ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

①韓国文学②韓国漫画③韓国のメディア観察④韓国語いろいろ⑤韓国映画⑥韓国の歴史・社会⑦韓国・朝鮮関係の本⑧韓国旅行の記録

「ソウル」は漢字で書けない? では中国人はどう書くの? 「京城」はダメ?

2011-01-08 23:54:55 | 韓国・朝鮮関係の知識教養(歴史・地理・社会等)
 3連休の初日。海外旅行に行くわけでもないのに、羽田空港の国際線ターミナルに行く人がこんなにも多いとは・・・。(私ヌルボもその1人なんだけど。)
 5日だったら堀北真希も来てたのかー。
 食堂とかも客が一杯で、お値段も高いようなので、ヌルボは5F展望デッキで缶コーヒー飲んだだけ。


        【展望デッキも大勢の人出。】 

 話には聞いてましたが、3Fの出発ロビー等々、広くて明るくて、前とはぜ~んぜん段違い。


      【もっとお手頃な軽食屋がいくつかあればいいんだけどねー。

 で、なんとなく発着便の電光掲示板を見ていて、ふと思ったことは・・・。
この掲示板、各便の到着時間と、出発地が表示されるのですが、10秒ごとくらいで2つのパターンが切り替わります。
最初が日本語(漢字・カタカナ)と英語、次のパターンが中国語(簡体字)とハングルの表示です。(下写真)

  
      【クイズのような中国語の読みはカタカナと照らし合わせて。

 ヌルボが注目したのは中国語。
 <火奴鲁鲁>とは何だ? ・・・と思っているうちに画面が切り替わって<ホノルル>だということがわかります。しかし、奴隷の奴に魯鈍の魯とは! ハワイの人たちは抗議してもいいと思います。
ホノルルのハングル表記はというと<호놀룰루>ホノ、言いにくそう・・・。
※後で調べたら、香港や台湾ではホノルルを<檀香山>と表記しています。台湾のチャイナエアラインはコチラを使ってるのでしょうか?

 ここから本題。ソウルを漢字でどう書くか? 韓国語を勉強したての頃は「ソウルは固有語で、漢字表記はない」、「京城は日本の植民地時代の書き方だから、今用いるのはよろしくない」、とテキストに書いてあったり、先生から教わったりしました。

 しかし中国語の場合、カタカナでソウルと書くようなわけにいきません。そこで上の写真にもあるように<首尔>という漢字をあてているんですね。発音は<シオアル>に近いようです。なおこれは簡体字で、香港や台湾では繁体字の<首爾>という字になります。

 ソウルの中国語表記が首尔(首爾)になったのはごく最近の2005年で、それまでは<漢城>でした。
ソウルは歴史的にいろんな漢字で表記されてきましたが、漢城もその1つで、たとえば安達謙蔵が1895年創刊した新聞は「漢城新報」です。
 このようなソウルの名称・表記の変遷についてはウィキペディアにかなり詳しく記載されています。

 これに関連して、「京城」という言葉が、「日本の植民地時代につけられた差別的な言葉だ」という言説について。
 上記ウィキの説明文中に「独立後の韓国では、反日・克日的な意識の強まりと共に「京城」は日本によって植民地時代に強制的に変えさせられた名称と見なされて、そのため「改正」されるべき呼称として認識された」とあります。
 「韓国・北朝鮮の嘘を見破る」(文春新書)という、なんともまああられのないタイトルの本の中で、原田環広島大教授が「「京城は差別語だ」と言われたら」と題して書いているところによると、日本でも「京城は差別語」という認識は、往年の朝鮮・韓国研究者梶村秀樹氏が「朝鮮人差別とことば」(明石書店.1986)に書いた「『京城』ということば」に依拠しているとのことです。
 梶村氏は「京城」を差別用語とした理由として、①ソウルは固有語なのでハングルでしか表記できない。②「京城」は日本の造語である。③1876年以降、朝鮮人が自発的に「京城」を用いた例は少ない。④朝鮮人は解放(1945年)直後、まっさきに「京城府」を「ソウル特別市」に改めた。
 ・・・等々、6点をあげていますが、原田教授はそれぞれに具体的な反証をあげて否定しています。
 そして、「京城」という言葉は古くからあり、それが「ソウル」と読まれたという事例もあげています。
 この原田教授の論考は説得力があると思いました。
 現在の韓国をみると、「モダンボーイ、京城をぶらつく」という本もあるそうです。
 そういえば、韓国KBSのドラマ「京城スキャンダル」は韓国題が「경성 스캔달(キョンソン・スケンダル)」
 「英雄時代」でも、登場人物は「キョンソン」と言ってましたね。
 今は、ソウルのことを「けいじょう」と言ったり、「京城」と書いたら間違い、というくらいで、とくに問題にならなくなってきているのかなあ?

