ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [12月14日(金)~12月16日(日)]

2018-12-19 01:35:00 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▸この5、6日、毎日出版文化賞受賞作の奥泉光「雪の階」に没入しつつも、13・14・15・17日の計4日映画館に行き、映画6本鑑賞。これではブログの更新は滞るばかり。
 「雪の階」は歴史、ミステリーに、ユーモアの要素もちりばめられていて、読書の愉楽を満喫できる小説。多くの読者レビューで三島由紀夫の名が引き合いに出される文章の妙と、たとえば人の顔を評するに「トウケンビタイ(唐犬額)」とか「ハニワの馬」と言ったユニークな言葉が出てきたり、面と向かって「あなた、のらくろに似ているわね」と言う場面もあったりして、単純に笑えます。かと思えば、主人公の華族の令嬢(数え年20歳)は趣味が囲碁と数学で、高木貞治の「代数学講義」や竹内端三の「函数論」を読んでるとは、いったい何なんだ!?(笑) これだけエンタメの要素をてんこ盛りにして、それでも振り返ってみると現代に通じる何やらが籠められているような・・・。

▸「雪の階」の時代設定は1935年春から翌年2月末までになっています。つまり、あの2.26事件まで。たまたま14日にユーロスペースで観た清水宏監督の「有りがたうさん」が封切られたのは、その2.26事件の翌日2月27日だったとのことです。
 「有りがたうさん」は、伊豆半島を運行するバスの明るく善良な運転手さん(上原謙)のニックネームで、作品全体も決して暗くはないのですが、女性の身売りや不景気のこと等々、当時の社会を覆う暗鬱な雰囲気はおのずと漂っています。その中で、バスが朝鮮人労働者の一群(女性も含む)を追い越す場面があります。天城山隧道の入口で<有りがたうさん>と乗客たちが休憩している時、労働者中の1人の娘さんが追いついて話すには、伊豆での道路工事を終えて信州のトンネル工事現場へ移動するとのことで、この現場で亡くなった父の墓に「たまには水とお花を上げて」と頼みます。
 今まさに問題になっている朝鮮人労働者について、当時リアルタイムで清水宏監督がこのような形で目を向け、撮影したことの意味は大きいと思います。
 この作品の原作は川端康成の「掌の小説」の中の「有難う」と題された、全集本だとわずか4ページ強の超短編で、そこには朝鮮人労働者のことは全然書かれていません。ただ、同じ「掌の小説」中の「海」には記されているので、興味のある人はご一読を。
 興味のある人は・・・、と言えば、そもそもこの「有りがたうさん」という映画を観てみたいという皆さんへ。実はこれ、YouTubeで観られるんですよね。

▸上記「有りがたうさん」は、ユーロスペースで上映していた<映画祭 朝鮮半島と私たち>の最終日、つまり14日に観ました。その前日は「血と骨」「伽倻子のために」「KT」の3作品を鑑賞。うち「伽倻子のために」以外は初めて。それぞれについてあれこれ書いていくとまた長くなりそうなので、それままたいずれということにします。

▸15日に「マイ・サンシャイン」を観たのは、これが1992年のロス暴動を扱っているから。直接的な関心は、そこで(暴動のきっかけの1つとなった)スーパーの経営者等の韓国人がどんな描かれ方をしているかに関心があったからです。で感想は、思っていた以上に「いろいろ複雑」。なお、この暴動についての日本と韓国のウィキペディアの書き方に少し(以上か?)差異があることを発見。他の項目でもたまにありますが。
 17日観た「暁に祈れ」、セリフの約9割はタイ語で、それに字幕が付くのは始まって1時間後の1人のセリフ、次は1時間半後というわずか2ヵ所だけ。タイの監獄にぶち込まれた主人公のイギリス人ボクサーの置かれた状況が多少なりとも体感できるってことか。話と関係ないけどタイの入れ墨文化はなかなかのものがあるようです。

         ★★★ NAVERの人気順位(12月18日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
       ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。

