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韓国内の映画の興行成績 [4月23日(金)~4月25日(日)]と人気順位 ►アカデミー賞作品賞はもっと娯楽性を重視してほしい! ►「シカゴ7裁判」と「ユダ&ブラック・メシア」の共通項

2021-04-29 18:05:00 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▶アカデミー賞の結果はほぼ予測の範囲内、と言っていいのかな? 作品賞の「ノマドランド」のクロエ・ジャオ監督は中国生まれ、「ミナリ」のリー・アイザック・チョン監督は韓国系移民2世。共にアジア人の血を引いていますが国籍はアメリカです。(「フェアウェル」のルル・ワン監督も中国生まれで米国籍。) こういう事例がめずらしくはなくなったんですね。ただ、ニュースによると最近米国でアジア系住民に対するヘイトクライムが増えているとのこと。アジア人としては必ずしも「よかったね」と喜んでばかりも言ってられない現実があります。・・・と、この件については(いつもの)毒にも薬にもならない言葉で止めておきます。
 韓国映画オタクとして助演女優賞を受賞したユン・ヨジョン先生にふれないわけにはいきません。受賞スピーチが話題になっていますが、日本語の記事では→コチラ、そして→コチラあたりが今のところ詳しく書かれています。このスピーチと、質問への当意即妙の受け答えをみると、彼女が<先生>とよばれる理由が決して「年長者だから」というだけのものではないことがよくわかります。
 アカデミー賞作品賞といえば、下記のように先日昨秋公開の「シカゴ7裁判」を観て来ました。また韓国では22日から「ユダ&ブラック・メシア」が公開されています。この2作品の共通項はどちらも作品賞にノミネートされたということ。また内容的には60年代末のベトナム反戦運動や黒人差別反対運動(公民権運動の延長)の実話に基づいた作品ということです。これは偶然なのか、あるいは今特に約半世紀前の民衆闘争に対する関心が高まっているということがあるのかはよくわかりませんが・・・。
 ※昨今のアカデミー賞作品賞はノミネート作品からしてほとんどが<何らかの社会的メッセージ>が込められている感じがします。今回もやっぱり、でした。前にも書きましたが、かつてのようにもっと娯楽性を重視して、多くの映画ファンをわくわくさせるような作品を選定してほしいものです。

▶この1週間で観た映画は次の4本です。
 ・「JUNK HEAD」★★★★ (個人が7年もかけて作ったというSFストップモーションアニメ。いやあ、すごい人がいるもんですね。中身もすごくユニーク。セリフは日本語でも英語でも何語でもなく字幕付。独自のその作品世界はグロいというかエグイというか・・・。とにかくこんなモノを作り上げた執念はビンビン感じた。ただ、すごいなーとは思ったからといって、それが心の奥深くを打つものがあるか否かということは別。)
 ・「あの頃。」★★★(先々週に観て気になっていた「街の上で」の今泉力哉監督の作品ということで観ることに。しかし同じ若者たちの群像劇といってもオトコばっかり7人(だっけ?)じゃなー(笑) 松坂桃李演じる剱がたまたまTVで松浦亜弥(ちょっと懐かしい)のCMを見たのをキッカケに<ハロオタ>(←初めて知った言葉)になってオタ友たちとのつき合いが始まって・・・となるのだが、「街の上で」の映画作りと比べると感情移入がむずかしいジャンルだし、準主役の仲野太賀の役柄がなんともウザったくて堪えがたいレベル。やっぱりそれぞれに魅力的な4人の新進女優をそろえた「街の上で」が格段に上。)
 ・「シカゴ7裁判」★★★★☆ (昨秋の公開以来観ようと思いながら今に至った。1968年ベトナム反戦運動が高まる中でのデモ隊と警察との衝突をめぐる裁判を描いた法廷映画。私ヌルボ、ただでさえ人の顔や名前を憶えるのが大の苦手で、最初の「被告は次の3グループに分けられ・・・」以下膨大な情報もすぐ理解できるはずもなくストーリーの展開についていくのがやっと。後で→コチラの記事等を読んでわかったことが多々。それでも被告たちの間の闘い方や法廷戦術の違い等考えさせられたし、当時の時代の空気が感じられ、やはり観てよかった。☆1つ分の減点は観た側のヌルボの理解力の問題。あと2回観たら★5つになりそう。なお川本三郎さんがキネ旬で昨年のベスト①に挙げ、「懐かしさと痛みなしに観ることは出来なかった」と記しているのは彼の過去の事情を考えるとわかるような気がします。)
 ・「別に、友達とかじゃない」★★★(「シカゴ7裁判」に続くアップリンク渋谷3本目。群馬県桐生市を舞台にした青春映画(かな?)。タイトル通り小学校も一緒だが<友達>とは言い難い卒業を迎えた女子高生3人が高校からの帰路たまたま一緒になり久しぶりに言葉を交わすが、話は今一つぎこちなく、進路のこと等のビミョーな話題ともなると各自どこまで話したらいいのやら・・・。「この町にはきらめくものも希望もなにもない」感は群馬とか栃木方面の高校生にはどれくらい一般的なんだろう? ふと思い出した栃木が舞台の「檸檬の頃」(2007)も同じ高3の話(榮倉奈々も谷村美月もまだ10代で)で好印象を持ったが、それと比べると人物造形と人間関係がちょっと不自然に感じられ、物語に入り込めなかった。将来の夢の話から相互の非難の応酬さらにはつかみ合いになったと思ったら、ポラロイドの前で並んで写真撮ったりとか・・・。39分という短い上映時間ではそこまで描き切れなかった? (料金は1,200円だったが。))
▶上記のように4月26日(月)今年2度目の「アップリンク渋谷」(右画像)に行って3本まとめて鑑賞。5月20日をもって閉館とのこと。1995年開館ということは、もう四半世紀になるのか・・・。「南部軍」と「南営洞1985」という観る機会のなさそうな韓国映画も観られたし、見逃していた作品を上映しているので助かったことも何度かありました。やはりコロナ禍が閉館の大きな要因のようです。アップリンク吉祥寺と京都は今後も継続とのことですが、ミニシアター愛好者としてはアップリンクに限らず厳しい状況をがんばって乗り越えていってほしいと願っています。