※「歴史と国家」雑考というサイトに、このテーマに関して<「京城」は差別語ではない>という詳しい記事がありました。
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韓国ドラマ「19歳の純情」を読み解く[1] グッキは中国人? 朝鮮人?

2011-01-07 23:58:14 | 韓国ドラマ
 「19歳の純情」がどんなドラマかというと、安直にウィキペディアを見るだけでおおよそことはわかります。
 つまりは「韓国のKBS朝の連続テレビ小説」で、「国際結婚のため、中国東北地方からソウルに上京してきた19歳の朝鮮族の女性を主人公した作品」で、「異郷の土地で苦境に立たされながらなおかつ、明るさを失わずに成長する主人公をク・ヘソンが演じ、2006年から2007年上半期、『朱蒙』、『噂のチル姫』、『白い巨塔』に次ぐ最高視聴率を獲得した」というものです。
 ところが、このドラマについていろいろネット内を見ていたら、YAHOO知恵袋に次のような質問がありました。
 「韓国ドラマ「19歳の純情」を5話から見始めたんですが、グッカは中国人なんですか? ・・・中国人なのになんで韓国語も片言ながら話せるんですか?」
 これに対する回答が、不十分なものであるにもかかわらずベストアンサーになってしまっています。
 たしかに、中国内の少数民族事情についてある程度の知識をもっていないと、わからないのも無理はないかもしれません。
 ましてや、日本&日本人の場合、
①日本列島という地図上も一目瞭然の国土の中で、 
②居住民は黒目黒髪の黄色人種の<日本民族>がほとんどを占め、
③そのほとんどの住民は日本語を話し、一元的な伝統・文化を保持しており、
④そのほとんどの住民は日本国籍を持っている

・・・というわけですから、「日本人」という言葉も、上記①~④を無意識のうちにすべて包み込んだ概念になっています。
 しかし、このような<民族>は、世界の中ではむしろごく少数です。
 たとえばアメリカ人といえば④の国籍を示す概念であり、②のような<人種>としてのアメリカ人は存在しません。またユダヤ人は②の<人種>であって、国籍はイスラエル、アメリカ等々さまざまで、ユダヤという国家はありません。

 中国の場合、昔から中国の歴史・文化を担ってきた主役は漢民族(漢族)でした。現在、中国の国籍を持っている人々の94%が漢族です。しかしそれ以外に多くの少数民族がいます。現在の中国政府は、漢族以外の少数民族の数=55としています。
 その55の少数民族中、人口が最も多いのが約1600万人のチワン族(壮族)であるということは、私ヌルボ、つい今あるサイトで初めて知りました。2位が満州族(満族)、3位が回族、4位ミャオ族、5位ウィグル族と続きます。
 そして朝鮮族は約190万人で13位。主に吉林・黒竜江・遼寧の東北三省に居住しています。
 中国政府は少なくとも建前としては「少数民族とその文化を尊重し、保護している」と標榜していて、とくに朝鮮族が集住している吉林省内に<延辺朝鮮族自治州>を置いています。ウィキによると、集住地域といっても漢族が約6割、朝鮮族が約4割なんですね。(人口218万人中朝鮮族が88万人、と延吉でガイド氏から聞きました。)

 延辺は韓国語で연변(ヨンビョン)、中国語読みでは옌볜(イェンビェン)。どちらも使われています。<延辺朝鮮族自治州>の州都が延吉です。韓国語の読みでは연길(ヨンギル)で中国語の読みは옌지(イェンジー)。

 ヌルボが2004年8月に延吉に行った時撮った写真を紹介しましょう。
 上記のように、「少数民族とその文化を尊重」ということで、下の写真のように店舗や官公署等の看板はどれも漢字とハングルが併記されています。延吉在住のガイド氏の説明によると、「朝鮮族はで小学校は朝鮮語で教わる。中学校から中国語を学ぶ」とのことでした。


 【延辺朝鮮族自治州委員会の建物。左の看板は漢字、右はハングル。

 
 【現地のマイクロバスの文字も漢字とハングルを併記。

 ・・・ということで、冒頭の質問に対する答えは以下の通り。
 家族ヤン・グッカは国籍でいえば中国人。民族は朝鮮族。言葉はバイリンガル。内では朝鮮語だが、韓国語とは言葉遣いやイントネーションが異なる部分も多く、北朝鮮とも少し違う。だから韓国人はその言葉から中国朝鮮族or北朝鮮から来た人だな、とわかる。また、朝鮮民族の文化を保持しているので、この点でも韓国と重なる点もあり、また言語同様に違いもある。

