高校新聞部員のためのメディア・リテラシー
1.どんな記事を載せる? そこに学校新聞の<姿勢>が表れる
「記事がないよ~」と言ってる部員は「記事は足で書く!」という鉄則を実践していませんね。あるいは日頃の観察力や、好奇心不足。ホントはネタは山ほどありますよ。紙面にとても載せきれないほど。
1.どんな記事を載せる? そこに学校新聞の<姿勢>が表れる
「記事がないよ~」と言ってる部員は「記事は足で書く!」という鉄則を実践していませんね。あるいは日頃の観察力や、好奇心不足。ホントはネタは山ほどありますよ。紙面にとても載せきれないほど。
そんなネタの山から何を選び取るか? そこからすでにあなた自身の目の付けどころと共に、その新聞の<姿勢>が表れます。意識している、いないかかわらず。
あるいは生徒関係と先生関係の記事のどちらが多いてすか? それも新聞の一側面を表しています。また、あいかわらず多いのが定例の学校行事の記事を毎年当たり前のように1面トップに置いている新聞もよくありますね。大きな行事だからと言って興味を持って読まれるわけではありません。もしかして、学校の広報になっていませんか?
あるいは生徒関係と先生関係の記事のどちらが多いてすか? それも新聞の一側面を表しています。また、あいかわらず多いのが定例の学校行事の記事を毎年当たり前のように1面トップに置いている新聞もよくありますね。大きな行事だからと言って興味を持って読まれるわけではありません。もしかして、学校の広報になっていませんか?
視野を広げ、極力いろいろなところに行ってみましょう。校外の記事はありますか? 学校の近所から、日本あるいは世界までも含めて、できるだけ直接足を運んで人の話を聞き、辺りをぐるっと見まわして写真を何枚も撮る。
記事はこうして仕入れたネタを絞り込んで書きましょう。水増しではなく。
2.ウェブサイトに要注意! その情報、信用できる?
検索すればたいていのことがわかるインターネット。しかし、それは「どこの誰」が書いた記事? 別のサイトでは全然違う記事があるかも。
新聞でもテレビでも、新聞社やテレビ局により報道内容に違いがあります。(皆さんは全国紙各紙とその系列のテレビ局の政治的立ち位置 は分かっていますか?
インターネットでクロスチェックは絶対不可欠。ウィキペディアも便利ですが、必ずしも正しいとは限らず、必要なことが抜け落ちていることもあります。要はうのみにしないことです。
スマホで見るニュースの見出し。いくつもある中に、実は商品の宣伝記事が混じっていることに気がついていますよね?
スマホで見るニュースの見出し。いくつもある中に、実は商品の宣伝記事が混じっていることに気がついていますよね?
3.質問文や、選択肢の設定のしかた等によって結果が異なるアンケート
「はい」と「いいえ」以外に「どちらともいえない」を設けるか否か? 調査用紙は全員提出? 55%で賛成多数と言える?
「はい」と「いいえ」以外に「どちらともいえない」を設けるか否か? 調査用紙は全員提出? 55%で賛成多数と言える?
調査方法・ワーディング(質問文の書き方)・分析の仕方などで結果は大きく違ってきます!
数字という一見客観的データのように見えてしまう点も大問題。自分ではそれと意識しないで、だまし、だまされてしまうことのないように、要注意。
4.人選によって記事の内容・方向性が決まる
取材対象者(一般生徒、先生、専門家など)として誰を選ぶか? 座談会の出席者をどう選ぶか? あるいは、街頭インタビューした多数の人の中から誰をピックアップするか?
取材対象者(一般生徒、先生、専門家など)として誰を選ぶか? 座談会の出席者をどう選ぶか? あるいは、街頭インタビューした多数の人の中から誰をピックアップするか?
