その「海街diary」は、表面的なストーリーはとくに大きな事件等もなくゆったりと進行していくのですが、個々の登場人物(とくに長女と、異母妹の四女)の内面の描き方がとても深くて、おそらくそれが日本映画の伝統なんだろうな、と思いました。たとえば韓国映画&ドラマ等の登場人物の多くが類型的なのとは正反対。しかし、こういう日本映画の特色はどれだけ外国で理解されるのかな? また日本でも若い世代は別の受けとめ方をするかも。もしかしたらヌルボ自身もこの映画の登場人物ほど物事を深く考えたり感じたり悩んだりしてないものなー。
「朝鮮日報」11月6日掲載の「封切映画 ぴったり10字評」 (ハングル文も訳文も10字です。) | ||
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「ブリッジ・オブ・スパイ」 歴史物はスピルバーグ! ★★★★ 「バーント」 料理で生を照らす手際 ★★★☆ 「黒い司祭たち」 ドンウォン、司祭服も◎ ★★★☆ 「ザ・ギフト」 高密度スリラーの標本 ★★★☆ 「タクシー」 巨匠の看板に騙された ★★★ 「クーデター」 怖すぎて薦めたくない ★★☆ | ||
「ザ・ギフト」は米・豪合作のスリラー。夫が町で偶然会った高校時代の同級生が、その後贈り物を次々に送ってきて、それとともに家で奇妙な出来事が起こる。不安に包まれる夫婦。夫とその同級生との過去に何かあったのか・・・。参考ブログ記事は→コチラ。他の作品についてはすべて下の記事中で紹介しています。 |
★★★ Daumの人気順位(11月10日現在上映中映画) ★★★
【ネチズンによる順位】
①バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2 9.4(64)
②危路工団(韓国) 9.3(32)
③アマデウス 9.2(233)
④ミューン:月の守護者 9.2(31)
⑤バック・トゥ・ザ・フューチャー 9.1(274)
⑥チュニ マギ(韓国) 9.1(43)
⑦JSA(韓国) 8.9(360)
⑧エターナル・サンシャイン 8.9(459)
⑨あなたをずっとあいしてる(日・韓) 8.8(87)
⑩リトル・トムと魔法の鏡 8.6(42)
今回の新登場は⑧「エターナル・サンシャイン」だけです。ジム・キャリーとケイト・ウィンスレットが共演した2004年のアメリカ映画の再上映。韓国題は「이터널 선샤인」です。
【専門家による順位】
①タクシー 8.5(6)
②今は正しいがその時は間違いだ(韓国) 8.2(4)
③ブリッジ・オブ・スパイ 8.1(8)
④危路工団(韓国) 8.0(7)
⑤エヴァの告白 8.0(5)
⑥スロー・ウェスト 7.8(6)
⑦オデッセイ 7.8(6)
⑧ザ・ロブスター 7.6(6)
⑨ハリール・ジブラーンの預言者 7.5(4)
⑩EDEN/エデン 7.5(2)
①と③の2作品が新登場です。
①「タクシー」は、今年のベルリン国際映画祭で金熊賞(最優秀作品賞)を受賞したイラン映画。といっても、パナヒ監督は2009年のイラン暴動に関するドキュメンタリーを製作したためイラン政府により20年間映画製作を禁じられ、イランからの出国も禁じられているという人物。しかし、そんな中でも彼は1年後にデジカメとiPhoneを使って自宅を舞台に撮ったドキュメンタリー「これは映画ではない」を発表し、作品を収めたUSBメモリが持ち出されてカンヌ映画祭で上映されました。そして今回の撮影場所はテヘラン市内を走るタクシーの車内です。監督自身が運転手になり、サンルーフで車内の明るさを保ち、計器パネルの横のクズ箱にカメラを隠して撮影。その<密室内>の<解放空間>で、いろんな一般の人たちとの間で交わされる会話が映されているドキュメンタリー・・・かと思ったら、<竹下節子ブログ>の記事(→コチラ)によると「実際は脚本があって演技されている」とのことです。いやー、それにしてもシタタカな監督です。韓国題は「택시」。日本公開は当然あるのでしょうが、今のところ未定のようです。
③「ブリッジ・オブ・スパイ」については後述します。
★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[11月6日(金)~11月8日(日)] ★★★