※グッカの出身地は、延辺自治州の南部、和龍市という人口22万の都市です。
 なお、ヤン・グッカの漢字表記は梁菊花。その양국화(ヤン・グッカ)という音は韓国語の読み方です。(名前自体、中国朝鮮族の女性によくある名前でしょう。)

 下の写真はホテル(白山大厦)のロビー。やはり漢字とともに、右のBarの入り口にはハングルで<추억 만들기>(思い出つくり)という看板がかかってます。


 【フロントの女性2人のうち1人はチマチョゴリでした。

 街の中心部は、車も少なくはなく、大きな建物もありますが、一般の住宅・アパートは・・・写真のようなものです。ガイド氏は「96㎡の新居を15万元で買いました」と語っていました。

 


アパートは屋内(ガラス張りベランダ)で洗濯物を干すようになっています。寒いと凍るからでしょう。


   【13時頃の街の中心地。

 「延吉はレストラン、カラオケ、タクシーが多い。タクシーは上海の次に多い」とガイド氏が言ってましたが、「タクシーは・・・」というのはホントかなー??

 ホテルの食事も朝鮮料理、昼食は下の写真の店で冷麺を食べました。

ここの冷麺、思ったよりマイルドな味でした。

 市街の中心部にある生鮮食料品主体の市場に行ってみると、<すごい濃ゆ~い感じ>。独特の臭いが漂っていました。


 【延吉の繁華街(?)

 
 【市場の入口から中に入ると、野菜を売っていたり・・・

 肉売り場は牛肉・鶏肉等の表示と並んで、案の定犬肉も!


3.5匹(!)の犬が腹を上に並べられていました。犬好きの人、ごめんなさい。

 で、このドラマに直接関係することですが、表通りに<韓国人との結婚相談>という表示のあるボックス(韓国の宝くじ売り場のような)を見かけました。写真がないのが残念。
 この頃(2004年)から、中国朝鮮族で韓国に結婚のため、あるいは働きに行く人が増え、またそれに伴う問題(偽装結婚や差別問題等)も起こってきました。それでKBSではドラマを通じて視聴者に考えてもらおう、という啓発といった意味あいでこの「19歳の純情」を企画した、ということでしょう。

 ところが初回からいろいろとクレームがついたようで・・・という話は次回に回しましょう。
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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績[12月31日(金)~1月2日(日)]

2011-01-04 23:58:58 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 私ヌルボ、今日はとても充実した1日でした。明石海峡大橋の北端の舞子公園内にある孫文記念館を見学し、神戸の元町商店街の映画館に行って「彼とわたしの漂流記」を観て、その近くの海文堂書店2Fの古書コーナー(←お値打ち本多し!)で櫻井忠温「大将白川」(尹奉吉に撃たれた白川義則の伝記.700!)等を購入して、南京町~三宮を初めて歩いて・・・。当初の予定では、最近東京の新大久保のような雰囲気(?)の新興コリアタウンになってきているという今里新地にも行ってみようと思ったのですが、古書を見るのに時間をとられため、次の機会ということにしました。

  

 さて、「彼とわたしの漂流日記」を観た元町映画館(上写真)ですが、ゴーフルの神戸風月堂やきんつばの本高砂屋などと同じ商店街の並びにある映画館で、去年8月に開業したばかり。「シネコンでは上映されにくい作品を上映していく」ということで、元町映画館のサイトにある設立趣意書を読むと応援したくなります。今後のスケジュールを見ると、15日から「スタッフが選ぶ2010年ベスト作品」として「息もできない」を上映するんですと! ヌルボと意見が合うじゃないですか。予告編でやってましたが、それだけでも思い出してうるうる・・・。22日からは「弁護士 布施辰治」。がんばってくださいね。神戸に行ったら極力観に行きますからね。(って年2回くらいかも・・・。)
 「彼とわたしの漂流日記」、もう首都圏ではやってないので、観られてホントに良かったです。去年観てたらベストテンに入れてたでしょう。ずっと題名にだまされてましたよ。原題の「キム氏漂流記」でいいのに。くわしくはコチラのブログで・・・。予告編の動画も入ってます。

    ★★★ Daumの人気順位(1月4日現在上映中映画) ★★★

【ネチズンによる順位】

①なくな、トンズ(韓国)  9.6(480)
②劇場版ポケットモンスター  9.5(51)
   ダイヤモンド&パール 幻影の覇者 ゾロアーク(日本)
③立って眠る木(韓国)  9.4(22)
④サミーの冒険  9.3(318)
⑤Nativity!  9.1(70)
⑥瞳の奥の秘密  8.9(56)
⑦ケチなロマンス(韓国)  8.6(1083)
⑧ハートビーツ  8.6(27)
⑨キム・ジョンウク探し(韓国)  8.5(694)
⑩ノーウェアボーイ  ひとりぼっちのあいつ  8.4(31)

