ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [7月21日(金)~7月23日(日)]

2017-07-26 13:50:50 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▶韓国で評論家・記者の評価が高かった「ありがとう、トニ・エルドマン」を観てきました。<ぴあ映画生活>のレビュー(→コチラ)は好意的なものが多いようですが、それはたぶん娘の側に感情移入して観るからであって、年老いた父親に年齢の近い私ヌルボとしては自分も自覚がないままにあのようにウザったい存在になっているかもと、他人事とは思えず、同情・共感・ウンザリ感等々が入り混じったヘンな感想を抱かざるを得ませんでした。(やれやれ。)

▶先々週にも書きましたが、シネマート新宿で7月22日から<ハートアンドハーツ・コリアン・フィルムウィーク>が始まっています(~8月11日)。上映される4作品「空と風と星の詩人 〜尹東柱の生涯〜」「あの人に逢えるまで」「バッカス・レディ」「春の夢」のうち私ヌルボが唯一観た「空と風と星の詩人 〜尹東柱の生涯〜」は一部フィクションの部分(女性が登場する場面)や誇張部分(立教大での髪型統制をめぐるエピソード)、不確かな部分(獄死に至る過程)はあるものの、概ね史実に基づいていて、その点は物語の骨格部分からフィクションになってしまっている「ラスト・プリンセス-大韓帝国最後の皇女-」とははるかに信頼度が高く、オススメできる作品です。なお、個人的にはベテラン女優ユン・ヨジョン先生が年配男性相手の「殺してくれる女」(原題)を演じる社会問題の一側面を描いた「バッカス・レディ」(=高齢者向けの売春婦)に期待しています。(今週中に観に行くつもり。) ※詳細は→公式サイトで。

▶韓国映画今夏の期待作7月26日公開の「軍艦島」(ファン・ジョンミン主演)と8月2日公開の「タクシー運転手」(ソン・ガンホ主演)について「対照的な集客戦略に注目」という記事が7月23日付「朝鮮日報(日本語版)」にありました。(→コチラ。) 内容等も簡単に書かれています。私ヌルボ、記事冒頭の「7末8初」は初めて知りました。韓国映画界で、劇場街のかき入れ時の7月最終週と8月第1週を指す言葉だそうです。
 また、同じ「朝鮮日報(日本語版)」(7月21日付)(→コチラ)には、「軍艦島」に描かれた<史実>の真偽についてやや批判的な論調で書かれています。
    
「朝鮮日報」4月28日掲載の「封切映画 ぴったり10字評」 (ハングル文も訳文も10字です。)
 「ダンケルク」
  完璧な構成・・・‘人’がいない ★★★☆
 「フランツ」
  時代物で再起した監督 ★★★
 「ザ・ラスト・ワード」
  訃報を喜劇に逆転する ★★☆
 「海底47m」
  ホラーファンに贈り物 ★★☆
 4作品とも下の記事中で紹介しています。

         ★★★ NAVERの人気順位(7月25日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
             ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。

①(3) ファーミング・ボーイズ(韓国)  9,51(51)
②(1) 風の踊り手(韓国)  9.51(49)
③(-) 100メートル  9.46(13)
④(4) ミス・サイゴン:25周年記念公演 in ロンドン  9.40(215)
⑤(6) KING OF PRISM -PRIDE the HERO-(日本)  9.29(448)
⑥(5) モーディー  9.24(611)
⑦(8) 徐舒平(ソ・ソピョン)、ゆっくり穏やかに(韓国)  9.23(522)
⑧(7) フリップ/反転  9.17(1,453)
⑨(-) オール・リブ、オリーブ(韓国)  9.15(13)
⑩(9) ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣  9.14(651)