そこにも新聞部の意図、価値判断が働いています。もちろん、それを自覚していなくても。
5.記者は「何を書かないか?」も大切。読者は「書かれていないこと」も考えてみよう
熱心に取材した部員ほど、自分が集めた多くの情報・資料をすべて記事の中につめ込もうと思うもの。結局社会科のレポートのように(?)読みづらい記事になりがちです。
むしろ予定の字数の半分、あるいは4分の1だったら、何を書くかと考えると、自分の記事のポイントがはっきりしてきます。細かな枝葉の部分は思い切って棄ててしまった方が読者にはむしろ分かりやすい記事になります。
一方、読者にとってはそこに書かれていることがすべてです。しかし、同じ素材を扱った一般紙を複数読み比べてみると、新聞によっては(自分の基準では)重要なことが抜けていることに気づいたりもします。何を書くか書かないかも、それぞれの価値判断で決まることです。
熱心に取材した部員ほど、自分が集めた多くの情報・資料をすべて記事の中につめ込もうと思うもの。結局社会科のレポートのように(?)読みづらい記事になりがちです。
むしろ予定の字数の半分、あるいは4分の1だったら、何を書くかと考えると、自分の記事のポイントがはっきりしてきます。細かな枝葉の部分は思い切って棄ててしまった方が読者にはむしろ分かりやすい記事になります。
一方、読者にとってはそこに書かれていることがすべてです。しかし、同じ素材を扱った一般紙を複数読み比べてみると、新聞によっては(自分の基準では)重要なことが抜けていることに気づいたりもします。何を書くか書かないかも、それぞれの価値判断で決まることです。
6.賛否が分かれる問題をどう扱う? <中立>という立場はあるのか?
かつての学校新聞では、賛成と反対の主張を紙面上でも同等の扱いにするのが<中立>を保つ上で適切だとされていたことがありました。(今でもあると思われます。)
しかし、たとえば、圧倒的に賛成が多い事柄について「反対」の側にも「賛成」と同等の紙面を充てるのは優遇しすぎだとの意見もあるでしょう。
一方、新聞部が少数意見でも注目に値すると判断したら、賛成よりもむしろ大きく扱うことが正しいという考え方は十分説得力があるのでは?
かつての学校新聞では、賛成と反対の主張を紙面上でも同等の扱いにするのが<中立>を保つ上で適切だとされていたことがありました。(今でもあると思われます。)
しかし、たとえば、圧倒的に賛成が多い事柄について「反対」の側にも「賛成」と同等の紙面を充てるのは優遇しすぎだとの意見もあるでしょう。
一方、新聞部が少数意見でも注目に値すると判断したら、賛成よりもむしろ大きく扱うことが正しいという考え方は十分説得力があるのでは?
それ以前に、そもそも<中立>を判定するモノサシなどあるのでしょうか?
意見が分かれる案件について新聞部員たちが関係諸方面に取材し、人々の話を聞いたりもし、部内で十分話し合った上で「賛成」「反対」の一方を支持すると決めたらそれを非難する理由はありません。(もちろん相手側の意見もきちんと紹介した上で。)
7.同じ記事内容でも、見出しのつけ方で読者の印象は大きく異なる
同じ野球の記事でも「スポーツ報知」は「巨人、まさかの逆転負け」で「デイリースポーツ」は「阪神、奇跡の大逆転サヨナラ」。これは親会社や読者層から当然。
しかし全く同じ本文記事につける見出しも新聞部員によって違いが出てきます。その記事のキモは何なのか? 各部員の価値観の違いだけでなく、場合によってはここにも新聞部の<姿勢>が表れたりします。
それ以前に、焦点がはっきりした記事を書くことが肝心ですが・・・。
8.同じニュース素材でも、新聞部や記者の<立ち位置>が表れる記事の文体
5W1Hはたしかに基本。しかし、いつも「○月○日□□で△△が行われた」という書き方をすればいいというものではありません。
次の[A]~[C]を比べてみましょう。
[A]7月13日午後1時30分から□□球場で開かれた○○大会1回戦で、本校△△部は××高校を5対0で破って2回戦に進んだ。
[B]本校△△部が5対0で快勝した。7月13日午後1時30分から□□球場で開かれた○○大会1回戦。ゲームセットの瞬間、観客席からは大きな歓声があがった。
[C]うわー、やったー! 昨日7月13日の○○大会1回戦。実は内心負けそうだなと思ってたけど、なんと、本校△△部は××高に5対0で勝っちゃいました!!