 初登場はありません。
 ①はほんとに長く続いてますね。しかし、「牛の鈴音」のようには日本では話題になっていません。最近YouTubeで<「泣くな、トンズ」のムービートレーラー>を見てみましたが、やはり宗教色が強くて、日本人にはちょっと合わないだろうな、という感じはしますね。
 ⑩は12月14日の記事で初出。ビートルズ結成前の若き日のジョン・レノンを描いた青春映画で、日本では昨年11月に公開されています。
 
【専門家による順位】

①リミット  7.7(7)
②虹(韓国)  7.0(5)
③クララ・シューマン 愛の協奏曲  7.0(4)
④意外~accident~  7.0(2)
⑤カフェ・ノワール(韓国)  7.0(1)
⑤なくな、トンズ(韓国)  7.0(1)
⑦アウトレイジ(日本)  6.7(7)
⑧黄海(韓国)  6.7(5)
⑨瞳の奥の秘密  6.7(4)
⑩ハートビーツ  6.5(2)

 初登場は④と⑤「カフェ・ノワール」。
 ④は香港のスリラーで、2009年の東京フィルメックスで上映したとか。「意外」という中国語は事故という意味もあるのだそうです。事故を装った殺人を請け負う殺し屋グループのヘッドが、まさに意外なアクシデントに遭いますが、考えてみればしくまれた! 「事故じゃないぞ!」というわけで、以下ハラハラドキドキの展開・・・。これはおもしろそうですよ。なぜ日本で一般公開しないんだろ? 韓国題は「엑시던트(エクシドントゥ)」。「액시던트」じゃないのかー。
 ⑤「カフェ・ノワール」は、愛してはいけない2人の女を愛した音楽教師(シン・ハギュン)と、不思議な少女の物語をめぐる、「ドラマというより、むしろエッセイ」という難解作品のようで、おまけに上映時間198分となると、やっぱり評論家好みの映画ってことですか?
 
   ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[12月31日(金)~1月2日(日)] ★★★
         韓国コメディ「ラスト・ゴッドファーザー」に注目!

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・封切り日・・・・・・週末観客動員数累計・・・・観客動員数・・・・上映館数

1・・ラスト・ゴッドファーザー(韓) ・・12/29 ・・・・・・・946,992 ・・・・・・・・・・・・1,222,728・・・・・・・625
2・・ハロー、ゴースト(韓)・・・・・・・・12/22 ・・・・・・・537,554 ・・・・・・・・・・・・1,762,522・・・・・・・515
3・・黄海(韓) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・12/22 ・・・・・・・421,356 ・・・・・・・・・・・・1,816,444・・・・・・・596
4・・ハリー・ポッターと ・・・・・・・・・・12/16 ・・・・・・・252,342 ・・・・・・・・・・・・2,592,893・・・・・・・355
    死の秘宝 PART1
5・・トロン:レガシー・・・・・・・・・・・・・12/30・・・・・・・・218,920 ・・・・・・・・・・・・・・286,482・・・・・・・437
6・・サミーの冒険・・・・・・・・・・・・・・12/16・・・・・・・・154,461 ・・・・・・・・・・・・・・753,632・・・・・・・285
7・・劇場版ポケットモンスター・・・12/23・・・・・・・・・67,828・・・・・・・・・・・・・・・284,949・・・・・・・128
   ダイヤモンド&パール 幻影の覇者 ゾロアーク
8・・The Next Three Days・・・・・・12/22・・・・・・・・・33,346・・・・・・・・・・・・・・・239,809・・・・・・・171
9・・The American・・・・・・・・・・・・・12/29・・・・・・・・・32,780・・・・・・・・・・・・・・・・45,786・・・・・・・129
10・・ケチなロマンス(韓)・・・・・・・・12/01・・・・・・・・・31,752・・・・・・・・・・・・・2,042,434・・・・・・・133