 ③⑨の2作品が今回の新登場です。
 ③「100メートル」は実話に基づいたスペインのヒューマンドラマ。広告会社社員という職業人としても妻や子供と暮らす家庭人としても順調に歩んで来たはずのラモンの人生は、ある日急に動けなくなり、病院にかけ込んでから大きく変わります。診断の結果は多発性硬化症。30代という若さなのに「100メートルも歩けなくなる」と宣告されます。思いがけない病で職を失い、一度は絶望しかけた彼はある時トライアスロンに出場することを決意し、義父と共にとトレーニングを始めます。目標は優勝ではなく完走。感動モノとはいっても、気難しい義父との世代間のミゾ等の描き方がユーモラスで、コメディーの要素もあるとのこと。韓国題は「100미터」。日本では最近話題の→<Netflix>で配信がありますが、劇場公開はない、のかな?
 ⑨「オール・リブ、オリーブ」は、非転向長期囚とその送還運動をテーマにしたドキュメンタリー「送還日記」(キム・ドンウォン監督)で撮影を担当するなど、これまで多くの被抑圧者の視点に立ったドキュメンタリー制作に関わってきたキム・テイルが監督として撮ったドキュメンタリーです。パレスチナに住んでいるウィズダン一家はとても大変な日々を送っています。オリーブ栽培しながら故郷の地に帰れる日だけを心待ちにしているマテルとムンタル夫婦や、3人の息子を全て失い、難民キャンプで70年以上も暮らしているムハンマドじいさん、小さな平和のために抵抗した友人たちを皆失った青年アリの日常も同じ。不安な中で土地を守ろうとする彼らの努力は絶え間なく続くのですが・・・。原題は「올 리브 올리브」で英題は「All Live, Olive」。なるほど、ハングル表記だと分かち書きをするかしないかの違いだけ。

     【記者・評論家による順位】
             
①(1) 風の踊り手(韓国)  10.00(1)
②(-) ダンケルク  8.50(8)
③(2) ラ・ラ・ランド  8.34(14)
④(3) エル ELLE  8.00(8)
⑤(4) はじまりへの旅  7.50(9)
⑥(5) アメリカン・ハニー  7.50(6)
⑦(6) 老後の対策がない(韓国)  7.50(4)
⑧(7) オクジャ(韓国・アメリカ)  7,25(12)
⑨(8) ゲット・アウト  7.17(6)
⑩(10) エイリアン:コヴェナント  7.13(8)

 ②「ダンケルク」が今回の新登場ですが、この作品については後述します。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績7月21日(金)~7月23日(日) ★★★

