ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画の興行成績 [8月13日(金)~8月15日(日)]と人気順位 ▶韓国の「シンクホール」事情 ▶独立系映画「思考の夏」に見るMZ世代の人気詩人ファン・インチャン

2021-08-21 07:44:01 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▶ノートPCの不調で作業が遅れるばかりです。ふつうなら1日で済むのが3日かかったりして。愛用してきたレッツノートですが、買い替えるしかなさそう。トホホ。しかしコレ、めっちゃ高いからなー、中古にするかな、トホホ。

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▶今回初登場の韓国映画の注目作その1は、興行成績1位の「シンクホール」です。ストーリーは、ソウル市内にマンションを購入して長年の夢を実現した男が知人を招いて新居披露の宴会をしていた時になんとそのマンションが突如<シンクホール>に落ち込んで・・・というコメディなのですが、私ヌルボ、この<シンクホール>という言葉が日本でどの程度知られているか見当がつきません。簡単に説明すると、地面が突然陥没してできた大穴のこと。鍾乳洞があるようなカルスト台地や、鉱山跡及び採石場跡、あるいは地下鉄工事、地下水の汲み上げ等で地下に空洞が発生・陥没し、地表にまで到達して大きな穴ができるというわけです。日本でも2016年11月8日博多駅前の道路が縦横約30mにわたって陥没し、深さ約15mのシンクホールが生じたことは大きく報道されましたね。ところが「싱크홀(シンクホール)」で画像検索してみると道路の陥没等の画像がいっぱい! 記事を読むと、運転中の車が道路に出現した穴に落ちたとか、散歩中の人が急に消えた!と思ったら深さ1.5mほどの穴に落ちた等の事例がいくつもありました。
    
 上の画像①はソウルの東に隣接する九里市(2020年8月26日) 幅17m・長さ20mのシンクホール。地下鉄8号線延長工事が原因か。道路横のアパートの住民は避難したそうです。これより小さいレベルの道路陥没はかなり多いようです。画像②はソウル市衿川区加山洞(2018年8月31日) 横30m・縦10m・深さ6m。マンションの駐車場の地面が大きく陥没してマンションは約5度傾き、ここでも住民が避難したとか。2015年にソウル市が東京都に道路陥没に対する技術協力を求めてきた等の道路保全の日韓のレベルの差はありますが、韓国で人為的なシンクホールがとくに多いと見るのは早計かもしれません。(世界各地でシンクホールの事例は多い。) 画像③は中国四川省広元市(2013年12月12日) 直径60m深さ30mの超大型シンクホール。瞬く間に地面が消えて5部屋の家と納屋が埋没したが幸いにも死者はいなかったそうです。
 さて、映画「シンクホール」ではなんとマンションが深さ500mもの穴に落ちたという設定。それで主な登場人物に死者はないとは! しかし上記のように日本に比べるとシンクホール問題はとくにソウル市民にとっては決して非現実的なものではないようです。それをコメディにするとはねー・・・等々、非難する声が上がるのも当然でしょうね。

▶韓国映画の注目作その2は、独立・芸術映画のランキング3位の「思考の夏」です。詩人をめざす30歳間近の女性が主人公、というのはまず日本映画では考えられないのでは? 韓国の大型書店に行くと詩集のコーナーがずいぶん広いことに驚きます。また詩集がベストセラーのランク入りすることも日本ではまず考えられないのでは? この作品の概略は本記事の最後の方を見ていただくとして、この作品で紹介されている詩5編はいずれもMZ世代(1980~2004年生まれ)を代表する人気詩人ファン・インチャン(황인찬.1988~)の作品とのこと。・・・って、この詩人のこと全然知らなんだなー。私ヌルボの韓国詩人の知識は崔勝子(1952~)と崔泳美(1961~)までで止まってるから。ま、今度韓国に行った時書店で観てみますか。(いつになることやら。)

         ★★★ NAVERの人気順位(8月17日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
  ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。
        「初登場」とは、本ブログでの初登場の意。

①(1) かもめ(韓国)  9.72(39)
②(2) 学校に行く道(韓国)  9.61(152)
③(5) 銀魂 THE FINAL(日本)  9.43(241)
④(4) シャーマン・ロード(韓国)  9.43(14)
⑤(6) ブータン 山の教室  9.39(171)
⑥(9) 劇場版「鬼滅の刃」無限列車編(日本)  9.28(12,769)
⑦(10) 復活:その証拠(韓国)  9.27(422)
⑧(7) 映画ドラえもん のび太の新恐竜(日本)  9.25(99)
⑨(-) クルエラ  9.24(7,274)
⑩(新) フリー・ガイ  9.21(1,203)

