ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画の興行成績 [10月21日(金)~10月23日(日)]と人気順位 ►「RRR」、やっぱりインド映画にハズレなし!) ►キネコ国際映画祭で5日(土)韓国アニメ「テイル」鑑賞予定

2022-10-30 22:24:48 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
※日付要確認! 1週前の週末のデータです!

▶相変わらずトホホの日々が続いています。自宅内で行方不明中のスマホは見つからないままだし、この際と決意して部屋の片付けに着手して貴重な物を多々再発見したのはいいとして、他にも優先好きことが山積して映画鑑賞本数は9月4本、10月3本と激減。元気を出そうと26日夜インド映画にハズレなし!の信念に従って「RRR」を観に行ったら約500席もあるのに観客はその100分の1とは! 映画の方はたしかに面白かったのに館内も夜の街も寂しかったなー。その翌日以降は他のシネコンで「RRR」の上映が始まってIMAXの映画館もいくつもあるのでちょっと肩透かしを食らった感がありました。
 そして一番のトホホは韓国文化院主催の<コリアン・シネマ・ウィーク2022>の申込を逃したこと。申込締切の期日が10月23日(日)だったのに別件で忙しいさなかで、ふと思い出して韓国文化院のHPを見たのが24日。9月の<大阪韓国映画祭>(→コチラ)も行けず悔しい思いをしたのに・・・。
 どちらも日本では一般劇場公開が期待できない独立系の小ぢんまりとした作品が多いだけに残念としか言いようがありません。トホホ・・・。
 そんな中、本ブログでは韓国題そのまま「犯罪都市2」というタイトルで書いてきた作品の邦題が「犯罪都市 THE ROUNDUP」と決まって公開も今や目前の11月3日となっているではないですか! うーむ、情報キャッチも遅くなってるかな? そしてその日のマ・ドンソクの舞台挨拶のチケットは9月26日瞬間売り切れだったそうな。なんか世間はも上がってるなー・・・。
 ・・・と、いじけてばかりではそのままジリ貧になるばかりなので気を取り直して韓国映画情報を検索したところ<キネコ国際映画祭>(→公式サイト)が11月3~5日二子玉川で開催とのことで、その中で本記事でも→コチラの記事で紹介した「テイル」という韓国アニメが「チョン・テイル~燃ゆる炎~」というタイトルで上映されるではないですか! 1970年東大門・平和市場前で焼身自殺を遂げた労働運動家・チョン・テイル(全泰壱)の伝記で、彼の死はその後韓国社会に大きな影響を及ぼしました。1995年の実写映画「美しき青年 全泰壱」も観ていない私ヌルボとしてはぜひ観なければ、ということでさっそくチケットを予約しました。ただし11月5日(土)109シネマズ二子玉川で16:45~の1回のみです。チケット予約は→コチラから。まだ空席はた~くさんあります。

▶今回の記事中で注目の外国映画は、日本映画で在日韓国人のヤン・ヨンヒ監督によるドキュメンタリー「スープとイデオロギー」です。私ヌルボ、7月にシネマ・ジャック&ベティで観ました。監督のオモニ(お母さん)は15歳の時に大阪で空襲に遭い、両親の出身地である済州島に疎開しました。そして18歳の時にこの済州島では四・三事件(→ウィキペディア)を経験しました。李承晩等の反共勢力による島民の大量虐殺事件で、長く国民にはその事実は知らされませんでした。この事件で婚約者を亡くしたオモニは日本へ逃げ戻って来ましたが、その話を監督が聞いたのは最近のことだったそうです。「ディア・ピョンヤン」(2005)で描かれたように両親が3人の兄を帰還事業で北朝鮮に送ったのはそんな個人的な背景があったのですね。そして監督は2018年にオモニと一緒に済州四・三事件70周年追悼式に参列し、北朝鮮を支持するオモニを責め続けてきたことを後悔します。
 こうしたドキュメンタリーを観ると、個人史、家族史が、朝鮮史、日本史や民族史と直結していることを実感します。在日韓国・朝鮮人の場合はとくに・・・。※早稲田松竹では11月26日(土)~12月2日(金)上映されます。