         期待の大作「ダンケルク」が新登場で1位に

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(新)・・ダンケルク ・・・・・・・・・・・・・・・・7/20 ・・・・・・・・・1,119,036 ・・・・・・・・・1,349,248・・・・・・・・11,645 ・・・・・・・1,245
2(1)・・スパイダーマン ・・・・・・・・・・・・・7/05・・・・・・・・・・・533,723 ・・・・・・・・・6,854,107・・・・・・・・56,053 ・・・・・・・・・918
        :ホームカミング
3(31)・・海底47m・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7/19 ・・・・・・・・・・301,512・・・・・・・・・・・439,740・・・・・・・・・3,555 ・・・・・・・・・733
4(29)・・映画クレヨンしんちゃん 襲来!!・・7/20 ・・・・・・・128,422・・・・・・・・・・・137,901・・・・・・・・・1,041 ・・・・・・・・・547
        宇宙人シリリ(日本)
5(2)・・カーズ/クロスロード・・・・・・・・7/13・・・・・・・・・・・106,839 ・・・・・・・・・・・431,998・・・・・・・・・3,212 ・・・・・・・・・537
6(4)・・フリップ/反転・・・・・・・・・・・・・・7/12 ・・・・・・・・・・・・63,571・・・・・・・・・・・267,915・・・・・・・・・2,153 ・・・・・・・・・211
7(25)・・オズ:不思議な魔法の粉 ・・・7/20 ・・・・・・・・・・・・44,113・・・・・・・・・・・・54,849・・・・・・・・・・・408 ・・・・・・・・・342
8(3)・・朴烈(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・・6/28 ・・・・・・・・・・・・38,006 ・・・・・・・・・2,338,262 ・・・・・・・17,959 ・・・・・・・・・385
9(5)・・モーディー・・・・・・・・・・・・・・・・・・7/12 ・・・・・・・・・・・・34,607・・・・・・・・・・・169,187・・・・・・・・・1,337 ・・・・・・・・・187
10(60)・・ウィッシュ・アポン ・・・・・・・・・7/20 ・・・・・・・・・・・・31,657・・・・・・・・・・・・41,819・・・・・・・・・・・335 ・・・・・・・・・279
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 大方の予測通り「ダンケルク」が1位の座に。一方韓国映画はずっと孤軍奮闘の感がある「朴烈」だけになってしまいました。
 今回の新登場は1・3・4・7・10位の5作品です。
 1位「ダンケルク」は、クリストファー・ノーラン監督が第2次大戦初期(1940年5~6月)のダンケルクの戦いを描いた英・仏・米・オランダ4カ国合作の大作。ドイツ軍の電撃戦でフランスのダンケルクに追いつめられた35万人もの英・仏の兵士たちを救出するために陸・海・空それぞれが必死の作戦を展開します・・・。同じ第2次大戦でもノルマンディー上陸作戦(※「史上最大の作戦」(1962))ではなく、ダンケルクに焦点を当てるというのが現代的な視点ということかも。韓国題は「덩케르크」。日本公開は9月9日、公式サイトは→コチラです。
 3位「海底47m」はアメリカのパニックシチュエーションスリラー。メキシコの太平洋沿岸で休暇を過ごすリサとケイトの姉妹は、思い出作りにとシャークケージダイビングをすることに。海に沈めた檻の中から野生のサメを鑑賞するというものですが、楽しかったのは最初だけ。2人を乗せた檻のワイヤーが突然切れ、あっという間に47mの海底に沈んでしまいます。人食いサメの群れに囲まれる恐怖だけでなく、酸素タンクの残り時間も刻々と・・・。韓国題は「47 미터」。日本公開は8月12日です。
 4位「映画クレヨンしんちゃん 襲来!! 宇宙人シリリ」)は韓国でも変わらぬ人気。わずか3ヵ月遅れの公開です。シリリはその名の通りお尻のような頭の宇宙人なのですが、韓国題は「극장판 짱구는 못말려 : 습격!! 외계인 덩덩이」。つまりお尻=엉덩이(オンドンイ)そのままではなく덩덩이(トンドンイ)と訳してます。それで<そんな感じ>になるのかな?
 7位「オズ:不思議な魔法の粉」(仮)はロシアのアニメ。世界各国で訳されている「オズの魔法使い」はロシアでも人気。内容を見ると、これはそのスピンオフといった話かな? ある日ドロシーは、こっそり入ったおばあちゃんの部屋で魔法の靴を発見します。靴を3回たたくと、不時着したのは童話の中の世界エメラルドシティ。そこでは邪悪な大工オピンが命を吹き込む魔法の粉でエメラルドシティ征服をもくろんでいました。ドロシーと、かかし、ブリキの木こり、ライオンといったおなじみの顔ぶれは、はたしてエメラルドシティを無事に守れるでしょうか? 韓国題は「오즈: 신기한 마법가루」。日本公開はなさそうな感じ。
 10位「ウィッシュ・アポン」(仮)はアメリカのホラー。女子高生のクレア(ジョーイ・キング)が手に入れた中国製のオルゴールは父親が拾ってきたもので、「7つの願いを叶える」などと書かれています。クレアはそれを気にもしないで自分をイジメる女の子を「あんな子死ねばいいのに」と軽い呪いの言葉を口にしたら、なんとそれが現実に! その時はわからなかった彼女も、やがて願いが叶う度に周囲の親しい者が死んでしまうことに気づきます。ところが、もう彼女はそのオルゴールの虜になっていました・・・。有名なジェイコブズの短編小説「猿の手」と基本的に同じ発想ですが、何か現代的な新味はあるのかな? 韓国題は「위시 어폰」。日本公開はあるようですが詳細は不明。