①(2) 僕のワンダフル・ライフ  9.53(1,178)
②(1) ボヘミアン・ラプソディ  9.52(31,332)
③(3) ハンター・キラー  9.46(1,278)
④(4) ポーランドに行った子供たち(韓国)  9.42(469)
⑤(-) 銀魂2 掟は破るためにこそある(日本)  9.39(59)
⑥(-) 人生フルーツ(日本)  9.31(16)
⑦(-) Shadow/影  9.31(16)
⑧(7) 劇場版 七つの大罪 天空の囚われ人(日本)  9.25(75)
⑨(9) 万引き家族(日本)  9.24(2,879)
⑩(-) 天国でまた会おう  9.22(210)

 ⑤と⑦の2作品が新登場です。
 ⑤「銀魂2 掟は破るためにこそある」は、原作漫画からして私ヌルボにとってはすこぶる難解なジャンルに属するので、何ともコメントのしようがありませんです。韓国題は「은혼2: 규칙은 깨라고 있는 것」。<掟>は<규칙(規則)>と訳されていますね。。
 ⑦「Shadow/影」(仮)は、張芸謀(チャン・イーモウ)監督による中国のアクション&ドラマ。監督が敬愛する黒澤明監督の「影武者」にオマージュを捧げた作品とのことです。舞台は3世紀、三国時代の中国。沛国の将軍・都督は、数年前敵将との戦いで致命傷を負ったため、自分と似た影武者を利用して権力を守ろうとします。(都督と影武者はダン・チャオ(鄧超)の1人2役。) ところが、時間が経つにつれ、影武者は権力と野望に目覚め、本当の都督を乗り越えようとします。神経戦の末に、2人は命をかけた勝負を繰り広げることに・・・。韓国題は「삼국-무영자(三国-無影者)」。日本での一般公開は未定のようです。
 なお、⑩「天国でまた会おう」(韓国題:맨 오브 마스크)は今年5月公開。ピエール・ルメートルの同名小説(ハヤカワ文庫.ゴンクール賞受賞)の映画化作品です。

     【記者・評論家による順位】

①(1) 顔たち、ところどころ  8.86(7)
②(-) ROMA/ローマ  8.80(5)
③(2) フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法  8.50(10)
④(3) エクス・リブリス ニューヨーク公共図書館  8.50(2)
⑤(4) A GHOST STORY/ア・ゴースト・ストーリー  8.33(6)
⑥(-) スパイダーマン:スパイダーバース  8.25(8)
⑦(5) ファントム・スレッド  8.22(9)
⑧(6) パターソン  8.20(10)
⑨(8) 万引き家族(日本)  8.13(8)
⑩(9) 天堂の夜と霧(韓国)  8.00(2)

 ②と⑥の2作品が今回の新登場です。
 ②「ROMA/ローマ」は、メキシコのドラマ。2018年の第75回ベネチア国際映画祭コンペティション部門で金獅子賞を受賞する等、高い評価を得ていて、アカデミー賞の賞レースにも名前があがっているようです。タイトルの<ローマ>とは、あのイタリアのローマではなく、アルフォンソ・キュアロン監督の出身地メキシコシテイの1地区です。時代は政治的混乱に揺れていた1970年代初頭、医者の夫とその妻と4人の子ども、そして祖母という家族に訪れる激動の1年を、家政婦として働く若い女性の視点から描いた作品。キュアロン監督が自身の体験を元に脚本を書き、撮影も担当したとのことです。韓国題は「로마」です。日本では、11月東京国際映画祭で上映されました。12月14日からNetflixで全世界同時オンラインストリーミングされる
 ⑥「スパイダーマン:スパイダーバース」については後述します。

      ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績12月14日(金)~12月16日(日) ★★★

         「国家ボヘミアン・ラプソディ」が驚異の1位復活

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(2)・・ボヘミアン・ラプソディ ・・・・・・10/31・・・・・・・・・・553,801 ・・・・・・7,942,485・・・・・・・69,040 ・・・・・1,004
2(1)・・国家不渡りの日(韓国)・・・・・・・・11/28・・・・・・・・・・464,304 ・・・・・・3,535,522・・・・・・・29,183 ・・・・・・・971
3(3)・・ドアロック(韓国)・・・・・・・・・・・・12/05・・・・・・・・・・326,704 ・・・・・・1,427,402・・・・・・・11,766 ・・・・・・・873・
4(21)・・スパイダーマン ・・・・・・・・・・・・12/12・・・・・・・・・・298,176・・・・・・・・390,327・・・・・・・・3,247 ・・・・・・・722
       :スパイダーバース
5(4)・・くるみ割り人形と秘密の王国・・12/06 ・・・・・・・・・104,877・・・・・・・・408,440・・・・・・・・3,373 ・・・・・・・260
6(17)・・スウィング・キッズ(韓国)・・・・・12/19 ・・・・・・・・・・73,062・・・・・・・・100,991 ・・・・・・・・・854・・・・・・・418
7(新)・・シンプル・フェイバー・・・・・・・・12/12・・・・・・・・・・・51,929・・・・・・・・・87,501 ・・・・・・・・・764・・・・・・・448
8(6)・・ランニング・マン・・・・・・・・・・・・・12/05・・・・・・・・・・・47,300・・・・・・・・180,711・・・・・・・・1,378・・・・・・・394
       :プルルの逆襲(韓国)
9(新)・・小さなトナカイ エリオット・・・12/12 ・・・・・・・・・・33,551 ・・・・・・・・・43,148 ・・・・・・・・・314・・・・・・・335
10(7)・・完璧な他人(韓国)・・・・・・・・・・・・10/31 ・・・・・・・・・・22,774・・・・・・・5,270,575・・・・・・・44,168・・・・・・・226
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 新登場は4・6・7・9位の4作品です。
 4位「スパイダーマン:スパイダーバース」は、おなじみの<スパイダーマン>シリーズの新作、・・・とは言っても、初のアニメ作品です。内容も、ピーター・パーカーを主人公としていたこれまでの実写作品とは違って、マイルズ・モラレスが主人公で、さらには何と複数のスパイダーマンが暮らす世界が描かれているとか。つまり、かつてピーター・パーカーのスパイダーマンにやられた敵が復活を遂げて、他の世界のスパイダーマンを攻撃したりするのに対して、さまざまな次元に存在するスパイダーマンたちが集結して戦う、というのが物語の柱のようです。韓国題は「스파이더맨: 뉴 유니버스」。日本公開は来年3月8日です。
 6位「スウィング・キッズ」は、韓国のドラマ。韓国戦争当時の1951年、最大規模の巨済(コジェ)捕虜収容所に新しい所長が赴任してきます。彼が収容所の対外イメージを高めるため計画したことが、捕虜たちによるダンス団の結成でした。収容所内で一番のトラブルメーカーのロ・ギス(ト・ギョンス)、なんと4ヵ国語ができる無許可の通訳ヤン・パルレ(パク・ヘス)、いなくなった妻を見つけるために有名にならなければならないという愛妻家カン・ビョンサム(オ・ジョンセ)、反転ダンスの実力を備えた栄養失調ダンサーのシャオパン(キム・ミノ)、そして彼らのリーダーは、元ブロードウェイのタップダンサーだったジャクソン(ジャレッド・グライムズ)まで、紆余曲折の末ここに集まった彼らのダンス団の名は<スウィング・キッズ>。その最初のデビューが近づいてきますが、国籍も言語もダンスの実力も、すべてが寄せ集めのダンス団の将来は、・・・え、お先真っ暗なだけ? 原題は「스윙키즈」です。
 7位「シンプル・フェイバー」は、アメリカ・カナダ合作のサスペンス。ダーシー・ベル「ささやかな頼み」(早川文庫)の映画化作品です。シングルマザーのステファニー(アナ・ケンドリック)はわが子マイルズを小学校に通わせています。そして同じ学校に通う子供の母エミリー(ブレイク・ライヴリー)と親しくなります。ところがある日、エミリーはステファニーに息子を預けたまま引き取りに現れず、失踪してしまいます。順風満帆な人生を送っていたはずの彼女にいったい何が起こったのか? ステファニーは自分が運営している育児ブログで情報提供を呼びかけますが・・・。女性たちの友情の裏に何が渦巻いているのか・・・。韓国題は「부탁 하나만 들어줘(お願いひとつだけ聞いて)」。日本公開は来年3月8日です。
 9位「小さなトナカイ エリオット」(仮)は、カナダのアニメ。クリスマスイブを目前にした12月21日、サンタのそり団を率いてきたリーダーのトナカイが引退を宣言します。で、そのリーダーの名は韓国版では(あの赤鼻の)ルドルフになっています。元のカナダ版ではブリッツェン。たぶん韓国では(日本同様)サンタのトナカイといえばルドルフしか知られてないからでしょう。ブリッツェンを含む8頭は19世紀以来(?)の歴史があるのに対し、ルドルフは1930年代あのお話と歌が作られて一躍有名になったんだそうです。話を戻して、その新リーダーを選ぶ(一応)ルドルフ選抜大会が開催されることになって、かねてからサンタのソリ隊員を夢見ていた主人公のエリオットも大会出場を決心して親友のヤギのヘーゼルとトレーニングに励みます。え、ヤギ?と首を傾げちゃいますが、エリオットも子馬なんですよねー。この世界も多文化共生というか、「みんな違って、みんないい」ということかな? それで、はたしてエリオットは夢を実現することができるのかな? 韓国題は「엘리엇과 산타 썰매단」です。