 ⑩「フリー・ガイ」はアメリカのコメディ。日本でも8月13日から公開されているので、説明は省略します。韓国題は「프리 가이」です。

     【記者・評論家による順位】

①(1) Mank/マンク  8.14(7)
②(2) マーティン・エデン  8.00(8)
②(2) ノマドランド  8.00(8)
④(4) 水を抱く女  8.00(6)
⑤(5) スパイの妻(日本)  8.00(5)
⑥(6) 夏時間[ハラボジの家](韓国)  7.83(12)
⑦(7) あの日のように抱きしめて  7.80(5)
⑧(8) グリーン・ナイト  7.75(4)
⑨(9) イントロダクション(韓国)  7.67(3)
⑩(-) ミナリ(韓国)  7.58(12)

 新登場の作品はありません。

 ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績8月13日(金)~8月15日(日) ★★★
         「モガディシュ」に続いて韓国映画「シンクホール」が1位に

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・上映館数
1(17)・・シンクホール(韓国)・・・・・・・・・8/11 ・・・・647,579・・・・・・・・922,356 ・・・・・9,086・・・・・1,603
2(1)・・モガディシュ(韓国)・・・・・・・・・・7/28・・・・・347,853・・・・・・2,319,007 ・・・・22,295・・・・・1,273
3(新)・・フリー・ガイ・・・・・・・・・・・・・・・・8/11 ・・・・104,993・・・・・・・・157,112・・・・・・1,599・・・・・・・733
4(2)・・ザ・スーサイド・スクワッド・・・・8/04 ・・・・・38,312・・・・・・・・382,273・・・・・・4,012・・・・・・・478
       “極”悪党、集結
5(3)・・ボス・ベイビー・・・・・・・・・・・・・・・7/21 ・・・・・27,365・・・・・・・・894,299・・・・・・8,026・・・・・・・456
       ファミリー・ミッション
6(4)・・ブラック・ウィドウ・・・・・・・・・・・7/07 ・・・・・13,251・・・・・・2,942,556・・・・・29,795 ・・・・・・220
7(5)・・映画ドラえもん・・・・・・・・・・・・・・8/05 ・・・・・・8,142 ・・・・・・・・・56,495・・・・・・・・488 ・・・・・・216
       のび太の新恐竜(日本)
8(26)・・人質(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・8/18 ・・・・・・6,693 ・・・・・・・・・・7,013・・・・・・・・・70 ・・・・・・・・16
9(33)・・ハイキュー‼ 陸VS空(日本)・・2020/01/23・・4,445 ・・・・・・33,745・・・・・・・・280・・・・・・・114
10(8)・・グリーン・ナイト ・・・・・・・・・・・8/05 ・・・・・・3,472 ・・・・・・・・・18,638 ・・・・・・・174 ・・・・・・・・76
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 1・3・8位の3作品が新登場です。
 1位「シンクホール」は韓国のドラマ&コメディ。タイトルの<シンクホール>については記事冒頭に書いた通りです。一家の主ドンウォン(キム・ソンギュン)はソウル暮らしと共にマイホーム購入の夢を叶えました。ところが引っ越し初日から同じマンションのおせっかい屋マンス(チャ・スンウォン)と揉めてしまいます。ドンウォンはマイホームを持った記念として職場の同僚たちを新宅開きに招きますが、幸せなひとときも束の間、あっという間にマンション全体が土の中に落ちてしまいます。あいさつをすればぶつかっていた隣人同士のミンスとドンウォン、ドンウォン宅に招かれていたキム代理(イ・グァンス)とインターンのウンジュ(キム・ヘジュン)まで。地下500メートルものシンクホールの中に落ちた彼らは無事に抜け出すことができるでしょうか・・・。原題は「싱크홀」。「緊張感が全然ない災難映画??」というレビューがあったなー。
 3位「フリー・ガイ」は上述のように日本でも8月13日から公開されています。
 8位「人質」は韓国のアクション。ファン・ジョンミン主演の期待作で、先行上映で上映館が少ない中ベスト10入りしました。ピル・カムソン監督初の長編映画ですが、制作陣には「ベルリンファイル」「国際市場で逢いましょう」「ベテラン」等々の撮影を担当したチェ・ヨンファン撮影監督等のスタッフがそろっています。ふだんとまったく変わりなかったある夜明け。ソウルのど真中で目撃者もなく人気俳優ファン・ジョンミン(本人)が拉致されます。正体不明の暴漢に襲撃され気を失ったファン・ジョンミンが目を覚ました所は5人の拉致犯たちのアジト。廃屋を改造したこの山の中のアジトはファン、冷蔵庫、時計、洗濯物干しなど生活感が漂っています。一寸先も分からない状況の中、ファン・ジョンミンは必死の脱走を決行します。目的のためなら手段と方法を選ばない拉致犯たちの追撃は山中からついにはソウル都心でのカーチェイスにまで及びます・・・。原題は「인질」です。
 なお、9位「ハイキュー‼ 陸VS空」はコロナ禍に入る少し前の公開作の再上映。厳密には<陸VS空>と<ボールの"道">の2編のセットで46分。上映時間が短い上、途中でいきなりエンドマークが出てしまうので観た人たちはあせったようですが、おおよそ好評と言ってよさそう。日本では劇場公開はなく、韓国公開の前日にOVAすなわちBlu-ray、DVDが発売されています。(→コチラ)。あるいは配信により視聴できます。→コチラ参照。なお韓国題は「하이큐!! 땅 VS 하늘」です。