 「ケチなロマンス」が200万人を突破。2週目の「ハロー、ゴースト」、「黄海」も200万人に届きそうだし、初登場1位の「ラスト・ゴッドファーザー」も最初から100万人に迫る勢いで、韓国映画が健闘しています。
 初登場は1位の他は5位と9位。
 1位、シム・ヒョンレ監督は往年のコメディアンで、テレビのお笑い番組が全盛期だった80~90年代半ばまで、<ヨング>というキャラクターのおとぼけ演技で視聴者たちの笑いをよんだそうですが、近年は「D-War」のようなSF映画を製作したりしていました。今回は<ヨング>に立ち返って監督&主演。ヨングはマフィアの大物であるお父さんを探しにニューヨークに来たが、組織の後継者と目を付けられて、マフィアとしての授業を受けることになる・・・、という筋書きよりも、この映画の魅力は、ポスター(下写真)を見ればわかるように、ヨングというダサいオジサンがハリウッド俳優の中にいるという不調和のおもしろさにあるようで、今年もお世話になりそうな<韓国映画スタッフブログ>では、「バカバカしすぎて、逆にハッピーな気分になる感じ」とベタぼめしてます。ハングル表記は「라스트 갓 파더」。ゴッドファーザーの発音は<ガッパド>だから、聞いてもすぐにはわからないかも・・・。(すぐじゃなくても?)
 5位は日本でも公開中なので説明省略。韓国題は「트론: 새로운 시작(トロン:新しい始まり)」。
 9位、殺し屋稼業から足を洗う決意をした男(ジョージ・クルーニー)がスウェーデンでのキツい任務を終え、最後の仕事場としてイタリアの小さな町にやって来たが・・・、というサスペンス。日本公開は未定のようです。韓国題は「아메리칸」とそのまんま。

   
      【「ラスト・ゴッドファーザー」のポスター
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韓国ドラマ「19歳の純情」を読み解く [いきなり番外編]

2011-01-03 23:58:04 | 韓国ドラマ
 近年国際結婚と、それに関わる問題も多くなっている韓国。
 そんな社会問題に対する関心から、中国・延辺朝鮮族自治州から韓国に結婚のためやってきた若い女性を主人公にしたドラマ「19歳の純情」を見てみよう、と思い立ちました。

 レンタルDVDのvol.1を見終えたところで、私ヌルボが延吉に行った時、街で目にした結婚相談所を思い起こしつつ、中国人女性との国際結婚についてちょっとネット内で調べ始めたのですよ。
 たとえば中国国際結婚手続きを具体的に説明した<ねむしし>というブログ。実際に国際結婚した人たちからの投稿もあって「へえー」という感じ。

 それから<(新)第三の隣人 中国朝鮮族>は、瀋陽の朝鮮族女性と結婚した日本人男性のブログで、民俗学が専門の方らしく、中国・朝鮮族・韓国・日本のいろんな文化比較が書き込まれているのが興味深いです。また、その中の「バンマル(タメ語)は親しさの証明」と題された記事では、同じ朝鮮族でも瀋陽と延辺との違いについて記されています。
 さらに、このブログで、最近人気沸騰の<中国嫁日記>というブログがあることを知りました。さっそくのぞいてみると、<20代中国嫁と40代オタ夫の日記>というウェブ漫画で、たしかにおもしろいです。複数の出版社から書籍化の話もあるというのもうなずけます。
 ・・・で、その過去記事を読んでいるうちにこの時間になってしまったので、「19歳の純情」についての本格的な(?)記事はまたいずれ、という年が改まっても変わらない決まり文句で今回はおしまいにしておきます。
 あ、ちょっと一言だけ。うなずけるといえば、このドラマでク・ヘソンが一躍人気女優になってKBS演技大賞最優秀演技賞など各賞を受賞したというのは第1話を見ただけでナットクしましたね。
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2010年の韓国を代表する本は? YES24と教保文庫の<今年の本>から

2011-01-02 21:45:02 | 韓国の文化・芸能・スポーツ関係の情報
 韓国最大のインターネット書店YES24が年末に実施した<第8回ネチズン選定、今年の本2010>と、代表的大型書店教保文庫の<2010年今年の本>の結果から、2010年韓国ではどんな本が読まれたか見てみます。
※参考記事は →コチラコチラ

 まずYES24の<第8回ネチズン選定、今年の本2010>から。
 あらかじめ提示された5つの分野、120冊の候補の中からインターネットで投票するという形式で、今回は過去最多の97,556人が参加。
 総合ベストテンは次のとおりです。

①マイケル・サンデル「これからの「正義」の話をしよう」(30,068票)
②パク・ジヨン、ユ・ソヨン、コンジョ「イ・ジュンギといっしょに話すアンニョンハセヨ韓国語1:中国語版」(24,065票)
③盧武鉉(著)/盧武鉉財団、柳時敏(共編)「運命だ」(10,065票)
④ベルナール・ウェルベール「パラダイス1」(9,358票)
⑤申京淑「どこからか私をよぶ電話が鳴って」(8,017票)
⑥ニック・ブイチチ「ニック・ブイチチのハグ」 \t
⑦朴婉緒「行けない道がより美しい」\t
⑧趙廷来「かかしの舞(허수아비춤)」\t
⑨大津秀一「死ぬときに後悔すること25」\t
⑩パウロ・コエーリョ「ブリーダ」 
\t