【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・モーディー ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7/12・・・・・・・・・・・・34,607 ・・・・・・・・・・169,187 ・・・・・・・・・・・1,337・・・・・・・・・187
2(2)・・ナザレのイエスは神の子か?・・・7/13 ・・・・・・・・・・・・26,370 ・・・・・・・・・・106,368・・・・・・・・・・・・・768・・・・・・・・・139
3(65)・・ザ・ラスト・ワード・・・・・・・・・・・・・・・7/19・・・・・・・・・・・・14,397・・・・・・・・・・・・28,138・・・・・・・・・・・・・222・・・・・・・・・153
4(新)・・フランツ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7/20・・・・・・・・・・・・・3,699 ・・・・・・・・・・・・・5,484・・・・・・・・・・・・・・40・・・・・・・・・・47
5(新)・・伝説のボクサー ビクトル・ヤング・ペレス・・7/20 ・・2,104 ・・・・・・・・・・・・・4,110・・・・・・・・・・・・・・20・・・・・・・・・・・2

 3・4・5位が今回の新登場です。
 3位「ザ・ラスト・ワード」(仮)はシャーリー・マクレーンとアマンダ・サイフリッド共演のドラマ。自分勝手で何でも思い通りにしようとする80歳の女性企業家ハリエット(シャーリー・マクレーン) は、自分の死亡記事をあらかじめ自分の望むように記述させようと、地元新聞社の死亡記事専門記者アン(アマンダ・サイフリッド)を呼んで自分史を語ります。アンは彼女の本当の人生を書きたいのに・・・。ハリエットの気難しい性格にイラつくアンに対し、ハリエットは<完璧な死亡記事>のためには「故人は仲間たちの賞賛を受けなければならず・・・」等の4条件を提示します。一体これがどう収まりがつくのか・・・と思ったら、結局は感動のラストになるような・・・。シャーリー・マクレーンは1934年生まれ。83歳か、大したものだなー。またアマンダ・サイフリッドは本作品にも出演しているトーマス・サドスキーと結婚して今年3月に女の子を出産したとか。どんどんと時代が進んでいきます。韓国題は「내가 죽기 전에 가장 듣고 싶은 말(私が死ぬ前に一番聞きたい言葉」。日本公開は年内のようですが、詳細は不明。
 4位「フランツ」は、フランソワ・オゾン監督による仏・独合作のドラマ。舞台は第1次大戦直後のドイツの小さな村。主人公の女性アンナ(ポーラ・ビール)は戦争で婚約者だったフランツを亡くしますが、毎日彼の墓まいりを欠かしません。ある日彼女はその墓に花を供えている男性に気づきます。彼はフランツのパリ留学時代の友人だったアドリアン(ピエール・ニネ)というフランス人でした。彼はアンナが身を寄せているフランツの両親の家に訪ねてきたのです。以後アンナはアドリアンに心を開き、フランス人を忌避していたフランツの父親の気持ちも変わっていきます。ところが、この物語はそのまま単純なハッピーエンドには向かいません。アドリアンはある<重大な秘密>を抱えていたのです・・・。韓国題は「프란츠」。日本公開は10月のようです。
 5位「伝説のボクサー ビクトル・ヤング・ペレス」はブルガリア・フランス・イスラエル合作のドラマ。1929年に世界フライ級チャンピオンになったチュニジア出身のユダヤ人ボクサー、ビクトル・ヤング・ペレス(ブライム・アスロウム←彼も元世界チャンピオン)の伝記映画です。1929年、チュニスで負傷した兄の代わりに試合に出たのがきっかけでパリに渡ってジムに入り、人種差別を受けながらも世界チャンピオンに、という栄光の物語・・・ではありません。その後の恋愛のこととか、さらにはアウシュビッツ強制収容所に送られて、そこでの苛酷な仕打ちまでが描かれています・・・。韓国題は「빅터 영 페레즈」。フランス語放送の国際TVネットワークTV5MONDEの日本語字幕放送で放映されているのかな? 詳しくは→コチラと→コチラ参照。

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