▶今回の記事中で注目の韓国映画は「私を殺して」です。ギクッとするようなタイトルですが、カナダの劇作家ブラッド・フレイザーの演劇「Kill Me Now」の映画化作品で、世界中で広く上演され、韓国でも2016年の初演の後19年まで3回にわたって上演されてきました。(日本では上演されていない。) その舞台で主演したチャン・ヒョンソンが映画にも出演しています。ただ本作では演劇と異なり、物語の舞台は韓国で登場人物は韓国人に設定されています。下の記事に記したように身体障碍を持って産まれた息子のために自身の才能の可能性を封印して日々を過ごしている父親がある日予期しない事故で体に異常が生じ・・・という深刻な内容ですが、韓国で16年実際に演劇「Kill Me Now」をご覧になった方のブログ記事(→コチラ)によると「前半は結構笑えるところがあり、ほのぼのとした感じなのですが、後半は一気に重くなります。ラストは会場全体が涙の渦で、隣に座っていた男の人も号泣していて、私はそちらに驚いて涙が引っ込んだくらいです」とのことでした。それにしても韓流ファンの皆さんの情報力・行動力は恐るべきものがありますね。
▶個人的に注目した韓国映画は「昼と月」です。死別した夫が住みたがっていた済州島に引っ越しした女性がその近所に暮らす子持ちの未婚女性と親しくなりますが、その後彼女が実は亡夫の初恋の人だったことを知って・・・という話。詳しくは記事の最末尾を読んでみて下さい。作品としての評価はよくわかりませんが、いろんなことを考えさせられました。主演のユ・ダイン(右画像・下)は10年前に「短い記憶(ヘファ、ドン)」を観に行った時舞台挨拶で来場していましたが、清楚な感じで好印象を持ちました。(当時28歳?) そのミン・ヨングン監督と昨年結婚、来年出産予定とか。過ぎてみれば10年も早いものです。とくにトシヨリには・・・。けほけほ。※右画像上は亡夫の初恋の女性役のチョ・ウンジ




    ★★★ NAVERの人気順位(10月26日(水)現在上映中映画) ★★★
      ※[記者・評論家による順位]とも①など右の( )は前週の順位。評点の後の( )は採点者数。
       初公開から1年以内の作品が対象。「初登場」とは本ブログでの初登場。

     【ネチズンによる順位】 

①(新) スープとイデオロギー(日本)  9.88(24)
②(1) トップガン マーヴェリック  9.76(42,220)
③(新) 私を殺して(韓国)  9.59(71)
④(-) モア(韓国)  9.41(232)
⑤(-) アナタの顔(韓国)  9.39(158)
⑥(3) SING/シング:ネクストステージ  9.39(2,823)
⑦(4) 映画クレヨンしんちゃん 謎メキ! 花の天カス学園(日本)  9.36(1,106)
⑧(5) 詩人の歌、チョン・テチュン(韓国)  9.35(150)
⑨(新) ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破(日本)  9.31(13)
⑩(7) 人生は美しい(韓国)  9.24(6,763)

 ①③⑨の3作品が新登場です。
 ①「スープとイデオロギー」はヤン・ヨンヒ監督によるドキュメンタリー。冒頭にいろいろ記しました。韓国題は「수프와 이데올로기」です。
 ③「私を殺して」は、上述のようにブラッド・フレイザーの演劇「Kill Me Now」の映画化作品です。
 40代の男性チャン・ミンソク(チャン・ヒョンソン)は嘱望された作家でしたが、現在は母と妻を失い、先天性の身体障碍を持った息子ヒョンジェ(アン・スンギュン)の世話をして日々を過ごしています。17歳になったヒョンジェは少年から成人になる時期になり、友人で先天性の精神障碍があるギチョル(ヤン・ヒジュン)と独立を夢見ますが父ミンソクとの間に葛藤が生じます。そんなある日、予期しない事故でミンソクの体に異常が生じたことを知り、ヒョンジェと家族の日常が変化していきます・・・。原題は「나를 죽여줘」です。
 ⑨「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」は例によって私ヌルボは観てなくて語る資格がないもので説明は省略します。韓国題は「에반게리온 신극장판 : 파」です。