【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・・・上映館数
1(1)・・パウロ 愛と赦しの物語・・・・・・・・10/31 ・・・・・・・・・・6,769・・・・・・・・257,705・・・・・・・・・2,022 ・・・・・・・・・44
2(新)・・ゴッホ~最期の手紙~・・・・・・・・・12/13 ・・・・・・・・・・6,119・・・・・・・・・・8,098 ・・・・・・・・・・・73 ・・・・・・・・・95
3(2)・・人生フルーツ(日本) ・・・・・・・・・・・・12/06 ・・・・・・・・・・4,210・・・・・・・・・12,942 ・・・・・・・・・・・99 ・・・・・・・・・45
4(21)・・かもめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12/13 ・・・・・・・・・・3,041・・・・・・・・・・5,053 ・・・・・・・・・・・43 ・・・・・・・・・42
5(新)・・おとなの恋は、まわり道・・・・・・・・12/13 ・・・・・・・・・・1,238・・・・・・・・・・2,327 ・・・・・・・・・・・19 ・・・・・・・・・77

 2・4・5位の3作品が新登場です。
 2位「ゴッホ~最期の手紙~」は、1年ちょっと前に公開された作品の再上映なので、新登場と言っていいのか?? 日本でも2017年11月に公開されているので、説明省略。韓国題は「러빙 빈센트 : 비하인드 에디션」です。
 4位「かもめ」(仮)は、あのチェーホフの有名な戯曲の映画化作品。劇作家志望の青年コスチャ(ビリー・ハウル)が、恋人で女優志望の地主の娘ニーナ(シアーシャ・ローナン)を主演にして、女優で母のアルカージナ(アネット・ベニング)やその愛人の小説家トリゴーリン(コリー・ストール)、いつも黒い服を着ているマーシャ(エリザベス・モス)等、家族や知人の前で芝居を行います。しかし劇は不評。ただニーナの芝居は褒められたため、彼女は女優への名声のためコスチャからトリゴーリンに乗り換えて・・・。韓国題は「갈매기」です。
 5位「おとなの恋は、まわり道」は、ウィノナ・ライダーとキアヌ・リーヴス共演のラブストーリーですが、日本では韓国より6日早く7日に公開されています。ということで説明省略。韓国題は「데스티네이션 웨딩」です。

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