク(韓国)  9.26(5,967)
⑩(3) 万引き家族(日本)  9.24(2,837)

 なんと①~⑦までの全作品が新登場! これまでになかったことです。今後もあるとは思えません。
 ①「ボヘミアン・ラプソディ」は、冒頭で書いたようにフレディ・マーキュリーの伝記映画。日本では11月9日公開です。韓国題は「보헤미안 랩소디」です。
 ②「晩夏」は、韓国のラブロマンス。チョンボン(イム・ウォニ)とソンヘ(シン・ソユル)はソウルでの生活を整理し、済州島でゲストハウスを運営しています。夏が終わる頃、彼らのゲストハウスに思わぬの客が訪れます。かつてソンヒェの恋人だったイング(チョン・ソッコ)と、過去チョンボンの職場の後輩だった女性チェユン(チョン・ヨンジュ)です。チョンボンにソンヘの過去を暴露するというイングのために、ただでさえ不安なソンへは、チェユンとチョンボンの間の微妙なフンイキを感じ取り、一層鋭敏になります。そんな中、イングとチェユン、そしてチェユンの友人のハソ(クォン・ハソ)は、同じゲストハウスに泊まることになった偶然の機会に済州島旅行を共にすることにり、4人の男女の心は複雑になっていきます・・・。原題は「늦여름」です。
 ③「ポーランドに行った子供たち」は、韓国のドキュメンタリー。1951年、朝鮮戦争中に北朝鮮の戦争孤児1500人が密かにポーランドに送られました。ポーランドの先生たちは言葉も通じない子供たちをやさしく抱きとめ、子供たちも先生を「ママ」、「パパ」と呼んで新しい家族として受け入れられます。しかし8年後、子供たちは突然の送還命令を受けることに・・・。2018年にはその子供たちの生死すらわかりません。ポーランドの先生たちは子供たちをしのんで今も涙を流しています。歴史の中のどこにも記録はありませんが胸に残っている愛の足跡を、チュ・サンミ監督と25歳の女性脱北者ソンイの2人が一緒にたどる旅に出ます。原題は「폴란드로 간 아이들」です。※朝鮮日報(日本語版)の関連記事→「ポーランド人はなぜ北朝鮮の戦争孤児の面倒を見たのか」(→コチラ.要登録)
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2018/10/26/2018102601974.html
 ④「60日のサマー」は、韓国のドラマ。ドンイル(チャン・グァン)は町内で一番ステキな(?)70代のお年寄り。タブレットを見て料理を作り、SNSに写真をアップロードしたりもしていて、独り暮らしを楽しんでいます。ところがそんな彼にピンチが訪れます。縁を切って暮らしていた息子が再婚を言い訳に孫をドンイルに任せてアメリカに行ってしまったのです。ドンイルの生活は不意に転がり込んできた孫のジェフン(ヨン・ジュンシク)により揺れ始めます。ジェフンは年寄りが世界一キライという思春期の少年で、2人で暮らすとなると絶望的になります。そんな中、近所で年寄りを対象にした犯罪が続き、ドンイルもまた被害に遭ってしまいます。ジェフンは犯人を捕まえようとしますが、ドンイルはジェフンの友だちを疑い始めます・・・。原題は「60일의 썸머」です。あの「(500)日のサマー」と何か関係があるかと思ったら、ぜ~んぜん!のようです。
 ⑤「劇場版 夏目友人帳 ~うつせみに結ぶ~」は、日本では9月29日に公開したばかりで、今各地で上映されていますね。私ヌルボ、緑川ゆきの原作も読んでいません。日韓とも好評のようなので、観てみようかなという気になってきました。韓国題は「나츠메 우인장: 세상과 연을 맺다」です。<うつせみ>は<세상(世の中)>と訳されていますね。
 ⑥「スタビー軍曹」(仮)は、米・アイルランド・仏・カナダ・英の合作アニメ。史実に基づく作品です。第1次世界大戦中の1917年、アメリカ・コネチカット州の訓練キャンプで、兵士のコンロイはたまたま迷子になっていた犬を見つけます。誰よりも勇敢で賢いその犬スタビーは兵士たちと一緒に訓練を受け、コンロイと友情を築いただけでなく部隊を代表するマスコットになります。やがてコンロイ訓練を終えて戦場に出る時になると、スタビーも共に行くことになります。はたしてコンロイとスタビーは無事に任務を終えて帰ることができるでしょうか・・・。韓国題は「캡틴 스터비」です。
 ⑦「パウロ 愛と赦しの物語」はキリスト教最大の伝道者とされる使徒パウロの物語。日本でも11月3日から公開されています。韓国題は「바울」です。

     【記者・評論家による順位】

①(1) エクス・リブリス ニューヨーク公共図書館  8.50(2)
②(2) 暗数殺人(韓国)  8.14(7)
③(3) 万引き家族  8.13(8)
④(4) ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ  8.00(7)
⑤(5) 生き残った子[最後の息子](韓国)  7.67(9)
⑥(6) バディントン2  7.67(3)
⑦(8) 悲しみに、こんにちは  7.50(8)
⑧(9) ファースト・マン  7.44(9)
⑨(10) アリー/ スター誕生  7.43(7)
⑩(-) ハロウィン  7.43(7)