▶韓国・北朝鮮関係映画上映情報
 ・「トゥルーノース」(公式サイト)は6月4日公開。横浜生まれで在日4世(日本国籍)の清水ハン栄治監督が制作した日本・インドネシア合作アニメ。帰国事業で北朝鮮に渡った在日朝鮮人の悲劇の物語。※私ヌルボは昨年の東京国際映画祭で鑑賞。ぜひ多くの人に観てほしい作品です。
 ・韓国で4月15日から公開されているコン・ユとパク・ポゴム主演の「徐福」「SEOBOK/ソボク」の邦題で7月16日公開。(詳細は→コチラ。)

▶神奈川県人なのにまだ行ったことがない鎌倉市川喜多映画記念館(→公式サイト)。6月20日まで「アンコール:企画展「映画ポスターの革命:ATG〔アート・シアター・ギルド]の挑戦〕というのをやっているのか。「日本映画名優(バイプレイヤーズ)列伝」という企画展も? 近いうち行楽を兼ねて行ってみませう。

         ★★★ NAVERの人気順位(4月27日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
  ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。
        「初登場」とは、本ブログでの初登場の意。

①(新) スプリング・ソング(韓国)  9.65(26)
②(1) 復活(韓国)  9.48(125)
③(4) 詩を読む時間(韓国)  9.38(13)
④(6) 劇場版「鬼滅の刃」無限列車編(日本)  9.31(11,212)
⑤(7) ソウルフル・ワールド  9.30(9,667)
⑥(9) 玆山魚譜(韓国)  9.29(1,827)
⑦(新) ザ・ピーナッツバター・ファルコン  9.21(33)
⑧(-) ラーヤと龍の王国  9.15(1,644)
⑨(-) 名探偵コナン 緋色の弾丸(日本)  9.03(577)
⑩(-) ジョゼと虎と魚たち(日本)  9.27(33)

 ①と⑦の2作品が新登場です。
 ①「スプリング・ソング」は韓国のドラマ&ミュージカル。冬が終わるのを待っていたある日、ジュンサン(ユ・ジュンサン)は新曲を準備していたバンドメンバー、ジュヌァ(イ・ジュヌァ)にミュージックビデオの制作を提案します。「俺たち、春の歌を作ろう!」。ジュンサンはたまたま観た映画を思い出し、撮影地からコンテ、セリフまで即興で決めることになります。日本の俳優アキノリ(中川晃教)と韓国の俳優ソジン(キム・ソジン)、そしてスヌォン(チョン・スヌォン)まで、ジュンサンの唐突な計画ひとつで集まることになります。十分心の動くままにひとつになった4人の男女アーティストたち。はたしてこの曲で春と出会えるでしょうか・・・。原題は「스프링 송」です。
 ⑦「ザ・ピーナッツバター・ファルコン」はアメリカのドラマ。日本では2020年2月に公開されています。韓国題は「피넛 버터 팔콘」です。