【独立・芸術映画】
順位・・・・題名 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(10)・・わたしは金正男を殺してない・・・・8/12・・・・・・・・・964 ・・・・・・・・1,637・・・・・・・・・・・12・・・・・・・・38
2(4)・・今度はうまくいくだろう(韓国)・・・7/08・・・・・・・・・713・・・・・・・・11,350・・・・・・・・・・・64・・・・・・・・・3
3(16)・・思考の夏(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・8/12・・・・・・・・・664 ・・・・・・・・1,255・・・・・・・・・・・10・・・・・・・・38
4(2)・・あの日のように抱きしめて・・・・・・・7/22・・・・・・・・・622・・・・・・・・・9,771・・・・・・・・・・・82・・・・・・・・21
5(5)・・学校に行く道(韓国)・・・・・・・・・・・・・5/05・・・・・・・・・339・・・・・・・・27,001 ・・・・・・・・・205・・・・・・・・・6

 1位「わたしは金正男を殺してない」は、アメリカのドキュメンタリー。日本では昨20年10月に公開されています。韓国では大抵の外国映画が日本より早く公開されますが、本作の場合は10ヵ月遅かったのはなんでかな? 私ヌルボ、もちろん観ましたが、思った以上にまっとうなドキュメンタリーで、とくに<容疑者>の女性2人に重点を置いた内容もよかったと思います。タイトルも「わたしは・・・」と容疑者女性を主語にしているし・・・。(暗殺犯たちについての詳細を追及しきれなかったという理由もあるにしても。) その点原題は「ASSASSINS」で韓国題は「암살자들(暗殺者たち)、ポスターも共に金正男を後ろから目隠ししている図柄で、どうも興味が先行している感じです。一方日本版はポスターもタイトルに合わせて女性2人を大きく配置しています。なお、韓国ではネチズンの評価は9.00近いのに記者・評論家は5.60。記者・評論家は概して<進歩系>なので「やっぱりなー」といったところ。うち1人は「CIAの行跡も知りたい」と書いてましたね。ググったら事件の1ヵ月後(2017年3月)の「週刊ポスト」にそんな記事(→コチラ)が載ってたんですね。
    
 3位「思考の夏」は、韓国のドラマ。昨年の第21回全州国際映画祭の韓国コンペ部門に招請されて好評を受けた作品。新人キム・ジョンジェ監督の長編デビュー作です。無気力に陥った30歳間近のヒョンシル(キム・ヘウン)は詩人志望の女性。ところが彼女は先に詩人として評価され、詩壇にデビューした友人の成功を横目に見、恋人とも別れ、人間関係も難しいという「なんだかなー」の青春を送っています。今夏の公募展の締め切りが近づいていますが無気力状態に陥りダラダラ生活。そこで思い立ったのが出すべき最後の詩を「ダラダラと山に行く」決め、新たなインスピレーションを求めて家を出ます。切羽詰まったヒョンシルははたして窮地を脱しインスピレーションを得て本来の自分を見つけることができるでしょうか・・・。原題は「생각의 여름」です。

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