ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画の興行成績 [4月16日(金)~4月18日(日)]と人気順位 ►エッ、「名探偵コナン 緋色の弾丸」は日韓同日公開だった!? ►「春江水暖」はデビュー作とは思えないスケールの大きさ

2021-04-22 16:36:46 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▶アカデミー賞授賞式(4月26日)が近づいてきました。注目の作品賞は「ノマドランド」が有力視されていますが、<キネ旬Review>で、藤木TDCさんが「原作本にあるワーキャンパーの過酷さや困窮を自由や心地良さと曲解させる優雅な演出には違和感。金持ち向けの映画祭映画になり、快適なシネコンでゆったり見ても観光気分以外に得るものはない」と書いているのは同感。真魚八重子さんも「救いは毎回あって、悲愴な域には踏み込まず・・・ノマドたちの交流会もヒッピーの理想形でちょっと口当たりが良すぎやしないか」等ほぼ同様の主旨で★3つに止めています。作品中で主人公が「ノマド生活はそんなラクなもんじゃない!」と強く言う場面はあったと思いますが、観た人の中で誤解してる人はたしかに多そう。それでも受賞に値するレベルだとは思いますけどね。

▶この1週間で観た映画は次の3本です。
 ・「朝鮮名探偵 鬼<トッケビ>の秘密」★★★ (昨年11月以来の韓国文化院の配信で視聴。このシリーズ、知ってはいたが、もろエンタメのフュージョン時代劇で私ヌルボの嗜好に合わず、今回は無料なので観てみたが、3月31日配信で後半は観られなかった「王と道化師たち」の方がなんぼかおもしろかったゾ。タイクツはしなかったけど・・・。日頃の憂さを忘れて「あーおもしろかった!」でスッキリする映画を求めてる人向きかも。)
 ・「春江水暖~しゅんこうすいだん」★★★★☆ (「帰れない二人」等のジャ・ジャンクー、「象は静かに座っている」のフー・ボー等と同様、本作のグー・シャオガン監督も長回しが話題になっているが、せかせかしてる日本人と中国人では時間の感覚が違うんだろうな、たぶん。しかし一部で話題のビー・ガン監督(「ロングデイズ・ジャーニー」等)のような眠気を誘うものでは全然なく、長編デビュー作とは思えないスケールの大きさを感じた。こういう作風の日本映画を期待するのは到底無理。おばあさんの古稀の祝宴に息子や孫たちが大勢集まったその場でおばあさんは脳卒中で倒れて病院へ。命は助かったものの認知症が進行するおばあさんを4人の息子の誰が面倒をみるか? 嫁の意向等もあるし・・・。これに孫たちの結婚や借金等々の話も絡んで、細部まで描かれた絵巻のように(と多くの人もたとえているが)微視的視点から広い世界が見通せる。時代は変わっても大家族の絆は固い、という点は先月観た「フェアウェル」と共通。最後の画面に「一の巻 完」の文字、ってことは・・・。)
 ・「サン・ラーのスペース・イズ・ザ・プレイス」★★☆ (サン・ラー[1914~93]は半世紀前頃は<サン・ラ>と表記されていたジャズ演奏者&作曲家。当時学生だった私ヌルボが愛聴していたのはフリージャズの最先端のアルトサックス奏者アルバート・アイラーで、サン・ラは同じフリージャズでも毛色が違う感じでほとんど聴く機会もなかった。その彼の映像と音楽が今なんでこのように映画化されたのか?という疑問を抱きつつ観にいくと、時代を感じさせる粗い画面と奇妙な色使い、ケッタイな展開等々で、おそらく睡魔に襲われた観客も多かったのでは?ということでこの評点。 ただヌルボとしては彼の音楽の<独自性>を確認したこと等々、観てよかったと思う。)

▶注目の韓国映画上映情報。
「白頭山大噴火」(原題「백두산」)は8月27日(金)公開。イ・ビョンホン、ハ・ジョンウ、マ・ドンソク等出演。→公式サイト

         ★★★ NAVERの人気順位(4月20日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
  ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。
        「初登場」とは、本ブログでの初登場の意。

①(1) 復活(韓国)  9.60(121)
②(2) アイカ  9.50(16)
③(-) 私はボリ(韓国)  9.43(184)
④(9) 詩を読む時間(韓国)  9.38(13)
⑤(8) 復活: その証拠(韓国)  9.35(406)
⑥(10) 劇場版「鬼滅の刃」無限列車編(日本)  9.31(10,968)
⑦(-) ソウルフル・ワールド  9.30(9,640)
⑧(-) カイラスへ行く道(韓国)  9.30(153)
⑨(-) 玆山魚譜(韓国)  9.29(1,677)
⑩(-) そしてパン・ヘンジャ(韓国)  9.27(33)