     【記者・評論家による順位】

①(1) ソウルフル・ワールド  8.44(9)
②(2) Mank/マンク  8.14(7)
③(3) ノマドランド  8.00(8)
④(4) スパイの妻(日本)  8.00(5)
⑤(5) 夏時間[ハラボジの家](韓国)  7.83(12)
⑥(6) ミナリ  7.58(12)
⑦(新) ユダ&ブラック・メシア  7.20(5)
⑧(9) TENET テネット  7.18(11)
⑨(10) 本当に遠いところ(韓国)  7.14(7)
⑩(-) ファーザー  7.13(8)

 ③「ユダ&ブラック・メシア」が新登場です。アメリカのドラマで、今回のアカデミー賞で作品賞にノミネートされた作品です。またダニエル・カルーヤは助演男優賞を受賞しました。物語は1966年のシカゴから始まります。17歳のウィリアム・オニール(ラキース・スタンフィールド)は警官になりすまして自動車を乗っ取ろうとした容疑で逮捕されます。そんな彼に対し、FBIのロイ・ミッチェル特別捜査官(ジェシー・プレモンス)が取引を持ちかけます。「もし君がブラックパンサー党のイリノイ州支部に潜入してFBIの捜査に協力してくれたら、今回の1件はなかったことにしよう」。刑務所に入りたくなかったオニールは取引に応じます。この背景には、FBI局長J・エドガー・フーバーによる反体制的な政治勢力の監視・情報活動の強化方針がありました。その主要なターゲットが黒人たちによる公民権運動で、フーバーはその指導者を<ブラック・メシア>と規定し、その無力化を図ったのです。当時ブラックパンサー党イリノイ州支部長だったフレッド・ハンプトン(ダニエル・カルーヤ)はまさにその<ブラック・メシア>でした。彼は敵対していたギャングと和解し、黒人以外のマイノリティをも運動に取り込み、また貧困層の子供に無料の朝食を提供する等々の方策によって支持を拡大しつつありました。入党したオニールは徐々にハンプトンの信頼を得て、ついには彼の警護を命じられます。そして得た情報をミッチェルに流し、報奨金を受け取ります。ところが、ハンプトンの行動を間近で見ているうちに、オニールは自分のやっていることに対する疑念が膨らみます。「ハンプトンは本当に「人々の安全を脅かす悪人」なのか」と・・・。そんな中、党の事務所で市警と党員の間で銃撃戦が発生し、オニールの立場はさらに苦しくなります。そして1969年12月、ついに決定的な出来事が起こります・・・。韓国題は「유다 그리고 블랙 메시아」。日本公開は未定のようです。フツーに考えれば公開しないわけはないと思いますが・・・。えっ、今夏レンタルリリース予定だって!?(ホンマか?)

 ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績4月23日(金)~4月25日(日) ★★★
       新登場の韓国映画「明日の記憶」に続き、ねばる「劇場版「鬼滅の刃」 無限列車編」が2位