 ①は、日本でも話題になりました。韓国題は「정의란 무엇인가(正義とは何か)」です。
 ②、「王の男」のイ・ジュンギは中国でとくに人気で、ペプシのCM等でも注目度が高いようですね。しかし、中国人向けの韓国語学習書がなぜこんなに票数を獲得したのか、今ひとつわかりません。
 一応、この本関連の動画がYouTubeにありましたので、イ・ジュンギファンの皆さんはぜひ見てみて! →コチラです。
 ③、今も前大統領ファンはかなりいるようです。
 ④、第1作の「蟻」以来、韓国ではなぜか圧倒的人気のフランス人作家の小説。現在YES24のベストセラー8位にランクされている最新作の「カサンドラの鏡」では、主人公は脱北したフランスに渡ったコンピューターの天才少女だそうです。韓国人読者へのサービスかな?
 ⑤は、昨年7月24日の記事で紹介しました。深~い純文学。昨年のいちばん記憶に残る小説でした。
 ⑥、ブイチチ(ボイチチ等とも表記)という人は知りませんでした。「生まれつき両手両足が無くただ左足の一部らしきものとその先に足指が2本あるだけという体で神の愛を述べ伝えています」という人だそうです。あるブログに動画つきで紹介されていました。
 ⑦は、韓国の代表的なベテラン女性作家の散文集。彼女の小説は私ヌルボも翻訳でいくつか読んだことがあります。(→朴婉緒)
 ⑧、趙廷来も「太白山脈」等で知られる有名作家。
 この小説は、ある大企業の会長がさまざまな方法で秘密資金を貯え、有力者を買収していく過程を描いたもの。サムスングループの裏金疑惑が下敷きになっていると思われる社会派小説です。
 ⑨、大津秀一という人の知名度は高いのですか? 私ヌルボは知らなかったです。副題に「1000人の死を見届けた終末期医療の専門家が書いた」とあります。アマゾンには、多くの人がレビューを書いていますね。
 ⑩、コエーリョは日本でも(たぶん)よく読まれている部類のブラジル人作家ですが、韓国ではもっと読まれているようです。

 各分野別のトップは次のとおりです。
[文学] ベルナール・ヴェルベール「パラダイス1」
[人文/教養] マイケル・サンデル「これからの「正義」の話をしよう」\t
[ビジネス/自己管理] キム・ヨンチョル「サムソンを考える」\t
[幼児・子ども・青少年]  チェ・スッキ「おまえは奇跡だ」\t
[家庭/実用] パク・ジヨン、ユ・ソヨン、コンジョ「イ・ジュンギといっしょに話すアンニョンハセヨ韓国語1:中国語版」

 「サムソンを考える」の著者キム・ヨンチョルはサムスングループを3年前に退職した弁護士。サムスンの裏金について驚くべき事実を明かした暴露本だそうで、<仕事ニュース+>というサイト内の記事によると李健煕サムスン会長とその取り巻きが子会社から10兆ウォンの資金を盗んで違法口座に隠し、株で運用した等々が書かれているそうですよ。ところがサムスンの力は絶大で、「書評で取り上げる雑誌もほとんどなく、ベストセラー入りを伝える新聞も署名・著者名は一切出さない、という村八分状態」ですと。それが事実だとするとYES24は大丈夫なの?
 「おまえは奇跡だ」は、子どもが成長する瞬間瞬間にお母さんが感じる感動や思いを描いた美しい絵本です。

   
  【韓国版「これからの「正義」の話をしよう」

 次にYES24のライバル、教保文庫の<2010年今年の本>を見てみましょう。

 まず総合上位7位まで。
①マイケル・サンデル「これからの「正義」の話をしよう」
②チャン・ハジュン「彼らが語らない23項目」
③クォン・ビヨン「徳恵翁主」
④大津秀一「死ぬときに後悔すること25」
⑤イ・ジフン「魂・創・通」
⑥ジョージ・ヴァラント「幸福の条件」
⑦キム・ヨンチョル「サムソンを考える」