     【記者・評論家による順位】 

①(1) 別れる決心(韓国)  8.71(14)
②(2) トップガン マーヴェリック  8.44(9)
③(3) ファースト・カウ  8.40(10)
④(5) エブリシング・エブリホエア・オール・アット・ワンス  8.33(9)
⑤(4) 2次送還(韓国)  8.20(5)
⑥(6) 私は最悪。  8.00(9)
⑦(-) 小説家の映画(韓国)  8.00(3)
⑧(7) アフター・ヤン  7.80(5)
⑨(8) #AfterMeToo(韓国)  7.67(3)
⑩(10) シン・エヴァンゲリオン劇場版(日本)  7.50(2)

 新登場の作品はありません。

   ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績10月21日(金)~10月23日(日) ★★★

           日本でも12月2日公開の「ブラックアダム」が初登場1位         
                       
【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・上映館数
1(新)・・ブラックアダム・・・・・・・10/19・・・・・・313,327・・・・・・・427,970 ・・・・・・4,492 ・・・1,524
2(1)・・人生は美しい(韓国) ・・・・・9/28 ・・・・・・84,816・・・・・・・980,894・・・・・・・9,231・・・・・808
3(2)・・共助2・・・・・・・・・・・・・・・・・・9/07・・・・・・・70,055・・・・・6,894,531・・・・・・70,266・・・・・666
       :インターナショナル(韓国)
4(3)・・映画クレヨンしんちゃん・・9/28 ・・・・・・62,301 ・・・・・・638,078・・・・・・・6,397 ・・・・・660
       謎メキ! 花の天カス学園(日本)
5(6)・・エブリシング・エブリホエア・・10/12・・・38,517 ・・・・・・114,503 ・・・・・・1,220 ・・・・・425
       ・オール・アット・ワンス
6(4)・・エスター:最初の殺人 ・・・10/12 ・・・・・・29,785・・・・・・・154,227 ・・・・・・1,593 ・・・・・507
7(5)・・正直な候補2(韓国)・・・・・・・9/28・・・・・・・18,823・・・・・・・879,045 ・・・・・・8,289 ・・・・・460
8(新)・・鬼池(韓国) ・・・・・・・・・・・・・10/19 ・・・・・・15,528・・・・・・・・27,772 ・・・・・・・・244 ・・・・・208
9(6)・・劇場版 ハローカーボット ・・9/28・・・・・・・・7,038・・・・・・・223,313 ・・・・・・2,094 ・・・・・233
       :おかしな魔術団の秘密(韓国)
10(10)・・スマイル・・・・・・・・・・・・・・10/06 ・・・・・・・6,673・・・・・・・・97,440 ・・・・・・1,038 ・・・・・・98
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン

 1・8位の2作品が新登場です。
 1位「ブラックアダム」はアメリカのアクション・冒険・SF。冒頭に記したように私ヌルボにとっては最も苦手なジャンルだし、日本公開が12月2日ですでに→公式サイトもあるので説明は省略します。韓国題は「블랙 아담」です。
 8位「鬼池」は韓国のホラー。
 ボヨン(パク・ハナ)はかつて大富豪だった曽祖母ワンおばあさん(ホ・ジン)の豪邸に隠された宝石を盗むため看護人として住み込むことになります。ボヨンを雇用した曾祖母の唯一の肉親、キム奥様(チョン・ヨンジュ)は「誰も連れてこないこと、とくに子ども」、「貯水池の近くには行かないこと」という条件を付けます。しかしボヨンは自身の娘ダジョンを密かに連れていくのですが・・・。人が死んでいく鬼池と呼ばれる貯水池の横に位置した豪邸では不吉で奇異な兆候が続き、そんな中でボヨンはここを訪れた人たちが謎の変死を遂げていたことを知ります・・・。原題は「귀못」です。

【独立・芸術映画】
順位 ・・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・上映館数
1(新)・・迷い(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・10/19・・・・・・・4,842 ・・・・・・・・9,231・・・・・・・・・74 ・・・・・・・212
2(1)・・大巫歌(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・10/12・・・・・・・3,507・・・・・・・59,964・・・・・・・・540 ・・・・・・・144
3(2)・・ゴーゴーダイノ 劇場版 ・・・・・・10/05・・・・・・・4,842・・・・・・・51,273・・・・・・・・472・・・・・・・・・80
       :氷恐竜の秘密(韓国)
4(新)・・私を殺して(韓国)・・・・・・・・・・・10/19・・・・・・・1,435・・・・・・・・2,799 ・・・・・・・・・23 ・・・・・・・112
5(24)・・昼と月(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・10/20・・・・・・・1,382・・・・・・・・2,992 ・・・・・・・・・25 ・・・・・・・・49