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・上映館数
1(48)・・明日の記憶(韓国)・・・・・・・・・・・4/21 ・・・101,662 ・・・・・・・136,066 ・・・・・・1,222 ・・・・・・957
2(3)・・劇場版「鬼滅の刃」・・・・・・・・・・・・1/27 ・・・・94,505 ・・・・・1,822,474 ・・・・・17,577 ・・・・・・642
       無限列車編(日本)
3(1)・・徐福(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・・4/15 ・・・・60,822 ・・・・・・・331,387 ・・・・・・3,151 ・・・・・・902
4(2)・・名探偵コナン 緋色の弾丸(日本)・・4/16・・78,703 ・・・・・・・・78,703 ・・・・・・・・752 ・・・・・・844
5(8)・・ミナリ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/03・・・・12,636・・・・・・・・939,376 ・・・・・・8,504 ・・・・・・290
6(5)・・玆山魚譜(韓国)・・・・・・・・・・・・・・3/31 ・・・・11,482 ・・・・・・・323,701 ・・・・・・2,870 ・・・・・・445
7(4)・・Mr.ノーバディ・・・・・・・・・・・・・・・4/07 ・・・・・7,758 ・・・・・・・129,310 ・・・・・・1,234 ・・・・・・326
8(6)・・ゴジラvsコング ・・・・・・・・・・・・・3/25 ・・・・・6,536 ・・・・・・・698,084 ・・・・・・6,722 ・・・・・・263
9(9)・・ノマドランド ・・・・・・・・・・・・・・・4/15 ・・・・・6,281・・・・・・・・・28,425 ・・・・・・・・274 ・・・・・・154
10(7)・・大人たちは知らない(韓国)・・・4/15 ・・・・・5,501・・・・・・・・・26,848 ・・・・・・・・262 ・・・・・・157
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 新登場は1位「明日の記憶」だけです。(これは珍しい! たぶん12年前のブログ開設以来かも。) 事故で記憶を失ったまま目が覚めたスジン(ソ・イェジ)の横には、優しい夫ジフン(キム・ガンウ)が注意深く彼女の面倒をみています。そして家に帰ってきた後、顔を合わせた近所の人たちの危険な未来が見え始め、スジンは混乱に陥ります。そんなある日、道で会った昔の職場の同僚はスジンのことを心配してジフンに対し信じがたいことを言い、ちょうど発見した写真の中の夫の席にはジフンではなく別の男がいます。さらに悪いことに、スジンは誰だかわからない男が自分を脅かす幻影に苛まれるのですが・・・。原題は「내일의 기억」です。

【独立・芸術映画】
順位・・・・題名 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・・累積収入・・上映館数
1(2)・・ミナリ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/03・・・・・12,636・・・・・・・・・939,376 ・・・・・・8,504 ・・・・・・290
2(1)・・大人たちは知らない(韓国)・・・・・・4/15 ・・・・・・5,501・・・・・・・・・・26,848 ・・・・・・・・262 ・・・・・・157
3(22)・・羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来・・・4/22・・・・・・2,216 ・・・・・・・・・・・3,719・・・・・・・・・・35 ・・・・・・127
4(3)・・ファーザー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4/07 ・・・・・・2,130・・・・・・・・・・33,712 ・・・・・・・・290 ・・・・・・・76
5(4)・・レ・ミゼラブル・・・・・・・・・・・・・・・・・4/15 ・・・・・・1,389・・・・・・・・・・・7,739・・・・・・・・・・64 ・・・・・・・57

 3位「羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来」が新登場です。中国のアニメ。主人公の羅小黒[ロシャオヘイ]はネコの妖精、といっても円い目がすごくデカくてネコとは見えないかも。日本では2019年11月に公開されています。韓国題は「나소흑전기: 첫만남편」です。

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2 コメント

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Unknown (yab)
2021-05-02 09:42:23
谷村美月は好きな女優の一人です。
「檸檬のころ」と今とでそんなに雰囲気が変わっていない気がしますね。

ところで、以前ブログで取り上げていた「狼をさがして」をご覧になられましたでしょうか?
ちょうど同時期に公開された、
羽田闘争「10・8」をテーマとした学生運動の伝記映画「きみが死んだあとで」とリンクさせた興味深い記事があったので、紹介しておきます。
この映画もヌルボさんならチェックしているでしょうから、ぜひとも感想を聞きたいところです。

https://www.jiji.com/jc/v4?id=20210421kimiokami0001
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大変遅くなってすみませんでした。 (ヌルボ)
2021-05-29 02:07:53
 5月2日に「狼をさがして」、5月16日に「きみが死んだあとで」を観ました。それぞれ以下の記事で感想・意見と個人的な思い出等を書きました。
https://blog.goo.ne.jp/dalpaengi/e/c8bd022c571f5c72245bad6d497c67b4
https://blog.goo.ne.jp/dalpaengi/e/462dd51000be396230c3c3534a2e3ab8
 リンク先の記事の主旨については「ほぼ」同感。ただ「全共闘世代には次世代に渡すべきバトンを過激化や内ゲバで血塗られたものにしてしまった『原罪』がある」というのは解せません。
 「狼をさがして」について。監督が「企業に対して戦争責任を問うたという動機に関心を持った」と言うのなら、現在の(日本・韓国も含む)世界の軍需産業を問題にしてほしいものです。※「性奴隷」問題も同様。今多くの「性奴隷」を生み出している北朝鮮、中国は日本を非難できる味方ではありません。
 松下竜一「狼煙を見よ」は興味深く読みました。大道寺あや子は今どこでどうしているのか? 山﨑博昭も含めて、皆ワタシと同学年です。
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