 半分入れ替わりましたが、初登場の作品はありません。

     【記者・評論家による順位】

①(1) ソウルフル・ワールド  8.44(9)
②(2) Mank/マンク  8.14(7)
③(新) ノマドランド  8.00(8)
④(3) スパイの妻(日本)  8.00(5)
⑤(4) 夏時間[ハラボジの家](韓国)  7.83(12)
⑥(5) ミナリ  7.58(12)
⑦(-) 冬の夜に(韓国)  7.33(6)
⑧(7) アイカ  7.20(5)
⑨(8) TENET テネット  7.18(11)
⑩(9) 本当に遠いところ(韓国)  7.14(7)

 ③「ノマドランド」が新登場ですが、日本でも3月26日に公開され、アカデミー賞作品賞の最有力作品として話題になっていて多くの情報が流されているので説明は略します。韓国題は「노매드랜드」です。

 ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績4月16日(金)~4月18日(日) ★★★
       コン・ユとパク・ボゴム主演の「徐福」が1位、日韓同日公開の「名探偵コナン 緋色の弾丸」は2位に

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・上映館数
1(49)・・徐福(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・4/15 ・・・163,523 ・・・・・・・210,233 ・・・・・・2,015 ・・・・1,388
2(新)・・名探偵コナン 緋色の弾丸(日本)・・4/16・・78,703 ・・・・・・・・78,703 ・・・・・・・・752 ・・・・・・844
3(4)・・劇場版「鬼滅の刃」・・・・・・・・・・・・1/27 ・・・・33,024 ・・・・・1,709,924 ・・・・・16,471 ・・・・・・538
       無限列車編(日本)
4(3)・・Mr.ノーバディ・・・・・・・・・・・・・・・4/07 ・・・・25,013 ・・・・・・・113,109 ・・・・・・1,080 ・・・・・・520
5(1)・・玆山魚譜(韓国)・・・・・・・・・・・・・・3/31 ・・・・21,767 ・・・・・・・302,404 ・・・・・・2,674 ・・・・・・567
6(2)・・ゴジラvsコング ・・・・・・・・・・・・・3/25 ・・・・17,855 ・・・・・・・687,045 ・・・・・・6,615 ・・・・・・494
7(新)・・大人たちは知らない(韓国) ・・・4/15・・・・10,755・・・・・・・・・15,010 ・・・・・・・・143 ・・・・・・209
8(6)・・ミナリ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/03・・・・10,724・・・・・・・・919,149 ・・・・・・8,320 ・・・・・・290
9(39)・・ノマドランド ・・・・・・・・・・・・・・4/15 ・・・・・9,987・・・・・・・・・16,160 ・・・・・・・・158 ・・・・・・181
10(7)・・ファーザー ・・・・・・・・・・・・・・・・4/07 ・・・・・4,197・・・・・・・・・29,366 ・・・・・・・・251 ・・・・・・142
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 新登場は1・2・7・9位の4作品です。
 1位「徐福」[じょふく](ソボク)は韓国のドラマ。最初にタイトルを見て、これは古代中国の伝説上の人物、徐福を主人公にした物語かなと思いました。秦の始皇帝の時代、東方に霊薬を求めて三千人の若い男女と多数の技術者を引き連れて船出した人物で、日本の各地に伝承が残り、また韓国にも済州島等に彼が立ち寄った等の話が伝えられています。・・・が、本作のあらすじを見てみると上記の伝説はほとんど関係ナシ! 伝説に興味がある皆さんは各自ググったりしてみてください。(→韓国のウィキペディア)過去のトラウマを抱かせた事件により外部と断絶した人生を送っている元要員のギホン(コン・ユ)は、情報局からの拒絶できない最後の提案を受け入れます。それは幹細胞の複製と遺伝子操作によって作られた実験体の徐福(パク・ボゴム)を安全に移動させるというもの。しかし任務遂行と同時に思いもよらない攻撃を受け、かろうじて逃れ出たギホンと徐福は特別な同行者同士になります。実験室の外の世界に初めて接し、すべてが不思議な徐福と、生涯最後の任務をすみやかに終えたいギホンは、行く先々で事あるごとに衝突します。一方、人類の救いでもあり災厄にもなり得る徐福を奪い去ろうとするいくつかの集団の追跡はますます激しくなっていきます・・・。原題は「서복」です。さて、「伝説はほとんど関係ナシ」(=少しある)と書いた理由は見当がつきましたか? その共通のキーワードは「不死」です。
 2位「名探偵コナン 緋色の弾丸」は、日本では4月16日(金)に公開されたばかりで、全国の映画館のスクリーンを席捲している真っ最中。(全国最多の18スクリーンを有するユナイテッド・シネマ豊橋18では1日に31回も上映してる!) その作品を韓国でも同日公開とは! いやあ、このコロナ禍の中の日韓両国で、それぞれの持ち場でがんばって仕事してる皆さんがいらっしゃるんですね。(この<席捲>の割を食った映画も多いんだろうな・・・。) 私ヌルボ、このシリーズは全然観てないのでコメントする資格ナシ、です。韓国題は「명탐정 코난: 비색의 탄환」です。
 7位「大人たちは知らない」は韓国のドラマ。「暗殺」「密偵」等に俳優として出演したイ・ファン監督の2作目の作品で、昨年の第25回釜山国際映画祭で上映され韓国映画監督組合賞を受賞しました。彼の最初の監督作品「パク・ファヨン」(2018)は、仲間の女高生の家にたむろしてタバコを喫いラーメンを食べたりしている家出中の若者たちの群像劇で、今作も内容的にその延長線上にあると言えそうです。前作で脇役だった17歳のセジン(イ・ユジン)が今作では18歳になり、物語の主人公となります。それも突然妊婦になって・・・。無責任な大人たちに疲れて距離を置いたセジンは家出歴4年目の同い年ジュヨン(アン・ヒヨン= EXIDのハニ)に出会います。その時以来親友になった2人に加えて、シンジ(シン・ヘッピ)と危機の瞬間に現れた青い髪のジェピル(イ・ファン=監督)まで、どこか似ている4人が集まり、セジンの<遺産プロジェクト>が始まります。「私たちも生きなければならないからね」。大人たちは知らない一番率直な十代の物語です。原題は「어른들은 몰라요」です。暴力等、過激なシーンが多いようで、に評点&寸評を寄せた約400人のネチズン中約100人が評点1を付けています。
 9位「ノマドランド」については上述の通りすでに日本では公開されています。