キム・ユンソクとカン・ドンウォンの共演の「黒い司祭たち」が他を圧倒して1位に
【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・週末観客動員数・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(新)・・黒い司祭たち(韓国) ・・・・11/05・・・・・・・・・・1,406,054 ・・・・・・・・1,604,730・・・・・・・・・13,026・・・・・・・1,008
2(3)・・オデッセイ ・・・・・・・・・・・・・・10/08・・・・・・・・・・・・157,550 ・・・・・・・・4,742,118・・・・・・・・・38,621 ・・・・・・・・415
3(1)・・あいつだ(韓国)・・・・・・・・・・10/28 ・・・・・・・・・・・145,971 ・・・・・・・・・・955,720 ・・・・・・・・・7,428・・・・・・・・・494
4(新)・・ブリッジ・オブ・スパイ ・・・11/05 ・・・・・・・・・・・133,994 ・・・・・・・・・・158,730 ・・・・・・・・・1,258・・・・・・・・・425
5(53)・・バーント ・・・・・・・・・・・・・・・11/05 ・・・・・・・・・・・102,176・・・・・・・・・・124,903・・・・・・・・・・1,013・・・・・・・・・409
6(2)・・ザ・フォン(韓国) ・・・・・・・・・10/22・・・・・・・・・・・・・71,447 ・・・・・・・・1,563,763・・・・・・・・・12,092・・・・・・・・・390
7(4)・・マイ・インターン・・・・・・・・・・・9/24・・・・・・・・・・・・・66,442・・・・・・・・・3,540,589・・・・・・・・・27,986・・・・・・・・・263
8(37)・・エターナル・サンシャイン・・11/10・・・・・・・・・・・45,725 ・・・・・・・・・・227,763・・・・・・・・・・1,600・・・・・・・・・100
9(35)・・アーサーとふたつの世界の決戦・・11/05 ・・・37,826・・・・・・・・・・・・38,915 ・・・・・・・・・・・284・・・・・・・・・267
10(新)・・クーデター・・・・・・・・・・・・・11/05・・・・・・・・・・・・27,891・・・・・・・・・・・・33,742 ・・・・・・・・・・・265・・・・・・・・・264
※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。
今回の新登場は1・4・5・8・9・10位の6作品です。
1位「黒い司祭たち」は、キム・ユンソクとカン・ドンウォンの共演によるミステリー・ドラマ。カン・ドンウォンはよしとして、キム・ユンソクが司祭約というのはウソっぽいかも。(笑) 突拍子もない行動で教団からにらまれているキム神父、という役柄なんですけどね。その神父が、ひき逃げ事故の後謎の症状に悩まされている少女ヨンシン(パク・ソダム)を救うため計画を立てます。その計画のために必要なもう1人の司祭として、皆が避けたがる中選ばれたのが神学生のチェ・ブジェ(カン・ドンウォン)です。そしていよいよ少女を救える1日だけのチャンス。キム神父とチェ・ブジェは危険な儀式式を始めるのですが、・・・という「エクソシスト」っぽい悪魔祓いの物語かな? しかしアクションもあるみたいですよ。原題は「검은 사제들」です。
4位「ブリッジ・オブ・スパイ」(仮)は、スピルバーグ監督、コーエン兄弟脚本による実話を基にしたサスペンス・ドラマ。東西冷戦の時代、米ソ間の緊張が高まった1957年。真面目にキャリアを積んできた保険専門の弁護士ジェームズ・ドノヴァン(トム・ハンクス)は、ソ連のスパイ、アベル(マーク・ライランス)の弁護を引き受けることになります。当時のアメリカでは、<敵国>のスパイを弁護するということに対して世間の風当たりはとても厳しいものがありました。そんな中でもドノヴァンはアベルの弁護に最善を尽くしますが、おりしもソ連で撃墜されたCIAのスパイ機(U-2型機)で捕虜となったパイロットを救出するため秘密交渉に乗り出します・・・。韓国題は「스파이 브릿지」、日本公開は来年の1月8日です。有力なオスカー候補、ってホント?