 YES24と重なってないものを説明します。
 ②の著者は経済学者でケンブリッジ大学教授。反自由市場主義の立場から、今の不正な資本主義ではなく、本物の資本主義を追求しようというもの。彼の著書は日本でも翻訳されていて、高評価を得ているようです。
 ③は高宗の王女として生まれた徳恵翁主の伝記小説。1930年旧対馬藩主・宗家の当主宗武志伯爵と結婚したが先天性疾患等のため離婚し、1962年に帰国した後は李垠の妃李方子とともに昌徳宮内に住み、1989年世を去ったということです。
 ⑤は、超一流企業のCEOや経済経営学者たちへの取材をもとに、彼らの物語に一貫して流れているメッセージやキーワードを発見して公開する、という本。すべての成功の秘訣が<魂・創・通>なのだそうです。
 ⑥副題は「ハーバード大学 人生成長報告書」。ハーバード大学の研究チームが、1930年代末にハーバード大学に入学した2年生268人の人生を72年間追跡調査したそうです。すると、幸せは7つの条件を50代以前にどのように組み込んでいたかにかかっていたとのこと。また、人生で最も重要なことは人間関係であり、幸福は、結局愛というものだったということです。

 各分野別の<人気図書賞>は次のとおりです。
[文学] 村上春樹「1Q84 BOOK 3」
[経済経営/自己啓発]チャン・ハジュン「彼らが語らない23項目」
[人文社会]マイケル・サンデル「これからの「正義」の話をしよう」
[子ども・青少年] イ・ミエ「アマゾンの涙」
[趣味/実用] 60分父母製作チーム「EBS 60分父母」

 先のYES24の結果を見て、ヌルボが疑問に思ったのはあれほど売れた「1Q84 BOOK 3」が入っていなかったこと。候補作にもリストアップしていなかったことから考えると、2009年「1Q84」を1位にしたことだし、「BOOK 3」もその続巻としてひとまとめに扱ったのかも・・・。
教保文庫が「BOOK 3」を人気図書賞に選んだのは別個の判断基準によったのでしょう。
 「アマゾンの涙」は元はMBC TVのテレビの人気ドキュメンタリー番組"地球の涙シリーズ"の第2作で、劇場版も作られました。それを子どものための読み物として構成した本で、孤児の少女を主人公にして、写真やイラストとともに、部族の生活やアマゾンの自然を描いたドキュメンタリー童話です。
 「EBS 60分父母」は、2003年から続いている育児番組の内容を書籍化したものです。

 日本の場合、各新聞の暮れに載る年間の主な書籍のリストには学問関係書や文芸評論等が相当数あげられていますが、韓国ではそうした方面の本はなく、実用書が多いようです。
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2010年の個人的総括と、2011年の抱負

2011-01-01 22:58:29 | お知らせ、その他いろいろ
 もう年が明けてしまいましたが、2010年の総括と2011年の抱負です。

 「お正月」(と~しのは~じめのためし~とて~)のメロディを聞くと、(と~ふのは~じめはマメで~すよ~)という替え歌(傑作!)の歌詞が思い出されます。
 年を取るとともに、自分の体感している時間の流れが、現実世界の時間の流れよりも遅いのでは、と思われます。空間的にも、私ヌルボ、横浜の町中に住んではいますが、みなとみらい辺りを歩くと「自分はこんな時代、こんな街の人間ではない」という思いに囚われてしまいます。
 ・・・と言いながらも、ブログの多くの記事は横浜の街のコーヒー店等でノートパソコンに打ち込み、送信しているのですが、これ以上パソコンその他の文化文明は発達してくれなくていいよ、って感じですね。Windowsはアップグレードできても人間はできないんだからねー。もう限界でしょ。少なくとも私ヌルボは限界だな~、玄界灘~。

 ・・・と玄界灘が出てきた(!)ところで、一応2010年の自分自身と韓国のかかわりについて、1年前の自らの記事にならって<ヌルボと韓国 2010年の収穫と今年の抱負>というのを数え上げてみました。

①5月に<韓国>をテーマに、懸案だった佐賀に旅行に出かけた
 いやあ、韓国旅行以上に実り多い旅でしたねー。長沢雅春先生はじめ佐賀女子短大の皆さんと有田で同行させていただいたのも幸運だったし、唐津もよかったし・・・。

②10月に韓国旅行。今回も初めての体験がいろいろ
 夢村土城等々を<まったり散策>とか、富川の漫画ミュージアムとか・・・。
 記事にはしていませんが、サークルの元の先生のお宅を訪ねた時、初めて族譜を見せていただきました。

③申京淑の小説「どこからか私をよぶ電話が鳴って」を読む
 原書で読んだ韓国小説はこの1冊だけでした。<YES24>の例年の企画「ネチズン
選定・今年最高の本」では総合5位、韓国小説としては2009年の「オンマのために」に続いて1位に選ばれた作品です。
 その他に韓国語で読んだ本は児童書の「宿題株式会社」だけ。ドラマ「トキメキ☆成均館スキャンダル」の原作小説のチョン・ウングォル(鄭銀闕)「成均館儒生たちの日々」は読み始めたものの、まだ上巻の3分の2までしか読んでません。たしかにおもしろいのですが、2009年に読んだカン・ジヨンの「新文物検疫所」の方が笑えたし夢中になれたなー。