 ⑩「ハロウィン」だけが今回の新登場です。この作品については後述します。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績11月2日(金)~11月4日(日) ★★★

         韓国映画「完璧な他人」が他を圧倒して1位

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(9)・・完璧な他人(韓国) ・・・・・・・・・・・・10/31・・・・・・・・1,173,171・・・・・・・1,664,613・・・・・・・13,909・・・・・・1,313
2(72)・・ボヘミアン・ラプソディ・・・・・・10/31 ・・・・・・・・・523,362・・・・・・・・709,342 ・・・・・・・・6,335 ・・・・・・・936
3(1)・・猖獗(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・10/25 ・・・・・・・・・174,993 ・・・・・・1,523,710 ・・・・・・・12,667 ・・・・・・・711
4(新)・・ルイスと不思議の時計・・・・・・・10/31 ・・・・・・・・・111,254・・・・・・・・169,342 ・・・・・・・・1,303 ・・・・・・・609
5(新)・・ハロウィン ・・・・・・・・・・・・・・・・10/31・・・・・・・・・・・45,018・・・・・・・・・90,492・・・・・・・・・・738 ・・・・・・・493
6(7)・・ハリー・ポッターと賢者の石・・2001/12/13 ・・・・・・37,195・・・・・・・・201,746 ・・・・・・・・1,754 ・・・・・・・・32
7(46)・・パウロ 愛と赦しの物語 ・・・・10/31 ・・・・・・・・・・26,260・・・・・・・・・43,193・・・・・・・・・・337 ・・・・・・・217
8(8)・・アリー/ スター誕生 ・・・・・・・・・・10/09 ・・・・・・・・・・23,507・・・・・・・・425,140 ・・・・・・・・3,737 ・・・・・・・154
9(3)・・ミス・ぺク(韓国)・・・・・・・・・・・・・10/11 ・・・・・・・・・・20,224・・・・・・・・710,780 ・・・・・・・・5,954 ・・・・・・・271
10(2)・・暗数殺人(韓国)・・・・・・・・・・・・・10/03 ・・・・・・・・・・16,698 ・・・・・・3,777,512 ・・・・・・・32,916 ・・・・・・・354
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 今回の作品も観客動員数もこれといった注目ポイントに欠けるような感じですかねー。
 新登場は2・4・5・7位の4作品です。
 2位「ボヘミアン・ラプソディ」は、上述のように日本でも9日から公開されます。
 4位「ルイスと不思議の時計」は、日本ではすでに10月12日から公開されています。韓国題は「벽 속에 숨은 마법시계」です。
 5位「ハロウィン」は、アメリカのホラー。殺人鬼映画の先駆けとも言われるスプラッター・ホラー「ハロウィン」の第1作は1978年制作され、以後現在に至るまで8編の続編と2編のリメイクが作られる人気シリーズになりました。その第1作では6歳だった(!)殺人鬼マイケル・マイヤーズがちょうど40年経った今の話を盛り込んだ今作で派手に帰還をはたします。つまり、第1作の直接の続編ということ。そこでヒロインだったローリー・ストロード(ジェイミー・リー・カーティス)が再登場します。ということは57歳になってます。(うーむ・・・。) しかしマイケルに対する恐怖はかわらず、再びマイケルが襲ってくるという確信があり、戦う覚悟を決めています。そしてついに・・・。韓国題は「할로윈」。日本公開は来年4月です。
 7位「パウロ 愛と赦しの物語」は、上述のように日本でも11月3日から公開されています。

【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・・累積収入・・・・上映館数
1(15)・・パウロ 愛と赦しの物語・・・・・・10/31・・・・・・・・・・26,260・・・・・・・・・43,193・・・・・・・・・・337・・・・・・・・・217
2(1)・・ライ麦畑の反逆児・・・・・・・・・・・・・10/18・・・・・・・・・・・1,190・・・・・・・・・18,239・・・・・・・・・・152・・・・・・・・・・25
       ひとりぼっちのサリンジャー
3(3)・・グランド・ブダペスト・ホテル・・2014/3/20 ・・・・・・・・1,139・・・・・・・・814,591 ・・・・・・・・6,378・・・・・・・・・・22
4(14)・・リズと青い鳥(日本) ・・・・・・・・・・・10/09・・・・・・・・・・・・772・・・・・・・・・19,862・・・・・・・・・・167・・・・・・・・・・・6
5(8)・・ターシャ・テューダー・・・・・・・・・・・・9/13・・・・・・・・・・・・753・・・・・・・・・43,204・・・・・・・・・・342・・・・・・・・・・14

 1位「パウロ 愛と赦しの物語」が新登場ですが、上述のようにすでに日本でも公開されています。
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