5位「バーント」(仮)は、原題は「Burnt」。何だ?と思いますが、「더 셰프(ザ・シェフ)」という韓国題でわかるように料理士モノ。しかしこのジャンルによくあるような<癒し>とか<なごみ>といったものとは無縁のようで、サスペンス映画のような雰囲気が漂う作品のようです。アダム・ジョーンズ(ブラッドリー・クーパー)はパリのレストランでミシュランの2ツ星を獲得したスターシェフでしたが、ドラッグに溺れたり傲慢な性格も災いしたりで自分のレストランを失ってしまいます。そんな彼が再起を期してロンドンで自身のレストランを出店します。一度は失敗した自分との闘いがこの作品のキモということで、画面も暗く、緊迫感に満ちた作品になっているわけですが、大写しの包丁のシーンなんか観ると「これで誰か殺されちゃうのかな?」と思う観客もいる(?)とか・・・。日本公開は未定のようです。
8位「エターナル・サンシャイン」については上述しました。
9位「アーサーとふたつの世界の決戦」は、2006年・09年に続くフランスの3Dアニメ(正確には実写映像とアニメの融合)のシリーズ第3作。監督はあの「レオン」等のリュック・ベッソン。世界征服を企てる闇の王マルタザール。一方地下の国ミニモイに閉じこめられたアーサーは戻ってこられるのか・・・。このシリーズはベッソン監督による原作本の翻訳が出ていて、最初の「アーサーとミニモイの不思議な国」は角川文庫に入っています。韓国題は「아더와 미니모이 3: 두 세계의 전쟁」です。日本公開は過去第1作だけ。この作品も公開未定です。
10位「クーデター」は、日本では9月に公開されています。私ヌルボは観ていませんが、→コチラの韓国記事を見ると「誤ったアジア描写」という見解も提示されていて、なるほどといったところ。韓国題は「이스케이프」。イスケイプ、つまりescapeです。
【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(13)・・エターナル・サンシャイン・・・・・・・・11/10・・・・・・・・・・・・・45,725・・・・・・・・・・・227,763・・・・・・・・・・1,600 ・・・・・・・・100
2(2)・・ミューン:月の守護者・・・・・・・・・・・・・・9/24・・・・・・・・・・・・・・1,584 ・・・・・・・・・・・317,335・・・・・・・・・・2,321 ・・・・・・・・・17
3(新)・・オーケストラの少女・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1,294 ・・・・・・・・・・・・・3,338・・・・・・・・・・・・・・6 ・・・・・・・・・・1
4(3)・・アマデウス・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10/29 ・・・・・・・・・・・・・1,204 ・・・・・・・・・・・・・7,741・・・・・・・・・・・・・64 ・・・・・・・・・10
5(23)・・さいはてにて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11/05・・・・・・・・・・・・・・・569 ・・・・・・・・・・・・・1,194 ・・・・・・・・・・・・・・9 ・・・・・・・・・13
~やさしい香りと待ちながら~(日本)
1・3・5位の3作品が新登場です。
1位「エターナル・サンシャイン」については上述しました。
3位「オーケストラの少女」は、もちろん1937年のアメリカ映画の再上映。ディアナ・ダービンとストコフスキーが・・・等々、半世紀ほど前明治生まれの母親が話していたなー・・・。韓国題は「오케스트라의 소녀」です。
5位「さいはてにて~やさしい香りと待ちながら~」は、台湾の女性監督チアン・ショウチョンが永作博美を主演に撮った作品なのですが、私ヌルボは予告編しか観てないので、それ以上はなんとも・・・。韓国題は「세상의 끝에서 커피 한잔(世界の果てでコーヒー一杯)」です。
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