[A]は客観的で、必要な事柄がきちんと書かれていますが、無味乾燥。
[A]7月13日午後1時30分から□□球場で開かれた○○大会1回戦で、本校△△部は××高校を5対0で破って2回戦に進んだ。
[B]本校△△部が5対0で快勝した。7月13日午後1時30分から□□球場で開かれた○○大会1回戦。ゲームセットの瞬間、観客席からは大きな歓声があがった。
[C]うわー、やったー! 昨日7月13日の○○大会1回戦。実は内心負けそうだなと思ってたけど、なんと、本校△△部は××高に5対0で勝っちゃいました!!
[A]は客観的で、必要な事柄がきちんと書かれていますが、無味乾燥。
[B]は客観的な書き方ですが、「勝ってうれしい」という雰囲気を漂わせています。
[C]は感情丸出しで、報道文としては全然ダメですが、記事の種類によってはこういう書き方が読者にとっては親しみやすいかも。逆にいえば、このような文体に合うような記事もあった方がいいのでは?
9.ある出来事を伝える記事で、たくさんの写真の中からどれを選ぶ?
たとえば野球部の試合。勝利の瞬間の選手たち・決勝打・ファインプレー・選手のインタビュー・応援のようす等々。
写真は記事の付け足しではありません。インパクトの強い写真はそれだけで読者を引きつけ、その記事や紙面の印象を決定づけることもあります。
撮る時には紙面のことも考えて右向き左向き、横長縦長、そして遠近等々、いろんなアングルと距離で撮っておくこと。
また100枚撮った写真の中から1枚選ぶとしたらどれを選びますか? 2枚なら? 撮り方がまず大切ですが、選ぶ時も入念に。
10.同じ人物の写真でも、背景やアングル等で全然印象が違う
新年度最初の学校新聞でよく見る新しい先生の紹介記事。しかし写真が証明書の写真(あるいは指名手配の写真?)のようになっていませんか?
たとえば、選挙用のポスター等に用いる政治家の写真を考えてみましょう。候補者が商店街で笑いながら店の人と話している写真だと「庶民的」に見えます。背景が書斎の本棚だと「知的」に見えます。決然とした表情でこぶしを握って演説している姿を下から見上げるアングルで撮ると「決断力」のある「信念」の持ち主のように見えます。
新年度最初の学校新聞でよく見る新しい先生の紹介記事。しかし写真が証明書の写真(あるいは指名手配の写真?)のようになっていませんか?
たとえば、選挙用のポスター等に用いる政治家の写真を考えてみましょう。候補者が商店街で笑いながら店の人と話している写真だと「庶民的」に見えます。背景が書斎の本棚だと「知的」に見えます。決然とした表情でこぶしを握って演説している姿を下から見上げるアングルで撮ると「決断力」のある「信念」の持ち主のように見えます。
選挙や商品宣伝用のポスターは当然それを念頭に置いて作成しますが、学校新聞では単に「顔がわかる」程度の顔写真が多く、無意識のうちに読者に「特定の印象」を与えてしまうこともありそうなので配慮が必要です。
少なくとも、先生方の人間性がうかがわれるような表情豊かな写真を撮ってほしいものです。
なお、<型通り>といえば写真だけでなく先生方への質問項目も同様。「①教科②前任校③趣味・・・」等々あらかじめ用意した問いに対する答えを書いてもらうだけでは全然つまらない。趣味が「登山」ならこれまでどんな山に登ったか?とか、「落語」ならどんな噺がオススメか?とか、先生の返答からさらに話題を広げていくと、先生と記者生徒の間の相互理解にもつながり、気持ちのよい時間を過ごせることになるでしょう。