【独立・芸術映画】
順位・・・・題名 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・・累積収入・・上映館数
1(新)・・大人たちは知らない(韓国) ・・・・・4/15 ・・・・・10,755 ・・・・・・・・・15,010 ・・・・・・・・143 ・・・・・・209
2(1)・・ミナリ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/03 ・・・・・10,724 ・・・・・・・・919,149 ・・・・・・8,320 ・・・・・・290
3(2)・・ファーザー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4/07 ・・・・・・4,197・・・・・・・・・・29,366 ・・・・・・・・251 ・・・・・・142
4(28)・・レ・ミゼラブル・・・・・・・・・・・・・・・・4/15 ・・・・・・2,557・・・・・・・・・・・4,462・・・・・・・・・・37 ・・・・・・・97
5(13)・・あなたの4月(韓国)・・・・・・・・・・・・4/01 ・・・・・・1,510・・・・・・・・・・・6,766・・・・・・・・・・51 ・・・・・・・44
  1・4・5位の3作品が新登場ですが、1位「大人たちは知らない」については上述しました。
 4位「レ・ミゼラブル」はフランスのドラマ。しかしあのヴィクトル・ユーゴーの小説の映画化作品ではなく、現代社会の問題を扱う内容。日本では昨2020年2月に公開されています。韓国題は「레 미제라블」です。
 5位「あなたの4月」は韓国のドキュメンタリー。タイトル中の<4月>とは2014年4月16日。何の日かというと、韓国では常識(かな?)。日本ではどうでしょうか? ヒントはポスター(右画像)の黄色いリボン。つまりセウォル号沈没事故の日です。本作は事故そのものではなく、犠牲者周辺の人々がそれぞれの思いを語ったものです。カメラの前に立つ<ふつうの人たち>に1つの質問が投げかけられます。「2014年4月16日には、何をしていましたか?」 沈んでゆく船を悲しい思いで眺めていた教師、大統領に会いに来た遺族を見て何も声をかけられなかったカフェの店長、つらい気持ちに堪えながら遺族のそばに守るように立っていた人権活動家、事故海域で遺体を収拾した記憶に苦しむ珍島の漁民、 授業時間にニュースを接し、ただニュースを見ていた高校生。時は流れましたが、まだ傷跡のように残っているセウォル号の惨事の記憶を取り出します・・・。原題は「당신의 사월」です。
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