④日本語訳の韓国小説はそれなりに・・・
 いちばん良かった(心動かされた)のは李文烈「若き日の肖像」
現代の韓国小説と、韓国社会を理解する上で興味深く読んだのはチョン・イヒョンの小説「マイスウィートソウル」
 過去の歴史や、韓国の文学史を知るために読んだのが日本統治時代の小説・廉想渉「万歳前」と、戦後では<越南作家>李浩哲の「板門店」と「南のひと北のひと」。
 韓国・朝鮮に関係する日本人作家の作品では後藤明生「夢かたり」等を読みました。以前よく読んだ日野啓三等とともに、朝鮮生まれの作家についても注目していきたいと思います。
朝鮮・韓国文学研究のさきがけというべき文芸誌「朝鮮文学」を古書店で入手したはもうれしかったです。
 韓国関係のブログはた~くさんある中で、この分野のものは非常に少ないようなので、(あまり読者はいなくても)さらに内容のある記事を載せていこうと思っています。

⑤イザベラ・バード「朝鮮紀行」には驚き&感動!
 文学以外の韓国・朝鮮関係の本では、やはり100年以上前の「朝鮮紀行」がいちばん印象に残っています。この本を先に読んで勧めてくれたサークル仲間の(お酒の好きな)Tヒョンには感謝! 同じくTヒョン推薦の川村湊「妓生―「もの言う花」の文化誌」もおもしろそうですが、まだ目次だけしか目を通してません・・・。
 野間秀樹先生の労作「ハングルの誕生」(平凡社新書)は勉強になりました。第22回アジア・太平洋賞大賞受賞もナットク。
 社会的な本では野口孝行「脱北、逃避行」がおもしろかった(と言ってはいけないのですが・・・)。
 少し前論議をよんだ「和解のために」の著者朴裕河の前作「反日ナショナリズムを超えて」を暮れに一気読み。副題に< 韓国人の反日感情を読み解く>とあるように、韓国の(&日本の一部の)強いナショナリズムを問題とした本で、共感をもって読みましたが、案の定韓国では彼女の言説はなかなか受け入れられないようです。

⑥韓国映画は19本と、北朝鮮関係映画「キムジョンギリア」を観ました
 映画全体では61本。12月30日の記事<2010年の映画 ヌルボのベストテン>では2011年は「80本は観たい」と書きましたが、ビミョーですね。ずっと前、年間104本観たことはありましたが・・・。

⑦このブログの記事は1年間で合計303本になりました
 李朝時代や日本の統治時代等の歴史や、韓国文学、現代の韓国社会等々について、何よりも勉強になったのは私ヌルボ自身。といっても大方は頭に残っていなくて、以前の記事を見直すと、自分が書いたような気がしないものがたくさんあり、新鮮な気持ちで読めます。(笑&恥)
 気になっているのは、「いずれ別記事に・・・」と書きっぱなしになっているテーマが残されていること。<韓国ドラマ「英雄時代」を読み解く>も16回までで停滞していますが、これは近く再開します。
 他の韓国関係ブログもいろいろ参考にしました。うちいくつかは常連としてほぼ毎日見てます。逆に、当ブログを見て下さっている方々には感謝してます。とくにコメントには励まされます。

⑧とりたてて書くに足るようなことをやらなかった韓国語学習・・・
 KBSラジオを夜なんとなく聞き流していたのが勉強になっていればいいのですが、効果のほどは不明。あとは横浜市立図書館で「朝鮮日報」や「新東亜」を読むくらいですが、漢字語が多くて読みやすい報道文ばかり読んでも語学力upにはあまり役立ちそうにないし・・・。今年は韓能かハン検を受けなくっちゃ・・・。
 しかし、韓国語だけでもタイヘンなのは承知で、過去何度か挑戦しては入口あたりで挫折してきた中国語もやっぱりやってみたいです。もっとヒマと能力があればいいのに・・・。(←典型的なないものねだり。)
 弱点の韓国ドラマまでは今年も手が回りそうにないですねー。

 ・・・とまあいろいろありましたが、サークルや韓国同好会(?)等でヌルボと一緒に勉強してる仲間の皆さん、今年もよろしく。また今年も(私たちなりに)がんばりませう!
 そしてお会いしたことはなくても、このブログをご覧くださっている皆さんも!
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