 前週に続いて5位まですべて韓国映画です。1・4・5位の3作品が新登場ですが、4位「私を殺して」については上述しました。
 1位「迷い」は韓国のミステリー&ホラー。
 第三子の悲劇的な死の後、教会牧師のソッコ(キム・ミンジェ)とヒョヌ(パク・ヒョジュ)夫婦は息子ハンビョル(ソン・ハヒョン)を貯水池で失います。ソッコは悔い改めを理由に視覚障碍を持った子供イサク(パク・ジェジュン)を養子として迎え入れることにします。子供に先立たれた苦痛に浸っていたソヌも結局は同意します。養子縁組の後ソヌはイサクに心を開いていきますが、心の片隅の忌まわしい思いをなかなか拭えません。イサクの服にはいろいろなお守りが付いていますが、その理由をイサクは死んだハンビョルが見えるからと話します。教会の信徒ヨンジュン(チャ・ソヌ)もハンビョルが見えると言うと、ソヌはさらに恐怖に襲われます。ハンビョルの3人の姉妹にとってもイサクは恐怖の対象で、中でも長女のジュウン(キョン·ダウン)はとくにイサクに敵対的です。混乱したソヌは時間が経つにつれてハンビョルの死に他の家族が関与したかもしれないという考えを持つようになりますが・・・。
 本作が恐怖を募らせる方法は各自の心の<迷い>であり<疑い>です。死んだ子供は家族たちにそれぞれ異なる姿で登場します。それはそれぞれ人物の心理を表わすもので、真の恐怖は自らの心の状態と動きから来たものであることを示しているのです・・・。
 2階建ての家と教会、そこから見える貯水池は霧がかかっている・・・という設定は上述の「鬼池」と重なるところがありますね。また以前本で読み映画も観たチョン・ユジョン原作の「7年の夜」をなんとなく思い出しました。ネチズンのコメントでは今年8月韓国で公開された「破虜湖[パリョホ]」もそんな感じだったのかな? 原題は「미혹(迷惑)」です。※日本のウェブサイトではこのタイトルをそのまま漢字語で「迷惑」と訳している記事がほとんど(全部?)ですが、内容から考えて不適当と判断しました。
 5位「昼と月」は韓国のドラマ。<第26回釜山国際映画祭(2021)>、<第47回ソウル独立映画祭(2021)>に公式招待される等、多くの映画祭で上映され好評を得た作品です。
 夫と死別後、ミニ(ユ・ダイン)は普段夫が住みたがっていた済州島に引っ越します。彼が望んでいた一戸建て住宅に荷を運び入れたミニは、隣人のモカ(チョ・ウンジ)と彼女の20歳の息子テギョン(ハギョン)に出会います。ヨガの教師をしているモカに好感を持ち親交を深めていきますが、高卒後YouTube等で音楽活動をしているテギョンにはなぜか気になる印象も受けます。
 ところが、新しい所で新しい友だちができたと思った瞬間、モカが実は夫の初恋の人だったことがわかります。ミニは激怒に包まれ、モカも未婚の母として穏やかな日常の中で忘れて過ごしていた中で突然5万年前の元カレの記憶を呼び起こされ恐慌をきたします。激しい感情をぶつけ合う2人ですが・・・。
 「夫の初恋の女性」と「初恋の人の妻」。最も近いが遠い2人の女性が徐々にお互いを理解して行き、結局は喪失の痛みを癒していく物語、というある意味自然な<落としどころ>になるのでしょうが、実際問題としてどうなのか、私ヌルボには見当がつきません。いろんな人、いろんな男女関係があるし・・・。
 なお、タイトル「昼と月」の意味について2人の女性の暗喩かなとも思いましたがイ・ヨンア監督は「日中も月が浮かんでいることを知っていますか? 目に見えないからといって消えたのではないということです」と語っています。ということは亡くなった彼のこと? 原題は「낮과 달」です。


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